マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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ようやくたどり着いた町にて――――。






第二百十六話~兄たちはセキタイタウンに着く~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とうとう着いた…セキタイタウン!」

『バゥゥ!』

 

 

こんにちは兄のサトシです。俺たちはセキタイタウンに行く間にコルニやハルカと何度かバトルをしたり、セレナやシトロン、ユリーカに合体技について話を聞かれたりしました。

コルニについては100連勝の件もあり、俺に負けたくないと言うことでハルカよりも倍以上戦っていて、そして何度も俺とのバトルで負けてしまっている。でも何度も戦っていたからか…かなりルカリオが強くなってきていると感じている。ルカリオ自身も強くなりたいと思っているのだろうと俺たちはそう考えて望むままにバトルを続けていった。

 

でもそのおかげでコルニが指示した技の後すぐに自分の技を出すようになってきているため、バトルスタイルが通常のトレーナーとは違った戦い方になってきている。今までだったらある程度はコルニの指示しか聞かずに、たまに必要なら放つぐらいだったのだが、俺とのバトルで勝ちたいと言う意欲が増していったのか攻撃できるならルカリオ自身が考えて行動するようになった。

 

だからこそ、ある意味トレーナーと野生の両方で戦わなければいけない感覚だ。まあ、負けるつもりはないため俺自身が連勝しているような状況なんだけれども。

 

 

 

 

「へぇ…ここがセキタイタウンか!」

『ピィカッチュ!』

 

「ようやくだよルカリオ!サトシとのバトルでは負けっぱなしだけど…それでも強くなってるって私もルカリオも感じてる!分かってる!メガシンカもきっとできるはず!…ここまで来たんだから、絶対にメガシンカできるよルカリオ!それでもだめならサトシに勝てるまでバトルしよう!」

『バゥゥウ!』

 

「ちょっとコルニ!どこへ行くつもり!?」

「コルニ!メガストーンの居場所分かるの!!?」

「待って私たちも一緒に行くよ!」

『デネデネ!』

「ちょっと!…待ってください!!」

 

 

コルニとルカリオが先に走り出していったため、俺たちもコルニたちの後を追うために走り出す。

シトロンは走るのが遅いからたまに後ろを向いてちゃんとついて来ているか確認しながらになるけれども…それでもコルニとルカリオはセキタイタウンの町の中心まで走って行った。メガシンカがようやく手に入ると興奮して…前しか見つめずその瞳は輝いて見えた。

コルニのその表情は、ようやくメガシンカできるんだという期待と、俺に勝てなかったという不安。でも、ルカリオはメガシンカを絶対にしてみせると意気込んでいるから後はコルニの気持ち次第なのではないかと…その時は考えていた。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「メガストーンの情報はなしか…」

『ピィカ…』

「こんなに探しても情報はないっておかしいかも…」

「メガストーンについて聞いても知らないって町中の人に言われたのはちょっと変よね…」

「町中を探しましたからね…もうここにはないと考えた方が良いかもしれません」

「石はたくさんあるのに…」

『デネデネ…』

 

「町中にない…うんうん!これも修行だよルカリオ!お爺ちゃんが言ってたルカリオナイトを探すのも修行の1つだよ!」

『バゥゥ!』

 

「コルニとルカリオはポジティブだな…」

『ピッカッチュ…』

「これもメガシンカできる者しかないポジティブさ…かも?」

「ハルカ…それちょっと違うような気がする…」

「まあですが、悲観しているよりは良い気がします…とにかくもう一度探してみましょう」

「あ、じゃあ私、あのストーンショップに行ってくる!」

『デネデネ!』

 

 

セキタイタウンに着いた俺たちが見たのは、様々な石を売買している店が並んでいる光景だ。進化の石も売っているらしく、ピカチュウがかみなりの石に近づかないようにしていた。そしてコルニとルカリオはすぐさまルカリオナイトを探そうとしていた。セキタイタウンに行けば分かると聞いていたらしく、具体的には何処にあるのかは知らないらしい。だからこそ町中を探す勢いでルカリオナイトを聞きに行く。

コルニ達を手伝うために俺たちも一緒に探し回るが、店の人や通行人…様々な人間たちにメガストーンやルカリオナイトについて聞いていく。でも町中に聞いていったというのに全然メガストーンの情報が得られない。

むしろそれは何なのか逆に聞かれてしまうぐらいだ。これはおかしいと…もしかしてセキタイタウンではないかもしれないと俺たちが疑問に思っていた時だった。

 

 

 

「そこのお嬢さん達!セキタイタウンへようこそ!」

 

「…はい?」

『ピィカ?』

 

 

ある老人がこちらに近づいて話しかけてきたので少し警戒する。だがマキタという老人はカメラを持って立っていて、写真館で働いているらしく、一枚の写真はどうかと言ってきた。俺たちはお互いに顔を見合わせてからいいかもしれないと頷いた。

せっかく皆で旅していることだし、ハルカもパフォーマンス大会が見終わったらすぐにホウエン地方へ帰ると言っていたため、このメンバーでの旅はほとんどないといってもいいかもしれない。だからこそ記念写真として思い出になると俺たちは一緒に撮ることにした。

コルニも祖父にセキタイタウンに来たという証拠として見せられると言い、絶対に撮ろうと笑顔で俺たちに言っていた。

 

写真を撮った後、現像するためにマキタさんの後ろにいた若い人が写真館まで走って行った。そしてカメラを確認しているマキタさんに向かってメガストーンやルカリオナイトの話を聞く。するとマキタさんはメガストーンやルカリオナイトについては首を傾けて知らないと言ってきたが、特別な石がある洞窟の噂を聞いたことがあると言ってくれた。それは進化の石がたくさんある洞窟の奥に隠されているもう一つの洞窟に眠っているという。でもその洞窟は資格のないものが行くと恐ろしいことが待っていると言われているらしい。まあ何かが襲ってきたとしても俺たちは止まるつもりもないし、コルニ達だってそれを聞いて行くのをやめるとは考えていない。逆に、そのマキタさんからの話を聞いて恐れるどころか絶対にルカリオナイトだとコルニとルカリオが喜び、走って行こうとしたため俺たちは止める。まずは写真を貰ってからだと皆がそう思っているからだ。焦るなと言うとコルニとルカリオは少しだけ落ち込み、でもわくわくと期待しているような表情で写真が来るのを待つ。

 

 

―――そしてプリントされて俺たちに渡された写真を見て苦笑してしまった。

 

 

「あいつ…」

『ピカピ?』

 

「いや、なんでもないよピカチュウ…」

『ピィカッチュ?』

 

 

 

皆が喜び、宝物にしたり早く祖父に見せたいと言ったりして盛り上がっている中、俺は写真をしまいセレナを見た。写真に写っていたのは俺に近づき、シトロンとは微妙に隙間を作って俺との距離を縮ませている写真。

偶然かと思ったんだけれども、いまだに写真をじっと眺めているセレナを見るとその行動は明らかに故意だと分かった。セレナは頬を赤らめて機嫌良さそうに鼻歌を歌ってその写真を見ていたのだ。

その表情を見てまた俺は苦笑し、その意図を知ったためにため息をつく。まあ何も指摘しなければ大丈夫かと考えて、早く行こうというコルニ達に近づきいまだ俺たちに気づかずずっと写真を見ているセレナにハルカが話しかけて行動を開始した。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「見つけた!ここがその洞窟ね!」

『バゥゥ!』

 

「結構あっけなく見つかったな…」

『ピィカッチュ』

「普通に入り口があったって感じよね…本当にここなのかな?」

「でも、その奥に行っても何もなかったし…ここしかありえないかも?」

「とにかく行ってみましょう!そうすれば分かるはずです!」

「よし行こう行こう!!」

『デネデネ!』

 

 

山を登り、道を歩く。途中、進化の石の採掘場らしき場所を発見し、シトロンやハルカが面白そうだと言いながら興味津々だとはっきり分かるぐらい笑みを浮かべてその光景を見つめていた。

確かに進化の石がどうやって採掘されていくのか興味があるけれど、コルニ達の探しているのはルカリオナイトなのだからそういうのは後にしようと話した。そしてルカリオナイトは進化の石がとれる洞窟のさらに奥だと言っていたため、俺たちはもっと奥を目指して進む。すると分かれ道のような場所が見つかり、右は山へと続く道で…左が洞窟の奥へと続く道だと分かった。一応念のために右から歩いていき、何もないと分かって引き返してからこちらに来た。

 

 

コルニ達は絶対にこの先にルカリオナイトがあるはずだと叫んでいて、俺たちは笑みを浮かべながらも先に歩いていくコルニ達を追って進んでいった。

 

 

―――――そうして見つけた洞窟の奥には、何やら輝いている石が置いており、それがルカリオナイトなのだとコルニが叫んだ。その瞬間、大きな炎がこちらに向かって襲いかかる。そのためとっさに俺とコルニが指示を出してその炎を防いだ。

 

 

 

「っピカチュウ10まんボルト!」

『ピッカァ!』

「ルカリオ!はどうだん!!」

『バゥゥ!』

 

 

『バッシャァァアアア!!!』

 

 

「バシャーモ!こんなところで見られるなんて嬉しいかも!」

「え…で、でもハルカ…このバシャーモなんだか怒ってるみたいよ?」

「もしかしてこのバシャーモが資格がなければ恐ろしい目に遭うと噂されている元凶でしょうか?」

「すごい強そうだねデデンネ!」

『デネ!』

「…それで?これからどうするコルニ?」

『ピッカ?』

「決まってるでしょ!私たちの強くなった力をバシャーモに見てもらう!そして倒す!」

『バゥゥウ!』

 

 

「うう…戦ってみたいけど…仕方ないかも」

 

 

コルニ達は笑顔でバシャーモと向き合い、俺たちはその様子を見て後ろに一歩下がった。これはコルニ達の試練のようなものであり、俺たちが手を出してはいけないと分かっていたからだ。…まあ、ハルカは自分のバシャーモとこちらに襲いかかってきたバシャーモで戦ってみたいと思っていたらしいが、それはある意味コルニの邪魔をしていると分かっているらしく、残念そうな表情で見つめていた。

 

 

――――そしてバシャーモとルカリオのバトルが始まったのだけれども、俺たちと何度もバトルしてある意味修行のようなことをしているコルニ達の方が圧倒的に強かったために勝負はすぐに終わってしまったみたいだった。…まあ仕方ないよな。

 

 

 

 

 

 

 




To be continued……?






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