マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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兄にとっては興味のあること―――――。





第二百十二話~兄はバトルする~

 

 

 

 

 

 

 

 

「いくよサトシ!」

『バゥゥ!』

「ああ、望むところだ!」

『ピィカ!』

 

 

サトシ達は現在シャラシティへ向かう途中、コルニという少女と出会いバトルをすることになった。

先程ハルカとバトルをしたというのにまだまだコルニもルカリオも余裕そうだ。その余裕たっぷりの表情にサトシとピカチュウはお互い顔を見合わせてから頷いた。先程の戦いからどのような行動をルカリオがするのか大体分かったからだ。

 

そしてそんなサトシ達とコルニ達を見たシトロンが、両手を上げて叫ぶ。

 

 

「では、ルカリオ対ピカチュウの戦いを始めます…試合開始!!」

 

「ルカリオさっさと終わらせるよ!つるぎのまい!!」

『バゥゥウ!!!』

「ピカチュウ、そのまま充電体勢な」

『ピィカッチュ!』

 

 

「あれ?ピカチュウ攻撃しないのかな?」

『デネデネ』

「うん…多分警戒してるのかもしれない…さっきアゲハントが受けたボーンラッシュって技はピカチュウにとって効果抜群のじめん技…このまま攻撃を受けたら危ないわ…!」

「でも、サトシとピカチュウなら大丈夫そうかも」

「…ハルカ?どうしてそう思うの?」

「私は今までサトシと一緒に旅をしてきて…それでトレーナーとしてのすべてを学んできたの。だからこそサトシが負けることはないって信じているの!」

「信じている…うんそうね。私もサトシのこと信じるわ!」

「あ、私も信じる!」

『デネデネ!』

 

 

バチバチと赤いほっぺから電気を放電させながらもルカリオに攻撃しないピカチュウと、そう指示しないサトシにセレナたちは心配そうな表情で頑張れと応援していた。でもハルカだけは焦った様子はなく、この勝負で絶対に負けることはないだろうという考えをもちながらもサトシ達のバトルを見ていた。その様子にセレナは驚き、ハルカから話を聞く。

だが、ハルカがサトシのことを信じると言う強い口調と言葉に心を揺らし…ハルカと同じようにサトシのことを心から負けないと信じようとしていた。いや、信じているのだ。もちろん彼女たちを見たユリーカも、サトシは負けないから大丈夫だと叫び、デデンネと一緒になって応援を続ける。

 

 

「…大丈夫…サトシは…大丈夫…!」

 

 

――――そんな中、セレナは真剣に考えていた。サトシはハルカにとってホウエン地方でトレーナーになったすぐに一緒にいる先輩であり、サトシが行ったバトルでは必ず負けることがなかったという光景をずっと見てきたことから大丈夫だろうと言う絶対的な信頼感があった。

そしてセレナたちとハルカとのサトシと一緒に旅してきた時間の差からそのような変化があったのだろうとセレナはそう考え、その時間の差と信頼関係が悔しいと感じてしまっていた。サトシの隣に立つには、強い信頼を持っているハルカの方が相応しく、そしてバトルをするのもサトシに似ていてまるでお似合いだと思ってしまったのだ。

でもハルカにサトシへの恋愛感情がないという事実があり、絶対にそうならないと分かっていたとしても…安心していたとしてもやはり嫉妬はしてしまう。その絶大な信頼感と負けることがないと言う言葉に…。

その黒いもやもやとした感情こそサトシを愛しているという証しでもあり、自分にとってはサトシとずっと一緒に居たいと言う行動力としての強い力でもあったけれど、純粋なハルカに対してそれを抱くのはどうかと考えてしまう。

それに、カント―地方から今まで一緒に旅してきた仲間には、恋愛感情がないとは言い切れない。つまりセレナは、今までサトシに会えなかった時間に悔しいと感じ、セレナ自身と同じように恋愛感情がある以前の旅仲間が来たらどうしようかと焦っているのだ。だからこそ、少しずつサトシに相応しくならなければと覚悟を強めていくセレナは拳を握り、サトシを見つめた。

 

 

そしてそんなセレナに強い視線を向けられているサトシはというと、コルニとのバトルをピカチュウと一緒に楽しんでいた。

 

 

 

「いくよルカリオ!ボーンラッシュ!!」

『バゥゥウ!!』

「躱せピカチュウ!」

『ピッカァ!』

 

 

「速い…でもこっちも負けてられないよ!!攻撃攻撃!!」

『バゥゥウウ!!!』

「ピカチュウ、【全部】躱してからアイアンテール」

『ピッカッチュゥ!!!』

 

 

ルカリオがボーンラッシュというコルニの指示以外でも動き、グロウパンチなどを放ってくる。だからこそサトシはそれらを見てすべて躱せと指示したのだ。でんこうせっか並みのピカチュウの素早さに翻弄されながらも攻撃しようとしてくるルカリオをすべて避けて、そしてピカチュウのアイアンテールをルカリオの頭上に向かって放つ。

ルカリオはピカチュウの攻撃を防ごうとしたが間に合わず、直撃を受けたルカリオはそのまま地面に沈み、倒れてしまったのだった。それはある意味一撃必殺。

 

 

「ルカリオ戦闘不能…ピカチュウの勝ち!」

 

 

「ルカリオ…!」

『バゥゥウ……』

「ピカチュウお疲れ、よく頑張ったな」

『ピッカ!』

 

 

「うわーんこれじゃあもう一度100人連勝しなくちゃだよぉ!!」

『バゥゥ…』

「100連勝?…あーっと…何か悪いな?俺が連勝止めたみたいで…」

『ピィカッチュ…』

「……ううん大丈夫だよ…サトシじゃなくて私たちが弱かっただけだからね…」

『バゥゥ!』

「そんなことないかも!だってあなた物凄く強いんだから!」

「うん!サトシはものすごく強くて負けることはないんだから、気にしなくてもいいよ!」

「そうだよ!サトシは特別強いだけで…コルニは弱くないよ!サトシ以外と戦ってたら勝ってたよ絶対!」

『デネデネ!』

「そうですね。サトシの場合リーグ優勝者常連ですからコルニが弱いと言うわけではありませんよ」

 

「へ…リーグ優勝者常連!!?だからあんなに強いの!!?」

『バゥゥウ!!?』

「まあそうだけど…でもコルニも結構強かったし、100人目の挑戦なら俺とのバトルを無効にして他のトレーナーと相手したらどうだ?」

『ピカピカ?』

「そうですね…もしもよければ僕たちが相手になりますよ?」

「あ、私はまだまだ新米だけど…それでもよかったらバトルしましょう!」

「うう…その気持ち凄く嬉しい…でもそれじゃあ私たちのやってきたことが……どうしよう……」

『バゥゥ…』

 

「…あれ?というか何で100連勝しようと思ってるの?」

『デネデネ』

「あ、実はね――――――」

 

 

 

コルニがサトシ達に向かって話したことはキーストーンの対となるルカリオナイトを見つけると言うこと、そしてその修行のために100連勝を目指して頑張っていたということ…シャラシティのジムリーダーということを教えてくれた。

ルカリオナイトについてはコルニのご先祖が最初にルカリオをメガシンカさせたとのことで…様々な情報にサトシ達は驚き、そして余計に100連勝については大丈夫だと話した。

サトシについてコルニは知らなかったらしく、カント―地方からこのカロス地方までを旅してきたことや旅してきてゲットしたバッチやリーグ優勝についてをすべて話したために驚き、そして笑みを浮かべて納得しながらも口を開いた。

 

 

「じゃあサトシと一緒に旅してもいいかな?サトシと戦って勝ってみせれば100連勝した…とはいえないけど、でも強くなったとは言えるよね!だから私たちと一緒にセキタイタウンまで行ってほしいの!」

『バゥゥ!!』

「おう!俺たちはそれでも構わないぜ!コルニがいないとシャラジムでバトルできないだろうし…メガシンカについてもっと知りたいって思ってるからな!」

『ピッカ!』

「じゃあ次の向かうべき場所はセキタイタウンね…私が案内するわ!よろしくねコルニ!!」

「コルニ!サトシとのバトルだけじゃなくて私とももう一度バトルに挑戦してほしいかも!これからよろしくね!」

「やったぁメガシンカのこともっと知ることができるねデデンネ!一緒に頑張ろうねコルニ!」

『デネデネ!』

「では、セキタイタウンへ向けて…出発しますか!」

「おう!」

『ピッカッチュ!!』

 

 

サトシ達はそれぞれバトルするために邪魔だったため降ろしていたリュックを背負い、歩き始めた。向かう目的地の場所をシャラシティからセキタイタウンへと変えて…。

 

―――――だが、誰かのお腹が鳴る音が聞こえ、皆が立ち止まった。そしてお腹が鳴ったであろうコルニとルカリオ…そしてハルカに視線を移す。彼女たちは頬を赤くしてそして言い訳をするように口を開いて言った。

 

 

「ポケモン勝負ってお腹が空くから仕方ないかも…」

「そうだよね!だってだって、私達お昼まだ食べてないしポケモン勝負し終えたばかりなんだもん!」

『バゥゥウ!!』

 

「ああそういえばもうお昼だったな…」

『ピィカ…』

「じゃあここでランチにしましょうか!」

「賛成!」

『デネデネ!』

「では僕が料理を作りますからテーブルの設置はよろしくお願いしますね!」

「はーい!」

「うんうん分かった!シトロンの料理楽しみ!」

『バゥウ!』

 

 

こうして、サトシ達の旅にコルニとルカリオという新たな旅仲間を加えて、お昼を食べるための準備に向かったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 


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