マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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ある意味楽しめそうな施設である…。





第百九十四話~兄はバトルシャトーを知る~

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。ポケモンセンターに一晩泊まった俺たちは現在セレナとユリーカからある建物で行われている話を聞いている最中です。

どうやらセレナがユリーカと一緒にジョーイさんに話を聞いて、それで調べていたみたいだ。何やら絶対に楽しんでもらえるだろうと自信満々に、その建物について話し始めた。

 

 

「…バトルシャトー?」

『ピィカ?』

「初めて聞きましたね…」

「バトルができるって有名なの。サトシが絶対に好きになれるところよ!!近くにあるから行ってみましょう!」

「へえ面白そうだな…」

『ピカッチュ!』

「でしょ?」

 

「バトル…っというと普通にトレーナーとバトルできるということですか?」

「ううん違うよ!バトルして勝ったら何かもらえるってジョーイさんが言ってた!」

『デネデネ!』

「何かについては教えてくれなかったんだけどね…」

 

「まあとにかく行って見ればわかる…っ!?」

『ピッ!?』

 

 

「それなら爵位だよゥ!」

 

 

バトルシャトーという話を聞くと、イッシュ地方にあったポケモンバトルクラブを思い出す。でもこのカロス地方では何かを貰えるということから、大会のようなものなのかもしれないと考えた。

とにかく行って見ればわかるかと立ち上がろうとした時、後ろに誰かがいると感じてすぐに警戒する。カラマネロの件から何かあっては困るからとピカチュウと俺がとっさに振り返ったら、後ろにいたのは2人のトレーナーだった。顔が似ているから兄弟かもしれないと考える。

まあおそらく俺たちの話を聞いてバトルシャトーについて教えてくれるらしい。それを見て悪い奴らじゃないと判断した俺とピカチュウはお互いの顔を見てから頷きあった。兄弟の肩に乗っているヤヤコマと…進化形のヒノヤコマを見て図鑑で調べ、挨拶をする。そして兄弟がバトルシャトーを詳しく説明するのは面倒だからとりあえず見学しに来いということで俺たちは一緒に行くことになった。…ちょっと口調がうざいと思ったのはまあ仕方ないよな。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

歩いている途中、兄弟が何でバトルシャトーに行くのかを教えてくれた。弟のテスラの方はバトルシャトーで爵位を貰うために挑戦したいということらしく、兄の方は弟を応援するために…そしてバトルシャトーでのデビュー戦を見るために一緒に来たと言う。普通に喋ることもできるが、たまにラッパーのような変な口調になって話すのを聞いて俺たちは苦笑してしまった。

だが見えてきたバトルシャトーにセレナやユリーカが綺麗だと言って目を輝かせ、俺とピカチュウ、そしてシトロンはバトルシャトーの近くに見えているバトル場を見つけてあそこで挑戦するのかと考えた。水に浮かぶバトル場は、イッシュ地方のポケモンバトルクラブとは違って大きくて眺めが良い。それに屋外でやると言うことから自然に発生した雨でバトルするのも…天候を変えてバトルするのも面白くなりそうだと考えた。

 

そして出入り口の近くに書かれた文字は、爵位で強さを示せというある意味トレーナーとして挑戦し甲斐のあるところなのだと感じた。イッシュ地方のポケモンバトルクラブでは様々なトレーナーとバトルすることは可能だったが、こういった強さを決定付けていき、より高い爵位を目指すということはなかった。だからこそ面白いと感じ、笑みを浮かべた。

 

「中に入ろうよぅ!」

「俺のバトルを見ていけよぅ!」

 

「…おう…そうだな」

『…ピィカッチュ』

 

 

ラップ気味の口調で話す彼らに背を押され、バトルシャトーの扉を開ける。そして中に見えてきたのはかなり高級感あふれる屋敷の内部だった。鎧や絵が人に見えやすいように置かれ、立派な花が高そうな花瓶によって飾られていた。それらはまるで美術館のような光景だと俺たちは思えた。そしてそんな光景を遮るのはバトルシャトーの案内人と思わしき女性がお辞儀をしてからこちらに向かって声をかけたからだった。

 

 

「バロン、ニコラ様…バトルシャトーにおかえりなさいませ」

 

「…バロンって…もしかして爵位のことか?」

『ピィカ?』

「ああそうだぜ。だがまずはちょっと待っててくれ」

 

普通の口調になったニコラは、弟を連れて女性に近づき、真剣な表情で話しかけた。俺たちは邪魔したらいけないだろうと数歩後ろに下がり、ニコラたちの話を聞いて待つ。

 

「今日は弟を連れてきました。デビュー戦をお願いします」

「テスラです…よろしくお願いします!」

 

「これはこれは…ニコラ様、弟様のデビュー誠におめでとうございます」

「どうも!」

 

 

「おやおや…あなたは…」

 

 

ニコラがテスラを紹介し、挑戦させてくれと頼みこむ。それを聞いた女性が頷いて案内しようとしたが、その時に扉の奥から紳士のような老人がやってきたために立ち止まる。老人はまずニコラたちを見て挑戦することに祝福し、頑張れと言う意味で声をかけている。それにテスラが頭を下げてありがとうございますと声を出して礼を言う。

 

そして今度は、老人が俺たちを見て微笑み口を開いた。

 

 

「あなたは…サトシ様ですね。お噂はかねがね伺っております」

「はぁ…えっと誰でしょう…?」

『ピィカッチュ?』

「サトシお前有名なのか!?」

「いや有名って言うより…勝手に周りに知られてるだけだぜ」

『ピカピカ…』

「でもたくさんの人が知っているぐらい凄いのよサトシって!」

 

「そうなのか…彼はイッコンさんここの当主なんだ」

「初めまして…あなたのような素晴らしいお客様を迎えるとは大変に嬉しく思っております。どうでしょう?サトシ様もバトルシャトーに挑戦していかれてはいかがですか?」

「本当ですか?俺も挑戦していきたいと思っていましたし…やります!」

『ピッカッチュゥ!!』

 

 

老人はイッコンさんという人で、このバトルシャトーを創り上げた当主だとニコラから教えてくれた。ニコラとテスラは俺を見てイッコンさんから聞いた言葉で有名なのかと反応していたが、俺とピカチュウはそれに微妙な表情を浮かべて答えた。でもセレナがまるで自分のことのように嬉しそうな表情で話したためにニコラたちはそうなのかと納得して、イッコンさんのことを話してくれた。そしてイッコンさんは俺に向かってバトルシャトーに挑戦してはどうかと誘ってくれたため、その言葉をありがたく受け入れようと考え、笑みを浮かべて頷いた。

 

イッコンさんがサロンという対戦相手を選んでいく場所へ案内してもらっている途中で話を聞くことができた。バトルシャトーは爵位を貰い、バトルしていって勝つことが多くなればなるほど爵位を高くすることができるということ、そして自分と同じ爵位の人間としかバトルができないということだった。

俺としてはこのままジム戦をするために旅を続けていきたいからこのバトルシャトーで爵位を上げるとなると時間がかかりそうだなということと…旅を終えて、またカロス地方に来た時にこのバトルシャトーに来ようという楽しみが増えた意味での考えがあった。

 

 

そしてやって来たサロンでは様々なトレーナー達が寛いでいた。扉を開けて来た俺たちに好戦的な瞳で見る彼らに、トレーナーとして戦うのが楽しみであり、面白そうだと笑みを浮かべる。だがピカチュウは何かを発見したのか俺に向かって話しかけた。

 

 

『ピカピ!ピカッチュ!!』

「どうしたピカチュウ…って何だあの人…」

「か、壁に人がよじ登ってる…?!」

 

 

「ああ、彼はザクロさんだよ。いつも登っているんだ」

「凄く強いんだよね…!」

 

「へ、へぇ…」

『ピィカ…』

 

登っているんだと説明されてもよく分からないと言いたい。まあ強いけれど変わった人なんだと認識して、俺たちは視線を逸らした。そしてニコラが前へ進み出て声を出すのを見る。それはバロンとして対戦してくれる人はいないかという誘いであって、バトルシャトーとしての対戦の仕方なんだと感じた。

そしてニコラに向けて白い手袋を投げる一人の男性が近づき、対戦を受けようと言ってきた。その言葉にニコラは頷き、勝負をするということになった。すると窓が開け放たれ、バトル場へニコラと男性が行くことになった。観戦できるようにテラスがあって、他のバトルシャトーで爵位を持つトレーナー達がバトルを見ようと歩く。俺たちも面白そうだと考えてテラスへ行き、そのバトルを観戦することになった。

バトルをする前にニコラたちはそれぞれバロンの象徴でもある白色のマントを着てやるらしい。爵位はナイト…つまり騎士という意味も含まれているからこそ、マントはその象徴でもあるのだろうと考えた。礼節や格調を重んじるべしというイッコンさんの話を聞きながら、バトル場を見つめる。通常のジム戦やバトルとは違ってバトルの始め方にもやり方があるのだとピカチュウと一緒にじっと見つめる。その間にもユリーカが格好いいと目を輝かせ、テスラたちと一緒にバトルを応援する。

 

そしてバトルが始まり…ヒノヤコマとヨノワールの戦いは一気に激しくなっていく。ヨノワールのかみなりパンチに直撃したと言うのにヒノヤコマがそれを耐えてニトロチャージで攻撃する。それによって土煙が舞い、ヨノワールの姿が見えなくなった。

 

――――――と同時に、俺の背を叩く誰かが声を出して呼ぶ。

 

「やっほー!久しぶりねサトシ君!」

 

「あれ…ビオラさん!?」

『ピィカ!?』

「まさかここで会うだなんて思ってもみなかったわ!でもサトシ君あんなに強いんだから当然か!」

「あ、あの…どうしてここにいるんでしょうか?」

「私も爵位を持っているからよ。こう見えても私、ダッチェスの称号を持っているんだから!」

「ダッチェス?」

『…デネ?』

 

「二番目に強い爵位…デュークの女性用の呼び方よ!」

 

「あ、女性と男性で爵位の呼び方って違うんですね!」

「なるほど…確かにビオラさんって強いですよね」

『ピカピカ』

「ありがとうサトシ君。でもサトシ君ならすぐに最上位の爵位まで取れそうよね」

「いやそれはどうでしょう?バトルは最後までどうなるのかわかりませんから」

『ピッカッチュ』

「確かにそうね…でもサトシ君なら必ずできるって私は信じているわ!」

「…ありがとうございます」

『ピッカッチュ』

 

ビオラさんからいろいろと話を聞いている最中でバトルはもう終了していたらしく、審判の声がバトル場に響いたためにバトルを見るために振り返る。そして見えてきたのはヨノワールが倒れ、ヒノヤコマが勝利している光景だった。ニコラが勝利したために爵位を上げることができたため、マントの色が白から青へ変わった。

 

そして大きな拍手で祝福され…ザクロさんがよじ登っていた窓から落ちた。

 

 

「ああまたなの…」

「サトシ、彼ってさっきの人よね?」

「ああ…ビオラさん。またっていうのは?」

「彼はポケモン同士の勝負を見た後、つい手を離して拍手しちゃうのよ…それで落ちるって分かっているのに」

 

「いやいや…つい拍手しちゃうんですよね…素晴らしいバトルとポケモンに愛を!」

「ザクロ君ねえ…そう思ってるなら降りてから拍手すれば?」

「壁が僕を離してくれないんですよ…この壁はいけない。滑らかで艶やかで僕を誘うんです!」

 

「何か変な人…」

『デネ…』

「こらユリーカ!声が大きいよ!」

「でもまあ同意だな…」

『ピィカ…』

「面白いとは思うけどね」

 

ビオラさんがザクロさんについて話をしてくれた。壁を登らずにはいられないと言うこと、そしてかなり強いと言うことを…ビオラさんはジムリーダーだから、ジムリーダーと同等かそれ以上の力を持っているということになる。それを聞いて勝負したいと思ったけれど、称号はデュークで、上から二番目に強いと分かり、バトルシャトーで称号を上に上げていかなければ対戦できないと知って少しだけ残念に思えた。

 

 

でも、次に爵位を手に入れるために挑戦する俺とテスラの勝負となったため、気持ちがそちらへ向く。まだまだ爵位を貰っていないのだから、ここから始めなければいけない。そのためにもいい勝負をしようと思い、階段を下りてテスラと向かい合う。

 

 

「よろしくなテスラ…良きバトルを」

「うん。よろしくサトシ…良きバトルを」

 

 

それぞれバトルシャトーで行われるバトルの仕方に従ってボールを持ち、笑みを浮かべて言う。テスラも同じように…少しだけ緊張していたけれど笑ってバトルを楽しもうとしていた。

 

 

 

 

 






To be continued.


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