マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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たまに会うのは友であり、ライバル――――――――――――。


第二百十四話~妹は暴走するのを見る~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あっち見ろよ!!もしかしたらあるかもしれないぜ!!」

 

「ちょっとヒビキ!!そんなに走ったら危ないよ!!」

『ガゥゥ!』

『ピチュ!』

「良いだろ久々にトキワの森に来たんだからさ!!」

 

 

こんにちは妹のヒナです。最近暴れているポケモンが見かけないとのことからマサラタウンでの警戒が解かれ、トキワの森に遊びに行っても大丈夫だと言われました。…まあ結局情報を盗った犯人は捕まっていないらしいので不安な部分はまだあるんですけどね…。でもトキワの森に言っても平気だと言われたため、私たちが歩いていた時に偶然出会ったヒビキからトキワの森に遊びに行こうと誘われ、いろいろと酷いことになってます。

 

久々にトキワの森にいるポケモン達に会って、それでテンションが上がりヒビキがポケモンたちの群れがいる場所に突撃する形で走って行ってしまう。でもコラッタ達は急に来た人間のヒビキに驚き、逃げ出そうとしてくるため私はすぐに彼を止めなければと急ぐ。ポケモンたちの群れに突撃してそれで攻撃されたらどうするつもりだと言いたいからだ。

ヒビキは…ではない三人組であるヒビキ達はポケモンたちのことやバッチのこと、トレーナーとして大切なことをすべて教わった。もちろん私たちも教わり、ポケモンたちと関わるにはどうすればいいのか兄のポケモンたちと一緒にいるうちに分かってきたのだ。

ヒビキはそれを教わったおかげでトキワの森で一緒に遊ぶポケモンがいたと言えるわけだけれど…まああの後私たちと争いいろいろと酷いことになったからもう会えるわけないと悲しい顔で言っていた。

もちろんトキワの森にいるポケモン達は兄のピジョットを通じてそれを知ってしまっているから【最初】は露骨に避けられ、遊べないと知ってしまったけれど、今は違う。ヒビキだけじゃない…あの三人組はちゃんとその時のことを後悔し、自分たちがやれることを積極的にやって償おうとしているのだ。もちろん私もその一人であるけれど…。

 

 

でも、ここまでポケモン達と一緒に遊んだりできないのは確かに悲しいと思う。私もリザードたちや兄のポケモン達…そして伝説たちと一緒にいられず、遊べないとしたら嫌になるからだ。だからヒビキがテンションを上げて叫んだり見つけるべき目的の品物よりも先にポケモンたちに向かって走って行ったりするのは仕方がないと思えた。おそらく触れ合いたいのだろう……でもやり過ぎは以前と変わらないことになるから注意する。

 

「ポケモン達と遊びたいならちゃんと目線を合わせてから頼み込む!ヒビキがやったのは攻撃だと思われる可能性だってあるんだから落ち着きなさい!!」

『ガゥウ!!』

『ピィッチュ!』

 

「う…悪い。俺本当に久しぶりにポケモンと会えたから…すっげぇテンションあがって…」

「まあ気持ちはわかるけど…でもそれじゃあいつもと変わらないよ?」

『ガゥ…』

『ピチュ…』

「ああ……だよな…これじゃあいけないんだ。変わらなくちゃな…!」

「まあ、のんびりと変わっていけばいいと思うよ。とりあえず、もう暴走はしない!」

『ガゥゥ!』

『ピチュ!』

「おう。あいつらと決めた約束は守らないとな!!」

 

 

【あいつらとの約束】とは何なのか…私たちはそれを聞いてはいないけれど、おそらくもうポケモンに対して貶したり傷つけたりはしないということについての話なのかもしれないと思った。

そして先程の暴走してしまった行動も私の言葉で止めて、ちゃんと反省したのだ。

 

…以前のヒビキだったら私の言葉を嫌そうに聞き、文句を言ってきたはずだった。でももうちゃんと三人組でいた頃とは違って自身の行動や言動を変えようと頑張っているのだ。まるで、イッシュ地方にいた時に会ったあのシューティーのように……最初と最後で言動や性格、そして行動が全く違うシューティーのように、何もかもをポケモンたちのために変わっていこうと決心していたのだ。

 

だから私はそんなヒビキを見て少しだけ微笑み、口を開く。

 

 

「それで…?ニドラン達には会わないの?」

『ガゥゥ…?』

『ピチュゥ…?』

 

「ああ、会わない。俺たちはそう決めてるから…ニドラン達に一緒にいてほしいって思えるぐらい強くなって…それでもう大丈夫だって思った時に会うんだ!」

「まあ、ヒビキがそう決めてるなら私は何も言わないよ…」

『ガゥゥウ』

『ピィッチュ』

「おう。ありがとうなヒナ!」

 

 

ヒビキは一緒に遊んでいたニドラン達と会うつもりはないと決心していた。

正直に言えばニドラン達はもうヒビキ達を避けようとはしていない。私たちに謝ったというのもあるけれど、ちゃんと反省して後悔し、もう二度とこんな問題を起こさないようにしているのを知っているからだ。でもニドラン達には会わずにいようと三人は決心しているらしいからこそ、ニドラン達もそのことを知り、いつかまた会える日を願って寂しそうにしながらも避けているのだった。

 

そして今回、私達がトキワの森に来たのには理由があったりする。

 

 

「やっぱなかなか見つからないな…」

「きのみとかはオーキド研究所の方がたくさん実ってるからね…でもヒビキはそっちには行くつもりないんでしょ?」

『ガゥゥ』

『ピチュ』

「当たり前だろ!というか俺たちは前からオーキド研究所には行けなかったし…それにちゃんと自分自身で見つけたいって思ってるんだ…モモンのみをな!」

「…そうね」

『ガゥゥゥ!』

『ピィッチュ!』

 

 

ヒビキはモモンのみを探しに私たちと一緒にトキワの森を歩いている。遊ぶと言うよりはただ探し物を探すと言った方が良いけれど、でも散歩も結構楽しいからあまり気にしてない。

ヒビキが言うには、モモンのみはポケモンのお菓子用として作ろうと探しているらしい。モモンのみは解毒作用もあって風邪を引いた時などに使われたり、オレンのみと一緒にいれて栄養のあるご飯にしたりもできる。それ以外ではお菓子として人気があるのだ。そのまま食べても甘くておいしいし、お菓子としてちゃんと有効的に使い易いからこそ探している。そして見つけたモモンのみは私から経由して私の母へ渡され、お菓子となって私たちの元へ…いや、ヒビキの元へ返ってくるのだ。

まあでもヒビキは母が作るお菓子を食べようとはしない。いや食べたいとは言っていたけれど、ヒビキは反省した分償おうと……モモンのみで作ったお菓子をポケモンたちに食べてもらいたいと思っているからこそ探していると言った方が良いかもしれない。

 

私達もヒビキと同じ考えだし、兄のポケモンたちに渡したいという気持ちがあるからこそヒビキと協力して探しているのだ。

 

 

「…ん?なああっちって探したか?」

「ううん探してないけど…でもあっちってオニスズメやオニドリルが生息してるから行かない方が良いよ」

『ガゥゥウ』

『ピィッチュ…』

 

 

「ああそっか…じゃあ他のとこ探さないとな!」

「うん。でもこんなに広いんだから…絶対に見つかるよ!」

『ガゥゥウ!』

『ピッチュ!』

 

 

トキワの森はピジョット達のテリトリーとオニドリル達のテリトリーがある。それ以外ではコラッタ達などの人懐こい普通のポケモンたちが棲んでいるため、探していかなければいけないのはピジョット達が棲む場所とコラッタ達がいる場所だろう。今はコラッタ達がいる場所に来ている。でもやはりきのみは見つからず、ピジョット達の場所に行こうかと話し合う。

 

 

「…本当にありがとうなヒナ」

 

「…え…いきなりどうしたの?」

『ガゥゥウ?』

『ピチュ?』

「いや、何かお前にいろいろと迷惑かけてることに気づいてさ…」

「今更過ぎるよ。それに私たちはポケモンたちのためにやれることをやってるだけなんだから…ヒビキも同じようにポケモンたちのためにモモンのみを探してる。だから迷惑なんてかけてないよ?」

「…おう。でもまあなんというか…ありがとう」

「はいはい。どういたしまして!」

『ガウ!』

『ピチュ!』

 

「…よし、じゃあモモンのみ探しさっさと終わらせるか!」

「ってちょっと待ちなさいそっちはオニスズメのいるところだから!!!!?」

『ガゥゥウウ!!?』

『ピッチュゥ!!?』

 

「おっと悪い悪い!!」

「ほら気をつけなさい!!」

『ガゥゥ!!』

『ピッチュゥ!!』

 

 

―――――結局、その後どこに行っても見つからず、兄のピジョットと会って森の奥にあるきのみがある場所まで案内してくれた。ちなみに兄のピジョットだと聞いてヒビキが興奮し、そして少しだけ以前私と戦った時のことで罪悪感から居心地を悪そうにしていた。でもピジョットはオーキド研究所に良く来るし、ヒビキの態度の変化についても知っているから大丈夫だ。

だからピジョットが優しくヒビキに接したことに彼は驚き、笑顔でありがとうと礼を言う。

 

そして、あんなに頑張って探していたのにピジョットに教えてもらったらあっけなくきのみが見つかったことに対して笑いあったのは仕方ないことだと思う。

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 ヒビキにはもうフシギダネ達も…ママたちにももう怒っていないんだという言葉を聞いて信頼してほしい。もしくは安心してほしい…かな…。


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