マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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遊びたい年頃な妹とヒトカゲ


第十六話~妹と色違いの2匹~

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。

ヒトカゲが最近ひのこを宙に飛ばして花火をするやり方を覚えました。ぶっちゃけフシギダネのおかげです。

それに毎日他のポケモンたちと遊べて、私とも一緒にいて、ヒトカゲも嬉しそうです。

 

それで、今日は兄のポケモンの中であまり交流していないポケモンに突撃してみようかと思っています。

 

「いた?」

『カゲッ!』

「あ、シー。駄目だよヒトカゲ、大声出したらヨルノズク起きちゃうでしょ?」

『カ…カゲカゲ』

ヒトカゲが自分の手を口に持っていき大声を出さないようにする行動に癒されつつも、私は木の上でいつも寝ているであろう兄のヨルノズクを見上げた。

でも見上げてもヨルノズクがいるかどうかは暗いためわからない。ヒトカゲの炎のおかげで周りが明るいし温かいから大丈夫なんだけど…いるのかな?

 

兄のヨルノズクは寝ることが多く、私たちとはあまり話をすることができずにいた。それに私たちもラティアスやミュウツーと遊んだり、ベイリーフと花畑を増やしたりと毎日忙しく暮らしていたから仕方ないと思っている。それに何か危険が察知したらすぐに起きてフシギダネやオーキド博士たちに言う優秀さを持っていて、やっぱり寝ているところを起こして遊ぼうとは言い辛い…。

でもやっぱり話してみたいし、出来ればヒトカゲと一緒に遊んでほしい。

 

だから今日は私とヒトカゲで夜に家から抜け出し、今日このオーキド研究所の森の中にやってきたのだ。

オーキド研究所は夜になるとほとんどのポケモンをボールに戻し、次の日を迎えることが多いが、夜行性や外にいたいというポケモンは別だったりする。ポケモンたちがボールに戻りたいかどうか希望をちゃんと聞いて、その通りにするのだ。そんなオーキド研究所のやり方に、盗まれるという危険性があると危惧する人もいるらしいが、まあそれは兄と仲良くなりオーキド研究所に来るようになったアンノ―ンたちがうろついているこの森の中にやってきたら即アウトということだけは言っておく。

アンノ―ンについてもオーキド博士たちは知っていて、最初に集団で来たときは本当に気絶するぐらい驚いていたけど、兄だから仕方ないかと悟ったらしい。そして夜にパトロールをしているというのも知っていて、安心して夜に出たいというポケモンたちを解放しているのだ。

そして私はアンノ―ンとたまに遊んだりしていたから、仲が良いため見かけても挨拶するぐらいだ。ヒトカゲとも仲が良いから今度また遊びたいと思う。

 

まあその前にヨルノズクに会いに行かないといけないけどね。

「ヨルノズクやーい…ってやっぱり駄目だったかな…」

『カゲェ…』

夜の森の中、私たちは木の上にいるはずのヨルノズクを探して歩いていた。いつも寝ている木の上にはいなかったため、他の場所にいるのではないかと歩いているのだ。

だが見つからない。そして草むらの向こうでガサガサと音がしているのがなんだか怖い。

ヒトカゲもたまに聞こえる草の音、風の音を怖がり、私にぴったりとくっついている。抱っこした方がいいかもしれないけれど、ヒトカゲをずっと抱っこできる力は私にはないため我慢してもらう。でもヒトカゲと手はちゃんと繋いで暗い暗い森の中を歩き続ける。

 

「…やっぱりお昼とか夕方ぐらいの方が良かったのかな」

『カゲッカゲッ』

「…家に帰ろうかヒトカゲ」

『……カゲ』

私とヒトカゲはヨルノズクに会えないことに落ち込みつつ、歩いてきた道を戻っていく。

だが歩いても歩いてもちゃんとした道に戻ることはできず、しまいには来たことのない大きな大樹がある場所まで来てしまった。大樹があるというのはオーキド博士からよく話で聞いていて、そこは森の奥深くだというのも聞いていた。

「…え、迷った!?」

『カゲカゲ!?』

誰もいない森の中、このままではいけないと思うのに、そこからまた戻っても歩いても家につくことができない…。

アンノ―ンさえも見当たらなくなっていて、今どこにいるのかわからなくなってしまった。

しまいにはヒトカゲが泣きだし、私ももう泣く一歩手前だ。

「…ごめんねヒトカゲ…こんな無茶させちゃって…」

『…カゲッカゲカゲッ』

ヒトカゲは首を横に振りつつも零れ続ける涙を押さえ、私に抱きついてくる。

私はヒトカゲを抱っこし、涙で歪む視界を押さえた。

 

『…ホー』

 

そんな時に聞こえてきた一つの声。

私とヒトカゲは声のする方を見上げる。すると空から降りてきた金色に光るヨルノズクが私たちに咎めるような目でこちらを見ていた。

「ヨ、ヨルノズク…!」

『カゲカゲ!!』

『ホー…』

「…ごめんなさい。でもヨルノズクと遊びたくて…それで…」

『カゲ…』

恐らくヨルノズクは夜の森の中をうろついている私たちに怒っているのだろう。無茶をしたことを謝り、どうして夜にこの森へ来たのかを嗚咽を押さえつつ、喋っていく。

するとヨルノズクは私たちに近づき、すり寄ってきた。

『…ホー』

「ヨルノズク?」

ヨルノズクは羽を広げて飛び、私たちについてくるように鳴き声と仕草で教えてくれる。私とヒトカゲはお互いを見た後、すぐにヨルノズクのあとを追う。

長く歩き続けていくと見えてきたのは広場だった。だがいつも行く広場とは違っていた。広場の中心ではなにやら光り輝き、その周りでゴースやゴースト、ゲンガ―といったポケモンから、キレイハナやナゾノクサ、ピッピたちがそれぞれ踊っていた。

 

「うわぁ…!」

『カゲカゲッ!!』

とても幻想的な光景に私たちは驚き、感動した。そしてヨルノズクが飛びながらも私たちに近づいて見つめてくる。もしかしたらこの光景を見せてくれたのは遊びたいと言った私たちのためなのかもしれない。私とヒトカゲは嬉しくなって飛び続けるヨルノズクに抱きついた。

「ありがとうヨルノズク!」

『カゲェ!!』

『ホーホー…』

その後、私たちは広場で一緒に遊んだ。兄のゴーストもいて、私たちを驚かせたりもしたけれど楽しかった。

だがヨルノズクの案内で家に帰ると怒っていた母が出迎えてくれて朝まで説教されたので今度はちゃんと言ってから外に出ようと思い、反省した。

 

 

「また一緒に遊ぼうねヨルノズク!」

『カゲッ!』

『…ホー』

 

 

 

 




妹の心境。
 ヨルノズクに迷惑かけちゃったけどまた遊びたいなぁ…。

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