マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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カロス地方ではポケビジョンという動画が娯楽として有名であり、様々な人たちに見てもらうことができるとして知られている――――――。






第百九十六話~兄はセレナに巻き込まれる~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。バトルシャトーで次のジム戦がザクロさんだということを知り、より楽しみになってきました。あれほどまでにも技を鍛え上げているザクロさんと戦うのだから、こちらも負けていられないと考えています。ザクロさんとどう戦っていこうか考えながらも、ショウヨウシティへ向かい…現在はセレナたちと休憩している途中です。

 

 

ポケモンセンターで見たい番組があるとユリーカとセレナが言ってきたため、俺たちはテレビがある場所まで移動し、それを見る。テレビではポケビジョンというカロス地方で有名な動画作品のランキングが発表されていて、シトロンから話を聞くとトレーナーが自分で作るポケモンのプロモーションビデオらしい。

カロス地方で初めて見たそのポケビジョンに、俺とピカチュウはなるほどと納得する。そしてテレビはそろそろ終わりに近づいていて、ランキングが一位のエルという少女とフォッコが映し出されていた。エルとフォッコが映し出されたことにユリーカ達がやっぱり!と声を出して見ていて、シトロンが彼女のことを説明してくれた。エルがポケビジョンのランキング上位の常連で、アイドルポケモンユニットとしてデビューをしたということを―――。

 

そして動画の画面でエルとフォッコがウインクしたことによって近くにいたハリマロンがタケシやポッチャマ、ミジュマルのような表情をしていて興奮している。そしてそれを不機嫌そうに見るのがセレナのフォッコで…ユリーカ達も可愛いと絶賛していた。でもすぐにセレナのフォッコが不機嫌なのが分かって可愛いよとフォローする。セレナのフォッコは少しだけ機嫌を良くしたようだった。

 

 

「可愛い!流石エルさんね!」

『デネデネ!』

「ランキング上位だった人ですからね。人気なのは当然です」

『リィマァ!!』

 

 

「…サ、サトシはエルさんのこと気になる?…可愛いとか」

「んーどっちかって言うとフォッコがどんな技を出してアピールするのかが気になるな」

「そっか…良かった…」

 

 

「…こっちはまだまだ進展しなさそうですね」

「セレナ頑張れ!」

『デネデネ!』

『ピッカチュ…』

『フォコ!』

 

「……サトシ」

「……………………」

 

 

色々と微妙な空気になったが、その後すぐに話題を変えてポケビジョンで行う機材があるという話を聞き、俺たちは皆でポケビジョンをやることになった。俺は修行をした方が良いという考えもあったのだが、それよりもどんな風にカロス地方で人気だというポケビジョンを作っていくのかが気になるので手伝うことにした。

修行は朝やったというのもあるし、ポケビジョンから新しい戦い方を作り上げることもできるかもしれないと俺とピカチュウはそう考え納得したからだ。

 

でもポケビジョンを作りたいと言うセレナはただのプロモーション動画を作ろうとは考えていなかった。ただ1人のトレーナーとポケモンが映った紹介よりも、ポケビジョンでやりたいことがあると俺たちに向かって言う。

 

 

 

「ねえ皆で撮ろうよ!私たちの、カロス地方での旅のことやポケモン達を!」

「え!?僕も映るんですか!?」

「面白そう!お兄ちゃんも出ようよ!私もデデンネも映るよね!?」

『デネ!?』

 

「もちろんよ!」

「わーいやったぁ!」

『デネデネ!』

 

「…と言っても、どんな動画を作るつもりなんだ?」

『ピィカ?』

 

「え?…うーんそうねぇ…」

 

 

セレナたちはポケビジョンでどう撮影していこうか悩み始めた。ポケビジョンは普通はトレーナーとその手持ちのポケモンたちの紹介動画だ。そのため普通だったらまだトレーナーじゃないユリーカやデデンネはポケビジョンに出ることはできない。でも仲間の紹介動画だから大丈夫だとセレナは言った。

その問題が解決したとしても、まだまだやるべき問題はある。撮影する時間は短いのが普通らしく、長い時間を使った紹介はできないということや、紹介と言ってもどう紹介するのか短い動画の中で自分たちで考える必要があると言うこと。だからこそやることは限られてくるのだ。

 

でもセレナは少し考えた後、決めたようだった。

 

「じゃあ、バトルしない?バトルって言ってもホウエン地方のポケモンコンテストみたいなアピールする技を使ったプロモーション動画を作るの!」

 

「ホウエン地方の…ポケモンコンテスト?」

『デネ?』

「確か…こちらで言うポケモンパフォーマーのようなものでしょうか?」

「ええポケモンパフォーマーと似ている感じなのよ!前にテレビで見たことがあってね。一度でもいいから技を使ったパフォーマンスをやってみたいって思ってたの!」

 

 

 

「ポケモンパフォーマー…?」

『ピィカ…?』

「あ、そっか。サトシは知らないのよね。ポケモンパフォーマーって言うのはね――――」

 

 

セレナから聞いた話は、ホウエン地方やシンオウ地方で見たポケモンコンテストとは違ったことをするらしい。でも共通して言えることはポケモンをどうアピールしていくかということと、ポケモンを魅力的に見せてどう目立たせていくかということだった。ポケモンパフォーマンスはその自由度が広がった大会なのだろう…ポフレや衣装、道具を使って行ったり、技を使って人と一緒にその絆の強さを見せたり…ハルカやヒカリが聞いたら喜びそうな大会だと思えた。

 

そんなポケモンコンテストやパフォーマンス大会で行うポケモンのアピール技をセレナはポケビジョンでしたいと言う。シトロンやユリーカも面白そうだと言って賛成しており、機材をすぐに借りて広い場所で動画を撮影することになった。

とりあえずどうバトルしながらアピールするのかシトロンやユリーカが考えていたため、俺はピカチュウと一緒にトネリコタウンでハルカと争った時のアピール技を見せることにした。

 

 

「いいか見てろよユリーカ、デデンネ……ピカチュウ!」

『ピカピッカ!』

 

「うわぁ!綺麗!電気の鼠花火みたい!」

『デネデネ!』

「あ、じゃあハリマロンのつるのムチで花火を自在に動かせないかしら?」

「や、やってみます。ハリマロン!」

『マァロ!』

 

シトロンとユリーカのポケモンたちの撮影は終わった。シトロンとユリーカがバトルしてるように見せかけて、デデンネがピカチュウに教えてもらった鼠花火を地面に放ち、ハリマロンによって輪となっている部分をつるで引っぱって投げる。投げられた先にはホルビーが穴から出ていて、まるで輪投げのように綺麗に収まるという形で終わっていた。ちょっとだけ笑いを誘えるけれど、ポケモンたちの技の掛け合いとトレーナーの指示によってできた技に仕上がったのだ。

 

そして次は俺たちの番――――。

 

「いくぞセレナ!…ピカチュウ、10まんボルト!!」

『ピィカァッチュゥゥウウ!!!』

 

「フォッコ、10まんボルトに向かってかえんほうしゃ!」

『フォッコォォオ!』

 

俺はピカチュウに10まんボルトを空へ放つように指示をする。その放たれた電撃をセレナは最近覚えたと言うかえんほうしゃで爆発させた。爆発によって大きな爆風と炎がその技の強さを見せて、…そして次のアピールへ進む。

 

 

「ピカチュウ、エレキボールからのかみなり!」

『ピカピッカァ!』

 

「フォッコ!めざめるパワーからのかえんほうしゃよ!」

『フォコォ!』

 

「よし最後だ…ケロマツ!みずのはどう!ヤヤコマかまいたち!」

『ケロ!』

『ヤッコォォ!』

 

 

爆風に向かってエレキボールを放ち、黒煙などを吹っ飛ばす…そしてかみなりによって電気が周りに飛び散り、先程放ったエレキボールが綺麗に粉々になっていく。その小さな光となった電気のような輝きに向かってフォッコも同じようにめざめるパワーを上空に放ち、かえんほうしゃで破裂させた。

周りが小さな黄色い光に包まれ、そして中心で赤く燃え広がる太陽のようになる。そしてケロマツとヤヤコマの技によってピカチュウとフォッコの技をさらに大きくし、輝かせていく。そうしたことによって月と太陽のような対比を技によって作り出せ、周りに星空のような風景を作り上げていく。

…こうして、無事に撮影ができたことにセレナたちは喜んでいた。

 

そして動画は編集をしてから無事にポケビジョンに投稿された。セレナたちは満足そうにしていたから良かったと思う。とりあえずまたハルカやヒカリに連絡できた時にでもポケモンパフォーマーについて話してみようと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――だがこの動画が後々大きな騒ぎの火種になるというのを、俺たちはまだ知らない。

 

 

 

 

 

 

 




兄の心境。
 とりあえずやれることはやったから満足。





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