マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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すべてはたまごを救出するため…。





第二百四十三話~妹達は突撃する~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだてめえらはっ!!」

「一体どっから侵入してきた!!!」

「もしかして上の騒動はお前たちの仕業か!!!」

 

「うわぁ早々に見つかっちゃったよ…」

『ガゥゥ!!!』

『ピィッチュ!!!』

「へへまあこうなることは予想してたからあんまし不安なんかねえけどな!!」

「全員倒せばいいだけの話だろう」

「うんまあ分かってるんだけどね…とりあえずたまごが無事なことだけ考えて行動するよ」

「おう!よし行こうぜヒナ、シルバー!!」

 

 

ヒナ達はアジトに侵入し、たまごを救うために行動を開始していた。なぜ彼らがたまごを盗もうとしたのか、研究所を襲撃したのかは分からない。でもそれでも研究所で見守っていたたまごが奪われてしまい危険な目に遭うことをヒナたちは許せなかった。だがそれだけではない…ヒナにとって危険な目に遭うのが嫌なのはヒビキ達も含まれていたのだ。なんとかシゲルたちに連絡ができたらと何度かそう言ってはいたのだが、聞き入れてもらえずヒナがシゲルに連絡をしようとすればするほど彼らは先に行ってしまいこのままヒビキ達を先に行かせては危険だろうと考えて…ここはおとなしく一緒にいることにした。でもヒナは念のためにピチューで10まんボルトを空に向けて放ったために少しはシゲルに伝わったと考えて行動している。シゲルに伝わっていなくても、もうこのまま先に進むしかないのだ。

 

すべてはたまごのために…そしてたまごを奪った彼らが許せないために行った行動だ。

 

 

扉から侵入して地下へと続く階段を降り、通路を歩いていた。すると前から覆面をかぶっている男たちが走ってきてそしてヒナたちを見つけてから叫んでいた。おそらく扉を壊すために行ったシルバーの爆弾の音のせいでこちらへ来たのだろう。ヒナたちはすぐに攻撃態勢になってから走り出す。

 

 

「おらぁ!!」

「くっガキだからって油断してると思ったら大間違いだぞ!」

「ピチューアイアンテール!」

『ピィッチュ!』

「よしとどめぇぇ!!!」

 

「ぐはぁ!!」

 

 

ヒビキが最初に木の棒を持ったまま特攻し、先程扉で見張っていた彼らを倒した時のように殴ろうとする。でもそれはすぐに躱されてしまい、ヒビキに向かってボールを放ち中にいたポケモンで攻撃してこようとしたためにヒナはボールが放たれる前にピチューに向かってアイアンテールでボールを遠くの方へと叩き落とし、その隙にとヒビキが奴の頭を殴る。そのせいで覆面集団の1人が気絶し、ヒビキ達はハイタッチしてから警戒を怠らずにこちらに向かってポケモンを放った奴を狙う。

 

 

 

「…ヒナ、リザードの技構成を教えろ。あと指示を聞いてもらうがいいか?」

「かえんほうしゃ、きりさく、えんまく、ひのこ、ひっかく!!それはリザードに聞いて!私は大丈夫!」

「了解した…リザード、手伝ってくれるか?」

『ガゥゥゥ!!!』

「ハッ!何言ってんだよガキが!このままお前らも売りさばいてやろうか!!!?」

「それは父上が許さないだろうな…リザード、えんまくを頼む」

『ガゥゥウッ!!!!』

 

「ぶっは!何だ目の前が真っ暗――――」

「父上から貰い受けた強盗撃退対策…リザード、あれに火を放ってくれ」

『ガァァア!!』

「ぶふぉぁ…!!!」

「ふん…所詮はこの程度か…後で父上に報告しなければ…」

『ガウゥ…』

 

 

シルバーはポケットから出した小さな機械を選びながらもリザードの技を知り、指示をちゃんと聞くヒナに向かって問いかけた。ヒナはシルバーが言ったことに答えながらもポケモンで攻撃してくる黒服覆面集団の1人と対峙していた。ピチューの10まんボルトで痺れさせたところにアイアンテールで脳天に向かって放つ。その威力でポケモンがようやく倒れてくれた。そしてとどめとばかりにポケモンに指示していた人間に向かってヒビキが殴ろうとしたのは言うまでもないだろう…。

シルバーは技構成と指示を聞いてくれるかどうかを聞いた後、リザードに問いかける形でいいかと聞く。リザードはもちろんシルバーが自分を必要と言うのなら喜んで手を貸すと叫んだ。その声を聞いてシルバーは周りに気づかれない程度に笑みを浮かべながらもある水色の青くてボールよりも小さなものを覆面集団に向かって投げた。それに向かってリザードに火を放ってもらう。すると機械は炎を感知して勝手に防火装置のように周りが白いドームのようなものができる。そしてその機械のせいで近くにいた覆面集団はドームの外側に押しつぶされて気絶してしまった。そんなよく分からない装置を見てリザードが微妙そうな表情を浮かべながらもシルバーを見る。シルバーはというと満足そうに頷いて機械を見ていたのだった。

 

 

 

「ヒビキ…あいつらにもう一回隙作れる?」

「お安い御用だぜ!!」

「よしピチュー、一緒に行くよ!」

『ピィッチュゥ!!』

「ああ?ガキの分際で何勝手に動いて―――――」

「うおらぁあああ!!!」

「ぐふぁっ!!」

「なっ隊員A!!おいガキ共ふざけ――――」

「ピチュー!一緒に雷パンチ!!」

『ピィッチュゥ!!」

「うるぶふぁッッ!!!」

「おー人間なのにポケモンと一緒に攻撃できるのか!すげえ!!」

「あ、えっと…ヒビキも特訓すればできるかもだよ?」

『ピチュゥ!!』

 

「よっしゃぁ俺トレーナーになってポケモン貰ったらやる!」

「あーうん…頑張って…」

『ピィッチュゥ!!!』

 

 

ヒビキとヒナたちは残りの覆面集団たちを倒すために行動していた。ヒビキに危険かもしれないけれど一度隙を作ってもらうために特攻してもらったのだ。だが隙を作ろうとするよりも早くヒビキが一人を殴って気絶させてしまった。そのおかげで覆面集団が気絶した彼を見て動揺し、ヒビキを睨む。でもヒビキはすぐにヒナよりも後ろに逃げていき…攻撃してきたヒビキを追うために覆面集団がボールを持ってヒビキ達を追う。

だがそれはピチューと一緒に攻撃してきたヒナたちに向かって阻止されてしまった。電撃が周りを包み込み、彼らをしびれさせ気絶させることに成功する。それを見たヒビキが興奮したようにヒナたちに向かって叫び、ヒナが引き攣った笑みを浮かべながらもできるよと答えたおかげでやってみるとやる気を出したようだった。

 

 

―――そしてヒナたちは前へと進む。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「あった…たまごだ!」

『ピチュゥ!』

『ガゥゥ!!』

「…ってどれが研究所にいたたまごなんだ?」

「ふん…覚えていないのか?研究所で保護されたたまごの色は赤色と水色…そして模様もそれぞれ異なっていた。つまりはあれだ」

「シルバー凄い…!」

『ピッチュゥ…!』

『ガゥゥ…!』

 

 

「おっと…そうはさせるかよ!!!」

「そうだぜ。頭領の言うとおりだ。このたまごは俺たちがもともと盗んだもの…研究所に保護されたのは偶然落としてしまったものだったんだからな!」

「カイリュー!はかいこうせん!!」

 

 

「っ!リザードかえんほうしゃ!ピチュー10まんボルト!!」

『ガゥゥウ!!!』

『ピィッチュゥゥウ!!!』

 

 

「ほう…あれを防ぐか…欲しいな【それ】」

 

 

「誰がやるかよリザードたちはヒナのなんだからな!!」

「待てヒビキ…カイリュー以外にもこの部屋には何かいるようだ…」

 

「へえ分かったのか…ゲンガ―、ナイトヘッド!」

「ピチュー、カウンターショックもどき!」

『ピィッチュゥ!!』

「おいどうするんだよ…このままじゃヒナにばっかり負担がかかるぞ!!」

「少し待て…いまたまごを父上から頂いた簡易転送装置でウツギ研究所へ送る」

「出たよ父上シリーズ…!!」

 

 

 

ヒナ達の前から扉が開き、たまごを持っていかれるのを阻止しようと体の大きな覆面集団のボスと幹部クラスの2人がやってくる。ヒナたちはやって来た彼らを見てすぐに警戒態勢を整え、奴らが攻撃してきたらすぐに躱せるようにする。だが彼らはそれを見て鼻で笑ってから言った。たまごの事情を教えてくれたのだ。たまごはもともと彼らの物であり、あの森で偶然落としてしまったということ…そしてこのたまごたちはちゃんと何処からか盗んできたものだということを。そして彼らはボールからポケモンを出して攻撃しようとしてくるためにリザードの炎とピチューの電撃でそれを防いだ。

それを見た頭領らしき人が笑みを浮かべてほしいなと叫び、そしてそれを拒否するかのようにヒビキが怒鳴る。木の棒を握りしめてそのまま特攻していきそうになったところをシルバーが止め、何かがいると直感して言う。その言葉に幹部のような人がゲンガ―を影から突撃させ、ピチューのサトシから教わったと言うカウンターショックもどきを行って防いだ。それを見ているヒビキは焦ったようにこのままじゃいけないと叫んでいたが、シルバーがたまごたちをまず優先的に守るために父上から頂いたという簡易的な転送装置でウツギ研究所へと送っていた。

次々にたまごを送り、そしてようやくあの研究所で保護していたたまごを送る番だと気づいた時に、ポケモンバトルしていた頭領たちがシルバーたちの行動を見た。

 

 

 

「何やってんだガキ共!!!」

『ゲンガァァア!!!!』

「駄目だ!!」

「っっ!!」

 

 

 

「なっあれ…たまごが…!!」

「待て…こっちもだ…!」

 

 

 

「う、生まれた…だとっ!!」

「っピチューゲンガ―に向かって10まんボルト!」

『ピィッチュゥ!!』

『ゲンガァァアッ!!!!?』

「なっゲンガ―!!!」

『ピッチュ!』

「ぐふぁっ!!!」

 

 

赤色のたまごを守っていたヒビキと、水色のたまごをとっさに庇ったシルバーから光が漏れた。その輝きはたまごからのもので…赤色と水色のたまごからポケモンが生まれていったのだった。生まれてきたポケモンはそれぞれヒビキとシルバーを見てきょとんとした表情を浮かべており、生まれた様子を見たゲンガ―と幹部が驚いたような声を上げて立ち止まる。それを見たヒナがすぐにピチューでゲンガ―を倒しに向かい、トレーナーもついでにとばかりにピチューがアイアンテールで攻撃して気絶させたのだった。

 

 

「このポケモンは…」

 

 

「ゾロアだ…そしてこっちはチルットだろうな…おそらくあのたまごはそれぞれの身体の色や模様をあらわしていたんだろう…」

「そっか……でもなんにせよ生まれてきたんだから良かった!!」

『グルルゥ?』

『チルゥ?』

 

 

そして赤色から生まれたポケモン…ゾロアと水色から生まれたポケモン…チルットを見てヒビキとシルバーがそれぞれポケモンが生まれた瞬間を見たことに歓喜してようやく生まれたのかとそれぞれそのポケモンたちの頭を撫でた。撫でられたゾロアとチルットが笑みを浮かべてすり寄り…まるで親のように甘えている姿を見てヒナたちは微笑ましい表情でそれを見ていたのだった。

 

 

 

―――――――――だが、そんな微笑ましい光景を邪魔する者が1人。

 

 

 

「ふざけてんじゃねぇぞガキ共がぁぁ!!!」

 

 

 

「…ふざけてるのはそっちの方じゃないかい?」

 

 

「あ、シゲルさん!」

『ガゥゥ!』

『ピチュゥ!』

「やあ遅くなってしまって申し訳ないよヒナちゃんたち…さて、ここからは僕に任せて下がっていなさい」

「はい…!」

『ガゥゥ…!』

『ピチュゥ!』

 

 

「さてと…じゃあやろうか?」

「っっ…!!!!」

 

 

その後、頭領の悲痛が込められた叫び声が響いたのは、自業自得であり当然のことだと言えるだろう。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「うーん…じゃあこのゾロアとチルットは君たちに任せよう。どうやら君たちのことを親だと思っているみたいだからね。でも君たちはまだトレーナーじゃないからポケモンの育成の仕方は先生にしっかりと聞くように!」

「本当ですか!!!?やったなゾロア!!!」

『グルゥ!!』

「チルット…これからよろしくな」

『チルゥ!!』

 

 

「良かったねヒビキにシルバー!」

『ガゥゥ!』

『ピチュゥ!』

 

 

あの後、シゲルがあのアジトへやってくることができたのはピチューの空へと放った電撃のおかげだと帰り道にヒナたちに話した。

捕まえた覆面集団は連絡しておいたジュンサーに捕えられ、捕まえられていたポケモンたちは全て保護されるらしい。シゲルがヒナたちに向かって話した内容は、どうやらあの覆面集団はポケモンバイヤーのようなことをしていた奴ららしいということ、たまごを奪った後にアジトへ戻る途中で落としたのだろうということを話してくれた。ヒナたちはその話を聞いてポケモンを売買するやつらのことに怒り、捕まって良かったと笑みを浮かべていたのだった。

そして全ての騒動が終わり、少し崩壊している研究所へと戻ったヒナたちはそれぞれウツギ博士から話をして、そしてゾロアとチルットの話へと移った。

ゾロアとチルットは最初に見てしまったヒビキとシルバーを親だと認識してしまったらしく、彼らから離れると泣き叫んでしまう…。

このままでは彼らからゾロア達を離したら弱って死んでしまうと考えたウツギ博士がトレーナーにはなれないけれど、ポケモンを持っていて構わないと言う。その言葉を聞いたヒビキとシルバーは自分のポケモンとなったゾロアとチルットに挨拶をして、そしてヒナたちは微笑みながらも祝福したのだった。

 

そして…ようやく事態が収拾したためにヒナたちはマサラタウンへ戻ることになった。それをヒビキ達が見送りに来て…そして強気な笑みでヒビキがヒナを見て、無表情ながらも闘志を燃やすシルバーが口を開く。

 

 

「マサラタウンでトレーナーになる頃にそちらに行くつもりだ。カント―地方から旅するというのが父上との約束だからな…だからヒナ、それまでにリザードとピチューの育成はちゃんとしておけ!!!」

『チルゥ?』

「う、うん…分かってるよ」

『ガゥウ…』

『ピチュゥ…』

 

「ほらシルバー!もういいだろ!!ヒナ、今度会ったときはもしかしたらトレーナーになった後かもしれない…。だから先に言っておくぜライバル!次会ったときはバトルしかけて俺たちが勝つ!!」

『グルゥ!』

「ふふ…私たちだって負けないんだからね!」

『ガゥゥ!』

『ピチュゥ!』

 

 

 

船が出発するためにヒナたちはそれに乗り込む。そしてヒビキ達が見えなくなるまでヒナたちは手を振ってお別れを言い、ヒビキ達も同じように別れを言う。

マサラタウンへと帰るヒナたちは、一時の別れを惜しみながらも…次があった時が楽しみだと笑みを浮かべて顔を見合わせていたのだった。

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 …何で私シゲルさんに連れられてジョウト地方にやって来たんだろうって思ってたけど…まあいいか。楽しかったし。






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