こんにちは兄のサトシです。本日はポフィンを作ろうということで皆で頑張っております。
ですがタケシに何度もちゃんとレシピ通りに作れと注意されました。それを見たヒカリとポッチャマが怪訝そうな表情で見てきました。
でも俺にだって頑張ればうまいものぐらい作れるはずだ。
「なあピカチュウ?」
『ピイカ…』
「…そんな顔すんなよ。大丈夫だから」
『……ピカ』
ピカチュウは信用ならない表情で俺のことを見てきた。それを見て俺はますますやる気が高まる。そんなにも俺の作るポフィンを期待していないというのなら驚かせてやろう。あ、これ美味いといわせてやる絶対に!
だから俺はとりあえずきのみを何種類かに分けていれることにした。まず最初にクラボの実を大量に入れて辛さが中心のポフィンを作ってみよう。きのみは味ごとに分けられているため、その味をより引き出すために隠し味のふしぎなアメや寒天、せいなるはいをいくつか投入し、ちゃんと気を付けて混ぜていく。
周りを見ると、先ほどまでいたはずのピカチュウがタケシたちの方へ行き、どんなポフィンを作るのか気になっているようだ。あ、でもタケシたちのポフィンは絶対にピカチュウの好きなケチャップを入れないと思うから俺がそれを作ろう。
「…あれ?ポフィンって半透明になるお菓子だっけ…?まあいいか」
まぜている途中でケチャップを入れると一気に半透明になってしまい、俺は首を傾けて疑問に思った。だがまあそういうお菓子もあるだろうと考え、気にしないことにした。
これでクラボの実ケチャップ味のポフィンが完成した。おそらくピリッと辛めな味がして、後からケチャップが効いてくるだろう。見た目は少し赤色の半透明なポフィンという感じだ。
「よし次!次は甘めのモモンの実と…あとは……」
次に作るポフィンは甘い味にしようと思い、モモンの実を入れられるだけ全部入れてみた。甘い味ならばチョコレートとかも入れてみたらどうだろうかと考える。チョコは何にでもあうし美味しいから絶対に大丈夫なはずだ。俺はチョコレートを何枚か入れて、出来るだけ味が均等になるようにまぜていく。あ、チョコレートにはモーモーミルクとかいいかもしれない。あとミックスオレも入れてみよう。あ、でも飲み物だけだと固形化されないだろうからピーピーエイダーやげんきのかたまりも入れておこう。俺はそれらの材料もちゃんと入れて混ぜていく。
…そういえばポフィンって混ぜるだけのお菓子なんだよな。出来るなら焼いてみたり、オーブンでチンしてみたりしようかな。その方がいろんな感触の味が試せそうだ。それにここにはオーブンも設備されているし使ってもいいみたいだからありがたく使わせていただく。俺は型にこのモモンの実入りチョコレート味のポフィンを入れてオーブンでしばらくの間焼くことにして次のポフィンへと移る。
「次は渋さ…といったらカゴの実かな」
渋いポフィンはカゴの実が一番いいと聞くから入れてみる。次は2種類のきのみにしようかと考え、カゴの実だけでなくウィの実も大量に入れてみた。そして隠し味にホウエン地方でもらったあさせのしおとちからのこなも投入した。そして一気にまぜていく。
「…あれなんだかとろみがついているような…でもすぐちゃんとしたポフィンになるよな?」
ちょっとだけ不思議に思いつつも混ぜていき、今度は焼いてみようかなと思い、フライパンに変えて焼き上げる。するとポフィンの色が真っ白に変化し、硬いポフィンになっていった。真っ白いせんべいのように見えるし、これもお菓子みたいになっているからいいのではないだろうかと思う。よしこれで残りのポフィンの出来具合を見るか。
「よし!オーブンの中を確かめるか!」
先程まぜたオーブンの中のモモンの実入りチョコレート味のポフィンがちゃんと焼きあがったのか見てみることにした。オーブンの中を見ると焼きあがっていて、餅のようにふっくらしていた。そしてなんだか色が紫色になっていた。
…あれ、ポフィンってこんなに膨らむものだったっけ?あと色もおかしいような…まあ平気か。
俺はそれらのポフィンを持ってタケシたちの方へと行くことにした。タケシたちはもうポフィンができていて、ピカチュウたちが食べていた。
「ほら見ろ!俺もちゃんとポフィンを作れるぞ!!」
『ピッ…?…ピィカチュッ!!?』
「ま、…待て待て待て待てソレはなんだ!?色とか形とか可笑しいぞ!!!」
『ポチャポチャ!!?』
「サ、サトシちゃんと普通にレシピ確認してみたの!?透明や白色や紫色の…しかも形とかが諸々ポフィンじゃないんだけど!?」
「え、ちゃんとできてるだろ?大丈夫だって」
「全然だいじょばないわよ!!!」
「明らかに大丈夫じゃない!!!」
『ピィカッチュウ!!!』
『ポッチャマァァ!!!』
結局その後、俺にキッチン禁止令が出され、作られたお菓子はロケット団のもとに行くことになってしまった。…俺としてはよくできたと思ったんだけどな。
兄の心境。
周りの反応が解せぬ。