マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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何事も、最後が良ければ大丈夫なのだ…。


第百六十話~終わりよければすべて良し~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それはどうかな!?」

 

 

 

「何だ!?いったい何者なんだ!!」

 

 

聞き覚えのない声が遺跡内に響き渡ったことでプラズマ団の1人が周りを見渡しながら叫ぶ。そしてその声が聞こえてきた方向から大きな爆発音を響かせ、プラズマ団の出したポケモンを吹っ飛ばしながら≪彼等≫はやって来た。

 

 

「なんだかんだと聞かれたら」

「答えてあげるが世の情け」

「世界の破壊を防ぐため」

「世界の平和を守るため」

「愛と真実の悪を貫く――――――」

 

「―――もう悪のロケット団じゃないでしょ?」

 

「何よ邪魔すんじゃないわよジャリガール!!!」

「そうだそうだ!久々の口上だってのに…!!」

『おみゃーら今争ってる場合じゃないのニャ!!!』

 

 

「…遅え…まったく…」

 

 

サトシは笑みを浮かべて彼らを見た。でもその中にいるはずのない少女とポケモンたちが混じっていることに気づき、目を見開く。彼等は自分から進んでこの場に来たのだ。彼等…つまり、ハルカとサトシの手持ちたちはサトシを見て笑みを浮かべた。

そして予想していなかった再会に驚いた様子を見せたサトシに、ポケモンたちは近づいてきた。

 

 

『…ダネ』

「久しぶりだなフシギダネ…それにみんなも…心配してこっちに来ちゃったのか…」

 

 

『ッッ―――――――――!!!!』

 

 

フシギダネがサトシに近づき、サトシに話しかける。心配そうな表情で、大丈夫なのかと聞いていると分かったサトシは小さく笑みを浮かべてありがとうと礼を言ったため、フシギダネ以外の手持ちポケモンであるベイリーフ達がサトシに近づき、再会の挨拶をしていく。たまに自分を置いてくんじゃねえよ馬鹿野郎!とばかりに技を放つポケモンもいたようだが、サトシはその技を躱すことなくあえて受け止め、またありがとうと礼を言っていた。

 

 

「…サトシ君」

 

 

Nはレシラムに吹っ飛ばされた時にできた怪我を抑えながらも、サトシ達の様子を見て笑みを浮かべていた。人間とポケモンたちとの絆の強さが、今目の前でサトシ達が再会を喜び合っているのが本来の理想なのではないかと思ったからだ。

アクロマは興味深げにその光景を見て、そして小さく呟く。

 

 

「なるほど面白い…喋るニャースに強そうなポケモンたち…実に操りがいがありそうだ…!」

 

 

「…気をつけろよお前ら。あいつが狙ってる機械はポケモンたちを操るから絶対にあの機械に狙われるな!…いや、その前にやらなくちゃいけないこともあるけどな…」

 

 

「………………………」

『………………………』

 

 

『ダネダネ…?』

「…ヒナちゃん?」

 

フシギダネとハルカが目を赤くし、無表情でこちらを見ているヒナとルカリオに驚愕していた。そして操られているのだと知り、アクロマ達を敵と認識し早く元に戻さなければとサトシの手持ちたち全員が警戒し、ハルカは自分の手持ちを出して戦闘開始の準備をする。

ヒナたちを止めて、アクロマ達を潰す。それがサトシ達の共通する考えであった。

 

「無駄ですよ…あの首輪を外そうと近づくのなら自滅するように設定してありますからね…!」

 

「そりゃあ説明どうも…でももう、負けるつもりはねえんだよ!」

『ピカピカァァ!!!』

 

「ルカリオ…ッ」

『カゲェェェエエ!!!!』

『ピッチュゥゥゥウウウ!!!!』

 

 

サトシたちが何とかしてヒナに近づこうとしたその時、ヒトカゲとピチューが動き出した。ヒトカゲとピチューはそれぞれ泣きながらもヒナに抱きついて動きを止めている。振り払おうと動こうとするヒナだったが、ヒトカゲとピチューの声を聞いてその行動が止まり、何も指示を出さなくなっていた。

 

それを好機と感じたサトシはすぐさまピカチュウに向かって指示を出す。

 

「そうだよな…ヒナ。お前がヒトカゲやピチューに攻撃なんてできないよな!…ピカチュウ、首輪に向かってアイアンテール!!」

『ピッカァァァア!!!』

 

『ベイ!』

 

 

「そんな…ポケモンの声を聞いて、支配を拒絶したというんですか…!」

 

ピカチュウがヒナのつけられていた首輪をアイアンテールで叩き壊した。目の色が通常に戻ったヒナはそのまま気を失い、地面に倒れそうになってしまう。そのヒナを優しくつるで掴み、心配そうに見つめるのはサトシのベイリーフだ。ヒトカゲとピチューも恐る恐る近づいて、気絶しベイリーフのつるによって怪我をすることのなかったヒナに抱きつき、泣き叫んだ。その声は、本当に無事でよかったと安心している声だ。

そして兄はそんなヒナたちに近づき、眠っているヒナの頭を優しく撫でてから前に向かって歩き始める。

前にいるのはプラズマ団と操られているレシラムだ。ロケット団の3人組も、ハンサムもサトシの横に立ち、ハルカは気絶しているヒナと彼女の傍にいるヒトカゲとピチューとベイリーフの近くに立って守るために周りを警戒しながら襲いかかってくる敵を叩き潰し倒していく。

 

 

だが、ゲーチスがそれを見て大きな声で笑った。アクロマも無駄なことを…と考えてため息をついているぐらいだ。

 

 

「ハッハッハ!倒したとしてどうなる?お前たちが現在味方になっているポケモンたちがDr.アクロマの機械によってすべて無駄に終わるんだぞ!!」

 

 

「だから…」

「それは…」

『どうかニャ?』

 

 

「な、システムダウン…!!?」

 

 

アクロマが機械を動かそうとしたが、ロケット団のムサシが持っていた機械のスイッチを押されたとたんそのコントロール装置は動かなくなり、システムがシャットダウンされてしまう。そしてそのせいで操られていたポケモンたちが次々と気絶し倒れていった。…その中には、ルカリオの姿もいた。ルカリオはキバゴとミジュマルとワルビアルの活躍によって鉄の縄を壊し、解放されたアイリスたちによって無事に保護することに成功する。その様子を見たサトシ達はホッと安心して、そしてプラズマ団を見た。プラズマ団は何故機械が作動しないのか驚き、疑問に思っているような表情を浮かべている。

その様子を見たロケット団が笑顔でプラズマ団に向かって指差しながら叫ぶ。

 

 

「お前たちの機械は全て壊させてもらった!」

「ちなみに援軍を呼んでも無駄よ?私たちの仲間がすべてのプラズマ団のアジトを抑え、捕えているはずだから!」

『おみゃーらが抵抗しても無駄なのニャ!!』

 

「さすがだな…」

『ピカピカ』

 

「いやぁそれほどでもあったりしちゃうわよ!」

「まあジャリボーイがここで目立ってもらったおかげで入れただけだけどな…」

『ニャー達の苦労はあまりしなかったのニャ…』

「ちょっとその話は言わないって決めたでしょ!?」

「ははは…」

『ピィカ…』

 

「クッ…ロケット団と言いましたか…なるほど…私の作品を…ですが、レシラムに対する装置はそれとは異なります。あの操られていた人間のように自体を壊さないと無理な代物…!」

 

アクロマは悔しそうな表情を浮かべていたが、すぐに勝ち誇ったような表情でゲーチスを見て、そしてレシラムを見ている。レシラムの首元には、ヒナが操られていた時につけられていた首輪がしてあったのだ。ゲーチスはプラズマ団が壊滅状態だということを知り、激昂しレシラムに向かって攻撃を指示する。伝説のポケモンであるレシラムならば、サトシ達など一瞬で消してしまえるだろうと自信があったから、焦ることはなかった。

 

 

 

…だが、その攻撃は無駄に終わった。炎を撃ち消す大きな力がそこに集まっていたからだ。

 

 

 

「なっ…これは…!!?」

「伝説と呼ばれしポケモンがこんなにたくさん!?」

 

「よう、お前たちも来たのか」

『ピカピカ』

 

 

『ああ、久しいな。サトシ…ヒナはどうした?』

『元気そうだな優れたる操り人よ。だが…妹の方はそうでもないらしいが…』

『ギュァァァアアア!!!!』

『ミュゥゥウウ!!!!』

『レッビィィイイ!!!!』

『ッッ!!!!』

 

「ああ、それはもちろん目の前にいる連中の仕業な」

『ピッカァ…』

『グォォウ…』

『ダネェ…』

 

 

それぞれがレシラムの攻撃を止めサトシに挨拶をした伝説たちが、ヒナの様子を見て驚愕していた。ヒナが気絶しているのは誰の仕業なのかを真剣な表情で聞く。そしてサトシがその答えをすぐに言ってくれた。目の前にいるプラズマ団がやったことだということを。それを聞いた伝説たちが一斉にプラズマ団を見て、睨んでいた。プラズマ団はその恐ろしい光景を見てある者は卒倒、ある者は逃げ出そうとしてサトシの手持ちたちに吹っ飛ばされ気絶。…そしてまたある者は悲鳴を上げて泡を吹いて倒れてしまった。それぐらい、恐ろしい光景だったのだ。

Nはというと、伝説たちがサトシに力を貸し、ヒナが傷ついたことに心痛め怒りに震えている心を感じ取って、あの兄妹だからだと納得し、笑みを浮かべていた。こんな恐ろしい光景を見たとしてもポケモンと人間の理想がそこにあったんだと感じてしまったからだ。もちろんヘレナとバーベナはこの光景を見て、恐怖心が半分と人間が好かれ絆ができたからこの光景ができたのか?と感じ取った心を見て考えた疑問が半分らしい。でもプラズマ団たちのような醜態は見せず、落ち着いた様子でそれを見ていた。

…ついでに言っておくとデントとアイリスとミジュマルとワルビアルは伝説たちを見て興奮するアララギ博士の父親を止めるために頑張っていた。煩いし気絶させちゃおうかなとアイリスが呟きそれを有言実行するのはそう時間はかからないはずだ。

 

 

そして、プラズマ団のゲーチスはそれを見て伝説たちがサトシに味方をし、プラズマ団に敵意を抱いていることにサトシに興味を抱いたことが半分と…あ、これ死んだ?と思ったことが半分である。逃げようとしない度胸にあっぱれと言っておいた方が良いかもしれない。そしてヒナを傷つけ伝説達やサトシ達を怒らせた元凶であるアクロマはますますサトシのことに興味を持ち、興奮したような表情ですべてを見ていた。

まあつまり、いつも通りだったのだろう…。マッドサイエンティストとしては…。

 

 

「てめえら…覚悟はいいな?」

 

 

『ッッ――――――!!!!!』

 

 

 

 

プラズマ団の行動と野望は、サトシ達の青筋浮かばせながら激怒している彼らのおかげであっという間に終了したことは言うまでもない――――――――――――。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「ああ、いい…良いですよサトシ君!!」

 

アクロマはボロボロになりながらも生還していた。もちろんゲーチスや他のプラズマ団も生存し、あれだけ伝説たちやサトシ達が暴れたというカオスだったのに死者は出ていないのだった。だが全員が捕まり、車に乗せられる間も震えていた。後に、ボロボロになりながらも逃げているというのに、伝説たちが…サトシ達が襲ってくる光景がトラウマになって悪夢を見てしまう者が続出するほど酷く怯えていた。そしてゲーチスは青ざめた様子で泡を吹き、気絶したところを車に乗せられていた。

つまり、楽しそうに鼻歌を歌い、今までの光景を何度も思い出しては興奮するのはアクロマだけだったのだ。それは研究対象としての興味であり、これからの目標となる人物だと…ターゲットにされた瞬間だった。

 

 

「…そうだ。サトシ君のクローンを作りましょう!そうすればより優れた研究データが出るはずです…ああ、楽しみですねぇ…!」

 

 

アクロマは、捕まった時も車に乗せられて移動する間も―――――まったく懲りていなかった。

まあこれからどうなるかはサトシ次第だろう…。

 

 

 

 

 

 

 




END…?



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