兄はいろんな人と関わって旅している
こんにちは兄のサトシです。まだ時期が整っておらず、準備も終わっていないので焦っている毎日を過ごしています。
今日シンオウのチャンピオン、シロナさんに再会しました。なんだか俺と似ている部分があるようでよく気が合います。
そして今は町角のちょっとしたアイス屋さんの近くにある公園でのんびりしています。アイスを奢ると言われたので、ついて行ったんですが、アイスを大量に注文したら待っていてくれとすごく慌てた表情で店員に言われたため、ここで椅子に座ってのんびりしながら話しているのです。
「―――――――そうね。サトシくんの言うとおり、決められた技を使うよりもまったく新しい技を考えた方が面白そうよね」
「ですよね。ポケモンバトルでどう技を決めていくのか、攻撃をかわしていくのかはトレーナーの個性に合わせて違ってきますし…何よりトレーナーの力が備わっていなければポケモンも100%の力を発揮することなど困難ですよ」
「納得できるわ。旅人のトレーナーはほとんどが初心者用のポケモンを貰い、旅をする。その旅の中でトレーナーとの時間や鍛え方によってポケモンの能力や力、技も異なってくるもの…でも最近はテレビやスクールで学んだことを活かさずにまったく同じような戦い方しか見かけなくてつまらないのよね…」
「それじゃあ俺と戦いませんか?俺、ポケモンマスターになるのが夢ですし。今までの経験から学んだバトルの応用やいろんな技を使ってシロナさんに勝ちたいって思ってますから」
『ピカッチュウ!』
「あら、私にバトルを挑むなんてさすがサトシくんね。いいわよじゃあさっそく場所を変えて―――」
「ちょっと待ったァァアア!!!!」
いきなり大声を出して怒鳴り込んできたのは同じく町で出会ったジュン。あとヒカリが悟ったような遠い目をしていて、俺たち何かやったのかと首を傾けて疑問に思った。あ、タケシならシロナさんにメロメロになってグレッグルにどくづきされてました。そして今はジュンの様子に苦笑しながら注文したアイスを取りに向かいます。シロナさんがアイスを大量に頼んでいたから一人で持って来れるのか…?
「ジュン、どうかしたのか?」
「どうかしたのかじゃねえよ!なんだってんだよ!!何でチャンピオンと親しく話してんの!?」
「サトシくんとはよくバトルの研究でお世話になっているのよ。まあいわゆる師弟関係かしら?」
「師弟関係!?…え、師匠がシロナさん?」
「…いや、俺が師匠」
「なんだってんだよ!!?」
ジュンは驚いたような表情でヒカリを見る。でもヒカリは肩をすくめて微妙な表情でシロナさんや俺の言葉に頷いた。
そう、俺とシロナさんは前に一度会ったことがあるのだ。前というのは、カント―地方での旅をしていて、チャンピオンのワタルさんとバトルしている途中で乱入してきた時だ。
あの時はあれこの女の人って誰?と思っていたが、まさかシンオウチャンピオンだとは思ってもみなかった。
その後ワタルさんから紹介してもらい、俺の新しい技の研究や強さに興味を持ってくれて様々な話をした。何故かその話をしている様子を見て面白がったワタルさんが俺とシロナさんのことを師弟だといってきた。
俺は否定したのだが、シロナさんがそれもいいかもね?といって微笑んできたので、師弟関係となってしまったのだ。
師匠が俺で弟子がシロナさんという普通の人からみたら驚くような関係になったなとシゲルに驚かれ、また新しい技を考えたのかさっそく教えろいや俺と戦えなどと言ってバトルを挑まれたこともあったりする。
まあそれをヒカリに言ったときはジュンと同じように驚かれたんだけどな…。
ジュンは驚きすぎて口がずっと開きっぱなしだ。
それを見ながらタケシがアイスを持ってきてくれたので皆で一緒に食べる。
動きがとまり、アイスを食べる様子がないジュンに比べて、シロナさんとヒカリ、タケシは普通にアイスを食べてのんびりしていた。チョコアイスうまー。
「え、ちょ、シンジもサトシのことよく言ってるし…サトシって一体なんなんだよ!!!??」
「…うんそれ私も聞きたい」
『ポチャッ』
「確かにそれも興味深いけど、サトシくんはミステリアスな方がより魅力的よ?」
「シ、シロナさん!!自分のことはァァアッッ!!!シ、シビレビレ……」
『…ケッ!』
ジュンが叫びだしたと思ったらかなり賑やかになってきた。ヒカリとポッチャマが俺のことを未確認生物を発見したような目で見るのやめてほしい、あとシロナさんそれどういう意味ですか。タケシはいつも通りタケシだった。そしてグレッグル、お疲れさま。
「…アイス美味いな。ピカチュウ」
『ピッカッチュウ!!』
兄の心境。
チョコアイスはうまい。