マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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イッシュ地方にはないけれど、カント―でよく見るものがたくさんあった。





第百四十八話~妹達はカントーフェアを楽しんだ~

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。現在私たちはカント―フェアをやっているお祭りに来ています。その前に湾岸救助隊という人たちにあったり、ミルホッグが活躍したりといろいろとありましたが、私たちはあれからプラズマ団に会うことなく普通に旅していますよ。平和はやっぱり最高ですね。

 

「あ、あれ見て!ほらヒトカゲだよ!」

『カゲカゲ!!』

『ピッチュゥ!!』

「あっちはフシギダネにゼニガメもいる!凄いな!!」

『ピッカァ!』

「あ、ねえあれは何?」

『キバキ?』

『あれはポッポだ。イッシュ地方でのマメパトと同じような存在だな』

「なるほど…カント―とイッシュのトモダチ達は地方によってはこうも変わるものなんだね…!」

「うーん何ともフレイバーな香りが漂ってくるようだ!!」

 

 

カント―フェアということでマサラタウンから来た私たちから見ると懐かしい光景が広がり、実際にこの場にいるカント―のポケモンたちは少ないみたいだけれど、いろんなお店が並んでいて、その中にはカント―地方でしか食べられないような食べ物もいっぱいある。そしてカント―のポケモンに似たぬいぐるみも売っていたりして私たちはそれに喜びテンションが上がった。

 

 

「あ、あれ見て!ヒトカゲとピチューのキーホルダー…!おじさんこれください!!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピッチュ!』

「あいよ!…へえカント―のポケモンかい?お嬢ちゃんカント―から来たの?」

「はい!今イッシュ地方を旅しているんです!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

「そうかいそうかい!じゃあこれはオマケだ。ヒトカゲ達と食べなさい!」

「わぁ…!ありがとうございます!!」

『カゲェ!』

『ピッチュ!』

 

お店でヒトカゲとピチューに似たキーホルダーを見つけ、私は急いでその場所へ向かう。ルカリオもついて来てくれたから迷子になる心配はない。そしておじさんはキーホルダーと同じヒトカゲ達を見て驚き興味深そうに私に向かって言ってきたため私は笑顔でそれに答える。するとおじさんが商品となっている大きなわたあめを私に渡してくれて、礼を言ってその店から離れて兄たちのもとへ行く。わたあめはヒトカゲとピチューとルカリオで分けて食べた。…うん、美味しい。

 

「…うん?」

『…カゲ?』

『…ピッチュ?』

『…あれは』

「どうしたんだいヒナちゃん?」

「Nさん…あれ見てください」

『カゲ!』

『ピチュ!』

「へえああいうポケモン始めて見た…ねえあのポケモンもカント―地方にしかいないのかな?」

『キバキ?』

「うーん…コイキングというそうだよ…何ともゴージャスなテイストがしそうだね」

「へえコイキングっていうのね…ってサトシ?」

『キバキ?』

「あれ…Nさん?」

『カゲェ?』

『ピッチュ?』

 

「……………………」

「……………………」

『……………………』

 

 

「見てよ見てよお客さん!ここだけの話、このコイキングは金の卵を産むという特別な――――――」

 

 

いろんな店を見ていた時にコイキングを水槽に入れて何やら商売をしている人を発見した。アイリスたちはそのポケモンを始めて見たようで興味津々で水槽を見ていた。そしてNさんが何やら考えているような仕草をして、無表情でその水槽の中にいるコイキングを見つめる。そして兄とピカチュウはその水槽のポケモンを売ろうとしている人をじっと見ていた。

 

そして兄とピカチュウ、Nさんはそのお店に近づく。Nさんは無表情で、兄とピカチュウは笑顔で近づく様子に私たちは嫌な予感がした。

 

「おおお客さん…ヒィ!!」

 

「久しぶりだなお前…まだこんなことやってたのか…」

『ピッカァ…』

「トモダチが悲しんでると言うのに…売ろうとするなんて許せない…!」

 

 

「す、すいませんでしたぁぁぁああ!!!!!」

 

 

「うわぁ…」

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

『………ああ、いつものことだ』

「ははは…」

「さすがサトシね…!」

『キバキバ!』

 

兄とピカチュウを見たお店の人はすぐに青ざめた表情を浮かべていて、過去になにかやられたのかなと思った。そしてNさんはコイキングを見て自由にしてやれと怒っている。その兄たちとNさんの鬼気迫る様子に怖がったお店の人はいきなり土下座をしてからすぐに立ち上がり逃げて行った。コイキングの入っている水槽をもって…。あれ重くないのかな…。

だが逃げた事実を許さないのが兄とピカチュウとNさんだ。兄が尋常じゃない早さで走り、逃げたお店の人に追いついて水槽を奪い取り回し蹴りをする。そして蹴られた人はそのまま吹っ飛び、Nさんの寒気がする雰囲気漂う場所まで戻っていく。ジュンサーさんが到着するまでの間、コイキングをもって逃げようとしたお店の人は正座させられいろいろとトラウマになるようなことをされてました。兄とピカチュウとNさんに…。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「あれって…オーキド博士!?」

『ピッカァ!?』

 

 

――――その後、後の処理をジュンサーさんに任せて、私たちはまたカント―フェアを楽しむことにした。ちょっとしたトラブルもあったけれどすぐにまたいつものテンションに戻っていったからこういった状況に慣れたものだと密かに苦笑したりもしたけどね…。

そして歩いているとオーキド博士の声が聞こえてきて私と兄は走る。そして見つけたのはオーキド博士がテレビの前で話している様子。どうやらカント―地方のマサラタウンからテレビ電話のようにイッシュ地方のカント―フェアに来た皆に向かって話しているようだ。その内容はカント―で初心者が貰うポケモンの説明。カント―地方にいるポケモンのことを簡単に説明している。それを聞いていたNさんが兄に向かって話しかけてきた。

 

「サトシ君はどのポケモンを選んだんだい?」

「俺はこのピカチュウを貰いました!」

『ピッカ!』

「え、あの三体の中から選んだんじゃないのかい!?」

「まあいろいろと事情がありまして…ははは」

『ピィカッチュ?』

「はは…確かにそうだね…」

『カゲェ?』

『ピチュゥ?』

 

兄がピカチュウを選んだのは原作通りの展開にするためにわざと遅刻してきたからだ。まあそれについては言えることもなく、私と兄は首を傾けているピカチュウたちに誤魔化して苦笑した。

そしてヒトカゲが実際にステージ登場し、観客たちに声援を貰ってひのこを出したり踊ったりしていた。私の足元にいたヒトカゲはその様子を見て目を輝かせている。

 

「ほらヒトカゲ…凄いね!」

『カゲェ!』

『ピッチュ!』

 

『カゲカゲェェエ!!!!ッ!?』

 

「え、ちょっ!?大丈夫ですか!?」

『ピィカ!?』

 

踊っていたヒトカゲが目を回して倒れ、ステージの方に置いてある照明などを倒して下敷きになってしまった。その様子を見た私たちが驚いてステージに近づき大丈夫か聞く。だが下敷きになったヒトカゲは燃え盛る尻尾の炎を見せただけで立ち上がろうとせず、すぐにポケモンセンターに連れて行くことになったようだ。私たちも心配になりそちらへ行くことになった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

――――――ステージでいろいろと披露していたヒトカゲはあまり重症ではなく、ちょっとした怪我ですんだようだ。どうやら怪我をしたヒトカゲは私のヒトカゲと違ってやんちゃでお調子者のようだ…。まあすぐに治るみたいだから良かったかな。

 

「でも…カント―フェアかぁ…」

『ピィカ…』

「どうしたのお兄ちゃん?」

『カゲェ?』

『ピチュゥ?』

 

兄が懐かしそうな表情を浮かべて何かを思い出しているようだ。私たちはその様子に疑問に思いながらも声をかける。すると兄はピカチュウの頭を撫でながらも話してくれた。

 

「いや、ヒナのヒトカゲもそうだけど…ヒトカゲを見てるとちょっと懐かしくなってな」

『ピィカ…』

「ああ、もしかしてリザードンのこと思い出してたの?」

『カゲェ?』

『ピッチュ?』

「そっか…ヒトカゲもピチューも見たことないよね…リザードンはお兄ちゃんのポケモンなんだ」

『カゲェ!』

『ピッチュゥ!』

「リザードンって…確かヒトカゲの最終進化形だよね?」

「え、どういうこと?サトシの最初のポケモンってピカチュウでしょ?」

『キバキ?』

 

 

「ああ、でもヒトカゲはカント―地方を旅している途中で出会ったんだ――――――」

 

 

そこから、兄はリザードンと出会った話。ヒトカゲの頃は素直だったけれどリザードになった時からやんちゃし始めたこと、そして喧嘩をよくするようになったけれどそのうちお互いを認める様になり、今は強さを求めてリザフィックバレーで修行していることを話してくれた。私はその間も随分前にマサラタウンでリザードンと出会った時を思い出す。兄とよく喧嘩をしていたけれど、私にはそんな危険なことをしないし、抱きついても嫌がらない頼れる兄のような存在だという印象が強いと思っていた。そういえばあの時以来会ってないなと思う…。私のヒトカゲがうまれて、修行し、イッシュ地方を旅しようとする間も一度もマサラタウンに来ていない…懐かしいとさえ思ってきた。

 

「へえ…そんなことがあったのね…!」

『キバァ!』

「いろんな仲間がいて…いろんな旅があった…うーん素晴らしいテイストだね!」

『カント―地方を旅しているサトシの話は初めて聞いたが、リザードンか…』

「君とリザードンとの絆と思いが伝わりそうだよ」

 

 

「そうかな…でも、懐かしいな…」

『ピィカ…』

 

本当に懐かしそうな表情をする兄に、私たちは顔を見合わせてどうしようかと悩む。懐かしいならリザードンと会ってやればいいんだけれど、兄は絶対にリザフィックバレーからリザードンをわざわざイッシュ地方まで呼び寄せるのは大変だと思ったのだろう。

…でも、Nさんが爽やかな表情で言ってくれた。

 

「君が望んでいるなら、きっとリザードンも望んでいるはずだよ…会いたいとね」

「…まあ、会いたいけど…でもここからオーキド研究所までの通信は不可能だろうし…リザードンにも迷惑がかかるからな」

『ピィカ…』

「いや、オーキド研究所からのポケモンを通信するのは大丈夫だと思うよ。ここは設備が整っていてカント―までのポケモンの通信が可能だからね!」

『ああそれなら可能だ。オーキド研究所が無理なら、リザフィックバレーにリザードンを送ってもらえばいいだろうしな』

「…ねえサトシ。聞いてみたらどうかしら?リザードンが来てもいいかどうか…会ってみるだけでもいいんじゃない?」

『キバキ!』

「そうだよお兄ちゃん!会いたいって思うなら…仲間なんだから…会ってみたらどうかな?」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

 

「…ああ、そうだな!」

『…ピッカ!』

 

 

兄は決心したらしい。まずはリザードンと会えるかどうか話をしてから、その後にイッシュ地方に来ても大丈夫かどうかリザードン自身の意志を聞くと言って電話へ向かって行った。でも…あのリザードンなら絶対に兄に会いたいというはずだ。もしかしたら久々に会えるかもしれない再会に、私たちは笑顔でその時を待った――――――――。

 

 

 




To be continued.


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