マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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兄はいつもと変わらない。





第二百三十二話~兄はスカイバトルをする~

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。現在シャラジムに向かう途中、森を抜けて大きな岩がたくさんある地帯へとやってきました。

日差しはあまり強くなく、冷たい風が流れる。周りには岩ばかりで何もない場所だけれども、ホウエン地方のように温度が物凄く暑いわけじゃないため、風が心地よくて歩きやすいと感じる。でも周りは崖が多くあるために落ちたら危ないと俺たちは注意して歩いていった。…まあ落ちたとしても下は水しかないため、地面に激突して大怪我を負うということはないだろうが…それでも危ないと思うので気をつけて進む。

…そうして俺たちは崖ばかりあってある意味絶景なカロス地方の有名スポットへやってくることができた。

 

セレナとハルカが周りを見てから笑顔で叫ぶ。

 

 

「カロスキャニオン…!絶景ね!」

「うん!初めて見た光景かも!今日が晴れで良かった!」

「そうだな…でも危ないから足元には注意して歩けよ」

『ピィカッチュ!』

「はーい!!」

『デネデネ!!』

「じゃあここでお昼にしませんか?そろそろ時間ですし、絶景を見ながら食事をするのもたまにはいいかもしれないですよ?」

「賛成!私お腹が空いちゃったかも!」

「ハルカってよくお腹空かせてるね!」

『デネデネ!』

「えへへ…ちょっと恥ずかしいかも?」

「そこは疑問で返しちゃ駄目でしょハルカ?」

「はいはい…ほら準備するぞ」

 

 

落ちないように崖から離れた場所にテーブルを設置し、食事の準備をしていく。シトロンがリュックに入れておいた食材を使って調理し始め、俺たちはそれぞれボールからポケモンを出してからケロマツ達にも準備を手伝ってもらった。

 

 

『チャブゥ!』

『ケロ…ケロケロォォ!!』

『ルッチャァア!!』

『ヤッコォ…』

『ピィカッチュゥ…』

「こらケロマツにルチャブル!喧嘩すんな!!」

『ルチャ…』

『ケロォ…』

 

「うーん…ルチャブルとケロマツって相性悪いのかしら?」

「前にバトル練習した時からこうだったわよね…バトルで何か気に食わないことがあったから仲が悪くなったかも?」

 

 

ルチャブルとケロマツが言い合いを始めてしまった。今はまだ口喧嘩で済んでいるが、このままではエスカレートして技ありでの喧嘩になると考えて止めに入る。ヤヤコマとピカチュウはため息をつきながら呆れた表情でその喧嘩を眺めており、またか…というような目でルチャブルとケロマツを見ていた。

 

ルチャブルとケロマツの仲が悪くなったのはルチャブルが俺たちの仲間になった後…練習試合と称して模擬ダブルバトルをした時だ。模擬ダブルバトルというのは、手持ちの二体に自ら行動し、攻撃と防御を選んでもらいながらもう二体に俺が指示を出してバトルをしてもらうという方法だ。これは、ルチャブルが仲間となったため4体揃ったことでできる修行方法にもなり、ダブルバトルのトレーニングになると考えて実行した。

模擬ダブルバトルでやったのはピカチュウとケロマツ対ヤヤコマとルチャブルだったり、ピカチュウとルチャブル対ケロマツとヤヤコマだったりする。でもって仲が悪くなった問題のバトルはケロマツとルチャブルが一緒になった時だった。ルチャブルは最初っからバトルで相手の技を受けてから戦うというやり方を好んでおり、まあそれについては俺は何も言わなかった。それがルチャブルの戦いの流儀だと言うのなら、俺はそれに合ったバトルスタイルを考えるまでなのだから…。でもケロマツはそれが気にいらないらしい。

ルチャブルがヤヤコマに攻撃されているのを見てため息をついて呆れ、ヤヤコマの隙ができた瞬間にケロマツ自身がヤヤコマを攻撃してしまったことによってルチャブルが邪魔をするなとケロマツに文句を言い、そしてケロマツは嫌そうな表情でそっぽを向き…。とにかく、ケロマツとルチャブルのバトルの仕方は全然合っていないために衝突し喧嘩の原因となってしまったのだろう。この仲の悪さはダブルバトルやトリプルバトルで問題になる可能性が高いため、早々に何とかしなければと思うが…まあ今の所放っておくことにする。ピカチュウとヤヤコマも喧嘩をするほど仲が良いと言うのを知ってはいるし、仲が悪くても旅を続けていくことで次第に良くなってきたのを今までの旅の中から学んでいるからだ。

 

まあ今回のような些細な喧嘩は周りに被害が起きる可能性もあったためにするに仲裁させてもらったが、ルチャブルとケロマツはそれでも苛立ったようにお互いを睨み合い、それぞれの役割へ戻っていった。…ちなみにそれを見ていた周りのポケモンたちはピカチュウとヤヤコマ含めて呆れた表情でいたりする。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「あ、ねえあれ何!?」

『デネデネ!!?』

「うわぁ!空を飛びながらバトルしてる!!凄いかも!!」

「あれは…スカイバトルっていうものらしいわ。ここでは有名なバトル方法みたいね…」

「スカイバトル…トレーナーもポケモンも空を飛びながらバトルをするんですね…!」

 

「…へぇ。面白そうだな」

『ピィカ!』

 

 

食事を終えた後、すぐにまた歩き始める。いくら絶景と言えども同じ風景をずっと見ているのも少し飽きてしまうため、皆が次に向かうポケモンセンターまでの道のりを少し歩行を早めながらも頑張って歩いて行った。途中でシトロンが疲れて休憩したり、ハルカがお腹空いたと言うことでお菓子タイムになったりと途中途中で休憩をはさんでいたが…そんな時にスカイバトルが始まったのだ。

ファイアローというポケモンと戦っているエアームドとのバトルは圧巻だった。空を飛びながら戦うと言うことは落ちないように気をつけながら行うのと一緒だった。風を受けて急上昇し、バランスを整えてから戦うのはとても神経を使うことだろうし、何よりもバトルで使った技による突風などの影響を受けないようにしなければならない…バトルを見ていてそういう印象を受けたが、それでもトレーナー達は楽しそうにバトルをしていて…俺もやってみたいと思ってしまった。

スカイバトルを見ていたら近くを通りがかった人にスカイバトルの方法や、その練習場に案内してもらった。そこではスカイトレーナーとなるための服があり、俺たちはそれに着替えてから空を飛べるようになるための練習をする。

セレナとハルカがすぐにうまくいっていて…俺は風を受けて少しだけ落ちそうになりながらも何とか習得していくことができた。シトロンはこういう動作が苦手なのか何度も落ちたりしていたために俺たちはシトロンがうまくなるまで続けていく。

 

「そうだ…スカイバトルをするならポケモンを出した方が良いよな?…よし、ヤヤコマにルチャブル出てこい!」

『ヤッコォ!』

『ルチャァ!』

「あ、それいいかも!!出てきてアゲハント!」

『ハァァアアア!!!』

 

 

ポケモンを出していいのか先に話を聞いてから大丈夫だと言われたためにボールから出す。

ルチャブルはもともと空が飛べないポケモンだけれども、飛行タイプと空を飛べるポケモンだったら片方の条件でも大丈夫らしく、ポケモンを出した。シトロンとセレナは空を飛べるような飛行タイプのポケモンが手持ちにいないためにそのまま空を飛ぶことだけを楽しんでいた…そんな時だった。

 

 

「ねえ君!!私とスカイバトルしてみない!!?」

 

「…はい?」

『ヤコォ?』

『チャブゥ?』

 

そしてそんな時に先程スカイバトルをしていて、この練習場のインストラクターをやっているというトレーナーがこちらに突撃してきた。話を聞くと先程戦ったエアームドとのバトルがあまり手ごたえがなくて楽しめなかったと言う。そのため他のトレーナーを探してこちらに来て…そして俺のヤヤコマとルチャブルと共に練習している姿を見て戦いたいと思ったらしい。

 

アゲハントと一緒に空を飛んでいたハルカについてはファイアローが炎と飛行タイプということでアゲハントの弱点ともろにかぶっていたために手ごたえあるバトルが期待できないと思ったのだろう…。それにハルカも魅力的なバトルならやりたいと思ってはいるが、通常のバトルだったらあまり積極的にやろうとはしない。ちょっと残念そうにしているからまあスカイバトルを体験してみたいという気持ちはあったかもしれないが…それでもポケモントレーナーよりポケモンコーディネーターとして旅をしているのだからバトルを優先で行動することはあまりない。ハルカにとってポケモンバトルとは強ければ強いほどやりたいという気持ちは高まるけれど…それでもコンテストと関われるバトルじゃなければ、強いポケモンとのバトルじゃなければ、相手がバトルしようと言うまではバトルはしないのだ。

ハルカ自身にとって相手のポケモンが魅力的であり、そしてより強くより惹きつけられなければ自ら行動してバトルはしない。たまにコルニとルカリオの時のように戦いたいという気持ちで初対面にもかかわらずバトルを申し込んだことがあるけれど、それはハルカの気分次第で動く。主にコンテストで優勝するため、相手の出してきた技を見て応用し絶対に負けようとはしない気持ちで挑むことが多いのだ。そして相手の出してきた技を自分なりにアレンジして改造強化し、次の戦法として活かすやり方をするために、自らバトルがしたいという気持ちが強くなければ行動しない。

まあだからこそ強い相手に出会った場合はバトルしてもらえるように積極的に行動し、バトルとなったら容赦なく相手のポケモンを倒そうと指示を出すのだが…。そして強い相手と戦いたい、コンテストで優勝するためにもより強くなりたいという気持ちで動いているせいで舞姫よりも戦闘狂として名を上げてしまったのは仕方ないことだろうと思う。

 

とにかく、そういうハルカだからこそ、今回のスカイバトルは俺がやることになった。

 

でもまあ、ヤヤコマが自身の進化形でもあるファイアローと戦いたいと言って挑発したり、ファイアローはルチャブルと戦いたいと言って弱い奴は帰れというような態度をヤヤコマに対してとったり…そんなことがあって、喧嘩を売られたと判断した俺たちは全力を出してスカイバトルに挑んだ。もちろんルチャブルが先に勝利し、そしてその後ヤヤコマと戦ってくれて勝ったりするが…。

 

しかもその結果ヤヤコマがファイアローの挑発にキレたためにいきなり進化してヒノヤコマになって勝つことができたのはとても嬉しい誤算だと思った。

 

 

 

 

 

 

 




兄の心境。
 そういえばあいつ怪我してねえよな?…まあフシギダネ達いるしストッパーになってくれるか…勉強にもなるから平気だよな…後で電話しよう。





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