マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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新しいポケモンを見た。





第百六十五話~ポケモン相撲とお祭り~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。次の島のミノリ島には木の実が豊富にあるとのことで、面白そうだから上陸してみようということになりました。そしてちょうど良く、俺たちが島に到着したときは豊作祭が行われているらしいです。きのみで作った料理やお菓子もあるらしく、どんなお祭りなのかとこれから楽しみです。

 

 

「到着したね!…あれ、モモンのみがついてる木だ!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

「うーん…様々な木々に実っているきのみ…まさに≪実りの島≫ということだね!素晴らしいテイストだよ!」

「美味しそうなきのみの香りがするね、キバゴ!」

『キバキ!』

『きのみが豊富にある実りの島ということは、その島でしかない調理の仕方もあるかもしれないな…』

 

「よし行くぞ!」

『ピッカァ!』

 

皆がそれぞれテンションを上げて島へ上陸していく。周りの木々にはきのみがたくさん実っていて、熟成して美味しそうだというのがよく分かった。デントやルカリオがそれぞれきのみを見てこれはこんな料理が作れるだのこれは他にもお菓子に使えるだのという話し合いをしている。まあ勉強熱心なのはいいけど、これ以上俺たちの舌を肥えさせてどうすると笑みを浮かべた。妹達も話を聞いて苦笑しているらしい。そしてピカチュウは周りにあるきのみを見て食べれそうなのをとってきて妹達に渡していた。きのみは木々に実っているものは食べてもいいらしく、ピカチュウがそれを聞いて妹とヒトカゲ、そしてピチューの分をとってきていた。でも俺たちが歩きながらきのみを食べていてもまだまだ木々にはたくさん実っていた。

 

「…ん?何だあのポケモン…?図鑑にデータなしって書かれてるぞ」

『…ピカ?』

「データなしってことは…他の地方のポケモンかしら?それとも新種?」

『キバキ?』

「何にしても、かなり怯えているようだね…」

『性格なのだろうな…サトシ、そうじろじろと見ていると余計に怯えるぞ』

「うるせえ」

『ピッカァ…』

「ほらほら大丈夫だよ!このきのみあげるね…美味しいよ?」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

 

『エレ…』

 

妹達から貰ったきのみを食べて少しだけ怯えがなくなったようだ。きのみが美味しいと言って妹の周りを走り、そして笑顔を見せてくれるポケモンに俺たちも笑みを浮かべた。…それにしてもこのポケモンは一体何なんだろうな……?

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

――――――――その後、そのポケモンのトレーナーがこちらに来て、仲良くしてくれてありがとうと言ってくれた。トレーナー…つまり、彼女の名前はパンジーというらしい。そしてパンジーさんのポケモンはカロス地方のポケモンで、先ほど妹達と仲良くなったのがエリキテル。パンジーさんが連れているオドシシやメブキジカのようなポケモンはゴーゴートというらしい。カロス地方には行ったことがないから興味を持った。

 

「…へえ。パンジーさんってルポライターなんですか」

『ピィカ』

「ええそうよ。ポケモンの雑誌に記事を書いたり、時々写真も撮ったり…それにしてもあなたたちのポケモンって随分個性的ね!」

「へ、個性的?」

『カゲカゲ?』

『ピチュ?』

「ええ、普通のポケモンじゃあ見れないような表情をしてるわ!」

「そうなの?…キバゴも個性的ってことかしら?」

『キバキ?』

「そうね!まるで家族や兄弟のようだわ…あ、そうだ。ねえサトシ君たち、これからお祭りの中心地でポケモン相撲のイベントがあるんだけど一緒にいかない?」

「ポケモン相撲…ですか?」

『ピィカ?』

 

パンジーさんはポケモン相撲の始まりについて教えてくれた。ポケモンたちはこの島にある実り豊かなきのみをめぐって戦いを始めたらしい。そして最後の残りをリングマとツンベアーが戦って…でも結局は両方とも倒れそうになり、その戦いを見ていた1人の少年がきのみを分け合って仲良く食べようという習慣ができたらしい。そしてそのきっかけを忘れないように、祭りが開催される頃には、その両者が争ったことを忘れないために、ポケモン相撲を行うとのことらしい。そのポケモン相撲は自由参加で、しかも商品が出るらしいからちょっとだけやる気が出てきた。

 

「よし俺参加する!」

『ピカピカ!』

「面白そうね!私も参加するわ!」

『キバ!』

「楽しむことはぜひ挑戦する方が良いからね!僕も参加するよ!」

 

『ピィッチュ!ピチュピチュ!!』

「え!?ピチューも参加したいの!?…で、でも結構大きなポケモンがたくさんいるよ?」

『カゲカゲ…』

『やめておけ…技の使用はないらしいが、重量級では不利だ』

『ピチュ…』

「それもあると思うけど…ポケモンの参加はトレーナーじゃないといけない決まりらしいのよ…」

「そっか…じゃあ私はできないね…ごめんねピチュー…」

『カゲカゲ…』

『ピチュ…ピィッチュ!』

 

 

ピチューが俺たちの参加を見て面白そうだと妹の肩に乗って自分もやりたいと叫んでいる。でもやはりまだピチューには早いだろうということ、そしてパンジーさんがトレーナーじゃないと参加はできないということで妹はまだ年齢がトレーナーの適正年齢に達していないため参加は断念したらしい。申し訳なさそうな表情の妹とヒトカゲにピチューは最初落ち込んでいたが、すぐに気を取り直して大丈夫と笑顔で言っていた。まあ、妹がトレーナーになった時にまたこの豊作祭に参加すればいいだろうし、大丈夫だろう。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

お祭りの場所までやってきたら、かなり人で賑わっていた。様々なお面や装飾品が売られ、きのみで作られたケーキやきのみの果実を絞り、ジュースにしてできた飲み物。きのみと温かいモーモーミルクを混ぜて作ったきのみカフェラテ。そして辛いきのみで作った赤いケーキという異色なものまである。でも辛党が絶賛しているのかかなり売れていたりする。他にもきのみを器にして作ったきのみグラタン。そしてパイ生地で練り上げて作られたきのみパイがあったりとかなり種類が豊富にあった。

 

「美味そうだな…っとと、その前に参加受付!」

『ピカピカ!!』

「参加受付ならこっちよ!」

『レッキィ…!』

「ありがとうございますパンジーさん!ほらサトシ、こっちよ!」

『キバキ!』

「おう!」

『ピッカ!』

 

 

俺はチャオブー、デントはヤナップ、アイリスはカイリューで参加することになった。パンジーさんはその大会を撮影し、ルポライターとして後で記事にしていくそうだ。笑顔で俺たちのことを撮影していて、他にもお祭りで参加している様子や、周りの景色を撮っている。俺たちはパンジーさんの邪魔にならないように歩き、大会受付を申し込んだ。

だが、大会はまだ始まらず、しばらく時間があると受付の人が言っていたため、その間に時間をつぶすことになった。どこに行こうか迷っていたらパンジーさんが笑顔である方向を指差して教えてくれた。

 

「迷ってるようね?じゃあこの島の名物のきのみパイを食べてみない?ここのきのみパイは生地が他では食べれないぐらい美味しくて味もきのみが絶妙なのよ!」

「名物なんだ!?食べてみたい!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

「ええ。ほら、あそこに見える屋台が出しているきのみパイは美味しいって評判なの。時間もあるし、一緒に食べましょう!」

 

屋台の方を見てみると、かなり人がたくさん並んでいて、それぐらい美味いのだと分かった。きのみとパイの甘い香りが漂ってきているし、ポケモン相撲大会の前に食べようと皆で並ぶことになった。

 

…だが。

 

「おい邪魔だぞお前!」

「…それはこっちの台詞だ。何俺たちより先に注文してんだよ!」

『ピカピッカ!』

「ハァ?そんなの知るかよ。早いもん勝ちだぜ?」

「……ふざけてんのかおい」

『……ピィカ』

 

「ちょっちょっと待った!サトシここは抑えて!大会前に問題を起こす気なのかい!?」

「そうだよお兄ちゃん!せっかくのお祭りなんだから喧嘩しちゃ駄目だよ!!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

 

「そう言うこった!じゃ、あばよ!」

「ちょっと待ちなさい!あなた先に割り込んできた癖に謝りもしないわけ?!」

『キバキ!!』

「ほらアイリスも落ち着いてよ!!」

『カゲェ!』

『ピチュゥ!』

「…………チッ」

『…ピィカッチュ』

 

 

マナーを守らず列に割り込んできた男は、普通にきのみパイを買っていた。俺とアイリスがそのことに対して文句を言うのだが、男はそれがどうしたと鼻で笑ってきたため、とりあえず説教かと思った時に妹達に止められてしまい、そして男もそのままどこかに行ってしまったためできなくなった。俺は舌打ちをしてアイリスは男が去って行ったところを睨んでいて、そして妹達は苦笑してきのみパイを買おうと言って来た。

…きのみパイは美味いけれど、いろいろとテンションが下がるなと思ってしまった。でも気を取り直して祭りを楽しむか…。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

――――――ポケモン相撲大会はかなり白熱していた。アイリスとデントもいろいろと頑張っていたけれどいつものバトルとはちがうルールに翻弄されてしまいすぐに負けてしまっていた。

そして俺とチャオブーは決勝戦まで勝ち上がり、やって来たのはきのみパイで争ったあの男だった。

 

「ふん!チャオブーなんかで俺のゴルーグを倒せるものか!」

『ゴォォウ!!』

「んだとゴラァ…!」

『チャオォォォオ!!!』

 

結果としてはキレた俺とチャオブーが勝った。でも途中で男は俺たちのことを認め、ちゃんと割り込んできたことを謝って来たから許して、相撲を楽しむことにした。いろいろとトラブルはあったけれど、それでも良い祭りだと思った。

 

「悪かったな…割り込んできて…それにお前のチャオブーを悪く言って…」

「…悪いと思ってるならもういいよ。ほら、副賞のきのみ、一緒に食べようぜ?」

『ピッカァ!』

『チャオチャオ!』

 

優勝記念としてもらったのはきあいのはちまきと大量のきのみ。食べきれないと思えるきのみを皆で分け合い、食べて行った様子を、パンジーさんはまるで昔の相撲大会が始まったきっかけのようね…!と語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 




兄の心境。
 カロス地方か…次の旅はカロス地方にするか?……。





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