マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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何故なのか…それさえも分からない。






第二百二十六話~妹は増えた状況に困惑する~

 

 

 

 

 

 

 

「あーようやく見つけたぞシンジ!!」

「まったく…煩い奴が来た」

「煩くねえよ!!なんだってんだよ!!!」

 

 

「十分煩いよ。君の知り合いかい?」

「……ふん」

 

「何このカオス…」

『ガゥゥ…』

『ピチュ…』

 

 

こんにちは妹のヒナです。シンジさんがマサラタウンの私の家にいる時に、オーキド研究所からシゲルさんがもう一度バトルの再戦を申し込みに来ました。

まあ当然シンジさんはそのバトルを受けようとして、私達もトレーナーになるならバトルを見て学べる部分がたくさんあるだろうと言われ、シンジさんに強制的にオーキド研究所へ連れてこられました。

…まあ私としてもバトルで学べる部分があるということはちゃんと分かっているし見たいと思ってもいる。でもこの前の初対面時のあれはちょっと普通とは考えられなかったし巻き込まれる可能性があったために見ることはできなかった。でも前とは違ってシゲルさん達の間に少しだけ雰囲気が和らいでいるように見えた。もしかしたらシゲルさんとシンジさんはバトルしたから少しはお互いを認め合ったのだろうかと…いやでもやっぱりシンジさんとの勉強していた時の会話からそれは無理かと考えて私たちは顔を見合わせて苦笑する。そしてはぐれないようにシンジさん達の後ろをついていった。

 

オーキド研究所の広い場所でバトルしようということで、研究所内に入らずそのまま行こうと話していたら、こちらに向かって走ってくるジュンさんに会いました。

大きな声で叫んでいるジュンさんはシンジさんと同じように兄のライバルになる。でも何でここにいるんだろうと思っていたら、シンジさんが舌打ちをして嫌そうな表情で睨んでいた。それに気づいてさらに大きな声で反応するジュンさんに、シゲルさんが微妙そうな表情で素直に声の大きさについて感想を言い、そして誰なのかシンジさんから話を聞こうとしている。

 

でもシンジさんから話を聞く前に、ジュンさんがシンジさんたちを含めて私たちに向かって指を指しながら叫んだ。

 

 

「サトシは何処だ!シンジお前バトルがしたいって言って先に行っただろ!罰金だぞ罰金!!」

「煩い喧しい静かにしろ!」

「な、なんだってんだよー!!!」

 

「耳が痛くなる…大丈夫かいヒナちゃん達?」

「は、はい…大丈夫です…」

『ガゥゥ…』

『ピチュ…』

 

「それで!サトシは!何処だ!!?」

「サトシならカロス地方にいるよ。あと君の声もうちょっと音量下げてくれないかな?近所迷惑になる」

「何だお前…!!」

「僕はシゲル。サトシの幼馴染であって、【一番】のライバルさ」

「……チッ」

「おや?何か不満でもあるのかいシンジ君?」

「先程の言葉は訂正を加えた方が良いぞ。サトシの【元】ライバル」

「……………………」

 

「何だあいつら?仲良くないのか?」

「あのジュンさん…こんにちは。初めまして」

『ガゥゥ』

『ピチュ』

「何だお前!?ってか色違いのリザード!!始めて見たな!」

「私はサトシの妹のヒナです…それでこっちは仲間のリザードとピチュー」

『ガゥゥ!』

『ピッチュ!』

「そっか!よろしくな!!」

「はい」

 

「じゃあヒナに聞くけど!サトシは何処にいるんだ!!?」

「「カロス地方だ!!」」

 

「お、おう…!?」

 

「…はぁ」

『ガゥゥ…』

『ピチュゥ…』

 

 

どうやらジュンさんはマサラタウンへ行ってしまったシンジさんの後を追ってきたらしい。しかも兄とバトルしたいという理由で突撃したみたいだ。

…でも今兄はカロス地方に行っているということを、シゲルさんがちゃんとジュンさんに向かって答えてくれた。

でもその後自己紹介をしている時にシンジさんが舌打ちをして不満そうな表情を浮かべているのをシゲルさんがからかうかのような口調で言う。そしてシンジさんが勝ち誇ったような表情に変えてシゲルさんに向かって挑発的な言葉で言ってしまったからお互い寒気がするような眼差しで睨み合ってしまった。これだと初対面時に会った時のあれと同じだと私たちはため息をつく。

 

そして状況が分かっていないのかジュンさんが微妙そうな表情で首を傾けており、私たちは自己紹介をしなければと挨拶しに近づいた。それでもやはり大げさに声を出して話したり反応したりするそれは正直もう少し小さな声で話してもいいのではないかと考えてしまうぐらいだ。耳は痛くないけれど、シンジさんが舌打ちしたりシゲルさんが正直に煩いと言ったのもよく分かってしまったと思った。

そしてシゲルさんの言葉を聞いていなかったのか兄が何処にいるのか私たちに話しかけてきたが、ブリザードのような状態になっているシンジさんとシゲルさんが仲良く叫んだためにジュンさんが驚き、彼らから一歩だけ退いてテンションが下がったようだった。

 

そして私たちはそんな様子にため息をつき、オーキド研究所に向かおうと声をかけたのだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「何!?シンジと…えっとシゲルだっけ?お前等バトルするのか!!」

「煩い喧しい黙れ」

「なんだよ!なんだってんだよー!!」

「はは…うんそうだね。そろそろ決着をつけたいと思っていたんだ」

 

「じゃあ俺も一緒にバトルする!!サトシのライバルなら俺も戦う権利があるだろ!!」

「そんなものあるか!!」

 

「権利って何だろう…」

『ガゥゥ…』

『ピチュ…』

 

 

ジュンさんは少しだけ話からずれていることを言いながらもバトルがしたいといって叫んでいた。でもシンジさんやシゲルさんと全員で戦いたいと言っているために、トリプルバトルのようになるのかと私たちは考える。でもこの場合トリプルバトルは何か違うような気がしたため、言い方を変えるなら三つ巴バトルになるのかな?と首を傾けた。

 

シゲルさんとシンジさんはジュンさんと戦うよりも先にシングルバトルでお互いの勝敗を決めたいと思っているようだった。おそらく初対面時にやったであろう激しいバトルの決着をつけたいがためにそう考えているらしい。ジュンさんのバトルしたいという希望に耳を貸さず、後でやると言われてしまったためジュンさんは微妙そうな表情だ。

 

でも、ジュンさんがこちらを見て何かを思いついたような表情をしたために状況は一変する。

 

 

「じゃあヒナを入れて2対2のダブルバトルしようぜ!!それなら文句ないだろう!!」

 

「え!?ちょっと待ってください!私はやりませんよバトル!!!」

『ガゥゥ…!』

『ピィッチュ…!』

「え、リザードもピチューもなんかやる気出してる…!?」

『ガゥゥウ!!』

『ピチュ!!』

「だからやらないって!シンジさん達のバトルを見るだけに来たんだから…」

 

「ヒナちゃんの言うとおりだ…というよりも、僕たちは先にこの仏頂面のシンジ君と戦いたいと思っていた所だし、ヒナちゃん達を巻き込んでしまっては後でサトシに怒られてしまうよ」

「そうか…別に俺はどっちでもいいがな」

「何だいシンジ君?ヒナちゃんを巻き込んでもいいと思っているのかな?」

「そうじゃない。ただ将来トレーナーになるならば今のうちに訓練しておくのも良いだろうと思っただけだ」

「………ああ、何だか君に納得させられたみたいでいやなんだけど、それもいいかもしれないね」

「実際に納得してるんだろう。ふん、これだから【元】トレーナーは…」

「サトシにバトルスタイルを強制的に変えられた【後輩】トレーナーに言われる筋合いはないね」

「「…………………」」

 

「何だよ!!結局バトルするのかしないのか!!?」

「いやだからしませんってば…」

『ガゥゥ?』

『ピチュ?』

「あのねリザードにピチュー…いまここで本格的なバトルしちゃったらお兄ちゃん達に何言われるのか分からないよ?バトルやったんならとか言われていろいろとスパルタ訓練されるかもだし…」

『ガゥ…!?』

『ピチュ…!?』

「サトシにスパルタ訓練か!?それも面白そうだな!!」

 

「ジュンさん…」

『ガゥゥ…』

『ピチュ…』

 

 

何だか微妙な展開になってきてしまったけれど、結局その後、私たちは頑固としてバトルをするのを断り、シゲルさん対シンジさん対ジュンさんの三つ巴バトルをすることになり…地面が抉れそうな激しいバトルによってフシギダネがキレそうになったり兄のポケモンたちがいいぞもっとやれとばかりに盛り上がったり観戦してこんな攻撃方法もありだなと話し合っていたりするけど…まあ私はリザードとピチューが巻き込まれなければ何も問題はないかなと思った。

 

 

でもその後、兄から電話があったためにシゲルさんが話をして、私達も一緒にバトルをしなければいけない状況になるだなんてこと……

 

 

―――――今の私たちは何も知らない。

 

 

 

 

 




妹の心境。
 バトルのせいで木々が倒れ地面が割れ周りが燃えたような跡になっている現状が笑えない…。






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