マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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妹はきのみ集めに夢中である。


第二十一話~時をかけてやってきた~

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。よくヒトカゲと一緒にきのみ集めに出かけています。ワニノコやカビゴンに食べられないように持ち帰るのが大変ですがいい運動になります。

 

 

 

『カゲ…?』

「うん?どうしたのヒトカゲ?」

『カゲカゲェ!!』

「うわッ!?」

ヒトカゲが何か見つけたらしく、私を引っぱり森の奥へと歩いて行く。でも前を見ても何も見当たらないし…もしかしたら音か何か聞こえたのかな?

しばらくすると草木が生い茂り、まるでヨルノズクと遊ぶため夜に迷い込んだ時のような森の奥深くの場所に来たみたいだった。

『ビィイ!』

「…あれ、セレビィ?もしかしてヒトカゲが見つけたのってセレビィ?」

『カゲカゲッ』

ヒトカゲがその通りだと頷いたため私はまたセレビィの方を見上げる。セレビィは私の身体よりも上の方にいたため見上げないと見れないからだ。

だが一度目を離した瞬間セレビィが2匹に増えていた。

『ビィッ!』

『レビィィイ!!』

「どういうことなの!?」

『カゲッ?!』

何故か2匹に増えたセレビィに私とヒトカゲは驚く。驚いて思わず私とヒトカゲが顔を見合わせ、またセレビィを見ると今度は3匹に増えていた。どうやら気のせいじゃなかったらしい。しかも今度は周りが少しづつ光りだし、1匹、また1匹と数えきれないほどセレビィの群れで私たちの周りに溢れていった。

『レビィイ!』

「…どうしたのセレビィ?もしかして皆で集会かなにかやるの?」

まるで人が集まってお祭りでも開いているか、集会を行って会議しているように見え思わず聞いてしまった。ヒトカゲも疑問に思っているのか私の手を掴みながらもセレビィを見つめている。だがセレビィは何も言わず、ただ私たちの周りで笑っているだけだった。

 

 

『レッビィイ!!』

 

 

「眩しっ!!」

『カゲッ!!』

セレビィたちが私とヒトカゲの周りで踊っているような仕草をしながら光り輝いていく。集団で私たちの周りを飛びながら光り輝くのに見覚えがあった。そう、まるで未来の兄と出会った時のような光景にもしかしたらときわたりでもしているのではないかと思い、手を掴んでいるヒトカゲを抱き寄せ眩しさから目を瞑った。

 

そしてしばらくすると眩しさが消え、私とヒトカゲは恐る恐る目を開けてみた。

すると目の前に広がったのは大きな青色のポケモンだった。

 

 

「ル…ルカリオ?」

『カゲェ?』

ルカリオが目を閉じて立っている姿が私たちの目の前に広がっていた。いつの間にかセレビィ達がいなくなっていたため、もしかしたらこのルカリオをときわたりで連れて行こうとしたのかもしれないと思った。

そして目の前にいるルカリオも恐る恐る目を開けて周りを確かめ、私とヒトカゲを見た。

『…ここは?』

「喋った!?」

『カゲカゲッ!!?』

どうやらこの目の前にいるルカリオは喋れるらしい。ああいや、ルギアやミュウツーがやっているテレパシーに似ているからそれかもしれない。でも伝説以外が喋るのは久々に見た気がする。あ、ちなみに最初はあのロケット団のニャースだったけどね。

ルカリオは座り込んでいる私たちの近くにやってきて、ゆっくりと膝をついて言う。

『サトシという者を知っているか?』

「サトシって…私のお兄ちゃんのこと?お兄ちゃんの知り合い?」

『兄!?…そうか、お前がサトシの妹か。ああ、前に一度助けられたことがある』

「え、お兄ちゃん私のこと喋ったりしてたの!?というか助けられたって…」

原作でのルカリオさんですねわかりました。兄からは電話などが来ていても、旅で何があったのかはあまり教えてくれない。私がしつこく話を聞いてようやく口を開くという感じだったからだ。でも事件だけは絶対に遭遇するから何かあるとは思ったけどまさかオルドラン城に行っていたとは思わなかった。

 

「もしかしてお兄ちゃんに会いにきたの?でもお兄ちゃん今ホウエン地方に旅してていないよ?」

『カゲッ?』

『…いや、大丈夫だ。アーロン様にこちらで少し休んではどうかと言われたからわざわざ会いに行く必要はない…それにこちらにいればいずれサトシも帰ってくるだろう?』

「え、どういうこと?」

アーロンという人は確かこの目の前にいるルカリオの師匠だった気がする。けれど何で休んではどうかって話になるんだ?そして何でマサラタウンに来たんだろう?

ちょっとだけ首を傾けていると、ルカリオがフッと笑い、私とヒトカゲの頭を撫でてくれた。

 

『しばらくの間、ここに世話になるということだ』

「あ、よろしくお願いします?」

『カゲカゲ…?』

頭を撫でた後、ルカリオが私とヒトカゲに握手を求めてきたから私たちもそれに応じる。もしかしたらアーロンさんはルカリオに未来での世界を楽しんでほしいと思ったのかもしれない。アーロンさんが何を考えているのかはわからないし、何故ときわたりをしてきたのかもわからない。

でも世話になるということはしばらくの間私たちと一緒にいられるということだ。

私はヒトカゲとお互いの顔を見た後、一緒にルカリオに笑いかけた。まずはこの目の前にいるルカリオと一緒にやらなければいけないことがある。

 

「…じゃあルカリオが来た記念に一緒にきのみパーティしようよ!皆も誘って盛大に祝おう!!」

『カゲカゲッ!』

 

 

 

 

 

『…ああ、ありがとう』

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 ルカリオのことお兄ちゃんに伝えないとね!

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