マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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全てが終わったからこそ、帰り道は長くて遠い…らしい…。






第百九十七話~妹たちはマサラタウンへ帰る~

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。3つのバッチを手に入れることができたためこれからマサラタウンに帰ってバトルしに行きます。

今までのバトルで学んできたこと、そしてタケシさん達が私たちに親切にしてくれた分をすべてバトルで勝つために頑張っていきたいと思った。とにかく私たちのやるべきことは勝つことだろう…なるべく早く帰っていかなければとクチバジムを出て、マチスさん達と別れた私たちは急がなければと考えながらも町を出て歩いている。

 

 

そんな時に上空から大きな音が聞こえてきたため私たちは空を見上げた。

 

 

「…あれ?ミュウツー?」

『カゲ?』

『ピチュ?』

 

『ああやっと終わったのですね…バッチは?』

 

「ちゃんと貰ったよ!…まあ負けちゃったけど、でもまた再戦するって約束したからね!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

 

『それは良かった。おめでとうございます…とにかく急ぎますよ…!』

「え、急いでどこに…うわっ!?」

『カゲ!?』

『ピチュ!?』

 

 

ミュウツーが上空を見つめながら私たちにバッチは手にしてきたのかどうか言ってきたため、私はバックの中に入っているバッチ入れを取り出してから見せる。それを見たミュウツーは満足そうに微笑み、良かったと祝福された。

それを見た私は少しだけ笑みを浮かべながらもバッチをバックの中に戻す。だが戻した後いきなりミュウツーが私たちをサイコキネシスで浮かせてそのまま空へ飛びあがった。何が何だか分からない私たちは驚いた声を出した。

 

ミュウツーはただ後ろを気にしながら猛スピードで私たちをサイコキネシスで宙に浮かせたまま何処かへ行く。

 

 

『待て貴様…!!』

 

 

「ってあれミュウと争ってたミュウツーだ!!!何でいるの!?」

『カゲ!?』

『ピチュ!!』

『しつこいですねあなた…私はあなたと争うつもりは微塵もないのですよ!』

 

『そういうのならヒナたちを置いていけ!俺がマサラタウンに連れて行く!』

『お断りします。私が彼女たちについていくと約束したのですから。あなたはさっさとマサラタウンで待っていなさい!』

『だから!ヒナたちはもうマサラタウンに帰るんだろう!!待つぐらいなら俺が連れて帰ると何度もそう言っているだろうが!!』

『それを私はお断りしますと言っているんです!!』

 

 

「あれ?何か険悪…」

『カゲ…』

『ピチュ…』

 

 

いつもマサラタウンで話をしたりしていたミュウツーが私たちと一緒に旅をすると決めたミュウツーと争っている。争っている内容が私たちをマサラタウンに連れて帰ると言う内容で…ちょっとだけ苦笑してしまった。

というかミュウツーたちの後ろで呆れた表情をしているミュウやセレビィがついて来ていて…呆れて見ているぐらいなら止めてほしいと思った。その後ろでラティアスを止めているラティオスがいて…ルギアやダークライもいて…あと妙に楽しそうな表情を浮かべているもう1体のミュウもいて…これを人間が見たら大騒ぎするなと他人事のように考えてしまった。

でも今私たちはイッシュ地方で出会ったミュウツーのサイコキネシスで宙に浮いている状態だ。しかも猛スピードで飛んでいるという状況…それなのにもう一体のミュウツーと喧嘩をしていて…もしも私たちに発動しているサイコキネシスが途中でなくなり、落ちてしまったらどうしようと心配になる。

だから私は後ろから追ってきているマサラタウンにいるはずのミュウツーに向かって叫ぶ。

 

 

「ミュウツー!何でここにいるの!?マサラタウンにいてって手紙に書いていたよね?もう口きかないよ!」

『ッ…それは…』

『ふふ…良い気味ですね!私たちを追わずさっさとマサラタウンで待っていなさい!』

『グッ…貴様…!!』

『…ミューゥ』

『レビィ…』

 

 

「おーいミュウにセレビィ…呆れてるぐらいなら喧嘩止めてよ…それにルギア達もさ…」

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

 

 

『すまないが私たちは何度も彼らの喧嘩を止めようとしたんだ優れたる操り人の妹よ…』

『フォォォオ…ああ、何度も眠らせた』

『…まあ、それで悪化したような気もするがな』

『フォォォ…?』

『ミュミュミュ!!』

『キューン!!キューン!』

『クゥーン…』

 

「ラティアスとミュウが何だか楽しそうだし…とにかくこの喧嘩どうにか止めてよ…!」

『カゲェ!』

『ピチュゥ!』

 

私が口をきかないよと言うとマサラタウンにいるはずのミュウツーが口を閉ざして視線を逸らす。それを見た私たちについて来ているミュウツーは嘲笑いながら挑発するように言う。その言葉にキレたミュウツーがもう一体のミュウツーを睨みつけていて…。喧嘩が白熱しそうな勢いにどうしようかと思って肩をすくめているミュウ達に助けを求める。でもルギア達は諦めきっていると言うよりも疲れているような表情を浮かべて、何度も止めたと言うことと、それでも喧嘩が止まらないと言うことを伝えてきた。あと私たちの方を見て妙にラティアスが嬉しそうに笑みを浮かべ、そして後ろにいるミュウはただ面白そうに笑っていた。何というか…とりあえずこのままでは駄目だろうと思い、どうするべきかを必死に考える。

 

そんな私たちの表情を見て、呆れていた方のミュウが仕方ないとばかりにマサラタウンにいるはずのミュウツーをサイコキネシスで押しとどめた。

 

 

『貴様ッ!一体何をする!?』

『ミュゥミュゥ!』

『何!?このままでいるよりマサラタウンに帰って待っていた方がいいだと!?そんなことでき―――――』

『――――ミューゥ!』

 

 

「…テレポートして行っちゃった?」

『カゲ』

『ピチュ…』

『おそらくあのミュウの仕業でしょう…ですがこれでゆっくりとマサラタウンへ帰れます』

「あ、ごめんミュウツー…できればサイコキネシスのままマサラタウンに行ってもらってもいいかな?これ以上皆を心配させたくないから…」

『…………………仕方ないですね』

 

 

『…では私たちも帰るか』

「あ、一緒に帰るとかは駄目だよ?ルギア達は目立つからね」

『カゲ』

『ピチュ』

『だが、姿を消せば何とか…』

『キューン!!』

「だめ!私たちはただマサラタウンに帰るだけだし、そんな大勢で帰らなくても大丈夫だよ?あとでまたすぐに会えるんだからさ」

『カゲカゲ』

『ピチュピチュ』

 

『ッ…そう…か……仕方がない…非常に残念だが私たちはあのミュウツーのようにテレポートで先に帰っておこう…』

『フォォォオ…マサラタウンで待っているぞ』

『キュゥーン……』

『クゥーン!』

『レッビィ!』

『ミュゥ!』

 

「うん!マサラタウンでまた会おうね!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

 

ミュウは暴れそうになっているマサラタウンにいるはずのミュウツーを強制的にマサラタウンまでテレポートしていったみたいだった。

これを見た私たちの近くにいるミュウツーはため息をついてサイコキネシスを解き、地面に着地する。そしてルギア達も人間たちがいないのを確認してからこちらに向かって降下して来た。その影響で周りにいた普通のポケモンたちが恐れて逃げ出してきたけれど、まあ仕方がないと思う。

でも、このままだとゆっくりと歩いて帰ることになるだろう。私としては先ほどのサイコキネシスで帰ることができれば、この先帰ることによって経過するであろう時間を短縮することができると考えた。だからこそわがままを言ってしまうけれど、ミュウツーにサイコキネシスでマサラタウンへ帰ってもらうよう頼んだのだ。ミュウツーは少しだけ残念そうな表情をしたかと思うと小さく頷いて了承し、私たちをもう一度サイコキネシスで宙へ浮かせ、空へ飛んでいく。

それを見たルギア達は私達と一緒に帰ろうとしたけれど、それだと余計に目立ってしまい、万が一の可能性やすぐにマサラタウンに会えるということから先に帰って待っていてくれと言った。するとルギア達はものすごくショックを受けたような表情を浮かべて…でも仕方がないと諦めたようですぐに楽しそうなミュウによってテレポートで帰っていった。

 

 

「…ミュウツー、我儘を聞いてくれてありがとう!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピッチュ!』

 

 

『いえ、これぐらいお安い御用ですよ』

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

そしてその後、ミュウツーのおかげで普通だったらここまで来るのにかなり時間がかかるであろうマサラタウンの近くの森へ着地し、帰ってくることができたのだった。

このまま歩けばすぐにマサラタウンに着くことができる。ミュウツーが近くの森に着地したのは人間たちに見つかる可能性があるということや、危険を回避するためである。そんな危険性から森に着地したのだろうと納得しながらも、私たちはミュウツーを見て微笑む。

 

「やっと帰れた…ここまでついて来てくれたミュウツーには本当に感謝してる!!ありがとう!」

『カゲカゲ!!』

『ピチュ!!』

 

『…礼を言うのならまずは人間達とのバトルで勝ちなさい』

「わかった…絶対に勝つからね!!」

『カゲェ!』

『ピッチュゥ!』

 

 

『ああ…それと私はしばらくあの同族と話し合いでもしています。ですからここで一時のお別れになりますが…次に会うときは勝利の言葉だと信じてますよ…ヒナにヒトカゲにピチュー』

「うん!ありがとうミュウツー!!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

 

 

ミュウツーが言った【話し合い】という言葉が少しだけ物騒に聞こえながらも…私の名前をちゃんと言ってくれたミュウツーに笑みを浮かべた。

最初の頃とは違い、人間のことを少しだけ信じようとしてくれているミュウツーに向かって…次に会ったときは絶対に三人組に勝ったという言葉じゃないといけないと思いながらも気合いをいれる。そしてミュウツーはそのまま空へ飛んでいき…私たちはミュウツーの姿が見えなくなるまで手を振って見送っていた。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「…ヒナッ!!」

「あ、ママ!!」

『カゲ!』

『ピチュ!』

 

「っ!」

『カゲ!?』

『ピチュ!?』

「心配したのよ!…本当にもう…次に家出する時は一言ぐらい言いなさい…!」

「……分かった。ごめんなさい」

『……カゲ』

『……ピチュ』

「ママとの約束よ?」

「うん…!」

『カゲカゲ!』

『ピチュ!』

 

「よし良い子ね…じゃあ早く帰りましょうか!ママ美味しいご馳走作るわ!」

「…あ、待って!…やるべきことがあるからまだ帰れない…!」

『カゲ!』

『ピチュ!』

 

 

森から出て、マサラタウンへ帰って来た私たちは、家の近くを通りがかった時に母と再会した。母はどうやら掃除をしていた途中らしく、手に箒を持っていて私たちを茫然と見つめていた。

母は目に涙を浮かべていて…私に向かっていきなり平手打ちをしてきた。でもそんなに痛くないビンタで…泣きそうになっている母に、本当に心配させてしまったということ、次は絶対にこんな無謀なことはしないと心から誓う。

母は私たちが家出をしたという認識をしていて…まあ間違いではないかと思いながらも、約束をした。今度旅をするときは、私たちがトレーナーになった時だと言うことを考えながらも…。

 

そして母は涙を拭い、私たちに笑みを浮かべて帰ろうと言う。でも私はヒトカゲ達を見て…そして次に母に視線を移した。ヒトカゲ達は私が見た時に頷いていてやる気に満ちていた。―――――このままあの勝負をやろうと決めているのだ。

だからこそ…やるべきことがあると言うことを母に話す。母は心配そうな表情をしてから…私たちに向かって口を開いた。

 

 

「…そう、ならママも一緒に行くわ。ヒナちゃんがやりたいことを、ママも見ていたいって思うの」

 

「ママ…わかった」

『カゲ…』

『ピチュ…』

 

 

母が一緒に私たちについてくることになった。母は私があの三人組と勝負をするということや条件については知らない…だから何をするのかも分からないのだ。そのことに少しだけ不安を感じた。この条件や勝負を見て、母はどう思うのだろうかと…でも母はもう私たちから離れないとばかりに強い眼差しで言うため、これは断れないと感じてしまったのだ。母は何も言わず、私のやることを止めようとせず、一緒に行動しようとしている。

だからこそ、私たちは離れようとはしない母たちに心配かけたことに対して罪悪感を感じ、このまま三人組と会ってどうなるのか余計に不安に思い……勝負に負けていられないと思った。

 

――――そして私たちは歩きだし、まずオーキド研究所の近くにある道を通る。

いつもあの三人組はその場所で遊んでいることが多いから必ずいると思ったのだ。そしてやっと見つけた。あの三人組を…。

 

 

「ヒナ…」

「よぉヒナ…あの条件はできたのか?」

「勝負を受けに来たって感じだね…なら僕たちはポケモンを取りに一度帰るよ…そしてここじゃなくもっと大きい広場で戦おうか」

 

「ええいいわよ…絶対に私たちが勝つんだから!!」

『カゲ!』

『ピチュ!』

 

「え、ちょっと待って。ヒナちゃん、一体何をしたの?条件って…勝負って一体何?」

「ママ…ごめん。それはまた後で言うよ」

『カゲ…』

『ピチュ…』

「…そう。…じゃあ広い場所で戦いたいのならオーキド研究所でバトルしなさい。それならママも何も口出しはしないわ」

 

「ママがそういうなら…それでいい?」

「ふん…俺たちは別に何処だっていいぜ?ママさんに守られてるお前に負けるわけないしな!!」

「そうそう!俺たちは無敵だぜ!」

「オーキド研究所ね…じゃあそこに集合しよう…言っておくけど僕たちは負けるつもりはないよ」

 

 

三人組が面白いという表情を浮かべていて、強いポケモンを取りに家に戻ると言う。そして何処か広い場所で合流しようということになり、私たちはそれに頷いた。そして広い場所はどこにしようかと決めようとした時に後ろにいた母が質問をしてきたのだ。

三人組との話が私たちの家出と関わっているのだと直感した母が、どういうことなのか聞いてくる。それをまだ言うつもりはなく…というよりも、まず先に言ってしまったら母に怒られることは必須だろうし、勝負にならなくなってしまう。だから後で言うと言って誤魔化した。とにかくまず先に勝負に集中しようと思ったからだ。そして母はそれを見て仕方ないという表情を浮かべ、オーキド研究所の広場でバトルしなさいと言ってきた。

…それはつまり、私達や三人組を逃がす気はないと言うこととオーキド博士たちの前で公平なバトルをしろということだ。普通そんなことを言われたら私たちは嫌そうな表情を浮かべて断った方が良いだろう。なんせ私は旅をするためにほとんど無断でマサラタウンから外に出て、三人組はその無茶を言ったのだから。

でも三人組は悪いことを言ったつもりも、無茶を言ったということも感じていないのか…オーキド研究所に入れるということに興奮したような表情で少しだけ偉そうに言う。その言葉に苦笑しながらも私たちは頷いたのだった。

 

 

 

 

 




To be continued.




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