マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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このままではいけないだろう


第三十八話~妹は変わることを覚悟した~

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。襲われた事件の影響で皆が過保護になりました。

え、大人たちがどうなったのか気になる?…まああれですよ。ポケモンたちにぼっこぼこにされた後、伝説に関する記憶を消してジュンサーさんに引き渡しました。大人たちはボッコにされた影響でポケモン恐怖症になったそうですよ。…やりすぎだと思いますよね私もそう思います。

 

しかもその後オーキド研究所に泊まれとみんなが言って来たり、家とオーキド研究所を行き来する場合は必ずルカリオが一緒にいないといけなくなりました。…まあ仕方ないと諦めます。

 

でもこれだけは諦めきれない。

「お願いします私たちを強くしてください!!」

『カゲッ!!』

 

『…ダネ』

 

今いる場所は兄のポケモンたち、伝説たちが勢ぞろいしている広場の前。広場ではたまにみんなが集まって模擬バトルをすることがあるため、私たちはその時間を狙って頼みに行くことにした。しかも今日はルカリオも一緒に来ているためちょうどいいと思えた。ルカリオの力もすごく強いからだ。

出来ればその模擬バトルもやってみたいという気持ちで。私とヒトカゲは一緒に土下座をして強くしてくれと一生懸命頼む。

 

どうして強くなりたいと思ったのか。それはあの事件がきっかけだった。

私はヒトカゲを守ろうとして守りきれそうになかったから。ヒトカゲは私に怪我を負わせてしまい守れなかったから。お互いが強くなりたい、守りたいと願ったから一緒にこうしてみんなに頼みに行くことにしたのだ。

 

でも皆微妙な表情をして私たちを見ている。ルカリオとフシギダネが同じような表情をしていた。ベイリーフ達も不安そうな表情を浮かべている。

やがてルカリオがこちらに近づいてきて口を開く。

『……ヒナにヒトカゲ。お前たちはまだまだ幼い。強くなるには早すぎる』

『ダネ…ダネフシッ』

『ベイベイッ!』

 

「…でも、私たちはこのまま守られていたくはないの…ちゃんと強くなりたいの!」

『カゲェ!!』

皆が微妙な表情で私たちを見てくる。おそらく皆、私たちが幼いからまだ強くならなくてもいいというのだろう。トレーナーの適正年齢にも達していないし、まだまだ周りのみんなに守られてもいい子供だと考えているのだ。でも私とヒトカゲはそれで納得しない。

守られるだけでは何も変わらず、また危ない目に遭ってもみんなを待つか逃げるしかないというのはもう嫌なのだから。

 

私たちの強気な目にジュカインがこちらに近づいて肩を掴み頷いてくれた。

『ジュッ』

「ジュカイン…!」

『カゲカゲ!』

 

『ダネダネ!?』

『待てジュカイン!ヒナたちに修行をしてもらうというのか!?』

 

『俺もいいアイディアだと思うが?』

『ああ、確かにそうだな』

フシギダネとルカリオがジュカインに対して反論する。だが、ミュウツーとルギアもジュカインの意見に賛成なのか頷いてくれた。他にも兄のポケモンであるヘイガニ、ヘラクロス、ワニノコ、オニゴーリなどどんどん賛成してくれるポケモンが増える。

 

『ダネ!ダネダネ!!!』

『そうだ、フシギダネの言うとおり、お前たちはヒナたちが危険な目に遭ってもいいと言うのか!?強くなったと判断して、それでまた襲われたらどうするつもりだ!それにまだ幼いのだから急に修行などやらなくてもいいだろう!!』

 

 

「何もしないでそのままでいていいと思いたくない!ただ襲われて…それでみんなの助けを待っているだけじゃ嫌なの!!それに強くなったとしても自分から危険なところに行こうとはしないよ!危険だと判断したらちゃんと逃げる!だからお願いします!私とヒトカゲは一緒に強くなりたいって心から思ってるから!!!」

『カゲェェ!!!』

 

 

『…いいじゃないか。あの時のように不快な思いを優れたる操り人の妹にさせるわけにはいかないだろう。それに私は、2人がこのまま強くなり成長しても心が歪まず、操り人のように立派に育つと思っている』

『俺は最初からこいつらを鍛えることに賛成だった。どのみちサトシのトラブルメーカーによって巻き込まれることも多くなるだろうし、強くなることに問題などない』

 

『…ダネ』

 

フシギダネが私とヒトカゲにつるを伸ばして頭を軽く叩いた。それはまるで、無茶はするなというような感じだった。そしてルカリオや反対していた他のポケモンたちもため息をつきつつ、頷いてくれた。

 

「みんな…よろしくお願いします!!!」

『カゲカゲェ!!!』

 

『―――――――――――――ッッ!!!』

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

『よしではこれから修行を行おうか』

 

「お願いします!」

『カゲェ!』

 

『まずは何がいいか…』

『ああ、まずは操り人の妹の逃げ足を鍛えるというのはどうだ?私の三鳥たちを呼んで技ありの追いかけっこでも…』

『…ジュカ』

『なるほど、確かにジュカインの言うとおり技から避けるというのも必要な力だろうな。ヒトカゲはともかく、人間であるヒナにも一緒に模擬バトルを受けてもらった方がいいと思うが?』

『ヘイヘイヘーイ!!』

『ワニワニィ!!』

『ヘラクロォ!!』

『いや待て。お前たちはただ単にバトルをしたいだけだろう。ならば良い方法がある。ヒナとヒトカゲには跳躍を伸ばすためにまずワニノコのみずでっぽうとヘイガニのバブルこうせんで空から―――――』

 

 

 

 

『ダネダネェ!!?ダネフッシッ!!』

『フシギダネの言うとおり。まず人の弱さや身体の限度というものを知れ!!さっそくヒナとヒトカゲに無茶をさせる気か!!!?』

『ベイリー!!!?』

『キュ――――――ンッ!!!?』

 

 

 

「うぅ…ど、どんと来い…!」

『カゲ…カゲェ!』

 

 

 

 

 




妹の心境。
 いいよ、スーパーマサラ人になる気で頑張ってみるよ…!

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