マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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―――――強さを求めた結果、手にしたのは一時の別れだった。






第百四十九話~リザードンはいつも通り~

 

 

 

 

 

 

 

 

リザードンはサトシに呼ばれたことに歓喜していた。久々に会えるだけじゃない。イッシュ地方という見たことがないポケモンが多いという場所にいるサトシと一緒にバトルができるかもしれないという予感がしていたからだ。サトシと旅している間は必ず強者とバトルできることが多い。ポケモンリーグでのバトルやある悪党とのバトル…そして、バトルフロンティアでの強者とのバトル。いつもサトシの近くには強者の存在がいた。だからこそ、呼ばれたときは即答ですぐに行くと言った。バトルしたいというだけじゃない、サトシに会いたいという感情もあったからだ。

 

 

もちろんサトシはその答えに笑顔ですぐさま対応した。オーキド研究所に行きボールを交換するようにするということ、交換するポケモンはリザードンと同じひこうタイプで、進化してかなり強くなったと感じているケンホロウに決めていた。ケンホロウならもうサトシのもとで強くなろうとするよりは、オーキド研究所に行き今まで旅してきた中で仲間となったひこうタイプのポケモンたちと修行し、鍛えた方が良いだろうと考えた結果だった。もちろんその言葉にケンホロウも納得し、オーキド研究所でもっと強くなると決意していたりする。

 

―――――――そんな準備をサトシがしていた中、リザードンは空を飛んでマサラタウンへ向かっていた。マサラタウンのオーキド研究所でボール交換をしてもらえば、すぐにサトシに会えると理解し、急いでいた。途中でポッポたちの群れを連れながら飛んでいるトキワの森に棲むピジョットに見つかり、何でマサラタウンに帰ってきてるのか聞かれたため、喜んでいた衝動でついサトシが自分のことを呼んでいるということを言ってしまった。そのため、マサラタウンでオーキド博士にボールに入れられる前に物凄い抗議がサトシの手持ちたちから殺到し、自分を連れていけとオーキド博士に技を放つポケモンまでいるぐらいにはカオスになってしまった。もちろんそれらを抑えたのはリザードンと…フシギダネだった。

抗議などを一切気にせず、攻撃してきたポケモンたちを吹っ飛ばし、そのままオーキド博士にボールに入れられて無傷でサトシのもとへ行ったリザードンはさすが最強と言うべきだろう。そしてオーキド研究所のフシギダネもオーキド博士に攻撃をするという事態を対処するべくリザードンの攻撃については止めなかったが、オーキド博士に余計な怪我をしないように動いていた。ついでに言っておくと伝説たちはその状況を放置していた。オーキド博士がいる状況で人の前に姿を見せる気はない伝説が大半なため、サトシに会いたいという気持ちは強くあれど、何もしないという選択をしたのだ。…まあそれはその後、サトシに会ったというレックウザのことを知ったミュウツーたちが激怒して世界が終わりかねない事態に発展したということもあったが、フシギダネの働きによってすべての伝説たちに説教をして鎮静化させたということもあった。

そして、凄まじいカオスっぷりからその光景を見ていたケンジは後日談としてカスミやタケシに遠い目をしながら語っていた。ついでにその時技を放たれ、リザードンとキレたサトシのポケモン達(フシギダネと伝説以外)の戦争のようなカオスに巻き込まれたオーキド博士もスーパーマサラ人のように凄まじかったというオチもあったりする。

――――そんな事件があったとしても、マサラタウンはいつも通り平和だ。

 

 

 

 

 

「久しぶりだな…リザードン…」

『ピカッチュ…』

 

 

『グォォォオオオオオ!!!!』

 

 

ボールから出て最初に感じたのは安心感だった。久々に見たサトシは変わらなかった…いや少し逞しくなったみたいだとリザードンは安心していた。

そしてサトシも、リザードンを見てより強くなったと感じて笑みを浮かべていた。モンスターボールから出した瞬間に感じた強者の雰囲気。何もかもを燃やしてしまいそうなマグマのような炎の高い温度。そして普通のリザードンよりも凄まじく力強くなった身体。何もかもが以前と違って強くなっていた。

サトシはリザードンの近くへ行き、リザードンの身体を小さく叩いた。その叩き方は今まで旅をしてきたときやバトルに呼ばれたときたまにやるサトシの小さな癖だ。リザードンはそんな癖を見せてくれたサトシが懐かしいと感じ、サトシに向かって久々の愛情のこもった炎を浴びせようとしたのだが、サトシはそれを素早く避けたために笑みを浮かべた。自分の炎を食らわない所も、自分と同じように強く生きている所も本当に変わらない…いや、それよりももっと強くなったのではないかとお互いがお互いそう思っていた。

 

 

「うわぁ!久しぶりだねリザードン!」

『グォォ!』

『ピチュピィチュ!』

『カゲカゲ…!』

「リザードン、紹介するね。私のヒトカゲとピチューだよ!」

『グォォォオ!』

 

 

「これがリザードン…始めて見るよ!」

「歴戦の勇士登場といったところだね…!」

『ああ…まさにサトシの最強のポケモン…というわけか!』

 

「よしみんなに紹介しないとな!皆でてこい!!」

「あ、私も!出てきて!!」

「じゃあ僕も!」

 

リザードンを見たサトシ以外の周りの反応はそれぞれ違っていた。アイリスはドラゴンタイプに似たリザードンを見て目を輝かせ、そしてデントとルカリオとNは強そうなリザードンに感嘆の息を漏らす。ヒナは久々に会ったリザードンに久しぶりと近づいてリザードンの腹に抱きつき、リザードンもヒナの頭を撫でて笑みを浮かべて久しぶりだなと挨拶する。そして恐る恐る近づいてきたヒトカゲ達に紹介し、その勢いでサトシやアイリス、デントがそれぞれボールから自分のポケモンを出して紹介する。

 

それぞれがリザードンを見て強そうだと感想を言ったり、よろしくなと挨拶したりする光景に、サトシ達はにこやかにそれを見ていた。

 

 

――――――だが、1体だけその平穏な挨拶を壊してしまうポケモンがいた。

 

 

『バゥゥウウウ!!!!』

 

『グォォォオオ!!!!』

 

 

まさに似たもの同士。強い者だからこそ感じ取れるものだった。強いものと戦いたいと思っているカイリューがリザードンに喧嘩を売り、リザードンはその喧嘩を買う。似たもの同士だからこそ、お互いの心がすぐさまわかり、戦おうとする状況に一変してしまったのだ。もちろんその雰囲気を感じ取った他のポケモンたちは巻き込まれたら危ないと少しだけリザードン達から離れていく。そしてヒナとヒトカゲとピチューもルカリオによって避難させられていた。

カイリューはリザードンを一目見た時からとても強いポケモンだと分かってしまった。リザードンの方はというと、戦いがいがあるかどうかわからないけれど、喧嘩を売られたらそれを買うのがサトシから学んだことだった。リザードンがまだヒトカゲの頃から、サトシはよく喧嘩を売られそれらすべてを何倍かにして買っていたことがある。そんな家族(マスター)の性格に似てしまったリザードンだからこそカイリューの喧嘩を笑顔で買い、バトルをしようと考え、行動した結果だった。

 

サトシ達はいきなり豹変し、リザードンとカイリューがお互い睨み合う光景に驚いたような表情を浮かべていたが、すぐにそれに納得した。カイリューについては旅をしてきて理解した性格と強さを求める願いから。そしてリザードンはサトシとヒナから見て、今までと変わらずバトルしたいんだなと苦笑し、アイリス達から見たらサトシから聞いた通りのバトルが好きだという意志と感情の表れだと納得した。

 

 

「よし、じゃあやろうぜバトル!リザードンもカイリューも戦いたいって思ってるんだからさ!」

『グォォォオオ!!!』

 

 

 

「そうね…戦いたいって思ってるなら…全力でバトルしましょう!!」

『バォォゥゥゥウ!!!』

 

 

 

そして始まったバトル。お互いの強靭な力を知るため、全力で挑もうとするカイリューとどんな強さなのか試そうとするリザードンとのバトルが始まった―――――。

 

 

 

 

 




To be continued.



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