マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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バトルなら話は別…。







第二百四十七話~兄は決着し、前へ進む~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。いよいよポケモンサマーキャンプは最終日を迎え、このサマーキャンプで最後にやるのはどうやらチーム対抗トリプルバトルというプログラムらしい。

バトルはトーナメント形式で行われ、3位までのチームに得点が加えられる。そしてそこから最終的に殿堂入りのチームが決まるということだった。でももうこの大会で1位になったとしても絶対に殿堂入りできないチームがいるというのに、プラターヌ博士の話を聞いて、バトルをすることを楽しそうにしながらも盛り上がっている。…まあトレーナーとして楽しみや生きがい…いや、旅の目的であろうバトルだからこそ嬉しいのだろう。

 

 

プラターヌ博士も笑顔で、早くバトルがしたいとでもいうかのような表情を見せてくれるトレーナー達の様子を嬉しそうに見ていた。

 

そしてトーナメント形式の大会は午後から開かれると言うことで俺たちは自分たちの部屋に行き、それぞれどうやるのかを話し合いすることにした。

 

 

「トリプルバトルと言ってもチームの人数によって変わるみたいですからね…もしかしたら3対4のバトルというのもあるかもしれません…」

「ソレはそれで面白そうだよな…まあ全部勝てばいいんだから…な、ピカチュウ?」

『ピッカァ!』

「ぶー…ユリーカもバトル出たい!!」

『デネデネ!!』

「駄目だよユリーカ。まだトレーナーの年齢になってないんだから…」

「ユリーカはトレーナーの年齢になって旅をした時の楽しみにとっとけ。もしかしたら俺の妹と一緒にチーム戦やることになるかもしれないぜ?」

『ピィカッチュ?』

「ヒナちゃんとチーム!!それはそれで楽しそうかも!!」

『デデデネ!!』

「かもって…ユリーカの口癖ハルカに似てきたのかな…」

「まあキャンプが始まる前までは一緒にいたからな…」

『ピィカ…』

 

「ジャジャーン!マカロンとポフレ完成したよ!…ってあれ?どうかしたの皆?」

「いやなんでもない」

『ピィカッチュ…』

「そう…?」

 

 

小屋についていたキッチンでお菓子を作っていたセレナがマカロンとポフレを持ってやって来た。でも俺たちの様子や笑顔なユリーカの表情を見て首を傾けて何かあったのかと聞いたために苦笑しながら誤魔化す。そしてトリプルバトルでの作戦を立てようかとなった時にティエルノ達がやってきた。どうやら、今回の大会でのバトルについて説明してくれるらしい。セレナの作ったポフレやマカロンを俺たちが食べながらも…作戦を立てるのは後にしてトーナメント戦で何があるのかを聞くことにした。

 

 

「今日のトーナメント戦でのバトルはトリプルバトルしかやりませんが…このサマーキャンプで7対7のバトルが行われることもあるんですよ!」

「7対7か…!」

『ピィカッチュ!』

「凄い凄い!7人とバトルするだなんて面白そう!!」

『デネデネ!』

「7人でバトルするってことは7体のポケモンを全部見て行動しなくちゃいけないのよね…少し混乱しそう…」

「大丈夫よセレナ!今回やるのは3対3のトリプルバトルなんだから!」

「このサマーキャンプでのトリプルバトルには何か特殊なルールなどがありますか?」

「いいえありませんよ!ルールについては通常のトリプルバトルと同じですからね!」

「オーライ!通常のトリプルバトルで負ける気はないから殿堂入りは僕たちが貰うよ!」

「それはこっちの台詞だぜティエルノ!」

『ピィカッチュゥ!』

 

 

どうやらティエルノ達はトリプルバトルに負ける気はないと俺たちに向かって言うために来たらしい。現在殿堂入りを争う俺達チームケロマツとティエルノ達チームゼニガメだから仕方がないだろう。

でもこれ以上は作戦の邪魔になると分かったのかすぐに自分の小屋に戻り、話し合いをするようだった。セレナに向かってポフレとマカロンごちそうさまと笑顔で礼を言ってから立ち去ったティエルノ達に、俺たちは負けられないと考えて作戦を決めようと話し合いを始めたのだった…。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

現在の時間は午後。トーナメント戦のトリプルバトルが始まった。だがトリプルバトルで必要なのはコンビネーションと仲間たちとのフォロー…そして勝つために行動することだろう。セレナとシトロンも俺との様々な模擬バトルで慣れているからか相手が放った急な攻撃にも驚かずに反応して防御しながらも攻撃へと移ることができた。

 

―――そして合体技などを使用して…いよいよ決勝まで進出することができた。

決勝戦ではチームゼニガメであるティエルノ達とのバトルだ。このバトルで勝った方が殿堂入りとなるため、俺たちもティエルノ達も負ける気はない。

 

 

「それじゃあチームケロマツ対チームゼニガメ…試合開始!!」

 

 

「オーライ!ゼニガメ、みずでっぽう!」

『ゼニゼニ!』

「ヒトカゲ、ゼニガメのみずでっぽうに向かってかえんほうしゃ!!」

『カゲカゲ!』

 

「フォッコ!防御して!かえんほうしゃ!」

『フォコォ!』

「ケロマツ、フォロー頼むぞ。みずのはどう!」

『ケロケロォ!』

 

 

みずでっぽうとかえんほうしゃがうまく合わさり合体技となって襲いかかる。それを防御するために俺とセレナで同じ威力の技を放ち、ゼニガメ達の技に向かってぶつけた。技同士がぶつかりあったことによって大きな突風と黒煙が舞うが、それに気にせずハリマロンが走り出す。

 

「ハリマロン!そのままゼニガメにつるのムチ!」

『リィマ!!』

「ゼニガメ、こうそくスピンで躱せ!」

『ゼニィ!』

 

「リズム戦法か…ケロマツ、みずのはどうではたく!」

『ケェロォ!!』

「速い…フシギダネ!はっぱカッターで防御して!」

『ダネェ!』

 

 

ハリマロンのつるのムチをくさタイプの弱点となるゼニガメに向かって攻撃してきたのだが、ゼニガメがリズムを刻みながら…踊りながらハリマロンの攻撃を避ける。そのためとりあえず全体攻撃をするべきだと考えてケロマツに向かってみずのはどうを放った後、はたくでみずのはどうのスピードを上げさせる。その速さに驚いたサナだったが、すぐにフシギダネにはっぱカッターを指示して防いだ。そして早めに終わらせようと思っているのか、サナが笑顔でフシギダネに向かって叫ぶ。

 

「フシギダネすぐに終わらせるよ!ソーラービーム準備!」

『ダネフッシィ!!』

「ティエルノ、サナの攻撃の間にフォローしましょう!」

「ああそうだな!ゼニガメ、フォッコに向かってアクアテール!」

『ゼェニ!』

 

「フォッコ、めざめるパワーで防御!」

『フォコォ!』

「ケロマツ、アクアテールに向かってあわ!」

『ケロォ!』

 

フォッコのめざめるパワーだけではゼニガメのアクアテールを防御しきることができないと判断してケロマツに向かってフォッコのフォローをしてもらう。大量のあわによってアクアテールが分散され、攻撃を防ぐことに成功した。そしてフォッコがその分散された水に当たらないように気をつけながらも前を見る。当然ケロマツもすぐに攻撃態勢を整えながらも俺を見て頷いてきた。

その間にトロバがヒトカゲの弱点となるハリマロンを見て好機だと考えたのか、ハリマロンを指差して口を開いた。

 

 

 

「ヒトカゲ、ハリマロンに向かってはじけるほのお!」

『カゲェ!』

「ハリマロン!ジャンプして避けてください!」

『リィマ!』

「今よ!ソーラービーム!!」

『ダネェ!!!!』

 

 

「ケロマツ、ハリマロンの前に出てからいあいぎり!」

『ケロォ!!!』

 

「え!?嘘!!?」

『ダネ!?』

「凄い!そんなことができるだなんて始めて見ました!!」

『カゲェ!』

「オーライ…さすがサトシだ!」

『ゼニィ!』

 

「フォッコ!今のうちにフシギダネに向かってかえんほうしゃ!」

『フォコォ!』

『ダネェェエ!!!?』

「あ!?フシギダネ!!!」

 

 

ジャンプして躱そうとしたハリマロンを狙って…そして後ろにいるケロマツ達にも攻撃できるように大きなソーラービームとなって襲いかかってきた。その技にハリマロンが当たらないよう…いあいぎりという新しく覚えた技で攻撃を防ぐ。

…それは、他の人から見ればソーラービームとなって襲いかかった攻撃をケロマツがいあいぎりで2つに分散し、そのまま叩き斬ったように見えただろう。でもケロマツだけじゃなくハリマロンがつるのムチでケロマツを支えたからこそ、強い威力でケロマツ達が斬る前に吹き飛ばされずに済んだ。ハリマロンがいたからこそ攻撃を防ぐことができたのだ。これは協力してお互いにフォローし合いながらも戦うということだからこそできた防御方法だ。ケロマツはまだまだ修行途中で、マサラタウンにいるポケモン達よりも強いとは言えない。でもまだ成長途中だからこそ柔軟性があり、攻撃に幅があるのだ。

 

そしてサナ達がケロマツの攻撃に見惚れていたせいで、フォッコのかえんほうしゃを防御するのに遅れ、フシギダネはフォッコの攻撃を受けて倒れてしまう。その後、俺たちも攻撃するために口を開いた。

 

 

「ケロマツ!みずのはどう!」

『ケロォ!』

「おっとさせないよ!ゼニガメ、アクアテール!」

『ゼニィ!!』

「ハリマロン、ゼニガメのアクアテールに向かってミサイルばり!」

『マァロ!』

 

『カゲッ!?カゲェェ!!!』

「ヒトカゲ!!!…ありがとうヒトカゲ。頑張りましたね」

「オーライ…残りは僕ってことか…でも最後まで負ける気はないよ!」

『ゼニィ!!』

 

 

ケロマツのみずのはどうを防御しようと思ったのかティエルノがこちらに向かって攻撃をする。でもそれをハリマロンが放ったミサイルバリによってゼニガメの技が当たらず、そのままみずのはどうは直線状にいたヒトカゲに当たった。ゼニガメを攻撃するのではないかと予想していたトロバが驚き、そして倒れてしまったヒトカゲにありがとうと礼を言ってボールに戻した。

残りはティエルノのゼニガメだが、リズム戦法を警戒しながらも攻撃するために俺たちは顔を見合わせてから頷いて口を開いた。

 

「フォッコ!めざめるパワー!」

『フォコォ!』

「ハリマロン、つるのムチ!!」

『リィマ!』

 

「避けるんだゼニガメ!こうそくスピン!」

『ゼニゼニィ!!』

 

「ケロマツ!ゼニガメに向かって思いっきりはたく!!」

『ケロォ!!』

『ゼニ…!?』

「ああ!ゼニガメ!!!」

 

 

「そこまで!!試合終了!マーベラスな殿堂入りが決定したのはチームケロマツだ!!」

 

フォッコのめざめるパワーとハリマロンのつるのムチを躱したゼニガメに向かって頭上からケロマツのはたくが放たれた。直撃したゼニガメはそのまま砂に顔面からぶつかり、目を回して倒れてしまう。その姿を見て少しだけ落ち込んだティエルノだったが、ゼニガメをボールに戻してから俺に近づき、握手を求めて手を伸ばす。俺は笑みを浮かべてティエルノの握手に応じた。セレナ達やサナ達も俺とティエルノのように握手しながら笑顔で言う。

 

 

「…強いねサトシは…でも今度会ったら絶対に負けないよ!」

「それはこっちの台詞だぜ?…楽しいバトルだったよ」

『ケロケロォ!』

 

「負けちゃったぁ!セレナ本当に強いね!」

「ううん…私はサトシ達に守られて戦っただけだよ。それにフォッコの努力もあったし…強いんじゃなくて皆が凄かっただけなの」

『フォコ…フォコォ!!』

「それは違うよセレナ!セレナも私のフシギダネに向かって隙を見て攻撃して来たじゃない!その指示も凄かったし…セレナは強いよ!」

『フォコォ!』

「サナ…フォッコ…ありがとう!」

 

「君のハリマロンのフォローは凄いです!攻撃の威力も強くて…ですが今度は負けませんよ!」

「トロバのヒトカゲも技の威力が凄いですよ!今度も僕たちは負けませんからね!」

『リィマ!』

 

 

「うんうん…これぞ青春ってやつだね!これにてポケモンサマーキャンプのチーム対抗バトルは終了としよう!」

 

 

周りの観客による歓声が聞こえ、そしてプラターヌ博士の拍手によって…ポケモンサマーキャンプは終わりを迎えたのだった。

 

 

 

 




兄の心境。
 やっぱりバトルは楽しい…でもケロマツとさっきの戦いでの反省会をちゃんとしておこう。




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