マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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再会と初対面と始まり―――――。






第二百五十二話~兄は来訪者に苛つく~

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。コルニとのジム戦を終えてからいろいろと事件は起きましたがまだまだ元気です。

そして今日着いた町でポケモンパフォーマーコンテストが行われると話を聞いてすぐに行くことになった。前にハルカがちょうどこの町にやって来ると連絡もあったことだし、コンテストがどんな感じになるのか楽しみにしながらハルカとの約束の場所へ向かっていたのだが…。

 

 

 

 

「…ハルカはともかく、何でお前がいるんだよカスミ!!!」

 

「あらいいじゃない。私が来ても別に迷惑になるわけじゃないんだから」

「よくねえよ馬鹿か!!」

「誰が馬鹿よお子ちゃまの癖に!!!」

「お子ちゃまじゃねえよ阿呆!!」

「阿呆も馬鹿も言った方が阿呆で馬鹿なのよこの馬鹿!!!」

「んなわけあるか!!チッ、ポケモンバトル…」

「…ええ、そうね…久しぶりにやりましょうか?」

 

 

「………………………」

「うわぁ久しぶりに見たかも…前に電話で話していた時は普通だったのになぁ…」

「えっと、再会できてうれしいのですが…ハルカ、彼女は一体誰でしょうか?」

「ああ、彼女はカスミよ!サトシが最初に旅していた頃の仲間だったの。よく喧嘩してるけど…それでも仲はいいかも?」

「…………………………」

「まさに喧嘩するほど仲が良いだね!ケロマツとルチャブルみたい!」

『デネデネ!!』

「へ!?ルチャブルって何!?」

「ルチャブルはね!サトシの新しい仲間なの!!」

『デネデネ!』

「へえそうなんだ!早く会ってみたいかも!!」

「それは良いんですけど…セレナ、無言でサトシ達を見るのをやめてください…!」

 

「……………………………………」

 

 

 

セレナがこちらをじっと見て…いや、主にカスミを見ている。

まあそれはハルカとカロス地方で出会った時のような意味で見ているのだと気づいたためそのまま無視してポケモンバトルでもしようかとカスミに向かって言った。カスミはセレナたちに気づいておらず、ボールを取り出しながらも俺の言葉に了承した。相変わらず喧嘩っ早いなとカスミと旅していた頃を懐かしく感じながらも、俺も同じようにボールを取りだす。

 

 

「行くわよマイステディ!」

『サニ!』

「サニーゴな…行くぞルチャブル!きみに決めた!」

『チャブゥ!』

 

「久々のサトシとのバトルだけど…あんたちょっと大人しくなった?いつもの暴走っぷりがなくなってるわよ!!」

『サニィ!』

「うるせえよ!俺だって暴走ばっかなわけねえだろ!!…それにお前だって初っ端から暴走すんなよハナダジムはどうしたんだ!?」

『ルチャァ…?』

「ハナダジムなら姉さんたちが久々にバトルしたいとかでしばらくの間変わってるのよ!それにしても本当に慣れないわね…あんたの暴走ばっか見てたから、私から見ると大人しめのサトシってらしくないわよ!!」

『サニサニ!』

「うっせえ!…じゃあ、本気で行くか!」

『チャブゥ…!』

 

 

カント―地方の最初の旅で出会ったカスミは少し子供っぽくて我儘で…そして甘えたがりの女の子だった。

うまくいかないことには簡単に腹を立てて、三人の姉に対してコンプレックスが強かったのだが…俺がいろいろと関わったせいか強気で勝気…そして楽しいことには首を突っ込み、いわゆる姉御肌の少女に変わっていたみたいだった。

まあ妹を紹介したときは普通だったし、妹の方も特に驚くような表情を見せず、【原作】に一番近いのだと思っていたのだが…それにしてはトラブルメーカーな部分が多い。

まあ誤解して突っ走る行動は…少しだけなくなったからマシかと考えて、ボールからルチャブルを出してバトルを始めた。

 

 

「ルチャブル、からてチョップ!」

『ルチャァァ!!』

「サニーゴ回転して躱して!そのままバブルこうせん!」

『サァニィ!!』

「させるか!ルチャブル飛び上がってサニーゴの上空へ飛べ!とびひざげり!!」

『チャブゥゥ!!』

『サニッ!!?』

 

 

俺を煽った発言をしまくったカスミはどうやら思いっきりバトルを楽しみたいようだった。

そういえばジム戦ではトレーナーのことを考慮して手加減をしてバトルをしなければいけないということを思い出す。ジムリーダーが本気で相手してしまったら挑戦者の未来を潰す恐れがあるからだ。だから、カスミも同じように手加減していたのだろう…そしておそらくジムリーダーとして手加減しまくってるからこそフラストレーションが溜まっているのだろうと分かった。

つまり、カスミは思いっきりバトルするために俺に向かって本気を出せと言ったのだ。久しぶりに俺と出会ったことでジムリーダーとしてではなくトレーナーとしてバトルを思いっきり楽しめると考えて俺に向かって挑発して言ったのだろう…。

ピカチュウがため息をついてハルカ達の近くへ行ったため、おそらくバトルでの技に当たらないように観戦しつつも守れるように行動したみたいだ…さすがは相棒よく分かってるじゃねえか。

ハルカもいるからとりあえずセレナ達を巻き込む心配はないと考えて楽しむことにした…。紹介は後ででも大丈夫だよな?

 

 

からてチョップを避けたサニーゴはすぐにバブルこうせんを放つ。バブルこうせんはケロマツのみずのはどうぐらいの大きさがあって破壊力は木を抉る程度なのでそれを躱してもらいつつ上空からとびひざげりを放った。

――――いつものルチャブルだったら相手の攻撃にわざと受けてから行動をするのだがおそらく気づいたのだろう…相手のポケモンの強さを…。通常のポケモンとは違う一撃の重さを…。一撃に当たってしまったら負ける可能性が高いと思ったのかもしれない。だからこそ俺の指示をちゃんと聞いて動いていた。

 

 

「サニーゴ!即席じこさいせいよ!」

『サニゴォ!』

「長期戦にはさせるか!ルチャブル巻き込み型フライングプレス!!」

『チャブゥウ!!』

「あらこっちだって長期戦にする気はないわよ!!サニーゴ、包囲網ミラーコート&バブルこうせん!!」

『サニゴォォ!!』

 

「うわぁ凄いね!強そう!」

『デネデネ!!』

「カスミも張り切ってバトルしてるわね…なんだか羨ましいかも…」

「いやハルカ…一緒に旅してた頃に散々サトシ達とバトルしてましたよね?あとセレナ!今サトシ達に近づいては駄目ですよ!!」

「……サトシ」

『ピィカッチュゥ…』

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

――――その後、何度か大技を繰り返してぶつかりあった結果、俺が勝ったようだった。サニーゴのレベルだとルチャブルは負ける可能性もあったのだが、そこは気合いと技の調整…そして負けないという根性でなんとかなった。

カスミは負けてしまって悔しそうだったが、それでも少しは欲求不満が解消できたらしく笑みを浮かべていて、ポケモンをボールに戻してからセレナたちへ近づいた。

 

 

「ああああの…こんにちは初めまして!私セレナって言います!サトシとは一体どんな関係ですか!!?」

「あら初めまして!私はカスミよ!サトシとはただの旅仲間な関係…かしら?」

「本当に!?恋愛とかは含んでいません!!?」

「恋愛!?サトシと!?有り得ないわよ私はサトシよりもっと包容力があって女の子のこと分かってる人が好みなんだから…!」

「おい」

『ピィカ…』

「本当!?恋愛感情もない!?…良かったぁ」

「セレナちゃんってサトシの事好きなの?なら応援するわ!あのお子ちゃまにもついに春が来たって感じね!」

「本当ですかカスミさん!?ありがとうございます!!」

「呼び捨てで構わないわセレナちゃん!それに敬語もいらない!」

「分かった!こっちも呼び捨てで構わないからね、カスミ!」

 

「はぁ…今回はセレナは暴走してませんね…」

「…まあそれでも物凄く楽しそうだけどな…カスミもセレナも」

「良いじゃない。その方がサトシとセレナの仲ももっと急接近する…かも?」

「だからそういうのいらねえんだよ!!」

『ピカピ…』

「サトシ…」

「ピカチュウもシトロンもその表情止めろ!!」

「わーい私カスミさんと話してくるね!」

『デネデネ!!』

 

 

セレナはカスミに向かって一気に近づいて話していたが…どうやら問題はないと分かって安堵していたみたいだった。そしてシトロンたちはいつものように反応していて…ちょっと面倒だと考えてため息をついた。カスミがこっちに来たということは一日で帰ることはないだろうと分かっているからだ。

 

 

「そういえばお前何でここに来たんだ?」

『ピィカ?』

「前に電話で話したでしょ?ポケモンパフォーマーを見たいって!それでハルカと偶然会ってカロス地方に行くみたいだったから同行したのよ!」

「お前……」

『ピカピカ…』

「とりあえず、これからよろしく!」

「ハァ…分かった。でも何かあればすぐに帰れよ?」

『ピィカッチュ!』

「分かってるわよ!」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

その後、カロス地方で出会ったサナと再会し、俺たちのほかに初めて会ったであろうハルカとカスミを紹介してからポケモンパフォーマーコンテストを見に行く。

どうやらこのコンテストではカロスクイーンのエルが出るらしく見に行こうということになった。席はサナがチケットを予約し、カスミたちもそのチケットをゲットしていたらしく…大会では自由席なためコンテストを皆で見ることができた。カスミたちはどうやってこの大会のチケットを予約したのだろうかと疑問に思ったが…まあカスミならできるかと考えておくことにする。

 

 

そして始まったコンテスト…いや、トライポカロンは様々なポケモンがパフォーマンスをする。そして最初はエルとテールナーのパフォーマンスからだ。

 

 

「素敵かも!あの演技…それにあの技!エルさんとバトルしてみたい!」

「ハルカは何時もそれね!でも分かるわ!本当に綺麗…!」

「ああそうだな…テールナーの炎が会場に光り輝いてまるで星空みたいだ!」

『ピィカッチュゥ!』

「エルさん…お兄ちゃんのお嫁さんになってくれないかな…!」

『デネデネ!』

「ちょっユリーカそれは止めろって言ってるだろ!」

「エルさんのパフォーマンス…!」

「本当に綺麗よねセレナ!エルさんのテールナーも…エルさんも!!」

『ダネダネ!』

 

テールナーのだいもんじで綺麗に終わらせたそれはまさしく炎のイリュージョンのようだった。みんなもこのパフォーマンスには感動し…そしてハルカはコーディネーターとしてのやる気をみせたようだった。

できればエルさんとバトルして勝ってみたいと…同じほのおタイプのバシャーモを相棒としているからこその反応だろう。

そして次に始まったトライポカトンではポケモンパフォーマーがポケモンを魅せて優勝を争うイベントらしい。その様子を見てサナが時々説明し、ハルカとセレナがそれを真剣に見ていた。ハルカのことは分かるが…セレナは何だか楽しそうに…そしてとても真剣に見ていてどうしたのだろうかと首を傾けて疑問に思うが…まあ大丈夫かとコンテストを見る。

 

 

―――だがコンテストは途中で中断された。ヤンチャムというポケモンがパフォーマーの邪魔をしたからだ。

コンテストが中断されたことに皆が残念そうだったが…それでもエルさんのパフォーマンスが見れたことで満足はしていた。サナはこれから大会に向けて練習するため別れることになったのだが…それでもエルさんのパフォーマンスから何かが閃いたようで、楽しそうに笑みを浮かべて俺たちと別れ、旅を再開していった。

 

 

『リィマァ!』

「あれ…ハリマロン、それってもしかしてエルさんのテールナーの真似?」

『デネデネ?』

「シトロンのハリマロンって随分と個性的ね」

「お前のコダックと同じ感じかもな」

『ピィカッチュゥ…』

「ああ、言えてるわ…」

「コダックって?」

「確かみずタイプのポケモンですよね?」

「ええ、そうよ。詳しいのねシトロン」

「いえ…サトシにいろいろと教わっていますから」

「ねえねえ!カスミのコダックってどんな感じのポケモンなの?」

『デネデネ?』

「愛すべき馬鹿よ」

「あ、愛すべき…馬鹿?」

「ああ確かにそう言えるかも?」

「えっと…どういう意味でしょうか?」

「…まあ、いつか会えるからその時にな」

『ピィカッチュ…』

「ええそうね。サトシの言うとおり…後で会わせてあげるからね?」

「はーい!」

『デネデネ!』

「その時が楽しみね…!」

 

『リ、リィマ…!?』

「ハリマロン!?大丈夫かい?」

『マァロ…』

 

 

 

『ヤンチャァ!!』

 

 

ハリマロンが木の棒を持ってエルさんとテールナーの真似をしていたのだが、どこからか飛んできた木の棒に頭を直撃して痛そうにしていた。ハリマロンに向かって飛んできた木の棒の方向を見ると会場に乱入してきたヤンチャムがいて…そしてハリマロンを挑発して追いかけっこを始めてしまった。

 

 

「またか…」

『ピィカッチュゥ…』

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「皆分かれて探そう!その方が効率が良い!俺たちはこっちを探す!」

『ピィカッチュゥ!』

「分かりました…では僕とユリーカはこっちを!」

「皆気をつけてね!」

『デネデネ!』

「じゃあ私はこっち。ハルカはあのショッピングモールを探してきて!セレナはあっちをお願い!またここに集合しましょう!」

「分かった!」

「ええ、ハリマロン見つけたら連絡するわ!」

 

現在、サトシ達はヤンチャムを追いかけて行ったハリマロンを探している途中だ。ハリマロンが町の中でどこかへ走って行ってしまい、分かれ道の多い町の中でサトシ達はそれぞれ探すことになった。

ヤンチャムの挑発にのったことに対してハリマロンの行動を予想しておくべきだったとシトロンが後悔していたが、それはサトシ達によってフォローされたり励まされたりですぐに反省を止め、ハリマロンと合流できた時に説教すればいいと言われて気合いを出したようだ。

 

 

一方でセレナは分かれ道の多い路地裏へ進んでいった。ハリマロンがいないことに対しての心配をしながらも…走りながらも探し続ける。

 

 

 

「ハリマロン!何処にいるの!?」

 

 

 

「っ!?」

「あ、ごめんなさい!」

「……いいや、大丈夫」

「本当にすいません!…ハリマロン!何処!?」

 

 

 

人にぶつかってしまったこともあったけれど…それでもセレナは探し続けた。自分のポケモンじゃなくてもハリマロンは大事な仲間のポケモンなのだからと…。サトシのことで関わらなければセレナは普通の女の子だからこそ、シトロンの気持ちを考えて必死に探していたのだ。

 

必死だったからこそ、ぶつかってしまった相手の顔を直接見ることができずにすぐに謝り走って行った……。

 

 

 

 

そしてその後…町にはいないと分かり、森にまで走って行ったサトシたちはまた手分けして探す。

そしてセレナはというとヤンチャムとすぐに再会してシトロンの眼鏡とハルカのバンダナを返してもらおうとしたり、ヤンチャムがその眼鏡やバンダナで着飾って楽しんでいたりとそんなヤンチャムを見てポケモンパフォーマーのことを思い出し、自由にポケモンと一緒に楽しんでパフォーマンスをするエルのようになりたいと夢を持ったことと…ヤンチャムを手持ちに加えたいと思ったのは言うまでもない。

 

 

 

―――――ちなみにその後、ヤンチャムが派手に行動していたせいでハルカのバンダナが破れ…新しいバンダナに付け替えて、気分転換にとリボンのような形にしていたのも仕方ないことだと言えるだろう…。

 

 

 

 

 








――――ここは路地裏…あのトライポカロンをした大会の近くだ。



そこにいたのは少年と少女だった。




「…それで、どうだったの?会えた?」
「いや会えなかった…でも面白い奴には会えたな」
「面白い…?」
「会う前に見てたけど…あいつに執着してるみたいだった」
「へぇ…」


少年は舌で唇を舐めて、先程の状況を思い出していた。あの時に会ったトレーナーを…それ以前に見ていた光景を…。

少女はただその様子を見ていた。少しだけ興味はあるようだったが…特に何か言うようなことはせず。

無表情のまま、少年を見つめていた。




「あいつに執着する女…ぶっ壊してやりたいな。泣き叫んで助けを求めて歪んでいく姿が楽しみだ」
「完全に壊しちゃう?それとも利用する?」
「両方だ。あいつ…オリジナルがどんな顔をするのかも見てみたいし…」
「ふーん…まあ私はそんなこと気にしないけどね?オリジナルもいなくなってしまえばいいって思ってるし…」
「お前は楽しめないだけだろ?いいからやろうぜシロ。まだ準備は必要だけど…そのあと思いっきり俺たちのオリジナルをぶっ壊してやろう。楽しもうぜ…あいつが言った通りに」
「うんそうね…楽しもう、クロ」



少年と少女は笑い合う。それがすべて正しいとばかりに…。




。。

4月から忙しくなるため次の話はしばらく投稿しません。更新停止します。ですが休日があって時間がとれる頃には更新しますので!
完全にやめるわけじゃないので続きはゆっくりと待っていてください!

突然ですが本当に申し訳ありません!!!





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