マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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会えることこそ奇跡―――――







第二百三十五話~兄は再会した~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。シャラシティを目指して旅をしているんですが、これから向かう洞窟にとても面白いものがあるとセレナとハルカ…そしてユリーカが上機嫌で歩いていて、何があるのか話を聞いても教えてもらえず、とにかく行けばわかると言っていました。

よく分からないし教えてくれないため、俺とシトロンはお互いに顔を見合わせて苦笑しながらもついて行く。おそらくセレナたちの言うことは俺たちを危ない目に遭わせるようなものはないだろう。そう思ったから、俺は特に警戒せず大丈夫だろうと考えて少しだけ楽しみにしながらも歩く。

 

 

―――――そしてようやく着いた洞窟は鏡が多くある珍しい場所だった。

 

 

 

「へぇ…凄いなここ…!」

『ピィカッチュ!!』

「ここはうつしみの洞窟って言ってね!水晶が鏡みたいにできてるからそう名付けられたの!」

「確かに周り全部が鏡でできてるみたい!まるで鏡の洞窟かも!」

「ハルカの言うとおりだよ!鏡みたいで綺麗!」

『デネデネ!』

「…ここは自然にできた水晶で重なった洞窟なんでしょうね…こんなところがあるだなんて不思議です!」

 

 

鏡だらけのその洞窟に俺たちは面白いと笑みを浮かべながらも歩いて行った。このうつしみの洞窟を抜ければシャラシティに近づくのだから早く着けばいいと願いつつも歩き続ける。

 

 

――――――――そんな時だった。鏡の奥で何かが動いたのは。

 

 

「…あれ?」

『ピィカ?』

「どうかしたのサトシ?」

「何かあったの?」

 

 

俺を写していた鏡が何か動いたようなそんな気がして…もしかして何かゴーストタイプのポケモンがいるのではないかと思って鏡となっている水晶を叩く。ポケモンがいるとしたら俺たちが反応した時点で動くだろうし、もしかしたら驚かしに来る可能性もあったからだ。

でもピカチュウが周りにポケモンがいるか見たが特に何もないと分かって、大丈夫だと言っているため…俺も周りを見渡したが何も変わったことはないようだと…おそらく気のせいだと考えて水晶に触りながらもセレナたちに振り向いて言う。

 

 

 

「いや何か鏡が動いたような気がッッ!!!?」

『ピィカァ!!?』

 

「ちょっッサトシ!!!」

「サトシが鏡に飲み込まれてる!!?」

『デネデネ!!?』

「サトシ行かないで!!」

「サトシ!!」

 

 

鏡となった水晶の触っていた部分から俺を飲み込むようにいきなり動いた。その様子に驚いたセレナたちが慌てて俺の手を掴み、引っぱろうとする。ピカチュウも同じように鏡の部分に飲み込まれそうになって…でもいくら引っぱっても戻る様子はなく、そのまま俺たちは鏡に飲み込まれてしまった。

そして地面に衝突するような衝撃を受けて何があったのか警戒しながら周りを見た。周りにはセレナたちが地面に倒れていて、少し痛そうに足を擦っていて、大丈夫かと心配しつつ、攻撃されないようにピカチュウと一緒に警戒する。でも俺たちに向かって攻撃するという警戒するものは特になく…いや、衝撃的な光景がそこには広がっていた。

 

 

 

「…デジャブかこれは」

『ピィカ…』

 

 

 

 

「何だ何だ!!?また俺がいる!!?」

「へっ?私がいるって…どういうことなの!!?」

「うわぁ見てデデンネ!私もいるよ!デデンネも!!」

『デデデネ!!』

「これは一体…どういうことでしょうか?」

 

 

俺たちの目の前にいたのは、ハルカ以外の俺たち自身…。前にイッシュ地方で見た似たような光景に引き攣り…どういうことかと思いながらも立ち上がってから彼らに近づいた。

俺…じゃなくてサトシたちは驚きながらも凄いと思っているようで、俺が近づいても警戒などは特にせず、ただ笑みを浮かべてこちらを見ていた。

 

 

「あーっと…もしかしてイッシュ地方で以前会ったことある【サトシ】か?」

『ピィカッチュ?』

「やっぱり!妹がいる方の俺か!!久しぶりだな!!」

 

 

「へ?妹?…どういうことなの?」

「サトシに妹がいる方のサトシ…?何か頭がこんがらがりそう…」

『デネデネ…』

「あの…詳しく説明してもらってもいいでしょうか?」

 

「おう…あ、でもその前にこっちのセレナたちにも話した方がいいか」

『ピッカッチュ』

「そうだな!おーいそっちの世界のセレナたち!大丈夫か!」

『ピカピカァ!』

 

 

「痛っ…あれ?私…じゃない私たちがいる!!!」

「わぁ私がいるよ!これってどういうことなのかな!!?」

『デネデネ!!?』

「ま、まさか鏡に飲み込まれたから…鏡の世界に迷い込んだんでしょうか?」

「…というか、私がいない時点で何かおかしいかも?」

 

 

ハルカは首を傾けてこちらを見ており、そしてセレナたちはお互いの自分自身を見て驚いていた。まあ俺もイッシュ地方での出来事は驚いていたし、今回が二度目だからこそ驚くことはなかったのだからと苦笑した。そして向こうの…原作世界のセレナたちはサトシにハルカが誰なのか聞いていて説明している。

 

それからしばらく経った後セレナが我に返ってこちらに近づき、俺とサトシを見比べていて…原作世界のセレナが困惑していた。その光景に俺はため息をつく。

 

 

「うーんっと……こっちが私のサトシね!!」

「おい抱きつくな」

『ピィカ…』

「そんな目で見るなピカチュウ」

「ふふふ!やっぱりそうだ!大好きよサトシ!」

「あーはいはい…」

 

 

「な!!?な、なんっ!?えっ!!?」

「そっちのセレナと俺って仲が良いんだなぁ!」

『ピィカッチュ!』

「いやそういう問題じゃないような気がしますが…というかあちらのサトシとセレナは付き合ってるんでしょうか…?」

「つ、つつきつき…付き合ってッッ!!!?」

「……セレナ、顔真っ赤だけど大丈夫?」

『デネデネ?』

 

 

「えっと…もしかしてあっちのセレナは積極的に行動してないかも?」

「え、いや…その前にこの状況を説明してほしいんですが…」

「お兄ちゃんもセレナみたいに積極的にならないと駄目だよ!」

『デネデネ!』

「だからそっちじゃないよユリーカ!!」

 

 

俺とサトシを見比べ終わり、何かが分かったかのように納得したセレナがこちらを見て笑顔で抱きついてくる。

その様子に原作世界のセレナが顔を真っ赤にして物凄い反応をしていた。…もしかしてあっちのサトシもセレナに好かれてるのかと思える反応に俺はまたため息をついてしまった。

でも俺がため息をしても俺の世界のセレナは上機嫌で抱きついたまま離れない。無理矢理引き離そうとしてもまた抱きついてくるため仕方がないと諦めた。

 

……まあ事情を話す頃には何とか離れてるかと現実逃避しながらも…これからどうすればいいのか考えていた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「へぇ!なるほど…イッシュ地方ですか…!」

「時間の宝玉という神秘的なもの…少し興味ありますね!」

 

「あ、あああの…あなたはサトシのこと…」

「もちろん大好きで愛してるわ!…そっちの世界のセレナは違うの?」

「い、いやそ……そんなこと……」

「顔が真っ赤よ…可愛いかも!」

「かもって……うう…」

「ハルカのかもは気にしないで。そっか!じゃあ積極的に行かないと駄目よ!」

「だからそれは……」

 

「デデンネと一緒なんだねそっちの世界の私は!」

『デネデネ!』

「うん!何だか双子になった気分だねユリーカ!」

『デデデネ!』

 

 

「……ヒナがよくいう言葉で言えば…カオス」

『ピィカッチュ…』

「はは!なんだか懐かしいな!!そういえばそっち世界でのヒナは元気にしてるか?」

『ピィカ?』

「ああ元気にしてるぜ。ヒトカゲがリザードに進化したんだ」

『ピッカァ!』

「おお!それは良かったな!今度会ったらおめでとうって伝えてくれ!!!」

『ピカピカ!』

「ああ…分かった」

『ピカッチュゥ!』

 

 

イッシュ地方であったことを説明し、そして原作世界でのサトシがこの水晶が鏡となっていて、様々な世界への扉を開く作用があるらしいと聞いた。そしてサトシが行った世界は【泣き虫サトシ】がいるという世界で…その話を聞いた瞬間ハルカ達は微妙そうな表情で俺のことを見ていた。その周りの反応がよく分かると納得してしまう…。

俺の姿で泣いているのはちょっと見たくないなと思うからこそ話を聞いた瞬間、引き攣った笑みを浮かべてしまった。

 

…ちなみにセレナは会ってみたいようなそんな感じで興味をもっていたけれど、まあ俺は気にしない。

 

 

「……とりあえず早く元の世界に戻らないといけないよな」

『ピィカッチュ…』

 

 

久々に再会した嬉しさはあるけれど、もう二度と元の世界に戻れないとなってはいけないだろうと考えて呟いた。

もちろん日が暮れたとしても伝説たちに頼めば元の世界に戻してもらえるような気はしているけれども…それでも可能性は可能性なのでさっさと帰るに限る。

 

 

そう思い、俺たちは行動し始めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 




To be continued.





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