妹は疑問に思い行動した。
こんにちは妹のヒナです。最近なんだかジュカインの機嫌が悪くなる一方です。
ですが私やヒトカゲが近づくとすぐに不機嫌ではなくなり、普通の表情に戻ります。ですがその表情がまるでストレスをためた人が猫や犬といった動物に癒しを求めているような感じでした。
何かあったのかなと私たちは首を傾け疑問に思っております。
「…ねえ、ジュカイン何かあったの?」
『カゲカゲ?』
『…ジュッ』
今日も今日とてジュカインはとても不機嫌そうだ。遠くから見ると不機嫌なジュカインを恐れて逃げる他のポケモンがいてとても目立つ。
ヒトカゲが私の手を掴んで引っぱり、ジュカインに聞いてみたらどうかと問いかけるので、私は思い切って彼に近づき話しかけた。
でもジュカインは何も言わず、ただ私やヒトカゲの頭を撫でるだけ。
理由も何も言わず、ただひたすら撫でる様子はとても奇妙だと思った。というよりもすごくストレスを抱えているような感じがしてむしろ不安が増した。
このままでは意味がないので、とりあえず考え事をしている時に近くを通りがかったミュウツーに聞いてみることにした。ミュウツーは毎日のようにオーキド研究所にいるため、何があったのかぐらいは知っていると思ったからだ。
「ジュカインが最近不機嫌なんだけど何があったのか知ってる?」
『…ああ、ジュカインなら最近大樹の近くで草ポケモンと水ポケモンが争っているのが嫌らしい。だから最近機嫌が悪いみたいだ』
「へ!?なにそれ!!?」
『カゲカッ!?』
どうやら草ポケモンと水ポケモンがフシギダネの見えないところでたびたび喧嘩するようになり、その近くに大樹があって流れ弾ならぬ流れ技を受けてしまったことがあったらしい。そして大樹を世話し続けているジュカインにとって、その事態は望んでもいないことであり、だから最近不機嫌になっていたということだ。
そしてその草ポケモンと水ポケモンたちの争いを注意しても止まらず、逆に悪化しているとミュウツーから話で聞いた。
私とヒトカゲはそのままで放っておいてはいけないと考え、お互いに顔を見て頷く。
「じゃあ草ポケモンと水ポケモンの争い止めないとだよね!私たちフシギダネに知らせてくるよ!」
『カゲェ!!』
『いや待て。もうその心配は必要ないだろう…』
「どういうこと?」
『カゲカゲ?』
『あそこを見ろ』
私たちがいるのは大樹より少し離れた場所。そこからミュウツーが指差したところを見ると草ポケモンと水ポケモンの争いが激化している光景が見え、大樹にまで技が当たりそうになっていた。
それを見た私たちは慌ててポケモンたちの争いを止めようとする。
けれどもミュウツーが腕を掴んでその場にいろと言うため、せめて声だけでもかけようと叫ぶ。
「ちょ、ちょっと皆!喧嘩はやめて―――――――」
『―――――ジュカァァァアアッッ!!!』
おそらく堪忍袋の緒が切れたのだろう。
ジュカインは今までで一番大きなソーラービームを撃ち、草ポケモンと水ポケモンがそれぞれ争っている場所に当たり、結果的に喧嘩はおさまった。…だが状況は一変してかなり悲惨な光景が見え、フシギダネが説教しに来るのも時間の問題だと思えた。
その後、しばらくの間はフシギダネよりもジュカインのほうがポケモンたちに恐れられるようになったらしい。
だがジュカインは変わらず、ただひたすら強さを求めて技を鍛え、そして大樹の世話を続けている。
妹の心境。
ま、まあいいか。喧嘩止められたし…