マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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間違っていたのは、十人十色なバトルスタイルだった。






第二百十九話~兄はメガシンカの根底を知る~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこまでだ!」

「へ…お爺ちゃん!?」

『バゥゥ!?』

 

 

「はっ?どういうことだ…?」

『ピィカ?』

「え、コルニのお爺ちゃん…?」

「もしかしてあのバシャーモってコルニのお爺ちゃんの手持ちなのかも?」

「なるほど…ならばこの試練というのはコルニの御爺さんの手によって作られたもの…ということでしょうか?」

「なんにせよ、これでルカリオがメガシンカできるねデデンネ!」

『デネデネ!』

 

 

こんにちは兄のサトシです。コルニがルカリオと一緒にバシャーモと戦い、ようやく勝てることができました。

まあようやく勝てるといっても少しだけあっけない勝利だとは思いましたが…。

バシャーモの攻撃を素早く避けたルカリオが何とか攻撃をしようとして…でもバシャーモに避けられたり当たらなかったりでこのままでは長期戦になると考えたのか、早く終わらせようとコルニが俺の教えた合体技をルカリオに指示した。

そのおかげでバシャーモは合体技に驚き、ルカリオの攻撃に当たってしまう。これで勝負は決まったと思ったその時にコルニの祖父がやってきて、ボールにバシャーモを戻してから笑顔でこちらに近づいてきたのだった。

 

 

「これは最後の試練だ。ワシのバシャーモを倒し、自分たちの手でつかむ力を……よくやったなコルニ、ルカリオもよく頑張った…さあお前のルカリオナイトを掴みとって来い!!」

 

 

「うん!」

『バゥゥウ!!』

 

 

ルカリオナイトをゲットしたコルニが、笑顔で喜び合っていた。これでようやくメガシンカできるのだと…すべての苦労が報われた瞬間だったと…その時の俺たちはそう考えて喜び合っていたのだった。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

――――その後、俺たちはまた町に戻り、コルニの祖父から話を聞く。

コルニの祖父はどうやらマキタさんと共謀していたらしく、俺たちが写真を撮って準備していたときに話したことは全てそちらへ誘導するための計画だったらしい。話を聞いていて少しだけ苦笑しながらも、ちゃんとコルニの祖父はコルニ達がルカリオナイトを取れるように…そしてバシャーモに勝てば渡すつもりだったらしい。

俺たちとのバトルで唯一勝てないことが不安だったコルニは、その話を聞いて少しだけ安堵し、ルカリオと共に笑い合った。そして俺たちは笑顔でコルニとルカリオを祝福したのだった。

 

そしてコルニの祖父から今取ってきたルカリオナイトでメガシンカさせろということを話され、コルニとルカリオは真剣そうな表情で動き出す。ルカリオナイトをルカリオに渡してコルニが離れ、メガシンカをするために力を合わせる。この光景はカルネさんとサーナイトが放ったメガシンカと同じ光りであり、光り輝くそれはまさに絆の証なのだと思えた。

 

 

「ルカリオの…メガシンカ…!!」

『ガルゥゥウウ!!!』

 

 

「メガシンカしたルカリオ…あいつにも見せてやりてぇな」

『ピィカ』

「凄い凄い!ルカリオがメガシンカした!!」

「これがルカリオのメガシンカ…凄いかも!!」

「強そうだしかっこいい!!」

『デネデネ!』

「ルカリオのメガシンカ…本当に素晴らしいです!!」

 

 

メガシンカしたメガルカリオは、ある意味強さの波動が流れていると感じた。メガルカリオが動けば突風が吹き、何もかもを吹き飛ばすような強い力を感じる…そしてそんなこいつと戦いたいと全身でそう感じた。ピカチュウも同じ気持ちらしく俺を見て力強く頷く。

 

 

だからこそ、コルニに向かって俺は話しかけた。

 

 

「なあコルニ。俺と戦わないか?」

『ピィカ?』

「え…サトシと?…うんいいよ!ぜひ戦おう!!このメガシンカでようやくサトシに勝てるかもしれないって自信があるからね!!!」

『バウゥゥ!!!!』

 

 

コルニとルカリオは好戦的な笑みを浮かべて俺たちを見つめ、そしてこの場で移動せずにバトルをすることになった。

 

今立っている場所は平地だからこそこのままバトルフィールドのようにして戦うことができると考え、すぐにバトルを始めたのだ。いつも審判をしてくれているセレナたちはちゃんと観戦したいらしくこのまま見ていると言ったため、審判はいない状況で…シトロンはルカリオの波動がどのくらい強くなっているのかを発明した機械で試していくために調べる。

 

 

「ルカリオ!ボーンラッシュ!!」

『バゥゥウウ!!!』

「来るぞピカチュウ。アイアンテールで防げ!」

『ピッカァ!』

『バゥ!?』

 

 

ボーンラッシュを発動させたルカリオだったが、どうやら力が安定していないらしくすぐにアイアンテールによって技を防がれ、躱されてしまった。

だがその力は強いようだ。ピカチュウが笑顔で俺に向かって頷いていることから分かる。コルニは力が安定しなくて苛立つルカリオに安心するように励まし、信じているという。その言葉に頷いたルカリオはすぐにコルニの指示を聞いて動き始める。

 

 

「ピカチュウ、受け身体勢!」

『ピッカァ!』

 

「ルカリオ、はどうだん&グロウパンチ!!」

『バゥゥウ…バゥゥウウウ!!!!』

『ピカ…!?』

「ピカチュウ、ボルテッカー」

『ピッカァ!』

 

 

はどうだんとグロウパンチの合わせ技は俺が教えた技であり、バシャーモを倒した時の技でもあった。先に放ったはどうだんを後から発動させたグロウパンチと混ぜて物理的に殴る技だが、メガシンカしたためにそれを使った時の勢いは強く、地面に大穴が開きそうなほどの威力で放たれた。しかもメガシンカしたためか一瞬でピカチュウの傍に接近したと思えてしまうほど素早いため、これは俺のジュカイン並みの速さかもしれないと…その強さに笑みを浮かべた。でもピカチュウも素早いためにルカリオの攻撃を躱す。だがルカリオの技が強すぎるためか放たれた技が地面に衝突した結果爆風が起きてしまったためにピカチュウは驚き、危うく飛ばされそうになったがすぐに尻尾を地面に叩きつけて回避し、ルカリオを見る。

ルカリオはそのままコルニの指示ではないボーンラッシュを放とうとしたためにピカチュウが俺を見て指示を待つ。そのため俺はボルテッカーを指示し、身体に電気を纏ったまま、ボーンラッシュを回避してから背中に向かって攻撃した。

 

 

『バゥゥウ!!?』

「慌てないでルカリオ!大丈夫だよサトシなんだから…ルカリオ?」

『バゥゥ…バゥォォォオオオオオッッ!!!!!!!』

 

「…ピカチュウ、ジュカイン並みの速さでも見切れるか?」

『ピッカ』

「なら警戒して…攻撃が来たら10まんボルトで回避。何かあったらすぐに指示する」

『ピィカッチュ』

 

 

「ルカリオの様子が…!」

「何だか様子がおかしい…まるで力が暴走してる感じかも…!」

「機械が爆発した!!?…これはものすごい力がルカリオに流れてると分かります!」

「そんな…どうなっちゃうの?」

『デネデネ』

 

 

ルカリオの目の色が変わったのを見てコルニ達がどうしたんだと表情を変える。

俺はこれが異常事態なのかそれとも力が暴走したために少し待てば収まることなのかを見極めるため、ピカチュウに受け身体勢で様子を見てもらう。コルニが何度も待ってと指示してもそれを聞かず、動こうとするルカリオは標的であるピカチュウしか見れていないようだった。でも俺のピカチュウは何度も強敵を相手に戦ってきたのだから、メガルカリオだとしても負けるつもりはないし、倒されるつもりはない。それに今無理やり止めたとしたら何かルカリオの身に異変が起きてしまうのではないかという恐れもあったために、このままメガシンカについて詳しいコルニの祖父が動くまでは現状を維持していようと思った。

ルカリオが空に向かって咆哮し、こちらをじろりと睨む。その目は今まで一緒に旅してきたルカリオとは違って、理性そのものがなくなった獣のように思えた。

 

 

『バゥゥウォォォオオオオオオ!!!!!!!!!!』

「ルカリオ…しっかりしてよルカリオ!!!!」

 

「来るぞピカチュウ」

『ピッカァ!』

 

 

「凄い…サトシとピカチュウ…冷静にルカリオとバトルしてる…かっこいい…!」

「さすがねサトシ…そういう所は学ばないと駄目かも…」

「ですがルカリオ一体どうしたんでしょう…何であんなに苦しそうに…!」

「早く止めないと…!!」

『デネデネ!』

「いや駄目かも。止められるならサトシが止めているもの…これは何かあるわ」

「…サトシ」

 

 

「ルカリオ!話を聞いて…私の指示を聞いて!!」

『バゥォォオオオオッッ!!!!』

 

「ピカチュウ、放電体勢…そのままアイアンテールで防御!」

『ピィカッチュ!』

 

セレナたちがこちらを見て何かを言っているようだったが、聞こえないし今は集中しているために聞けない。

ルカリオの素早い動きはまるで俺のジュカイン並みの速さであり、パワーはイッシュ地方を旅してきたルカリオ並みかと思える。そういえばイッシュ地方を旅したあのルカリオは本気で倒そうとして俺たちに向かってバトルしたのはあまりなかったなとふと思い出した。手加減ができるぐらいは強く、そして本気で相手にしたらメガルカリオぐらいにはなるのかと少し現実逃避しながらも、ピカチュウに向かって指示をしようとした…。

 

―――――だが、メガルカリオとピカチュウの間にルカリオが登場し、バトルを無理やり中断させたために呆気なく終わりを迎える。

 

 

「そこまでだ…コルニにルカリオ…サトシ君。すまないがバトルは中断させてくれても良いか?」

『バゥゥ』

「いえ…俺とピカチュウは大丈夫ですよ」

『ピィカ』

「お爺ちゃん…ルカリオは一体どうなっちゃったの…!」

 

『バゥゥウォオオオオオオオッッ!!!』

 

「それはちゃんと説明しよう…お前たちの新たな修行についてもな」

『バゥゥ』

 

 

 

この後、コルニの祖父のルカリオによって猛攻撃されたためか…それとも力を使い果たしたせいかメガシンカを強制解除されたルカリオは倒れた。倒れたルカリオを治すためにポケモンセンターにやって来たのだが、そこで待っている間にいろんな話を聞いた。コルニとルカリオはメガシンカを使いこなせるようになるためにムスト山にあるトレーナーに会いに行き、修行をするということ、このままだとメガシンカは何時まで経っても使うことはできないと言うことを…。だからこそ、コルニとルカリオはムスト山へ向かうために旅立つことを決める。もちろんそれは俺たちも一緒に行く。

 

俺はルカリオが自身で勝手に攻撃するのを見て、それもある意味新しいバトルスタイルかと考え、受け入れていたということもあった。それにバトルにおいてポケモンと人間が一致団結して指示を聞いて攻撃するのが基本だというのに、それを俺自身が忘れていたからこそ、コルニの祖父から聞いた話がとても身に染みて理解したのだ。

そしてこれからルカリオ達がどうなるのかを見ていきたいと思い、今までも一緒に旅をしてきたからこそ、また仲間として行こうと誘った。

 

もちろんコルニとルカリオはその言葉に笑顔で頷き、メガシンカを使いこなして俺を倒すと意気込んでいるようだった。とにかくやるべきことはいっぱいあるだろうし…ハルカにも手伝ってもらわないといけないなと思った。

 

 

 

 





ここはある地方のある有名な研究所。そこに一人の少年と男性がいた。この研究所を管理している老人はどうやらポケモンの調査に出かけているようだった。

少年が少しだけ不満そうな表情で言う。


「…休暇…ですか?」

「ああそうだ。いつもいつも研究を任せてしまっているからね…たまには故郷へ帰ってのんびりとしたらどうかと思ってさ」

「ですが…まだ終わらせていない研究があるのではないかと…」

「ああそれなら大丈夫だ。我々でやるべきことはする。君に任せてしまっている仕事が多いからね。少し休んだ方が良いよ。…それにあまり無茶な仕事をさせていると君の家族に怒られてしまうからね。とにかくゆっくり楽しんできなさい」

「……分かりました…ありがとうございます」





To be continued……?



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