マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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ちなみにオーキド博士たちは皆で遊んでいると思っているらしい。


第四十話~妹と相棒が忍者を目指しそうです~

 

 

 

 

 

 

こんにちは、妹のヒナです。今私とヒトカゲは修行中なのです。まだ年齢が二桁になっていないうちからかなりの身体能力を身につけそうで怖い日々を過ごしています。

…これ、兄よりもスーパーマサラ人とか、歩く人外魔境とかいわれたらどうしよう。

今までに聞いた話だとジョウト地方での兄は≪人の形をした伏魔殿≫という通り名になっているらしいですよ。兄が旅するごとにいろんな噂を聞き、通り名ができてしまっています。

私としては兄のような通り名を作りたくはないです。

でも挫けないように強くなりたい、ヒトカゲを守るために頑張りたいとは思っているし、スーパーマサラ人になる気で努力しようと決めているのでとりあえずみんなに恐れられないようにしてみます。…できればヒトカゲと共に普通に強くなって周りに普通だと言われ、普通に生きていければいいと思っています。

でも最初の方は結構みんな私たちに怪我を負わせないようにしていたけれど、何だか最近だと周りがやる気に満ちていて修行が凄まじいです。

 

 

 

え、今?ヒトカゲと共にかくれんぼをしています。鬼は私とヒトカゲ以外のオーキド研究所にいるポケモン全員だったりします。伝説含めてですが…。

 

 

 

『カゲ…!』

「っ!…来た」

 

 

ポッポたちの鳴き声と姿が空から見えてきた。そして遠くの方でピジョットの声も聞こえてくる。おそらく飛びながら私たちを見つけようとして探しているのだろう。今は森の中で息をひそめて誰も来ないことを祈る私とヒトカゲ。ここらでは強敵のフシギダネやジュカイン、ベイリーフが探しに来ることはないと分かっているため、とにかく気をつけるべきは空にいる飛行タイプだ。とくに飛行タイプであり、兄のヨルノズクがすぐに私たちを見つけに来ることが多いから気をつけないといけない…。

 

でもヒトカゲは普通に炎がでているため、暗い所に隠れても目立つ。だからわざと明るい場所にいて、なおかつ姿がその場所と同化し、見えないように日向の方にいるのだ。まあいわゆる木を隠すなら森の中という作戦かな。つまり火を隠すなら日向の中です。

 

ポッポたちが空でぐるっと回ってから行ってしまうのを確認して、私とヒトカゲは息をつく。どうやら見つかってはいないようだ。

でも後ろの方からガサガサと音がして、私たちはすぐに警戒し、体勢を整えてから見つからないように急いで木の上を登っていく。私とヒトカゲはもうミュウツーのサイコキネシスがなくてもちゃんと木に登れるようになったし、こうして探しに来たポケモンたちから見つからないように静かに登るというやり方も編み出した。

…一番最初の頃にかくれんぼ修行をしたときは本当に酷かったです。もう瞬殺だった…。

私たちはかくれんぼをやるごとにどのように隠れていくのか、どう走り逃げていけばいいのかを学んでいった。それが今のかくれんぼで誰にも見つかっていないという成果をだしている。

 

木の上に隠れ、ヒトカゲはちゃんと火が目立たないように日向の方に尻尾を向けて明るさを周りと同じにする。そして下の方を見ると探しにきたであろうワニノコが周りを必死に見渡していた。いきなり上を見上げられて見つかると困るのですぐに身体を引き、大きな枝で下からは見えないように工夫をしていく。ヒトカゲは音を聞いて周りを確認していた。後ろの方に何かあるのか時々後ろを振り向いたりして遠くを必死に見ている。でも私が後ろを見ても何もいないし聞こえないので、おそらくポケモンにしか聞こえない範囲のところに鬼、もしくは鬼たちがいるのだろう。

そのため気は抜けないのでなるべく音をたてないように、まだ下にいるであろうワニノコに見つからないようにやり過ごす…。

 

 

 

 

『…ポッポー!!』

『ワニィワー!!』

 

「ッ…ヒトカゲ、えんまく!」

『カゲッ!』

 

 

木の上で警戒していたら、突然空からポッポの声が聞こえて見つかったと判断した。しかも木の下にいるワニノコもポッポの声に気づき私たちがいると分かったらしい。このままでは捕まってしまうと考え、私はヒトカゲにえんまくを指示する。えんまくは少し前にヒトカゲが覚えた技だ。

 

しかもヒトカゲのえんまくは通常のヒトカゲがやるえんまくとは違い、広範囲に使えるようになっている。というよりも覚えて間もないのに、広範囲にできるようにならないといけないぐらい鍛えられたため、ポッポのところからワニノコまでえんまくで見えなくすることができた。もちろん私たちのところも真っ暗だけれど、今の私たちなら問題ない。

 

『ワニッ!?』

『ポッポーゥ!?』

 

「よし、飛ぶよヒトカゲ!」

『カゲッ!!』

 

今の騒ぎで鬼たちが集まる可能性が高いと判断し、私とヒトカゲは木から飛び降りて生い茂っている草に着地する。大きな草がクッションとなり、衝撃は和らげてくれたので怪我はない。

このまま私たちは鬼たちから逃げるため走って移動する。そして岩がごつごつとしていて、草木がほとんどなく地面が多い場所までやってきた。私とヒトカゲは大きな岩に逃げ、隠れる。

その場所は空からは丸見えになってしまうためかなり危険な場所だが、森の中にいるとばれた以上はこちらにいた方が安全だと思ったからだ。

ヒトカゲが周りを確認し、私は次にどこに移動し隠れるのか考えつつも息を吐いて気を落ち着かせる。ヒトカゲも緊張しているみたいだけれども、今までのように震えたり怯えたりはしていない。見つからないように気をつけて警戒するのを怠らないぐらい立派に成長したと私は思っている。

 

…そろそろ来るかな。

 

伝説は最初っから私たちを見つけようと行動はしない。しばらくの間は待機して、時間が来たら一度上空に合図をしてから鬼として私たちを探しに行動を開始するのだ。伝説たちが探すと一瞬で終わることが多かったため、すこし時間をおいてから探すことを皆で決めた。まあ伝説の力って常識外が多いからね…。

かくれんぼの修行をするときはそろそろ今ぐらいから合図を打ち上げると私たちは理解していた。そのためあまり体力を使わないように気をつけて移動して、休める時は休むようになった。たぶんこれは旅にも役立つと思うけれども、今のところそういう旅はする気ないし、とにかく力をつけることが先なのだ。

 

 

 

 

ドォォォオオオオンッ―――――。

 

 

 

 

「…合図だ」

 

『…カゲッ!』

「っ!!」

 

 

上空からはかいこうせんが見えてきたので伝説たちの合図だと分かった。その合図から一瞬でミュウがテレポートで近くにやってきたため、私たちはとっさに隠れる。

だがヒトカゲが何かに気づき、後ろを振り向くとフシギダネが私たちを見つけて遠くから走ってきているのをみて慌てて逃げた。

 

『ダネ!!』

『ミュー!!』

 

「ちょっ…ヒトカゲもう一度えんまく!」

『カゲッ!!』

 

フシギダネがつるのムチを使って私たちを捕まえようとしていて、ミュウもフシギダネに気づき私たちを見つけてサイコキネシスを発動しようとしたため、ヒトカゲにえんまくでまた逃げる作戦にでた。

 

――――――だが。

 

 

 

 

『クゥ―――――ン!』

 

 

「ラ、ラティオス…!」

『カゲェ…!』

 

『ダネダネェ!!』

『ミューゥ!!』

 

 

ラティオスに捕まってしまい身動きがとれなくなったため、かくれんぼは私たちが負けたと理解した。えんまくにやられたフシギダネとミュウもすぐに私たちの後ろに来て勝利したと知る。そして、フシギダネが日の傾きをつるで指してもうすぐ夕方だと言い、今日の修行は終了したと分かってしまった。

 

 

まあこんな感じで私たちの修行は続いています。

 

 

 

 

「つ、次こそは…!」

『カゲカゲ…!』

 

 

 

 




妹の心境。
 強さってなんだろうね…。

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