マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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イッシュ地方とのお別れ…。





第百六十三話~デコロラ諸島へ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。事件に続きまた事件とちょっとだけイラッとしています。でもまあ妹達が無事なら何の問題もありません…。

 

俺たちはようやくカノコタウンのアララギ研究所へ戻ってくることができた。戻って来た時はもう夜だったので一日泊まることになり、その後船でマサラタウンへ帰ろうということになったのだ。アイリスとデントはカント―地方まで一緒に行って、そこで旅をするという…。マサラタウンには寄らずにそのままカント―地方で旅をするから、また会うことがあればその時は一緒に旅であった話を聞こうと思った。

 

 

「デコロラ汽船?」

『カゲェ?』

『ピチュゥ…?』

 

「ええそうよ。デコロラ諸島を経由してカント―地方へ行く船なのよ」

 

「へえ…デコロラ諸島か…行ったことないから何がいるのか楽しみだなピカチュウ!」

『ピッカァ!』

「カント―地方にいるポケモンも、イッシュ地方にいるポケモンも…中には珍しいポケモンだっているわよ!」

 

『なるほどな…そうなるとカント―地方やイッシュ地方以外のポケモンもいそうだ…』

「デコロラ諸島…早く行きたいなぁ!」

『キバキ!』

「うーん…何ともアドベンチャーなテイストが漂ってくるね…!」

 

 

アララギ博士の車に乗って俺たちはその船へと向かう。船はデコロラ汽船以外にもさまざまな船があって、それぞれ他の地方へ向かうらしい。俺たちの乗るデコロラ汽船はとても大きくてかなり豪華そうな感じがする。あの大きさならもしかしたらバトル施設もあるかもしれないなと思い、テンションが上がった。

 

「はいこれ!デコロラ汽船の乗船券よ!」

「ありがとうございますアララギ博士!」

『ピィカ!』

「送ってくれて…それにチケットも用意してくれて本当にありがとうございました!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

 

 

そしてアララギ博士がチケットを買ってきてくれて、俺たちに手を振り別れの挨拶をして車に乗って研究所へ戻って行った。俺たちも手を振って別れ、すぐに船に乗り込む。船は豪華客船のように設備が豊富で、船の中にはポケモンセンターのようなところもあり、そして想像していた通りバトル施設もあって…船に乗っている間はかなり楽しめそうだと思えた。

 

 

「ねえねえお兄ちゃん!お土産見ていい!?」

『カゲカゲ!』

『ピッチュゥ!』

 

「お土産?…でもまだ船が出発したばかりで気が早くないか?」

『ピィカ?』

「でも船長さんに話を聞いたら途中で島に上陸する場合次の船に乗ってもらうんだって!その船にも他のお土産がたくさんあって選べないぐらい豊富なので有名そうよ!それに全部船でしか手に入らないって!」

『キバキ!』

「ふふん!ここはお土産ソムリエの僕の出番ということだね!!」

『…デント、その前に土産を見るのかどうかだと思うが…?』

「いやいやルカリオここはお土産を見るに限るよ!船のお土産の品は買えきれないほど豊富で有名!そして次の船に乗ったら他にもお土産の品がたくさんある!これはもうこの船に乗った以上見るしかないよね!」

「…じゃあ行くか?」

『ピィカ?』

「行く!早く行こう!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

「あ、待ってヒナちゃん。走ったら危険よ!」

『キバキ!』

 

船の案内地図を見て、妹達がはしゃぎながら俺たちに向かってお土産の品を見たいと言ってきたため、ちょっと気が早すぎると苦笑する。でもアイリスがこのデコロラ汽船についての案内用の紙を見て、お土産の品は他の船に乗ったら手に入らないかもしれないとテンションを上げながら言ってきた。デントがそれに反応してお土産ソムリエとして暴走し、ルカリオがツッコミを入れたり…まあいろいろあったけれど、俺たちはその場所へ向かうことになった。

 

――――お土産を売っている店の途中には様々な遊び場やレストランが並んでいて、すべて見て回りたいと思った。遊び場にはポケモンたちと一緒に遊べるスペースがあり、例えばポケモン用のポフィンやポロックのお菓子を作るという体験コーナーがあったり、滑り台や砂場、そして船の中だというのに自然がたくさんある広場まであった。…これ絶対に船のチケットに金かかってるよな…後でまたアララギ博士にお礼言わないと…。

 

「ポロックやポフィン体験コーナーか…後でやってみようかな?」

『ピィカ!?ピカピカ!!』

『サトシ、ピカチュウが絶対にやるなと言っているみたいだが…お前一体何をやらかしたんだ?』

「え…いやまあ自己流でお菓子作っただけだけど…?」

「ああそういえばお兄ちゃんの作る料理ってかなり凄まじかったよね…悪い方向で…。ピカチュウ、もしかしてポロックかポフィンって色とか見た目とか凄くおかしくなかった?」

『ピィカ…』

『その通りだと言っているが…何を作ったんだ一体…』

「わ、私も気になるけど…聞いちゃいけないような気がするわ…」

『キバキ…』

「サトシの作る料理は凄まじい…見てみたいけど一種の芸術になりそうで見たくないという不安もあるね…」

 

「お前ら…」

 

ポロックやポフィンを見て作ってみようかなと思っただけだというのに酷い言われ様だと思った。まああの時作ったものはまずいようだったから仕方ないかとため息をついて諦める…。

それにまだ旅に出てない頃、まだまともに立つことができない幼い妹が俺たちを見ながら母と一緒に料理した時があった。最初に料理をしていた時は普通だったというのに、最後の方では母も妹もかなり慌てていて、その後キッチン使用禁止令が出されたことがあったなと思い出した。…でも俺、そんなにひどいもの作った覚えないような…まあまずいのは確かだから仕方ないか…。

 

ポフィンやポロックについての会話をしながらも、俺たちはお土産を売っている店にやって来た。その店で売っているのは船の形をしたキーホルダーやぬいぐるみ…そして海で取れたという木の実があった。他にも進化の石や船にしかないという海の風がたっぷり詰まった干しオレンのみや干しモモンのみがあったり、デコロラ諸島について詳しく書かれている本が売っていたり…様々な品が豊富に売っていた。

 

「えええ…これって枕?しかも特大。…船に枕も売ってるんだね……」

『カゲェ…』

『ピッチュゥ…』

「見ろよ!こっちにはきのみジャムがたくさんあるぜ!しかもパンで食べてもいい試食付き!!」

『ピッカッチュ!』

「こっちは宝石ね…綺麗!」

『キバキ!』

「うーん…これは良いね。調味料が豊富だ!しかも海にいてこそあるという品ばかりだよ!!なんてファンタスティックなテイストだろう!!」

『こっちは海の上で作れるという調理道具か…便利なようだが、海の上で使うかどうかは分からないな…』

 

皆がそれぞれ見て回り、ある時はアイリスがキバゴと一緒にお面をつけて妹達を脅かしたり、びっくり箱にデントが驚いたり…いろいろと楽しめてそれだけで一日を過ごせるぐらいだ。一応妹達はデコロラ船のキーホルダーを買い、ルカリオは限定品である海の上で作れるという調理道具を買い、アイリスはドラゴンジュエルで作られたという御守りを買っていて…そしてデントはデコロラ諸島が詳しく書かれているという本を買っていた。

 

俺はというと、ピカチュウが欲しいとねだっていた海の味がするという限定品のケチャップを買っただけだった。まあお土産は上陸した後の船でもあるだろうし、急いで買わなくても大丈夫かと思っている。

 

とにかく、この船での旅はとても楽しめそうだと思えた。

 

 

 

 

 




兄の心境。
 デコロラ諸島に行くんなら、バトルとかも楽しめたらいいな…。





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