マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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兄にとっては見たくもない状況――――。




第二百七話~兄は恋の対立を見る~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。先程ショウヨウジム戦に挑み、見事バッチを貰うことができました。そしてそのすぐ後、セレナがポケモンのお菓子であるポフレを前日に作ったということで皆に配ると言って来ました。そのためハルカ達も喜んでセレナに近づいていきます。

 

「なんか美味しそうかも!!」

「あ、食べちゃ駄目よ!これはポケモンのお菓子なんだから!」

「そうなんだ…なんか残念かも…」

「でもマカロンも一緒に作ったからお茶にしましょう!」

「本当!セレナのマカロン美味しいから好きよ!」

「わーいマカロンだ!」

『デネデネ!』

「ではホルビー達も出した方が良いですね」

「じゃあ俺もケロマツたちを出すか」

「あ、私も!」

 

ポフレは全員に配っても余りがあるほどたくさんあるようだからシトロンがボールを取り出しながら言う。俺やハルカもその言葉を聞いて笑みを浮かべながらケロマツ達やバシャーモ達を出した。そしてシトロンたちはハルカが取り出したバシャーモ達に笑顔で近寄り、挨拶をしている。

 

「うわぁバシャーモたちだ!凄く強そう…!」

『デネ!』

「レベルが凄まじく上ですね…これならバッチを取得するのも困難ではないかと…」

「見てるだけでもポケモンたちの毛並みが良いって分かるわ!…パフォーマーだけじゃなく、コーディネーターも同じようにポケモンたちのコンディションを整えたりするのね…?」

「ええそうよ!パフォーマーは知らないけど、コーディネーターとして当たり前のことかも!」

 

「…久しぶりだなバシャーモ達」

『ピィカッチュ!』

『バッシャァモ!』

『ハァァアア!』

『ネェエ!』

『バァナァア!!』

『ガメェエ!』

『シィア!』

 

ハルカのポケモンはホウエン地方やカント―地方で見た手持ちたちが並んでいた。でも見当たらないポケモンもいて…どうやらゴンベはトウカジムに預けられているらしい。ハルカから話を聞いたらそうだと言ってくれた。

バシャーモ達は俺たちに近づいてピカチュウと同じように笑みを浮かべて久しぶりだと挨拶をしている。そして俺の近くにいたケロマツとヤヤコマは強そうな相手だと感じとり、無意識に戦いたいという表情を浮かべていた。でもケロマツとヤヤコマはまだまだ育成途中だし、今のままハルカと戦ったとしても勝てるかどうかは分からない。戦法によっては勝てるかもしれないが、どちらにしろ今はポフレを食べるという目的でボールから出したのだから戦うのは駄目だという意味でケロマツとヤヤコマの頭を撫でた。ケロマツとヤヤコマは俺の言いたいことが分かったのかすぐに残念そうに顔を俯かせ…でも戦う機会があれば戦うぞという意欲を燃やしていた。まあバトルが好きということに関しては俺は何も言うつもりはない。バシャーモ達もハルカの指示で戦ってもいいというのなら戦うだろうし、あっちも好戦的な目で見つめ返していたから放っておいても問題はないだろう。

 

…そして皆にポフレやマカロンを配り、さあ食べようと言うときにそれは起こった。

 

 

『マ、マァロ…!!?』

「え!?ポフレが勝手に宙に浮いてる!?」

「何だあのポケモン……ペロリーム…?」

『ピィカ…?』

 

『ぺエロォ…』

「ペロリームがそのポフレ、まあまあだって言ってるわ」

「むっ…まあまあって何よ…あなたは誰?」

「私はミルフィ。ペロリームは私のパートナーよ」

『ペロォォ』

 

 

ペロリームというポケモンはどうやら甘い匂いに敏感なポケモンだと図鑑を見て分かった。そしてミルフィという少女は何やらお菓子を作っていて、セレナの作ったポフレよりもこっちの方が美味しいわよと言って配りだした。一応言っておくとセレナのポフレはすべて俺たちがミルフィと話をしている間に食べていたので、もう残ってはいない。食べ終わっている状態にセレナは安堵してはいるが、ミルフィの挑発ともとれる言葉に怒り、無表情で配っている様子を見ていた。

 

ピカチュウたちは貰ったポフレを見てどうすればいいのか悩んでいる。でもハリマロンがポフレを貰った瞬間食べてとても美味しそうだと叫ぶ様子を見てからセレナの表情をちらりと窺う…セレナはミルフィの言葉で怒っているために無表情だったが、ハリマロンの大げさな様子から我慢できずに貰ったものだし仕方がないかと食べ始めた。そしてセレナのポフレを食べた時とは違って明らかに物凄く美味しいと反応しているピカチュウたちの様子にセレナは微妙そうな表情を浮かべていた。

 

―――そしてミルフィは自信満々な表情でセレナを挑発する。

 

 

「ポケモンにあった美味しいポフレを作る…それが基本よ」

「それぐらい私だってできるわ!」

「ええそうね。できて当然よ」

「ちょっと!何よその言い方!!」

「はぁ?あなたがまだまだポフレを分かっていないようだから言っただけでしょう?」

 

「おい落ち着けってお前等」

『ピィカ』

「セレナのマカロン美味しいよ?」

『デネ?』

「いやユリーカ、そういう問題じゃないよ……ほら落ち着いてくださいセレナ!」

「というより、美味しいお菓子を作れる時点で凄いと思えるかも…」

『バシャァ…』

「ああそういえばハルカはあまり料理できないよな…」

『ピィカッチュ…』

 

セレナたちが争っている中、俺たちは止めようと仲裁をするが次第に口論は悪化していく。そんな中でハルカは少し羨ましそうな表情でセレナたちを見てお菓子が作れると言うことが凄いと言った。その言葉に俺はホウエン地方での旅を思い出す。

確かに俺たちは揃って料理ができない。…俺なんてキッチン禁止令が出されたほどだ。

ハルカも一時はタケシに教わろうと必死に努力していた時もあったが、いまだに完璧にできずにいて、ポケモンセンターで大きなお弁当を特別(料金付き)に作ってもらったりしながら一人旅をしていた。だからこそシトロンやセレナが料理を作れると言うことにハルカは良いなぁと呟いてしまうほど羨ましいのだろう。まあ俺もできないし…得手不得手はそれぞれあるのだから仕方がないと諦めよう。

 

そう考えている間に、セレナと口論しているはずのミルフィが俺に近づいて話しかけてきた。

 

「あなた、サトシよね?いろんな地方であなたが有名なこと全部聞いたわ」

「はぁ…まあバトルで勝ったりしてるからな。でもそんなに有名じゃないって…」

『ピカピカ』

「ちょっとサトシに近づかないでよ!」

「あら、あなたには関係ないことでしょ?それとも何?セレナとサトシって付き合ってるの?」

「いや違うけど」

『ピィカッチュ……』

「付き合っては…いないけど…でも将来的には付き合うんだからね!」

「あら、そんなのあなたの勝手じゃない?ねえサトシ、私と付き合いましょうよ?あなたのバトルを見て興味を持ったわ。すべての戦歴も調べたの…サトシが凄いってこと全部知って私はあなたの傍にいたいって思えたのよ。だから私と付き合って」

「いや結構です」

『ピカピ……』

『ケロォ…』

『ヤッコ…』

「お前等そんな目で見んな」

『ピィカァ……』

『ケロケロ…』

『ヤッコォ…』

 

「そ…んなこと…絶対に許さないんだからぁぁ!!!」

「あなたがサトシに我儘言える立場なのかしら?将来的に付き合うだなんていう妄想もそこまでにしなさい」

「そっちこそサトシに付き合うだなんて断言しないでほしいわ!もしもサトシとあなたが付き合ったら…私、何をするのか分からないわよ」

「ふん…あら、それって脅してるわけ?」

「脅しじゃないわよ!!」

 

 

セレナの目が一瞬暗くなり、前にいろいろと恐ろしいことを言った時のような表情をしたのだけれど、直視していなかったミルフィはセレナの異変に気づいていない。だからこそ助かったのかもしれない…というよりもミルフィはセレナを挑発するために俺と付き合えとかよく分からないことを言いだしたのだろう。もしも喧嘩するような雰囲気じゃなければミルフィは普通にポフレを渡して別れたかもしれない…。とにかくミルフィは俺の事よりもどうやってセレナを怒らせ、挑発するかを考えているようだったから…俺を巻き込むなと叫びたくなり、ため息をついてセレナたちには気づかれないようにシトロンたちの方へ向かう。

 

「…俺、ポケモンセンターに帰ってもいいか?」

『ピィカ…』

『ケロォ…』

『ヤッコォ…』

「いや…この喧嘩の元凶はサトシなんですから止めなければいけませんよ…」

『リィマ…』

『ホッビィ』

「サトシ急にモテてる!凄いわ!」

『バッシャァ!』

「そういう感想いらねえからハルカ…それにこれ明らかに俺モテてないからな」

「…え、そう?」

 

「あ、ねえこれで勝負つけたらどうかな?」

『デネデネ?』

 

 

ユリーカとデデンネがある張り紙を見ながら叫ぶ。その声を聞いた俺たちはユリーカとデデンネが見ている張り紙の方を振り向く。そしてその張り紙にはポフレコンテストという文字があり、おそらくユリーカは最初に喧嘩をし始めたのがポフレのことであり、俺のことはとにかくポフレはセレナとミルフィのどっちが美味しいのかコンテストで決めればいいと言ってきたのだろうと分かった。そしてミルフィはその張り紙を見てからセレナの方を見て、挑発的に言う。

 

「私はコンテストに出るためにこの町に来たのよ」

「じゃあ勝負ね!」

 

「おっとその前に、コンテストで勝ったら俺と付き合うとかそういう話はすんじゃねえぞ!」

「あら残念…私ならすぐに勝てる自信があったのに…」

「そういうこと言ってると油断して私が優勝するんだからね!というか絶対に勝ってみせるんだから…!!」

 

セレナたちはポフレコンテストに出場し、勝負することを決めたらしい。でもただ勝つだけじゃなく俺について何か言いそうな気がしたために先手を打った。するとミルフィは残念そうな表情で俺を見て勝てる自信があるような…セレナに挑発するようなことを言う。俺を巻き込むなと思い、キレそうになったがここで騒いだらミルフィが何か行ってきそうな気がしたために止めておく。

セレナはその言葉を聞いて苛立ちながらもミルフィに挑発し始めた。最終的には睨み合う状況になり、シトロンとユリーカは止めようと動き、ハルカは俺に近づいて肩を叩いて慰めてきた。

 

 

「サトシ、そろそろ諦めた方がいいかも」

「誰が諦めるかよ…俺は最後まで諦めるつもりはねえぞ」

『ピィカチュ…』

『ケロォ…』

『ヤッコォ…』

「だからお前等、そういう目で見るなって!」

 

 

 

「……でも、サトシ。何だかセレナのこと受け入れかけてるみたいな感じがするけど…気のせい…かも?」

『バッシャァ…?』

「気のせいだ絶対!というかありえねえよ!!」

『ピカピ…』

『ケロケロ…』

『ヤッコォ…』

 

 

 

 

―――――――結局、ポフレコンテストはセレナとミルフィのどちらも優勝することなく引き分けとなった。

 

 

 

 




兄の心境。
 今日の学んだ事。またこんなことがあったら巻き込まれる前に離れるのが優先だな。




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