マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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―――――変わり続ける物語。






ハルカは歩き、出会いながらも進む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん…ホウエン地方…久々かも!」

 

 

ハルカはオダマキ博士に呼び出されたためにホウエン地方へやって来ていた。オダマキ博士の話によるとある貴重なポケモンのたまごをホウエン地方からカロス地方に運んでほしいとのこと。他の人間でもできるその手伝いは…どうやらハルカのようにポケモンのことを大事に思っていて…なおかつ強くて頼もしいトレーナーにしかできないとのことだった。ハルカはその話を聞いて疑問に思い質問したがオダマキ博士は微妙そうな表情で、詳しい事情は研究所で話すと言われたために…ハルカは詳しいことは何も知らずホウエン地方にやって来ていた。

 

サトシ達とサマーキャンプが始まる前に別れることになったので、少しだけ残念だと思ってはいるが、それでも久々の故郷に…楽しいと感じながらも歩いていた。

 

 

 

―――――――ドォォオオオオオッッ!!

 

 

 

 

「……大丈夫よ、みんな」

 

 

ハルカがいる場所からそう離れていない所で大きな爆発音と地響きが鳴り響く。

木々が揺れ、ひこうタイプのポケモンたちが音の発信源を恐れるかのように飛んで行ってしまった。その音は、ハルカがよく聞いていた通常のポケモンバトルとは違うとすぐに分かって…でもいまだに激しく鳴り響く轟音を聞いて、ハルカとモンスターボールにいるバシャーモ達はまるでこの場所がマサラタウンのオーキド研究所にいるようだと感じていた。

その音でバシャーモ達のボールがゆらゆらと揺れ、ハルカは落ち着くようにボールを触りながらも言う。

おそらくバシャーモ達は強者がいるかもしれないその音の発信源に興味をもったのだろう。もちろんハルカもバシャーモ達と同じように強いポケモンがいるかもしれないと興味をもって音が鳴り響く場所へ向かって行ったのだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「あれ…ダイゴさん!!?」

「おや、ハルカちゃんじゃないか!久しぶりだね」

 

 

先程まで鳴り響いていた音はもう止んでいる。それでも何かあるのではないかとハルカが急いで向かった先にいたのはダイゴ含めた数人の人間達…そしてハリマロンだった。ホウエン地方では見ないと思っていたカロス地方のポケモンであるハリマロンを見てハルカは驚く。でもそれ以上にダイゴがいる状況にも驚いていた。

 

ダイゴの近くにいた赤い髪の人間が訝しげな目でハルカを見て…そしてダイゴに向かって問いかける。

 

 

「ダイゴさん…このお嬢さんは?」

「ああ失礼。彼女はハルカといって、ポケモンコーディネーターの1人ですよ。そしてサトシ君にトレーナーとしてポケモンバトルを教えられたからかとても強い」

「ほう…あの有名なトレーナーに……」

 

「強い…ということは彼女もメガシンカを!?」

「いいや違うよアラン君。…ああそうだ、メガシンカについては知ってるかいハルカちゃん?」

「はい!メガシンカについてプラターヌ博士に教えてもらいました!それに私もサトシもいつかはメガシンカしたいって思っていますので是非ともバトルを…!」

「プラターヌ博士に……!」

「バトルについては、ハルカちゃんもメガシンカをするようになってからかな。君やサトシ君とのメガシンカバトルはとても楽しみだと思っているけれど…」

 

「メガシンカ私もしてみたいって思ってたの!ハルカちゃんだっけ?私はマノン!っでこっちがハリサ!よろしくッうひゃぁ!!!?」

『リィマ!?』

「え!?大丈夫!!?」

「だ、大丈夫…!」

『マァロ…』

「マノン…またか…」

「うぅ…」

 

 

ダイゴと話していた赤い髪…いや、フラダリはダイゴから話を聞いて興味を持ったかのようにハルカを見ていた。そして強いという言葉にアランが反応してメガシンカができるならばバトルしてもらおうと考えていたようだったが、ハルカが首を横に振って…そしてそれを見たダイゴが違うと否定する。もちろんここで話に出てきたメガシンカについてハルカに説明する必要があるかもしれないと考えていたようだったが…それはプラターヌ博士に教えられたと聞いたためにフラダリ達は納得する。ダイゴもカロス地方のポケモン研究をしているプラターヌ博士だと分かってそうかと笑みを浮かべながらも頷いていた。

ハルカはというと、ダイゴ達が持っているキーストーンを見てメガシンカできるのだと分かって目をキラキラと輝かせながらメガシンカバトルをしていたのか聞いた。そしてその質問に頷いたため…先程の轟音はダイゴ達のバトルによって起きたのかと理解する。だが、メガシンカについてもっと話を聞いていたいと思ったのだが…フラダリがもう時間がないとのことで急遽別れることになったのだった。

 

「どこに行くんですか?」

「済まないが…かなり貴重な発見になっているからハルカ君には教えられない」

「ごめんねハルカちゃん…また会ったらバトルでもしよう」

「っ!はい!!その時は是非メガシンカしたポケモンとバトルさせてください!!」

「はは…もちろんだよ。じゃあまたねハルカちゃん」

 

 

真剣な表情でどこかへ行こうとするダイゴ達を見て、邪魔をしてはいけないと考えたハルカは少し残念だったがまた会えると聞いてメガシンカしたダイゴのポケモンとのバトルを楽しみにしながらも別れた。ハルカのことを興味深そうに見ていたフラダリやアラン…そしてマノンもどこかへ向かって歩いて行ったのだった。

 

 

「うーん…バトルできないのは残念だったけど…ダイゴさんがメガシンカできるって分かったのはとても良かったかも?」

 

 

―――――ハルカの呟き声に反応して、バシャーモ達の入っているボールがゆらゆらと揺れた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

ハルカはダイゴ達と別れてからも研究所に向かっていた。時々野生のポケモンたちと戯れたり、近くでやっていたポケモンバトルを見物しながらも…歩いて行ったのだ。今は寄り道をする時間がないのだけれど、それでも久々に帰ってきた故郷に、ハルカは懐かしいと感じながらも無意識のうちにゆっくりと歩いていた。

 

 

そして見つけたのは、ハルカが前に出会ったことのある姿…。

 

 

 

「あの人って…えっと、確かイッシュ地方であったNさん?」

「っ…君は確かサトシ君を助けに来た子か」

「はい!私はハルカっていいます!あの…Nさんは何でここに…それに他の人たちは…?」

「ヘレナとバーベナはここよりも遠いところにいるよ…」

「そうなんですか…あの、Nさんは何でここに…?」

「………最近、いろんな地方である噂が流れているのを君は知っているかい?」

「噂?」

「ああ、噂と言っても…小さな騒動から大きな騒動を引き起こしている人物がいるとの話だけどね…僕は、トモダチたちの話を聞いてここへやって来たんだよ」

 

 

 

Nが話した内容はハルカが知らない内容だった。騒動と言ってもポケモンハンターのように行動する奴らから…あるポケモンを盗んだという人間の話…そしてポケモンが人間を拒絶して攻撃したという話だった。それらはポケモンと人間が共存する限り引き起こしてしまう出来事であり…どこかで聞くような話ばかりだった。ハルカ達が聞けばすぐにその悪さをしている人間達を懲らしめてやりたいと思えるような話を……でもそれらの噂では全て共通しているのだとNは話す。

Nが手を上げれば…木の枝にいたスバメがやって来て挨拶をする。それを見たNは笑みを浮かべ…そしてハルカを見てから口を開く。

 

 

「もうここは何もないみたいだ…僕は行くよ」

「はい…あの、私に何かできることってありますか?」

「そうだね…トモダチを…ポケモンを大事にしてくれたらそれで本望だよ。でもサトシ君の知り合いである君なら当然できることだろう?…ああそうだ、サトシ君にはこのことは言わないでくれ」

「え、でもサトシなら…」

「サトシ君ならいつか分かるはずだよ…ポケモンたちが共通して何かに怯えているという事実を知れば…それをどんな手を使ってでも止めようとすることもね…でも僕はサトシ君には知ってほしくないんだよ…彼なら迅速に止めてみせるだろうけれど…それは彼らを巻き込むということになる。僕は彼らを巻き込みたいとは思わないんだ。あんなにもポケモンを大切に思っているサトシ君には…」

「……大丈夫ですよNさん!サトシは巻き込んでも全然問題ないですし…迷惑だなんて思いません!…ましてやポケモンたちが困っていることを聞けばすぐに助けてくれるはずです!サトシは強いんですから!!もちろん私も手伝います!!」

「…そうだね。サトシ君も…君も強い。でも僕は、いつまでたってもサトシ君に頼っていては意味がないんだ。僕にできること、やるべきことはするよ。ポケモンたちが傷ついて困っているならすぐに助ける。…そしてサトシ君の手が本当に必要ならば協力を申し込む…だから今は話さないでくれないか。彼の旅を邪魔したくないからね」

「……分かりました。そこまで言うなら話しません!」

「ありがとう。じゃあ僕はもう行くよ…」

「…あの!Nさんはこれから何処へ行くつもりですか!?」

 

 

 

 

 

 

「―――――カロス地方だ」

「っ!!」

 

 

 

Nはその後何も言わずに立ち去ってしまった。ハルカは話を聞いて少しだけ驚いたり眉をひそめてポケモンたちが傷ついていることに怒ったりしていたが…Nの表情を見て何も言わなかった。

Nは怒っていたのだ。サトシのようなポケモンを大事にする人間がいることを知っているけれど…それでも止まないポケモン売買や不穏な噂に……ポケモンたちが傷つくことに怒りを覚えていた。ハルカの所持しているボールから感じ取ったバシャーモ達の心を聞いて少しだけ機嫌が直ったようだったけれど…それでもいまだに怒りはあった。それは、プラズマ団との戦いで感じた感情に近いかもしれないと…Nはそう思っていたのだ…。

Nが立ち去った後、ハルカはずっと考えていた。これから何が起きるのか…ちゃんと事件は解決するのかを…。

 

 

 

「大丈夫よね…サトシがいるんだもん…絶対に、大丈夫」

 

 

 

カタカタと…ボールはハルカの声に同調するかのように、揺れた。

 

 

 

 

 

 

 


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