兄のよく分からない修行がきっかけで開催された。
こんにちは妹のヒナです。兄が帰ってきたときにハルカさんが教えてくれた、最速で移動できるように修行をしたとの話を聞いて、本日ポケモンだけで盛大なレースすることになったようです。
あ、ですが伝説はレースに参加しないみたいですよ。
やっぱり参加しちゃうといろいろと悲惨になる可能性があるため、レースを観戦するようです。
そして私はそのレースの実況者として参加することになってしまいました。もちろんヒトカゲも一緒です。
私とヒトカゲは兄のピジョットに乗って、空からメガホンを使って大きな声で選手の紹介をしていきます。
「えー第1選手、水使いのダンサーワニノコ!」
『ワニワニワーニィ!!』
「続いて第2選手、蜜が大好きヘラクロス!」
『ヘラクロッ!!』
「そして第3選手、走り屋ケンタロス!」
『モォォオ!!』
「次に第4選手、漫才師ゴースト!」
『ゴースットゥ!!』
「最後の第5選手、我らのまとめ役フシギダネ!」
『ダネフッシィ!!』
この5匹がレースに参加することになった。
あ、ぶっちゃけフシギダネは日ごろのストレス発散の意味も込めて参加するそうです。
そしてケンタロスは30匹の中から代表を決めて1匹で行います。
「それではレースの説明に入ります!レースはこのオーキド研究所の周りをぐるっと一周すること!でもただ走るだけじゃなく妨害ありです!ただし大きな怪我はしないこと!したら失格だからね!!あと障害物なども置いてあるから注意してください!」
『――――――――――ッッ!!!!!』
選手たちが大きな声で叫ぶ。テンションが上がり、やる気満々のようだ。
ちなみに障害物というのはオーキド研究所にいるポケモンたちの技によって作り上げられたものだったりする。殺傷能力は低いからたぶん大丈夫だろう。もしも怪我をしたとしても、大樹の上でくつろぎつつも観戦しているミュウに治してもらえればいいだろうし…。
「では第一回オーキド研究所、最速を決めるレースを始めたいと思います!開始の合図はラティアスとラティオスによるりゅうのはどうになります!選手の皆さんはスタートの準備をしてくださいね!」
『キュ――――ン!!』
『クゥ―――――ン!!』
『―――――ッッ!!!!!』
選手のそれぞれが大きく鳴き声を上げ、すぐに走れるように準備をする。そしてラティアスとラティオスがスタート地点の上空に移動をして、それぞれがりゅうのはどうを撃って開始の合図をした。
「さありゅうのはどうを撃ち、レースが始まりました!トップはケンタロス選手!!」
『カゲカゲェ!』
『ピジョピジョ――ット!!』
私は上空からレースの様子を見ながら実況をしていく。風が気持ちよくて実況日和だよね。
そしてレースをちゃんと見ると、最初にトップになったのはケンタロスだった。まあよくオーキド研究所の周りを走っているから納得できる。でもこのレース、妨害ありの障害物競走だから走るのが速いだけだと意味がない。
『ワニィ!!』
『モォォオ!!!??』
「おっとワニノコ選手ここでケンタロス選手に向かってみずでっぽう!!トップの順位が入れ替わります!」
先程のような感じでワニノコが攻撃をして前を走るケンタロスを妨害することも可能だ。ワニノコがトップになって後ろの選手との距離をどんどんひらいていったため、このまま独走するのではないかと思った時であった。
『ワ、ワニィ!!?』
「おっとワニノコ選手、最初の障害物、キャタピーとビードル作成の糸の巣地獄に到着し、苦戦中です!その間に後ろから来た選手がどんどん障害物を乗り越えていきます!」
ワニノコが蜘蛛の巣のような状態になっている糸に思いっきり当たってしまい、絡まって動けない状態になってしまった。そのおかげかワニノコの周りに空いている空間ができたため、後ろからきた他の選手が走っていってしまう。
「トップはゴースト選手です!」
『ゴォオスットゥ!!』
ゴーストは走るのではなく浮遊しながらトップになった。もちろん後ろからも選手は来ているため油断はできずにいる。だが、ゴーストは後ろに走っている選手を振り返りながら、目玉を飛び出したり舌を出したりして笑っていた。
「おっとゴースト選手、ここで挑発しているのでしょうか!?なんとも余裕そうです!!」
『ヘラクッ…ヘラクロォ!!!』
『ゴースットォ!!?』
挑発をみたヘラクロスが怒り、地面に向かってはかいこうせんを撃って反動で飛び上がりゴーストより先へ行く。そのヘラクロスのやり方を見たゴーストは驚愕していた。
「おっとヘラクロス選手。ここで技を使って飛び上がってトップになった!!ですがこのまま無事着地し、一位のままでいられるのでしょうか!そろそろ次の障害物が待っております!」
『ヘラクロォォオ!!!』
ヘラクロスが何とか地面に着地し、また羽ばたいてトップを維持する。その様子に観客席にいて観戦しているポケモンたちが歓声を上げた。あ、観客席というのはゴール近くにある大樹の大きな枝のこと。あそこならばレースが一望できて見やすいため、落ちないように気を付ければ魅力的な観客席になるのだ。
私とヒトカゲ、ピジョットもそのレースと観客席の様子にテンションが上がる。
「次の障害物、よく迷いやすいと噂の森でのレースと草ポケモンたちによるあまいかおりのダブル地獄となっております!あまいかおりの誘惑に耐え、無事迷いの森から抜け出ることはできるのでしょうか!!」
『カゲェェ!!』
『ピジョォォットォ!!!』
迷いの森については上空からは見ることができないので、ピジョットが見えやすいように低空で飛行をし、レースの邪魔にならないところで実況をしていく。
この障害物を抜ければあとは一直線でゴールできる。だからこそ一番の壁となる障害なのだ。
レースを見るとヘラクロスを含めてほとんどの選手たちが迷っているようだった。しかもヘラクロスはあまいかおりに誘惑されてレースどころではなくなっていた。
「おっと次々と迷いの森にて迷う選手が続出!しかもヘラクロス選手あまいかおりに誘惑されてしまいました!これはどうなる!?」
ヘラクロスがあまいかおりのした方へと突っ走ってしまった。そしてケンタロスやワニノコ、ゴーストも迷っているようでちゃんとしたゴールまでたどり着くことができそうにない…。
「あれ…あ、あれはフシギダネ選手です!さすがは我らのまとめ役。迷いの森もあまいかおりの誘惑も難なく突破しゴールまで走っていきます!!」
『ダネダーネェェ!!』
まとめ役としてオーキド研究所の周りをちゃんと確認しているフシギダネだからこそこの迷いの森を突破できたのだろう。ちゃんとした道のりを走り、迷いの森から脱出することができた。
「本日のポケモンレース!優勝はフシギダネ選手です!!皆さん盛大な拍手をお願いします!!!」
『ダネフッシィ!!』
フシギダネがゴールした瞬間、観客席にいたポケモンたちが大騒ぎして喜んでいた。そして迷っていたケンタロス達もその後ちゃんとゴールすることができ、今回は残念であったが、次は頑張っていきたいとやる気十分な感じだった。
まあこれがきっかけでホウエン地方での兄の仲間がオーキド研究所に加わった時も、飛行タイプでのレースが始まり、伝説も交じったレースもしたり、水ポケモンだけのレースをしたりと、いろんな種目のレースが開催されるようになった。
妹の心境。
実況するのも結構疲れる。でも面白かった。