マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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もう遅い




第二百五十三話~兄は【ジムリーダー】を紹介する~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。せっかくだからハルカの新しいバンダナに良く似合う服に着替えてもらおうとセレナたちが言ったことによって、トライポカロンが開かれた町にもう一度戻ってきました。来た道を引き返したためすでに夕暮れとなり、服屋などのお店が開いておらず、ポケモンセンターに一泊する羽目になってしまったが仕方ないだろう。それにポケモンセンターでカスミのポケモンたちを見せてもらったり、セレナの手持ちとなったヤンチャムに俺たちの仲間を紹介したりと十分必要な時間を過ごせたのだから不満などはない。まあ、バトルできなかったことについて俺の手持ちであるピカチュウたちは不満そうだったが、その気持ちに気づいた俺はすぐにカスミやハルカ…そしてシトロンとバトルをする。何戦も修行と言う名のバトルをしたことによってその不満は解消したようだった。

その後、セレナも新しい仲間のヤンチャムと一緒になってバトルしたいと言ってきたため、かつてのアイリスのキバゴのように少々手加減をしながらも戦ったりした。

 

 

――――そして翌日、服屋に行き、セレナ達がハルカを着せ替え人形のように様々な服を試着してはまた変え…そしてまた試着するを繰り返した。女性陣が服屋に入り浸っているため、待ちぼうけとなった俺とシトロンで近くのバトルフィールドに行き、ダブルバトルをして時間つぶしをする。

バトルを何戦か終えた後、ハルカ達とようやく合流することができた。新しい服に着替え終わった結果、ハルカの服装にあまり違いはないと思ったが、よく見れば短パンとタンクトップに変わっていた。リボンの色も緑から赤に変わって、まるで最初に出会った時のようだと俺は思った。まあそれを言うとカスミを筆頭とした女性陣に何かしら文句を言われる可能性があったため口に出して言うつもりはないが…。

 

 

「とりあえず、そろそろ行こうぜ?次のジム戦に向けて」

『ピィカッチュ!』

「ええそうねサトシ!私はトライポカロンに向けて!」

「トライポカロン…私もバシャーモと一緒に出てみたいかも!」

「私もカロス地方に来た記念に大会出場してみようかしら…?」

「セレナ達が出場するトライポカロン!みんなライバルになるってことだね!」

『デネデネ!』

「…それでは、行きましょうか!」

 

 

 

町を出るために歩き出した俺たちは、周りの景色を見ながらも進み続ける。トライポカロンが終わった町はまるで祭りが終わったかのように少しだけ静かで…そしていつも通りの日常のように人々やポケモンたちが往来していた。旅人がいて、ポケモンバトルをしていて…誰もが楽しそうだと思えた。

 

 

「…また来ような、ピカチュウ」

『ピィカッチュ』

 

 

旅で歩いた町にずっといることはできないけれど、またいつか来れたらいいとそう願う。俺の言葉を聞いたピカチュウは笑顔で頷き、そして俺の手持ちであるケロマツ達もボールの中でカタカタと揺れて肯定していた。

 

 

そして森の中を歩きながらも、次の町へ目指していく。

 

 

「次の町は…ヒヨクジムがある町よね?」

「ああ。こっから近いか?」

『ピィカ?』

「ちょっと微妙かなぁ…あ、でもヒヨクジムの前に大きな町が1つあるわ!」

「どれどれ…でんきタイプが多く住まう町?」

「でんきタイプ…っ!その町なら知ってます!」

「お兄ちゃんが一度住んでたところだ!!」

『デネデネ…?』

「へえそうなのか…なら次の町の案内は頼むぜシトロン」

『ピィカッチュ!』

「はい!おまかせください!」

 

 

 

シトロンが自信満々で言う言葉に俺たちは微笑みながらも頷いた。そして次に行く目的地を決めて歩いているのだが…カスミが微妙そうな表情でいた。そんなカスミに気づいたセレナが何かあったのかと声をかける。

 

 

「カスミ?どうかしたの?」

「ええちょっと…私は水タイプ専門だから、でんきタイプが多く住む町はどんな感じなのかなって思っただけよ」

「水タイプ専門…ですか?もしかしてポケモンブリーダーか何かをやって…」

「いや、カスミはカント―地方のハナダシティのジムリーダーなんだ」

「ジムリーダー!!?」

「お兄ちゃんと同じジムリーダーなの!?」

『デネデネ!?』

「あら?言ってなかったかしら?」

「言ってないですよ!!…あの、お聞きしたいことが…!」

 

 

シトロンがカスミに詰め寄り、どんなジムで、ジムリーダーとしてどんな戦い方をするのかを熱心に聞こうとしていた。それはシトロン自身が成長したいという考えで動いているのだろう…。カスミは熱くなってきているシトロンに苦笑しながらも話し始めていた。もちろん次の町へ向かいながらも。

 

そして俺とハルカはセレナとユリーカからカスミについて質問されていたりする。

 

 

「カスミがシトロンと同じジムリーダーだったなんて…」

「驚きだよね!」

『デネデネ!』

 

「…というか、サトシの周りにはジムリーダーと関わりある仲間が多くいるかも?」

「多くって…タケシにデントぐらいだろ?あとお前はジムリーダーの娘って自覚を少しぐらいはもっとけ」

『ピィカッチュ』

「むぅそれは分かってるけど……でもポケモンコーディネーターとしての自覚だけで十分かも!大丈夫よサトシ!私はちゃんと考えて行動してるもの!…それにジムリーダーならマサトが目指すって言ってたし!」

「へえそりゃあ楽しみだな…マサトがジムリーダーになったら行ってみるか」

『ピィカ!』

「ええ!マサトもきっと大喜びよ!」

 

 

ハルカは旅をしている時からジムリーダーの娘と言われるのが少し嫌なのだと気づいていた。コンプレックスか何かを感じているのだろうと…そう思っている。

でもそれでも最近のハルカの行動はまるでどっかにいるバトル狂のようになってきているため、ジムリーダーの娘として少しは抑えろという意味で言った。ジムリーダーは相手のことを考え、力量を見ることで挑戦者を見定めるからだ。それは、バトルをして相手を負かすために叩き潰すということが仕事ではないということと同じ意味になる。

…だがハルカは俺から学び、そして圧倒的に強くなったというのに興味があればバトルをして勝つ。もちろん叩き潰すとまではいかないし、強者に興味があるからこそ最悪の事態は防いでいるが、そろそろ自分の力を理解した方が良いと俺は思えたのだ。

圧倒的な強さによって相手のプライドを叩き折り、そしてトレーナーとして再起不能にすることが可能なほど、ハルカは強くなったのだから…。だからこそ、ジムリーダーの娘として、自身の力量を見定めろと言う意味で言った。もちろん俺自身も自分の力を理解して、行動していかなければならないとは思っているが…。

 

ハルカは俺の言葉を正しく理解したのだろう。だからこそ嫌そうな顔をしても言ったのだ。バトルしたいという気持ちはコーディネーターとしての行動であり、考えて行動しているという言葉を信じる。

 

俺とハルカが旅仲間について話し合っていると、セレナとユリーカがこちらに近づいて少しだけ驚いたような表情で言った。

 

 

「ハルカもシトロンと同じでジムリーダー…の関係なの!?」

「私と同じ感じだね!ジムリーダーの娘とジムリーダーの妹!!」

『デネデネ!』

「ええそうよ!私のパパはジムリーダーなの。でも…私、最初はバトルが苦手でジムに挑んだりするつもりはなかったし、トレーナーとして旅にでるつもりもなかった。…ジムリーダーの父親がいるからって贔屓されたくはなかったの。それに、ジムリーダーの娘ならバトルぐらいできるだろうって周りに思われたくもなかった…でも今は違うわ!ちゃんとポケモンコーディネーターとして活躍していきたいって思ってるつもり!バトルも好きになったし、ジムに挑戦しろって言われたとしても喜んで行えるぐらいには成長したかも!」

「それはコーディネーターとしてどうなんだ…」

『ピィカ…』

 

「そうなんだ…ジムリーダーの家族もいろいろと事情があるのね…」

「私はまだトレーナーじゃないけど、でもサトシ達みたいに立派なポケモントレーナーになる!もちろんデデンネと一緒に!!」

『デネデネ!!』

 

 

 

ハルカは最初は何もできずにいた新米トレーナーだった。でも今は軽く戦闘狂になってきているぐらい強く…そして逞しく成長した。ジムリーダーの家族として贔屓されることなく、ハルカ自身を見てもらえるようになった。そのことをハルカは誇らしく思えているのだろう。もちろんカスミも同じようにハナダジムのジムリーダーとして頑張っている。

 

シトロンはまだまだ成長途中であり、自信がないときがあるけれど、でもいつかはカスミやハルカのように強く逞しく育つだろうと思った。

 

 

 

 

まあそれでも、ハルカ達のように【やりすぎ】にはならないように注意していこうとは思っているけれども…。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ!!?忘れてた!!」

 

 

 

「っ…何だよカスミ!いきなり大声で叫ぶな!」

『ピィカッチュゥ!』

 

 

 

 

 

ようやく着いた町で、シトロンの案内のもと歩き出そうとしていた俺達を突然引き留めるような声で叫んだカスミの声に出鼻をくじかれる。ようやくたどり着いた町を見ていこうと思ったのに……カスミに一体何があったのだろうかとセレナたちも困惑している。

 

カスミは一言だけ謝り、すぐにポケモンセンターの通信施設に行きたいと言ってきた。

 

 

 

 

「サトシ達のいる場所をオーキド博士に聞いたのよ。そしたら町まで行けるチケットや地図を貰って…だからそのお礼と無事に合流できたことを伝えなくちゃならないと思ったのよ!」

「お前…」

『ピィカ…』

「なら早く連絡しましょう!」

「ヒナちゃんもいるかしら…」

「え!?ヒナちゃんに会えるかもしれないの!?」

『デネデネ!!?』

「ユリーカ、ヒナちゃんがいつもオーキド研究所にいるとは限らないよ…」

「でもオーキド研究所に連絡すればもしかしたらもしかするかも!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺たちはポケモンセンターに行き、いつも通り通信を始めて画面前で待つ。

 

 

 

 

 

 

 

「オーキド博士…?」

『ピィカッチュ?』

「なんだか忙しそう…かも?」

「どうかしたのかしら…」

 

 

 

 

 

「っ―――――――――――――――」

 

 

 

 

 

いつも通り、ポケモン達や博士たちが元気かどうかの話をするために…現状の報告とカスミの用事を済ませるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、それは間違いだったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ヒナが行方不明!?」

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――全ては後の祭りだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 















潰れてしまえ潰れてしまえ潰れろ潰れろ潰れろ潰れろ潰れろ潰れろ潰れろ潰れろお前なんて消えてしまえばいい消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろなくなれなくなれなくなれズタズタにして折ってしまえいらないいらないいらないいらない玩具なんていらないころせしねつぶせなくせ壊してしまえ焼いてしまえ切り裂いてしまえ声なんて聴きたくない姿なんて見たくないお前なんて消えてしまえばいいんだ














「ねえ、そう思うでしょう?ニセモノ」










「…っ」










あかくひろがるこれはなに?











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