マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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密かに起きる―――――。






第二百十話~妹はある事件を知る~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へ?細胞が盗まれた?」

『ガゥゥ?』

『ピチュ?』

「ああ少し違うよヒナちゃん。マサラタウンに住んでいる皆の様々な記録が何者かによって奪われたらしいんだ。でもすぐにジュンサーさんが気づいて犯人を追っているって話だよ」

「そうなんですか…」

『ガウ…』

『ピチュ…』

 

「最近ポケモンたちが暴れたりすることがあるらしいからのう…物騒になってきてるようじゃから気をつけるんじゃよ?」

「はい!分かってます!」

『ガゥゥ!』

『ピッチュ!』

 

 

こんにちは妹のヒナです。オーキド博士の研究所に行くと何やら最近マサラタウンで起きた奇妙な事件について話していました。何なのか詳しく話を聞くとマサラタウンの様々な情報が盗まれたという。…それもマサラタウンで生まれたすべての住人の誕生から今までの記録を奪われたということらしい。と言っても情報はバックデータがあるみたいだから奪われたとしても問題はなく、その情報が何処にいってしまったのかについて問題になっているようだった。もしも悪用されたらということと、情報が悪党たちに売買されていたとしたら大変なことになる。だからこそジュンサーさん達が頑張って犯人を追い、そして皆に警戒してくれと呼びかけているらしい。

 

あと、最近この近くでポケモンたちが暴れることが増えてきたらしく、トキワの森でポケモンたちと遊べなくなったとヒビキが不満そうに言っていたのを聞いた。まあトキワの森はピジョットがいるので何かあればすぐに対処してくれるから問題はない。

ケンジさんからの話だと暴れているのと情報が盗まれたのは同じ時期に起きたらしい。だからもしかしたらその情報を盗んだ犯人と繋がっているかもしれないとジュンサーさん達はそう考えたみたいだった。まあまだ真実は分からないし犯人が捕まるまで分からないだろうけれども。…でも私たちもその考えには少しだけ頷けるような気がする。同時期にこんな騒動が起きるのはめったにないことだろうからだ。

 

そしてつい先日、ヒビキがトキワの森に行けなくなったからとポケモンが食べるお菓子を私たちにくれて、これをオーキド研究所のサトシさんのポケモンたちに渡してきてくれ!と頼まれてしまった。まあそれは良いんだけれども、ヒビキが渡してきたポロックは様々なきのみを使っているのがすぐに分かり、しかもまた私にそのお菓子を渡した瞬間走り出して、リザードたちの分もあるから!と叫びながら行ってしまったのには苦笑した。

今度お礼しなければと思う一方で、早くヒビキがトキワの森でポケモンたちと遊べるようになればいいと思う。オーキド研究所で遊ぼうかと誘った時もあったんだけれども、兄のポケモンたちはまだ怒っているだろうからと私たちの誘いを断ったために、一緒に行くことはできない。でも兄のポケモンたちはヒビキから貰ったお菓子を持ってきた私たちから話を聞いてちゃんと認識を改めてくれたし、嫌そうな表情も浮かべてなかった。でもその事実もちゃんと説明したと言うのに、ヒビキはそれでも自分のことが許せず、オーキド研究所はまだ行けない…嫌だと言っていたので、私たちは諦めた。だからこそヒビキ達が悲しまないように、早く事件が終息すればいいと考えていたのだ。

 

それにとにかく私たちは今までの事件に遭遇したこともあるし、皆が心配しないように気をつけていこうと思った。もちろんヒビキも同じような考えでいるらしい。

 

 

―――――だからこそ警戒し、いつも以上に気をつけて歩いていたつもりだった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「まあ無理だったけど…」

『ガァァアアア!!!』

『ピィッチュゥゥ!!!』

 

 

『バゴォォオオオオオッッ!!!!!』

 

 

「あれって?…っ…前に見た物だ…!」

『ガゥゥ……』

『ピィッチュ…!』

 

 

目の前にいるのはバクオングというポケモンであり、このカント―地方では珍しいポケモンだった。なんでここにいるんだろうという疑問と、どう対処していこうかという考えが思い浮かぶ。リザードとピチューも警戒し、こちらに襲いかかろうとしているバクオングに向かって威嚇していた。

でもバクオングがこちらを見た時に耳に取り付けてあったベルトのようなものを見て、おつきみやまで見たものと同じだと確信し、操られているのではないかと考えた。

だから周りを見て、とりあえず見える範囲には誰もいないと判断してからバクオングの対処をする。

 

「リザード、かえんほうしゃ!ピチュー、あのベルトに向かってアイアンテール!」

『ガァァアアアアア!!!!』

『ピィッチュゥゥ!!!!』

 

 

リザードのかえんほうしゃによってバクオングがひるみ、その隙にピチューが近づいてアイアンテールを発動させる。ピチューのアイアンテールは最近修行した結果ほとんど電気を帯びたアイアンテールとなっているため、攻撃力が強く、一撃でベルトを粉砕することができたのだった。

 

 

「よし…これで大丈夫なはず…ッッ!!!」

『ガゥゥウウウ!!!』

『ピィッチュ!!』

 

 

『バゴォォオオオオ!!!!』

 

 

ベルトを壊したからもう大丈夫だと思った。おつきみやまでもそうだったし、操られていた原因でもあるベルトを壊してしまえればすぐに元に戻るだろうと思ったのだ。だからこそ警戒しながらだけど近づき、大丈夫かどうか見る。

 

するといきなり起き上がったバクオングに私たちは驚く。バクオングの目は通常とは違って正気とは言えず、まだ操られているのだと分かった。でも周りを見ても何か異常は見当たらず、ベルトのせいで暴れていたのではないかと考えて対処してしまえばいいと思った。ベルトを壊せば…すぐに終わるだろうと、そう考えたのだ。

だからこそいまだに暴れようとするバクオングに驚き、私達に向かって攻撃をしてくるため避けようと動いた―――――――。

 

 

 

『止めろ!!!』

『止めなさい!!!』

 

 

『バゴォォオオオオオオッッ!!!?』

 

 

「……あれ?ミュウツーたち…何でここにいるの?」

『ガゥゥ…』

『ピィッチュ…』

 

 

ミュウツーたちが空からバクオングに向かってやってきてとび蹴りのような攻撃をしてバクオングを吹っ飛ばしていた。しかも何やらミュウツーたちはそれぞれ睨み合い争っていて…そういえばマサラタウンに帰ってくる途中でも争っていたし、喧嘩をするほど仲が良いという感じがして思わず苦笑してしまった。

バクオングはミュウツーたちの技とは違った攻撃を受けて気絶し、もう攻撃するべき敵はいなくなったはずなのだが、ミュウツーたちは険悪そうな雰囲気を漂わせ、このままでは喧嘩してしまうと考え、私たちはお互い顔を見合わせてからすぐにミュウツーたちの間に入る。

 

 

「ミュウツーたち何やってるの?それにバクオングもう気絶してるし喧嘩はしちゃ駄目だよ!!!」

『ガゥゥウ!!』

『ピチュピチュ!!』

 

 

『…いえ、私は喧嘩などしてはいませんよ。ただ排除するべき汚物が目の前にいるだけです』

『それはこちらの台詞だ。貴様を同族などと呼びたくもないぐらいだ』

『呼ばなくて結構。あなたのような脳筋と一緒にされたくはありませんから』

『貴様…!』

 

 

「ほらミュウツー落ち着いて!ミュウツー姉さんも挑発しちゃ駄目だからね!」

『ガゥゥ!』

『ピチュ!』

 

 

イッシュ地方から来た…ミュウツー姉が冷めた口調でミュウツーに向かって嘲笑しながら言う。その言葉にミュウツーは青筋を浮かばせながらも言い合う。このままだと本当に物理での喧嘩になってしまい、私たちは焦る。ここで大騒ぎになってしまえば、何かあったのかと人に見られてしまう可能性が高いと考えて慌てて止めようと叫んだ。ここはいつものオーキド研究所へ向かう途中にある道なのだ。オーキド研究所の迷いの森ではないし、人が来ないとは限らない。だからこそここで騒ぎを起こしてしまったらいけないと思った。ミュウツーは通常のポケモンとは違うのだから、見つかっては駄目だと喧嘩の仲裁をする。

私達が叫ぶとミュウツーたちが急に口を閉ざしてこちらを見てくる。そしてミュウツー姉が少し優しそうな笑みを浮かべて言う。

 

 

『……ミュウツー姉さんとは私のことでしょうか?』

「え?うん。何だかベイリーフ達みたいに優しくて頼れるお姉ちゃんって感じがしたからそう呼んだんだけれど…駄目だったかな?」

『ガウゥ?』

『ピチュ?』

『いえ…そのようなことは…むしろ喜ぶべきことだと考えていますよ』

「そっか…良かった!」

『ガゥゥ!』

『ピィッチュ!』

 

『ふん…ヒナたち、俺には何かないのか?』

「いやミュウツーはミュウツーだけど…」

『ガゥゥ…』

『ピチュ…』

 

『クッ…日頃の呼び方のせいか…それとも出会う時期が遅ければ俺もそう呼ばれる可能性があったのか…!』

『ありえませんよあなたのような方がミュウツー姉さんと呼ばれるだなんて…フフ』

『いいだろう…貴様とは決着をつけたいと思っていた所だ…来い!!』

『ええ望むところですよ。ただの【ミュウツー】さん?』

『貴様……!!』

 

 

「ああもう…好きにしてよ…」

『ガゥゥ…』

『ピチュ…』

 

 

ミュウツー姉がミュウツーを嘲笑しながら挑発し、その言葉にミュウツーがキレる。

そしてミュウツーたちが空へ飛んでいき、迷いの森へ向かっていく。おそらく思う存分バトルできる場所まで移動してから戦うつもりなのだろう。結局喧嘩を止めることはできなかったけれど、人に見つかることはなかったしまあいいかと無理やり納得した。それに世界レベルで大変なことになればフシギダネがキレて止めてくれるだろうし……。

 

 

「そういえば…バクオングどうしようかな……」

『ガゥゥ…』

『ピチュ…』

 

 

「おーいヒナッッァァアア!!?何だよこのポケモン!!?」

「あ、ヒビキ…ちょっと暴れてたポケモンがいてね」

『ガゥ』

『ピチュ』

 

「暴れてた…っ!?まさかそれをお前が倒したってことかよ!!くそ…俺も早くトレーナーとして修行しないとヒナよりも強くなれねえじゃねえか…!!」

「いやそういうことじゃなくて…というか私が倒したわけじゃないから!」

『ガゥゥ…』

『ピチュ…』

「え…そうなのか?…うーん…まあいいや。……なら、バクオングはジュンサーさんかジョーイさんにでも話してくるか?…このままだと可哀想だよな?」

「そうだね…私はバクオングを見てるからジュンサーさんを呼びに行ってもらってもいいかな?」

『ガゥゥ!』

『ピチュ!』

 

「おう任せとけ!」

 

 

 

 




妹の心境。
 ベルトといい騒ぎといい…何かフラグが立ってるような…まあ大丈夫…かな?





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