マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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先輩と後輩…兄と妹…それとも―――――。


第百五十二話~ヒトカゲはリザードンを見習う~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…いいヒトカゲ。そのままひのこよ!」

『カゲェ!!』

 

『ピチュピチュ!!』

 

 

こんにちは、妹のヒナです。現在私たちはホドモエシティに行く旅の途中で休憩をしています。その間にヒトカゲが技の練習をしたいと言ってきたため、休憩の間に特訓をすることになりました。どうやらヒトカゲは前にやったカイリューとリザードンの戦いを見て自分もあれぐらい強くなりたいと決意したみたいです。私はヒトカゲがそれを望むのなら、私もできることはやっていきたいと覚悟を決め、修行をもっと頑張ってやり、炎の勢いを強めていきたいと考えて行動してます。そしてピチューはその様子を見て、応援しています。がんばれと言いながら電気を時々飛ばして綺麗な光を私たちに見せてくれた。その様子はまるでコンテストのようなパフォーマンスを無意識にやっているようだと感じた。…ピチューのコンテストのパフォーマンスについても、もっと修行をして頑張っていかないといけないなと思う。まだトレーナーじゃないけれど、これからやるべきことがいっぱいだと考えた。

 

 

 

兄たちはその私たちの特訓を見ている。たまにアドバイスなどを出してくれるが、それ以外に何もしようとはしなかった。でも休憩を始める前に、皆がそれぞれポケモンを出していたため、特訓を観戦するのは兄やルカリオだけじゃなくリザードンもいた。アイリス達はこの後すぐにお昼にするため準備をしているので、ルカリオも料理器具を出しながらだけれど、ちゃんと私たちの様子を見ていた。

 

私たちはそれに気づきながらもヒトカゲの指示を出すため口を開く。

 

 

「ヒトカゲ…ひのこを回転させて疑似ほのおのうず!」

『カゲ!』

 

『…グォォォ』

 

「あれ…リザードン?」

 

 

リザードンが特訓をしている私たちに近づいてきて、私とヒトカゲに何かを言おうとしてきた。ヒトカゲはリザードンの言葉を理解し、真剣な表情で私を見ている。そしてリザードンのその様子は何か兄たちがアドバイスをする時のような表情に似ていたと感じた。そしてそれを見た兄も近づいて話しかけてくる。

 

 

「リザードンはお前たちにかえんほうしゃの仕方を教えたいんだと」

 

「え…いいの!?」

『カゲ!!』

 

『グォォォオオ!!』

 

 

リザードンが大きな叫び声をあげて私たちの質問に頷く。ヒトカゲは真剣な表情をしているが、その声を聞いた時から目を輝かせてリザードンを見ていた。リザードンのような凄まじいかえんほうしゃができる様になりたいと思っているヒトカゲだから、リザードンの教えをすべて忘れないようにしたいため真剣な表情で一言も聞き漏らしたくないのだろうと思えた。もちろん私も同じように真剣にリザードンと兄たちの話を聞くことにする。

ヒトカゲが強くなりたいと望むのなら、私もやれることは全てやりたいと思っているから例え兄たちの言葉が過酷になろうとも耐え、行動しようと思っている。

 

兄はリザードンの方を見てから、何か考えてから思い出すような仕草をしつつ言った。

 

 

「前にオーシャンカップで見せてくれたダブル≪猛火の炎≫をやってみてくれないか?」

 

「分かった!行くよヒトカゲ、ダブル≪猛火の炎≫!!」

『カゲェェェエエ!!!』

 

 

猛火の炎はひのこをより大きく、より勢いを増した鍛えた技の1つ。でもリザードンやカイリューのかえんほうしゃより威力は小さく、まだまだ特訓をして炎の勢いを増していかなければと思っていた。リザードンと兄がその様子を見て、お互いの顔を見合わせてから言う。私たちにかえんほうしゃという技を習得してもらうためにもっと凄まじい炎を覚えてもらおうと説明をする。

 

 

「炎の威力はひのこよりも上だが、まだまだかえんほうしゃには届いていないな…リザードン、手本を見せて教えてやってくれ!」

『グォォォオオ!!!!』

 

 

リザードンが私たちの近くでかえんほうしゃを放つ。リザードンの凄まじい威力と熱気が伝わり、ヒトカゲの目の輝きは増していく。こんな強い技を覚えられることになったらなんて素敵だろうと思っているのだろう。私もリザードンが教えてくれるのなら本当にありがたい。それに、リザードンはヒトカゲの進化形だから、ある意味後輩のような感じなのではないかと思った。

 

 

「いいか、リザードンがやったように、炎を腹の中に込めてそしてすべてを吐き出すようにして放つんだ」

『グォォ!』

 

「よし分かった…できるヒトカゲ?」

『カゲ!…カゲカゲェェエ!!!』

 

ヒトカゲはお腹に力を入れて炎をため込むような仕草をして、そして炎を放つ。猛火の炎よりも力強くなっているけれど、リザードンやカイリューのかえんほうしゃには劣っていた。でも威力は増しているからかえんほうしゃに近づけているのではないかと思い、喜ぶ。このままでいけば、かえんほうしゃを習得できるのではないかと思ったからだ。

 

兄とリザードンもいい感じだと笑ってくれた。その表情に私とヒトカゲは喜び、笑みを浮かべる。

 

 

「よし!この調子でかえんほうしゃを覚えてもらうぞ!」

『グォォォオオ!!!!』

 

「はい。お願いします!!」

『カゲェェェエエ!!!』

 

 

 

「――――――おっと!その前にお昼だよ!」

『修行はその後で行え』

 

 

いよいよ本格的にかえんほうしゃを覚えようという時に、デントとルカリオがこちらに近づいて修行を中止するように言う。私たちがデント達の指差す方向を見るととても美味しそうな料理が並んでいて、アイリスとNさんと、アイリスのポケモンたちとデントのポケモンたち…そして観戦していた兄のポケモンたちが自分の食べる場所に座って私たちを待っていた。その様子にもうお昼なのかと私たちは気づく。

 

 

そして料理が並び、皆が待っている姿を見た私たちは上がっていたテンションを下げ、仕方ないという表情でデント達の言うことに従う。まあまだトレーナーじゃないから急ぐほどのことじゃないけど、でもこれからのことを考えるとかえんほうしゃを覚えるのはいいことだよねと思う。

とにかく、これからの修行も頑張っていかないといけないかな…。

 

 

 

 




妹の心境。
 かえんほうしゃはまだできないけど…でもこれからできるようになるよね…きっと。





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