マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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妹が三人組と言い合っていた同時刻―――――。


第百七十五話~兄はシトロンたちの意志を聞く~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばセレナが前に言ってたけど…サトシって有名人なの?」

『デネ?』

「テレビに出てたって話を聞いた時ですね…僕たちはそのニュースを見ていませんが」

「サトシが旅してきた地方でのリーグ成績やポケモンの新しい技の研究ってニュースで騒がれてたぐらい有名なのよ!さすがサトシよね!!」

「うわぁ凄い!!」

「それは凄いです!!」

 

 

 

「…ああそんなこともあったな」

『…ピィカ』

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。最初にセレナと出会ってからちょっとだけ時間が経ちました。セレナとの騒動についてはほとんど恋愛などと言った話はしないようにしている状態です。というより、俺からその話をし始めるのは嫌だし、セレナが何か言ったとしてもすぐに話題を変えるようにしてきたということからあまり問題なく、ただの【普通な仲間】として見れるようになった。もしもここでセレナがかなり積極的だった場合仲間としてやっていけるわけないから追い出していたか一人旅に戻っていたかのどっちかだろうと考えながらも、ユリーカ達の話に頷いた。

俺たちは現在またミアレシティに到着したんですが、その途中でユリーカが思い出したかのように俺たちに質問してきました。テレビに出たというより、空港でいきなりカメラがやってきてニュースとして撮られたというだけなんだけどな…。その時はいろいろと質問されて、まあ適当に話してすぐに解散してもらったんだけど、まさかここまで俺自身がいろいろと騒がれるとは思わなかった。名前を出したら「ああ、あのテレビの…!」と言われることもあったし、おそらくこれからもそうだろう。…まあそうなったとしても俺たちの旅は変わらないと思うけどな。

 

ユリーカが目を輝かせてどういう旅をしてきたのか聞いてきたので歩きながら話してみた。カント―地方からイッシュ地方までの旅と、ポケモンたちのことを。

 

「凄い!!私もサトシのポケモン見てみたい!」

「カント―地方にきたら皆と会わせてやるぜ?」

『ピッカ!』

「うん。絶対だからね!」

 

「なるほど…カント―地方からイッシュ地方までのリーグに挑戦して、このカロス地方に…それならあのバトルでの強さも納得できます!」

 

シトロンが笑顔で頷いたのは、最初に出会った時にバトルしたことを思い出したからだろう。あの時俺たちはプリズムタワーにあるミアレジムに挑もうとしていた。でも中に入ろうとしたら俺をニュースで見たのか近くにいたトレーナー達から名前を呼ばれ、最初にこのジムを挑まない方がいいとアドバイスされたことがあった。

アドバイスされたとしてもせっかくミアレシティに来たんだしという感じでプリズムタワーでピカチュウとどうしようか悩んでいた時にシトロンたちにどうしたんですか?と聞かれ出会ったのだ。そしてカント―地方から来たことやこれからミアレジムに挑もうか悩んでいたことを話すと焦ってやめた方がいいと説明され、そしてせっかく来たんですから僕とバトルしませんか?と誘われて戦うことになった。そのことがきっかけでシトロンたちと旅をすることになり……そしてバトルしていた時に乱入してきたケロマツとも出会ったり、研究所でメガシンカについて知ったりしたけどな。

イッシュ地方の話をするときは妹とも同行したことを話した。そうしたらセレナたちが様々な反応をしてきた。

 

 

「サトシ、妹が生まれたのね?…良かった」

「妹って私と同じくらいの年齢なんだよね!?」

「まあな…今度紹介するよ」

『ピィカッチュ』

 

 

セレナが昔話したことを思い出したのか安堵したように笑顔でいて、ユリーカは会いたいという表情を浮かべている。ある意味想像していた通りだった。でもシトロンだけは違っていた。シトロンもユリーカと同じようにどんな子なのか聞いてくると思ったのだけれど…シトロンは少し考えるかのような表情で俺たちが歩いている間も見えていたプリズムタワーをじっと見つめ、やがて決心したかのように口を開いた。

 

 

 

「サトシ…お願いがあります。僕に力を貸してくれないでしょうか」

「どうかしたのか?」

『ピッカッチュ?』

「何かあったのシトロン…?」

 

 

「え!?お兄ちゃん言っちゃうの!!?」

「このままサトシがミアレジムに挑むというのなら…現状を維持するつもりは僕にはないよ」

「そう…うん。このままにしておけないよね」

『デネ?』

 

 

「現状?…何か問題でもあるのか?」

『ピカピカ?』

「シトロン…それって私にも協力できることかしら?」

 

 

「はい。セレナにも協力してほしいことです…ミアレジムのことなんですが―――――――」

 

 

首を横に振ってユリーカにこのままはいけないと諭すように言うシトロン。ユリーカも覚悟を決めたのか分かったと頷いていた。そして俺たちは何があったのか…どういうことなのか話を聞くために口を開く。その声にシトロンは真剣な表情で話してくれた。

 

ミアレジムはシトロンがジムリーダーだということ、そして今ミアレジムはシトロンが作ったロボットにのっとられているということが分かった。音声コードが分からなければバトルができないということや、ロボット…つまり、シトロイドが使うポケモンはもともとシトロンのポケモンであり、とても強くてホルビーだけでは勝てるかどうかさえ分からないということだった。

時間があれば俺がジムバッチ四つとってからミアレジムの中に入り、そのままシトロイドを止めるっていう手もあるけれど、最初にミアレジムに来た時の様子を考えるともう時間はないも同然だろうと感じた。そしてシトロンに対しても、このままでいいとは思えなかった。

 

だからこそ、俺はシトロンたちを見て口を開く。

 

 

「それで、シトロンはどうしたいんだ?」

「え、どうしたいって…」

「俺が…俺自身がミアレジムに乗り込んで止めるっていう手段もできる。けどそれはシトロン自身がシトロイドに勝ったと言えるか?」

「………………………………」

「シトロン。お前が…ミアレジムのジムリーダーであるお前がやるべきことは何だ?」

 

 

「僕は…勝ちたいです!ジムリーダーとして…トレーナーとして、シトロイドをこのまま放っておきたくはない!」

 

 

シトロンの声は、心からの叫びだと分かった。ミアレジムをこのまま放っておいたらいずれトレーナー達は挑戦するのをやめてしまうだろう。そしてシトロンがジムリーダーとして築き上げてきた大切なものがシトロイドによってすべて泡となって消えてしまうのも時間の問題だと感じた。電気タイプを扱うジムリーダーとして、そして自分自身を成長させる大切な場所として…このまま捨ててしまおうとはシトロンは考えていなかったのだ。

俺がすべて行動して終わらせることもできるけれど、それはシトロンのためにならないということも分かっていた。シトロンのジムなのだから…シトロン自身の問題だと感じていたのだ。もちろん協力するところはするけれど、バトルはシトロン自身がやって…そして勝ってもらう。もしもすべて俺がやってしまったらシトロンはジムリーダーとしてやっていけないだろう。だからこそ俺は全てをやるつもりはない。シトロンがシトロイドとバトルすることこそ、シトロンのジムリーダーとしての決意であり、覚悟でもあるのだから。

 

セレナたちも俺の言葉に…そしてシトロンの叫びに納得したのか、真剣な表情で俺たちに向かって頷いてくれた。ミアレジムに乗り込んで…そしてシトロイドにバトルして勝つという計画をたてるために、プリズムタワーへ向かおうと歩みを進める―――。

 

 

「おおシトロンにユリーカじゃないか!」

『リュゥゥ』

「へッ!?パパ!?」

「それにデンリュウも!!?」

 

 

「さっそく出鼻挫かれたな…」

『ピィカ…』

「そうね…でも、シトロンたちは大丈夫よ」

「…なら、良いんだけどな」

『ピカピカ』

「大丈夫よ!…サトシがいるんだから。絶対に大丈夫」

「………………」

『…ピィカッチュ』

 

「うるせえピカチュウ放っとけ」

「ふふふ…」

 

 

セレナは俺の顔を見て自信満々な笑みで俺がいるから大丈夫だと言う。その表情が最初に出会った時のことを思い出して無意識に一歩だけ身を引いてセレナから視線を逸らす。ピカチュウが呆れるような声を出したために俺は小さく文句を言う。でもそれもすべて聞こえてきたのかセレナが小さく笑って、シトロンたちを待っていた。

 

 

その後、セレナの言った通りすべてが無事に解決したと言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 




兄の心境。
 ジムリーダーか…そういえばタケシたち元気にしてるかな…。





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