マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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たまにはのんびりしてみたい。


第二百二十九話~妹はルギアに隠れる~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『優れたる操り人の妹よ…本当に良いのか?』

「うん良いの。あ、でもルギアが嫌なら私達他の所にいくよ?」

『ガゥゥ?』

『ピチュ?』

『いや、構わない』

 

 

こんにちは妹のヒナです。現在マサラタウンに兄のライバルが集まってきていて騒がしい状況になっています。

ジュンさんがシンジさんと同じく私の家に泊まることになって、のんびりと家で遊んでいる最中に騒がれたり、シンジさんに勉強を教わっている途中で突撃されてキレたシンジさんによってジュンさんが怒鳴られたりしていたのでこのままだと勉強にならないだろうと考えて家を出てオーキド研究所の迷いの森の奥深くへやってきました。

迷いの森を歩いていたらちょうど近くにルギアがいたので寝転んでもらって、ルギアのお腹となる部分に背を向けてから座り、教科書を開く。ここで勉強するためだ。

まあルギアはこのままお昼寝をしようと思っていたみたいだったから兄のポケモン達や伝説たちが滅多に来なさそうなとても静かな場所にいた。そして私はそんなルギアに対して、もしも他のポケモン達が来た場合…つまり、兄のポケモン達や伝説たちが来た場合はルギアに隠れていようかと考えて話した。今日は誰にも邪魔されずに勉強しようかと思っているからだ。ルギアやリザードたちも私の言葉を聞いて頷き、勉強の邪魔をしないように配慮してくれた。

 

リザードとピチューは、私が勉強するから遊べないと言ったのに、一緒に居たいと言ってついて来てくれたのだ。そして教科書を開いた私の邪魔にならないように静かに周りの景色を見ながらもルギアと寝そべっていた。その光景を見ていると私まで眠くなってしまうと感じ、首を横に振って眠気を吹き飛ばしてから勉強に移った。

 

 

 

―――――ドォォオオオオオオッッ!!!

 

 

 

『む…優れたる操り人の妹よ…隠れた方が良い』

「え、もう?というかこの騒音ってミュウツーかな…」

『……ガゥゥウ』

『……ピィッチュゥゥ』

 

「あ、ごめんね起こしちゃった…でもちょっとこっち来てくれるかな?」

『…ガゥゥ』

『…ピチュ』

 

 

目を閉じていたルギアが騒音に気づき、私に向かって忠告してくれる。その言葉を聞いてすぐに周りを見てから騒音の位置を確認した。青色の閃光が空に向かって伸びていく様子はミュウツーたちが喧嘩している時に良く見られる光景だった。私たちからそう離れていない場所で戦っているらしく、もしかしたらこっちに近づいてくるかも知れないとルギアの言うとおり隠れることにした。

そうしてルギアと話している間に、ようやく眠りそうになっていたリザードとピチューが目を擦りながらも不機嫌そうな様子で起き上がり、何があったんだと話しかけてくる。その表情に私は苦笑しながらも、教科書を持ってからルギアの翼の裏側へともぐり、リザードたちを誘導した。

 

ルギアの身体はひんやりとしていて少しだけ海の中にいるようで触っていて冷たいと感じながらも、こっそりと翼の外側の光景がどうなっているのかを見る。

私達が隠れた瞬間ミュウツーたちが争いながらやって来ていたようだった。ミュウツー達が喧嘩している様子を見て楽しそうにミュウ達がくるくるとサイコキネシスで回りながらもミュウツーたちの後を追って行く。ミュウツーたちが来た瞬間ルギアがさりげなく私たちの姿を見えないように隠し、目を瞑って眠ったふりをしていた。そのおかげかすぐにミュウツーたちが喧嘩しながら…攻撃を放ち合いながらも離れていったため、私は翼の外側へ出た。

 

 

「あの状況ならフシギダネがすぐに怒りだして説教するのも時間の問題かな…」

『ふむ…まさに自業自得ということだろうな…それよりもリザードとピチューはこのままでも良いか?』

「あ、寝ちゃってる…ごめんねルギア。すっごく心地よさそうに寝てるし、このままにしてもいいかな?」

『ああ。私は全然構わない。むしろ優れたる操り人の妹にも来てほしいぐらいだが』

「いやそう言うのは勉強が終わった後でね?」

『…分かった。楽しみにしている』

「…うん。私も楽しみ」

 

 

翼の内側ではリザードとピチューがお互いに寄り添い合いながら眠っていた。リザードの尻尾の炎はルギアの身体に当たらないように気をつけているらしく、そして見つからないように死角になっている所にあった。外からもギリギリ元気な炎を灯している金色の尻尾が見えて思わず笑ってしまいながらも…もう一度教科書を開いて確認する。応用などもなんとかできるようになったし、後は本番で失敗しなければ大丈夫かなと思いながらも、本に書かれた問題を一枚の白紙に書き込みながら解答していく。そんな作業をしていた時だった―――――。

 

 

 

 

――――――ドォォオオオオオッ!!!

 

 

 

『今度は薄緑色の閃光…フシギダネか』

「今日も頑張ってるね我らのまとめ役…」

『ああそうだな…さすが優れたる操り人のポケモンだ』

 

 

大きな騒音が聞こえ、ふと顔を上げてまた伝説たちが来るかもしれないと身構える。でも空へと向かっていく薄緑色の大きな閃光が見えてきて…フシギダネがソーラービームを放ったのだと分かった。ルギアは見慣れた様子でため息をつき、犠牲者はミュウツーか…と呟いた。私たちが行動する必要もないいつもの光景のためにまたルギアが目を閉じ、私は教科書をもう一度開く。先程書いた解答が合っているのかを調べないといけないと思いながらも、本に視線を戻した。

 

そして全部間違いはないと確認し、これなら大丈夫かと少し安堵していた時だった…。

 

 

『―――――――――――――――!!!!!!!!!』

『―――――――――』

 

 

 

『む…あれは…?』

「…え?どうしたの?」

 

『……隠れた方が良いかもしれないな優れたる操り人の妹よ』

「あ、また来たんだ…じゃあまたお願いねルギア」

『ああ、お安い御用だ』

 

 

 

ルギアが顔を上げて何かに気づいたらしく、じっと森の奥の方を見ていた。森の奥は迷いの森だからこそ同じような景色が続き、現在私たちがいる場所以外には太陽の光なんて存在していない。だから私から見ると…ルギアがじっと見ている視線の方向には薄暗い木々と暗闇しか映らないのだ。

でもルギアが何かを発見し、ため息をついて隠れた方が良いと言ったために理由が分かった。おそらく兄のポケモンか伝説たちがいるということだろう…まあフシギダネやヨルノズク、ダークライに見つかったとしても何も問題はない。

むしろ騒ぎに巻き込まれなくて良かったと微笑まれるぐらいだ。でも他のポケモンたちに見つかればひとたび遊ぼうだの修行しようだの言って来るに違いない。ゆっくりと勉強していたいからこそルギアに隠れていなければならないのだが…これで翼に隠れるのは二回目だからルギアの安眠の邪魔になっているなと感じ、申し訳ないと感じた。

でもルギアは私のその考えが伝わってしまったのか、私に向かって大丈夫だと言って微笑んでくれた。その言葉に笑みを浮かべてお礼を言いながらも、リザードたちが眠っている場所から離れたところに潜り込む。

 

 

そしてやって来たのは兄のポケモンたちとデオキシスだった。

 

 

 

『ッッ―――――――!!』

『ジュルァァ!!!』

『ミッジュゥ!!!』

『ウッキャァァ!!!』

『マァグゥゥ!!!』

 

 

(あれって何やってるんだろ?…もしかして喧嘩?)

 

 

デオキシスに向かって総攻撃をしているのは兄のポケモンのジュカインとミジュマル、ゴウカザルとマグマラシだった。見事に地方がバラバラなメンバーになっているのだが、一体何があったのだろう…というよりもミジュマルのホタチがデオキシスにとられているのはどうしてなんだろうかと疑問に感じてしまった。

でもここで外に出てしまうといろんな意味で巻き込まれる。ついでに教科書も犠牲になる可能性が高いだろう。…だからここでは好奇心を抑えてルギアの翼に引っ付きながらも様子を見守った。

そしてようやく騒動はデオキシスが宙に浮いて逃げていってしまい、ジュカイン達が後を追ったためにまた周りが静かになってくれた。

 

 

「これで問題はないかな…」

『ああ、そうみたいだな…だが、外に出て勉強とやらはしないのか優れたる操り人の妹よ…?』

「うん。もういい感じに終わってるし、眠くなってきたからこのまま眠っちゃおうかなって…いいかな?」

『無論だ』

 

 

ルギアが優しい笑顔で私に向かって頷き、寝ようと言って目を閉じた。だから私も教科書をルギアの傍に置き、翼に包まれながらも眠ろうとする。ルギアの翼に隠れたために冷たいと感じていた体温は、いつの間にか温かいと感じるようになり、心地よい温度のなか私たちはお昼寝を楽しんだ―――――。

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 お昼寝は気持ちいいし大好き。でも帰ったら物凄く母が怒っていた…誰に対してかは言えないけど…。





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