最近のシェフが凄まじい成長を遂げている。
こんにちは妹のヒナです。この前電話で兄がやらかしたと聞き、頭が痛くなりました。しかも料理で変なものを作ってしまったというのですから驚きです。
料理と言えば最近ルカリオが母に負けず劣らず凄くうまくなっています。
「…ルカリオ、今日は何作るの?」
『カゲカゲェ?』
『今日はマカロンとモモンの実のタルトケーキだ。しばらく時間がかかるから外で遊んでいろ』
「はーい!」
『カゲッ!』
まあこんな感じでお菓子により力を入れていて、しかもまだまだ修行が足りないと母にレシピを教えてもらっていたりする。でももう結構な種類のお菓子を作れるのに他にも作る必要はあるのだろうか…?母もそんな教えがいのあるルカリオにやる気満々だし。
そしてつい先日、もう店に出してもいいのではないかとオーキド博士やケンジさんが差し入れの紅茶味のシフォンケーキを食べながら呟いていたのも聞こえてきた。そしてその時に食べたシフォンケーキは本当に美味しかったと覚えている。
しかもお菓子だけでなく料理の方も頑張らなければとやる気満々のようだ。ルカリオよ、お前はそんなに女子力とやらをつけてどこへ行くつもりだ。
ルカリオのお菓子がプロ並みだということにマサラタウンのみんなが驚き、たまにお菓子を作ってほしいだの、料理のレシピを教えたいだのという話が来ることもある。もしかしたらいつか本当にルカリオの店を開いてしまうかもしれないと私やヒトカゲ含めて兄のポケモンたち、伝説たちは密かに考えていたりする。
…そしてそんなお菓子のプロとなったルカリオに嫁に来てくれと殺到するポケモンたちがいた。しかもポケモンたちだけでなく普通のトレーナ―までもが旅に加わってくれと言ってくることも多いのだ。
まあお菓子だけでなく料理の方も次第に上手になりつつあるルカリオなら嫁に欲しい、仲間に欲しいと思ってしまうのは仕方ないと思うけれども。
でも一応嫁に来てくれといったポケモンたちに注意して言っておくならば、ルカリオはオスだ。メスではないのだ。だがしかし、メスにプロポーズされたということはない。ルカリオがオスやメスだという正確な話は聞かず、ただオスのポケモンによく番いになってくれ!や結婚してくれ!!と叫ばれたりするのだ。
だが、プロポーズして襲いかかってくるポケモンたち、トレーナーたちをすべてを蹴散らし、私たちに何事もなかったかのように普通にお菓子を与えてくれるルカリオを見て、さすがアーロンさんの弟子だなと思いました。
「…ねえヒトカゲ。今日はルカリオがどんな感じで料理しているか見てみない?」
『カゲェ…?…カゲッ!』
私はルカリオがどんな感じでお菓子を作っていくのか気になり、そしてできれば何か手伝えればいいと考えてヒトカゲに提案する。ヒトカゲは少し考えた様子だったがすぐに私の言葉に頷いてくれた。
私たちはキッチンの方に忍び寄りルカリオの作業をじっと見つめる。母はオーキド研究所に行っており、ポケモンたちの様子を見てきているため不在なのだ。だから今キッチンはルカリオの独壇場ともいえる。
そしてそこで見たのはとても手慣れた様子で材料を混ぜていくルカリオの後ろ姿。邪魔しないようにこっそり来たというのに、ルカリオはすぐに私たちに気づき、こちらを振り向いた。
…あ、青色のエプロン着ていて、ルカリオに凄く似合います。
『どうしたヒナにヒトカゲ。何か忘れ物でもしたのか?』
「う、ううん違うよ。ルカリオのお菓子作ってる様子見たかっただけなの…もしかして邪魔だったりする?」
『カゲー…?』
私とヒトカゲが邪魔だったかどうか聞くとルカリオは優しそうな笑みを浮かべて大丈夫だと言ってくれた。それどころかもっと近づいてもいいと言われたので、私とヒトカゲはゆっくりとルカリオに近づいていく。
「ルカリオ、これって何のお菓子になるの?」
『抹茶味マカロンの材料だ。…ヒトカゲ、そこにいると危ないから数歩左に寄れ』
『カゲッ』
ルカリオは私とヒトカゲにきちんとどんな料理を作っているのか、どう作っていくのかを教えてくれた。あ、あと私とヒトカゲもちゃんとルカリオのお手伝いもして、一緒にマカロンとタルトを作った。途中で味見したり、差し入れ用のクッキーを焼いたりもしました。そして本日作ったお菓子は本当に美味しくて、手伝ってよかったと心から思えた私とヒトカゲだった。
…本音を言ってしまうのなら、ルカリオのことを第二の母と呼び慕いたいぐらいです。
妹の心境。
ルカリオのお菓子も母のお菓子も美味しい。