マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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コルニ達の、始めの一歩。


第二百二十三話~兄はコルニと戦う~

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。現在コルニとルカリオの矯正するためのバトルが始まりました。

 

「サトシ、ハルカ…今日もよろしくお願いします!」

『バゥゥ!!』

 

「ああ、よろしく」

『ピィカッチュ!』

「うん!今日も頑張ろうねコルニ!」

『バッシャアモ!!』

 

バトルが始まり、まずはメガシンカせずに戦うことにしてバトルの癖を直していくということで行動を開始した。

 

癖については以前コルニの祖父からの話を聞き、コルニとルカリオ特有のバトルスタイル…いや、動きを見てからそれ自体が駄目なのだと俺はそう考えていたからこそ直した方が良いと思ったのだ。

つまり、コルニ達は普通に戦っても強いけれど、独自に動いてしまうという癖があったせいで絆によって結ばれるメガシンカがうまく作用せずにいたのだとコルニの祖父から話を聞いてそう考え、そしてその動きが原因なのではないかと思ったということだ。

だからこそ、ムスト山へ向かっている俺たちが今やるべきことはただひたすらバトルをするということだ。癖を直すといっても幼少期のコルニとルカリオがリオルだった頃からこのバトルスタイルのような状態になってしまっていたらしいため、幼い頃から刻まれた動きというのはなかなか直しづらいだろうと思う。

でもムスト山に行けばメガシンカが使いこなせるといっていたので俺たちがやるべきことはとにかくバトルをしてトレーナーの指示とポケモンの行動を徹底させることだ。癖についてはポケモンであるルカリオの動きに問題があり、それを許容したトレーナーのコルニが悪いことだからそこを徹底的に直すためにまず基本的なポケモンバトルをしていけば少しは良くなるはずだと俺たちはそう思って行動している。

まあバトルといってもいろんなバトル方法があるが、今はいつもと変わらないシングルバトルをしてみようかなと考え行動した。今必要なのは基本的なポケモンバトルなのだから。

 

ハルカはただ単純にバトルを見て何かコンテストに活かせるかもしれないとそう考えており近くにいて観戦している。もちろんそのためだけじゃなく俺がハルカに頼んで、俺たちのバトルを見ていて何か変わったところがないか、コルニ達がまた癖を出してしまった時にすぐに注意するように言ってある。ハルカもそれには喜んで頷き、バシャーモをボールから出して何かあれば言うようにと指示していた。

 

 

…とりあえず、まず最初にメガシンカなしでのバトルをしてから…そして次にメガシンカありでのバトルをするようにしてみようかなと考え、実行する。そのバトルで悪い所を見ていき治しつつも、何かメガシンカに対して有効なバトル方法がないかいろいろと考えてみようと思っていた。

 

 

「ピカチュウ、10まんボルト」

『ピッカァ!』

 

「ルカリオ、ボーンラッシュ!!」

『バゥゥウ!!』

 

 

 

10まんボルトを躱したルカリオがこちらに向かって勢いよくボーンラッシュをするために走ってくる。そして近づいてボーンラッシュで攻撃しようとしてくるが、すぐにピカチュウがそれを後ろに向かって走って避けて俺を見て指示を待つ。

 

 

「ピカチュウ!躱してからでんこうせっかで近づけ!!」

『ピッカァ!!』

「させないよ!ルカリオも移動してもう一度ボーンラッシュ!!」

『バゥゥウ!!!』

 

 

 

俺が口を開いてでんこうせっかを指示したためにコルニもそれに反応してルカリオに向かって叫ぶ。ピカチュウが向かってきたためにルカリオがボーンラッシュででんこうせっかの勢いのまま反動をつけて殴ろうとしてきた。だが、それも軽々とピカチュウがでんこうせっかで避けたためにルカリオが【動いた】。

――――それは、ルカリオがでんこうせっかで避けられてから勝手にピカチュウに向かって近づきグロウパンチを放とうとして走る行動だった。グロウパンチがきた突然の行動だったがピカチュウは驚かずにそれを避けることができた。

 

だが、このままでは駄目だとハルカが間に入って言う。

 

 

「はいそこまで!ルカリオ、ちゃんとコルニとバトルしなきゃだめよ」

『バッシャァ!!』

「ごめんハルカ…私が注意してなかったから」

『……バゥゥ』

「ほら反省したなら改善方法考えてから次行くぞ。いつまでもさっきのミスを引きずるとまた何度も繰り返してトラウマになるからな」

「うん…そうだね」

『バゥゥ…』

「うーん…でもコルニとルカリオは強いし、絆も強いから余計にバトルではぎこちなく動いてるかも?」

「あ、やっぱりそう見える?ルカリオとちゃんと指示してバトルするって言うのが何だかよく分からなくて…私たちはずっと小さなころから一緒にいたから…」

『バゥゥ…』

 

 

コルニ達は幼い頃からずっと一緒にいた。それこそ修行や遊び…ある意味、妹達のような関係ができているのだろうと思う。幼い頃からずっと一緒にいたからこそ、あのような自由奔放なバトルスタイルができており、通常ならば強くてとてもいいバトルができるかもしれないと俺は考えていたが、絆が必要なメガシンカにはそういったフリーダムなバトルはできない。つまり、幼い頃から一緒にいた強い絆だからこそ余計にバトルができなくなっているのだ。コルニとルカリオは何度も何度もバトルスタイルを直そうとしているけれど、幼い頃から次第に形成されていったやり方を変えるのは難しいからこそ落ち込んでいる。でも大丈夫だと言って俺はコルニ達を慰めた。

 

今までずっとやってきたバトルスタイルを変えるということが少しやりにくいというのは俺も分かるからだ。

例えば俺が旅をしたシンオウ地方でのドダイトスのスピード戦法から重力のパワータイプ戦法へ変えていった時は、進化をして急激に変わってしまった身体をうまくバトルに活かすようにするためだった。そして進化をした後、身体が大きく変わったために俺が考えて重力重視なバトルの指示をしたが…それを聞いて今までとは違ったやり方に少しだけやりにくそうにしていたのを見ていたし何度も改善して努力してきたのだ。

ドダイトスとのバトルでそれを知ることができたからこそ、ルカリオ達の表情や心境もすべて分かる。今までやっていたバトルスタイルを変えるということは…バトルの戦法を変えるのと同じぐらい困難なやり方ということなのだから。

でも、このまま諦める必要はないというのも分かる。それは、ゆっくりと時間をかけて練習したことによってドダイトスのバトルスタイルがスピード戦法から変わり、ようやく使いこなせるようになったパワータイプ戦法となったのだから…努力すれば確実にできるということになるだろう。

 

…でもまあ、俺たちのやり方を意識して、コルニやルカリオもいつかはそうなるだろうと信じてバトルをし続けているが…このままではいけないか…。

 

 

「よし、鬼ごっこでもやるか」

『ピッカァ!』

 

「あ!もしかして前にやった修行ね!!」

「へ!?修行…?」

『バゥゥ…?』

 

ハルカは以前俺たちと旅していた時にやった修行のことを覚えているからこそ笑顔で反応したのだろう。でもコルニとルカリオは一体どんな修行なのか期待しながらも疑問を浮かべて首を傾けていた。

鬼ごっこは子供たちが遊ぶようなおにごっこだけれど、今回の修行はある意味バトルも含めた鬼ごっことなる。ポケモンと人間が一緒になって逃げたり戦ったり、ゲリラ戦法をして襲撃したり…まあいろんな意味で戦いとなって捕まえるという【遊び】であり修行方法になるのだ。

そしてこれを似せて修行方法として作ったのが妹達が修行した【かくれんぼ】であり、鬼ごっこはそれよりも攻撃的な修行方法となっている。まあ鬼ごっこで一番違うルールが、捕まえるにはポケモンを倒すということが前提条件であり、逆に逃げる方は鬼のポケモンたちをすべて倒すという方法になっているということだろう。

―――でも今回は逃げることを最条件として鬼のポケモンをすべて倒さなくてもいいというルールでいこうと思う。

 

これは、コルニとルカリオのメガシンカを使いこなすための修行なのだから強くなる必要はないということと、この修行によってポケモンと人間の絆を一気に深めていき、癖を治そうというちょっとした強引なやり方なのだから。……まあ駄目だったとしても他のやり方を考えていけばいいか。

そしてコルニ達の絆を深めていくためにとりあえず俺たち全員が鬼となって、逃げるのがコルニとルカリオにした。鬼ごっこで俺とハルカだけだと少ないと感じ、ほとんど仲間たち全員で捕まえに行こうと考えてセレナたちも参加してもらうことにした。セレナたちは最初バトルをしている時、俺たちから離れた場所で見守っており、鬼ごっこをすると聞いたら何やら面白そうな表情を浮かべ、そして興味深そうに鬼ごっこ以外にもかくれんぼのやり方を聞いていたりした。

ユリーカとデデンネは時間を見てもらい、荷物などを監視してもらうことにする。あと俺たちが鬼ごっこをしている間に悪党がユリーカ達を狙っては大変だと考え、ピカチュウもその場にいてもらった。ユリーカとデデンネは心底不機嫌そうな表情を浮かべており、鬼ごっこをやりたいと言っていたが、これはコルニ達の修行だということ、いつかはまたやろうと言ったために機嫌が直ったようだった。

 

 

「はいじゃあいくよー!今からコルニとルカリオが逃げて、その後5分後にサトシ達が追いかけるだからね!終了の合図はデデンネとピカチュウのかみなりだよ!」

『デネデネ!!』

『ピッカッチュ!!』

 

 

「よし行くよルカリオ!!絶対に逃げ切ろうね!!」

『バゥゥ!!』

 

 

「それじゃあ――――始め!!!」

『デネ!』

『ピッカァ!』

 

 

ユリーカ達による始まりの合図とともにコルニとルカリオは走り出して行った。そして周りにある木々によって隠れるかのように走り、すぐに姿が見えなくなる。

幸いここは鬼ごっこに最適な森の中であり、今回の修行では鬼ごっこの範囲を森の中と決めている。それにもしも道に迷った場合は空に向かって技を放つように言ってあるため大丈夫だろう。

 

だからこそ走り出したコルニとルカリオに、俺たちは笑みを浮かべながらも鬼が捕まえに行く【その時】を待った。

 

 

 

 

 

 

 




兄の心境。
 たまにはこういうのも良いよな…?



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