こんにちは妹のヒナです。現在ヒトカゲと共にオーキド研究所にある湖に来ています。
ヒトカゲは水を怖がったりはせず、恐る恐る近づいてなるべく落ちないように気を付けています。私もそんなヒトカゲを気にしつつ、この綺麗な景色を眺めて楽しんでいます。
「綺麗だねヒトカゲ」
『カゲカゲェ』
オーキド研究所にある湖は水タイプと草タイプのポケモンたちがよく争って喧嘩したりしますが、最近ではフシギダネに止められ、ヘイガニ達がよく乱入してくるため今のところ休戦しているようです。でもこの景色を見ていると水タイプと草タイプが争うのも分かる気がするよ。
「景色もそうだけど、風とかも気持ちいいねー」
『カゲェ』
『マナァ』
「…………………ん?」
ヒトカゲの他にも声が聞こえたため、私は周りを確認する。周りには他にもポケモンがいて、湖で遊んだりする子が多い。争っているという水タイプや草タイプのポケモンもそうだ。でも今の声は聞いたことないような…。
『マナ!マーナァ!!』
「ちょっ…何でいるのマナフィ!!?」
『カゲ…カゲ?』
何故か湖の真ん中でマナフィが気持ちよく泳いでいるのを発見してしまった。ヒトカゲはマナフィがどんなポケモンなのかわからず興味を持っているようだ。マナフィは私の声に気づいてこちらに近づき、可愛い笑みを浮かべてきた。そして湖から上がり、私とヒトカゲの隣に座ってきた。
『マナ?』
「えぇっと…マナフィって海にいるんじゃなかったの?何でここにいるの?」
『マナ!』
『カゲカッ!?』
マナフィが何か言っているようだけれども、私は兄のようにポケモンの言葉がわかるわけではないので首を傾ける。だがヒトカゲが驚いたような表情を浮かべて湖を見たため、何かあるのではないかと私は湖を見る。
湖をよく確認すると何やら水の中から大きな影が出てきた。この影は何だろう、何があるのだろうと確認しようとしたら急にルギアが現れて驚いた。影の正体はルギアだったのだ。
湖にずっといたのだろうか。だとしたらその大きな身体でよく湖にいることができたなと思った。
ルギアは驚いている私たちを見て小さく呟いた。
『ああ、優れたる操り人の妹か』
「ああ…じゃない!!ルギア一体どっから出てきたの!?というかこの湖の底にいたの!?」
『いや、この湖は底というものがない。底は海底水路となっていて、海とつながっている。私はそこから来たのだ』
『マーナ!!』
「海…って。え、ここから海につながっているの!?」
『カゲカゲェ!?』
なんという発見だろう。オーキド研究所の湖は海とつながっていて、ルギアもマナフィもその海底水路から遊びに来たというのだ。
…ああ、どおりで湖からギャラドスやラプラス、メノクラゲやスイクンなど様々な種類のポケモンをよく見かけると思った。
なるほど、湖に住んでいるのではなく、海からこちらに来ているのか。身体が大きいのによく湖にいるものだと疑問に思っていたことが1つ解消された瞬間だった。…ああいや、でもスイクンは海底水路から入ってきてるわけじゃないか。
驚いている私とヒトカゲに、マナフィは何故か喜び笑っていた。
『マナマナ…ハルカ…カモ!!』
「あ、もしかしてハルカさんに会ったことあるの?」
『マナ!!マーナァ!!』
『自分の親だと言っているぞ、優れたる操り人の妹よ』
「そうなんだ!じゃあ今度ハルカさんが来たときには一緒に会いに行こうね!!!」
『マナァ!!カモ!スキィ!』
『カゲカゲ!!』
マナフィは喜んで私とヒトカゲに抱きついた。そんなにも喜んでいるのならば早くハルカさんに連絡とらないとね!私はこの可愛いマナフィの願いを聞き入れたいと思いヒトカゲと顔を見合わせて、一緒に行動することにした。
「よし電話しよう今すぐ!」
『カゲェ!』
『マナマーナァ!!』
『いや、そのハルカとやらが旅立っているのなら、連絡はつきにくいだろうと思うのだが……』
「だいじょーぶだよルギア!私に任せて!!」
『カゲカッ!!』
その後、マナフィが無事ハルカさんに会え、感動の再会を果たした。もちろん私とヒトカゲも涙ながらに感動し、良かったねと心の底から思ったぐらいだ。
そしてそれからというもの、マナフィはたびたびオーキド研究所の湖から遊びに来ることが多くなり、ハルカさんも元気な様子を見に来ることが増えた。そしてしばらく先の話だが、旅から帰った兄にも再会し、お互い喜んでいたのは言うまでもない。
妹の心境。
マナフィは可愛い。