マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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いつも通りの日常。






第二百三十一話~兄は暴走する~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。ポケモンセンターに久々に泊まり、妹の様子はどうなのか電話したらいろんな意味で騒がしくなったために強制的に終了させました。

とりあえずシゲル達がカロス地方に来たらぶっ飛ばす。そういえばカスミもカロス地方に行ってみたいという話をしていたのを電話していた時に思いだした。まあカスミはともかく、シンジ達に向かってカロス地方に来る前にやるべきことやれと言いたい。そしてジュンにはシンジの影響でバトルフロンティアに挑戦するようになったのだから俺と会う前ためにカロス地方に来るなと言いたい。

…まあ来たとしても台風のようにすぐに帰っていきそうだと想像し、バトルすることになったら叩き潰すと決心しながらも、俺たちはシャラシティを目指して出発した。

 

そして森の中に入り、ここから次のポケモンセンターまでは遠いらしく、もしかしたら野宿になるかもしれないなと思いながらも歩き続けた。すると見かけたのは小さなポケモンたちがきのみをたくさん集めているという光景。

ミネズミとオタチ、パチリスが笑顔できのみを集め、木の幹のほうへ隠しているという光景に俺たちは温かい目で見つめていた。

ミネズミたちはそれぞれ同じ種族ではないというのに笑顔で協力してきのみを集め、仲良くしている。その事実に、マサラタウンのオーキド研究所のような光景だと感じ、この森はポケモンたちにとって他の種族と一緒にいても大丈夫なくらい平和なのだろうと思えた。

他の種族と仲良しということは通常はあまり見られない光景だ。戦いが多い場所ではポケモンたちは同じ種族で集まり、テリトリーを形成していく。強いものも弱いものも集まり、ここは自分の縄張りだという証しになっていくのだ。そして違うポケモンたちとは決して交流せず、生きるために必要に応じて他の種族と関わるという感じだろう…。まあ、その必要に応じて行う行動が生命の危機に生じた場合にのみの場合が多いため、森が全焼したり水が干からびてしまったりということが起きない限りは安全だ。

だからこそ、この森のポケモンたちの仲が良い光景はある意味安全であり平和であるという証拠なのだと…そう俺は考えていた。

 

 

――――――――まあすぐにその考えは撤回されてしまうのだけれども。

 

 

 

『リングァァアア!!!!!』

 

 

「うるせえよ図体ばっかりでっかい阿呆が…!」

『ピィカッチュ!!』

「ちょっと!それ持っていこうとしないでよ!それはミネズミ達のなんだからね!!」

『デネデネ!』

「ほらユリーカちゃんにデデンネ…ここはサトシに任せて離れましょう…その方が安全かも」

「でもハルカ…!」

『デネデネ…』

 

 

『リングァァアア』

「うるせえっつってんだろうが!!!!」

『ピッカァ!!!!』

 

 

『リングァァ!!?』

 

 

「サトシ!?無茶しすぎですよ…!!」

「きゃあサトシ格好良いぃ!!!!……はうぅ…」

「ちょっセレナ!!?」

「セレナが気絶したぁ!!?」

『デネデネ!!?』

「うんうん一撃で吹っ飛ばす威力ある跳び蹴り&電撃…さすがサトシとピカチュウかも」

 

『リング…リンガァァアア!!!!?』

『……ルチャ』

「…ん?何だあいつ?」

『ピィカ?』

 

 

 

きのみを置き、攻撃態勢になったリングマに俺は拳を鳴らしながらも近づく。

ユリーカも一緒になって近づこうとしてきたがハルカに止められてそのままシトロンたちのいる方まで下げられていた。まあ俺としてはその方が良い。こういう騒ぎを止めることに対して、俺とピカチュウの行動によって仲間を巻き込むかもしれないからこそ安全を確保するということと、敵に対しての手加減を一切したくないために近くにいてしまったら巻き込んでしまうのが確実になるからだ。でもそれはハルカのおかげで何とか大丈夫だと判断し、行動する。

 

鋭い爪で襲いかかってきたリングマに俺は助走をつけて飛び上がり、蹴り上げる。ピカチュウも電撃を放ったため、ある意味電撃と跳び蹴りの両方を食らってしまったリングマはそのまま後ろの方に吹っ飛ぶ。それを見たセレナが叫びながら気絶していろいろと後ろの方で騒がしくなったみたいだが俺は気にしないし気にするつもりもない。それにリングマを吹っ飛ばしたためにきのみは無事だったし、この間にさっさと逃げろと木の上で怯えている小さなミネズミたちに言う。するとミネズミ達はお互いに顔を見合わせてから木を下りてすぐにきのみをすべて持つ。そしてきのみを持ったミネズミ達が一度こちらを見て頭を下げてから走って行った。それに満足しながらも吹っ飛んで気絶したリングマを様子を見る。

リングマは俺とピカチュウのダメージでそのまま気絶していたみたいだったが、吹っ飛ばされた衝撃でリングマの近くにあった木がゆっくりと倒れ、気絶したリングマの腹に直撃する。そのダメージで起き上がったリングマは俺たちに怒ったような表情を浮かべてまた攻撃しようとしてくる。そのためもう一度気絶してもらおうと思い拳を握りしめ、ピカチュウもほっぺからバチバチと電撃を放ちながら待った。

だがそのリングマに攻撃をしたのは見たことのないポケモンで…俺たちに向かって手を上げて、リングマは自分で戦うから手を出すなと言っているように感じた。そのために俺とピカチュウはシトロンたちがいる方まで後ろに下がってから図鑑を取り出してみる。図鑑にはそのポケモンの名前がルチャブルと書かれていて、顔が図鑑と違うと思っていたがそれは葉っぱで作ったマスクだと言うことがすぐにわかり、ポーズをとったりリングマの技を一度受けたりと何だか個性的なポケモンだなと思った。でも最後の一撃が決まらず、リングマが逃げたことには苦笑してしまったが…。

 

その後、この森を管理しているという人に会って、ルチャブルのことを聞き、面白そうだなと俺は思った。ルチャブルはバトルが好きなのだろう…リングマの技を一度受けて相手の攻撃力をみたり、最後の最後で大技を決める際にポーズをとり格好良く見せる。その姿はまるで森のヒーローのように感じられた。…まあ最後は失敗していたけれども。

でも、そんなバトルが大好きで皆を守ろうとするルチャブルを、俺はもっと強くしてみたいと思えたのは仕方ないことだろう。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

『ルチャ…?』

「よぉ…さっきはバトル代わってくれてありがとうな。なあルチャブル、俺ともっと強くならないか?」

『ピッカ!』

『チャブゥ…?』

 

 

 

「…サトシは何をする気でしょうか?」

「サトシのことだから…ルチャブルの技を極めるんじゃないかな?…でもそんな所も素敵!」

「そっか!じゃあ修行だね!」

『デネデネ!!』

「ははは…っとハルカ、何をしてるんですか?」

「さっきルチャブルが投げた葉っぱの覆面!コンテストで演出に使えないかなって思って!!」

「ああ、確かにあれは格好良かったですね!」

「サトシも格好いいよ!」

「いやそう言うことじゃありませんよセレナ…」

 

 

 

ルチャブルは滝であの最後の大技ができるようになるために練習をしていた。だから俺がその練習相手になると言い、大技以外にも何か新しい技を極めてもらおうと思った。最後の大技もそうだけれども、一撃一撃を力強くこめていけばとても良くなると…そう考えてルチャブルに言ったからだ。もちろんルチャブルも賛成してくれたらしく、俺に向かって頷いて修行をし始めた。滝から落ちていくスピードが遅いと感じた。スピードが遅いから先程のリングマに逃げられてしまったのだろうと思ったために、ピカチュウ達と同じぐらいのスピードを極めてもらおうと、まずヤヤコマをボールから出して飛ぶ際のスピードをどう活かせるのかについて学び、実践してもらう。

ヤヤコマが滝から地面に向かって滑降する様子をルチャブルに見てもらい、先程ルチャブルが飛んだ時はどうだったのかについて的確に指摘し、そのスピードが足らない問題部分を解決していった。

そうしていくうちにルチャブル自身が回転しながらのほうが速くなりやすいということに気づいたのか、回転しながら滝から滑降し落ちていく。その様子を見て俺はその回転も何かに活かせないかと考えた。相手が地面に倒れている際の大技として使用するらしいけれども、大技を放とうとしている間に敵がダメージから復活し抵抗する可能性を考えてカウンターシールドに似たやり方をルチャブルと共に考えようとした……その時だった。

 

 

『リングァァアア!!!』

『ロォブゥゥウウ!!!』

 

『…ガリキィィイイイッッ!!!!』

 

『……ルチャ』

「ルチャブル…戦うつもりか?」

『ピィカ?』

『チャブゥ!』

「…そうか。ならさっきやった修行のこと、忘れるなよ?」

『ピィカッチュ!』

 

『ルッチャァ!』

 

 

以前の森のチャンピオンだったというカイリキーが森で嫌われているというリングマとローブシンに連れられてきていた。何故連れられているんだろうという疑問と奴らの悪そうな表情に、少しだけ嫌な予感がした。でもルチャブルは好戦的な笑みを浮かべて戦うと言っており…俺は頷いてルチャブルの戦いを見守った。

 

「…大丈夫かなルチャブル」

『デネデネ』

「大丈夫よ…サトシが修行をつけたんだからきっと…」

「ええそうよ!サトシの修行で強くなったんだから絶対に大丈夫かも!」

「…そうですね。あの大技もほぼ完成と言えるでしょうし…」

 

「……………」

『……ピィカ』

 

 

『リッキィィイイイ!!!』

『チャブゥゥウウウ!!!……ルチャッ!!!?』

『リキッ!?』

 

『リングァァアア!!!』

『ローブゥゥウウ!!!』

 

 

カイリキーとルチャブルの戦いはちゃんと真っ向から戦い、そして相手の技をわざと受けてその強さを確かめている。まるでリングマの時のルチャブルと同じように、カイリキーも戦いに信念があるのだろうと感じた。まあそれを邪魔するのはリングマとローブシンであり、ルチャブルにいつも負けているからこそ卑怯な手に出たのだろう…そしてそんなリングマとローブシンの突然の攻撃にカイリキーがルチャブルと同じく驚き戸惑っている様子からカイリキーはリングマ達に騙されて連れてこられたんだと…そう理解した。

 

――――そんな卑怯な手を使う奴らを俺とピカチュウは許さないわけで…そしてヤヤコマも俺たちと同じ気持ちなわけで…だからこれは仕方ないことだろうと思う。

 

 

「おいゴラてめえらは勝負の邪魔してんじゃねえぞ!!!!」

『ピィカッチュゥゥウ!!!』

『ヤッコォォオオオ!!!』

 

『リングァァァアアアア!!!?』

『ローブゥウウウ!!!!?』

 

『ル…チャ…?』

『リッキィ…?』

 

 

「きゃあぁぁサトシ格好良いぃぃいいい!!!ああもう!大好き!!」

「セレナちょっと落ち着いてください!!」

「サトシたち悪いポケモンはやっつけて!!」

『デネデネ!』

「なるほどサトシのあの攻撃…バシャーモに回し蹴り覚えさせるのもいいかも?」

 

 

リングマとローブシンに向かって一斉に攻撃をする俺たちにルチャブルとカイリキーは茫然としている。だからこそ俺はそんなルチャブルたちに振り向き、親指を立てて大丈夫だと言う。リングマとローブシンは何とかするからバトルは中断しなくてもいいぞと…そういう気持ちを込めて。まあそんなことやってる間にもリングマとローブシンはピカチュウとヤヤコマ…そして勝手にボールから出てきたケロマツにボッコボコにされて悲鳴を上げてしまっているんだけれども…俺やることないみたいだな?

そしてその光景を見たルチャブルとカイリキーは俺の言いたいことが分かったのか少しだけ微妙そうな表情になって…でもすぐに笑みを浮かべて向かい合って戦った。

 

 

……まあその後、ルチャブルが俺を気に入り、カイリキーにチャンピオンに戻ってくれと伝えてから俺の仲間になりたいと言ってきたのは仕方ないことだと思いたい。

 

 

 

 

 

 

 




兄の心境。
 類は友を呼ぶと言うのだから、バトル好きなルチャブルが仲間になったのは必然かもしれない…のか?




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