マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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目指した途中で見つけたのは…。


第百四十一話~白の遺跡へ目指す途中…~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。

アララギ博士の父がレシラムに関する遺跡を見つけたとかで面白そうだと俺たちはそこへ向かうことになった。旅をするのなら目的ある旅の方が面白そうだからだ。そしてそこへ向かうために船に乗っている。その途中で、船から見えた景色はとても面白いものばかりだと俺たちは周りを見ながらテンションが上がる。その景色には廃墟のような場所も見えたりした。デントが調べた結果、その廃墟のような場所はラボの跡地となっていて、何かの研究施設だったらしいということが分かった。何の研究をしていたのかは気になるけれど、もう跡地となっているから行ったとしても何も意味がないと考えてその好奇心を捨てて白の遺跡についての話し合いを始める。

俺たちはレシラムと直接会ったことがあるけれど、白の歴史とは関係があるかどうかだ。あのレシラムは封印されていたらしいから関係はないのではないかという意見(ルカリオとデント)と白の遺跡でアララギ博士の父もちゃんとレシラムに関する何かがあると言っていたのだから必ずレシラムと関係があるという意見(アイリスと俺)とそもそも封印とレシラムについては別個体として見た方が良いんじゃないかという意見(妹)で分かれた。その話し合いをしても何も結果は出ず、やはり白の遺跡に行って直接確認した方がわかるだろうと話し合いが終了した時にタイミングよく船が次の町に到着した。その町には俺たちは降りることないため、次に向けて出発する間は待つことになった。

 

「…ん?あれって…」

『カゲ?』

『ピチュ?』

「どうしたヒナ?」

『ピカピカ?』

「あれ…あの人僕たちのこと見てるね…誰かの知り合いかい?」

「私じゃないわよ?」

『キバキバ』

「俺も違うぜ」

『ピッカッチュ』

『…ヒナ、お前の知り合いではないよな?』

「うん…違うよルカリオ。知り合いじゃないよ…」

『カゲカゲ』

『ピチュピチュ』

「じゃあ気のせい…ってあれ?いなくなってる……」

 

船の外で妹が何かに気づいたため、俺とピカチュウが何があったのか話を聞く。そして外を見たデントが帽子をかぶった緑髪の青年を見つけ、こちらを見ていることに気づいたため誰かの知り合いか俺たちに聞く。けれど誰も俺たちを見ている青年とは知り合いじゃないため俺たちを見つめていたのは気のせいということになった。…でもあいつ、俺たちを見ていたというより、俺たちのポケモンを見ていたような気がする……まあいいか。

 

 

「あ、そうだ!船の中にバトル場があるのよ!一緒にバトルしましょう!」

『キバキバ!』

「お、いいなそれ!バトルしようぜ!」

『ピッカッチュ!』

 

アイリスが船にあるバトルできる場所を見つけたらしく、暇つぶしに一緒にバトルでもしないかと誘ってきたため俺たちはその誘いにのることにする。そして向かった先では…先程船の外で見かけた青年が立っていた。

 

「あの人って…」

『ピカピカ?』

 

「やぁ…可愛いね君のピカチュウ」

『ピッカァ!』

「ありがとうございます。あの…何でさっき俺たちのこと見てたんですか?」

「トモダチの声が聞こえたんだよ…」

「友達?」

『ピィカ?』

「ポケモンのことを、僕はそう呼んでいるんだ…」

 

 

そしてその青年…名前はNさんというらしい。Nさんに話を聞くとピカチュウが俺のことを大好きだという心の声が聞こえてきたということ、そのピカチュウの心の声の強さに興味をもって来たと言ってきた。

ちょっとだけ理解できないような気がするけれど、世の中にはいろんな人がいるし、もしかしたらNさんもポケモンの声を本当に聞いたのかもしれないと頷く。それにNさんはポケモンのことをよく見て、よく知っているようだ。俺のピカチュウを見る目がとても優しく、撫でる手もピカチュウは嫌がらずむしろ気に入っているようだと感じる。その様子からNさんはポケモンのことを第一に考える優しい人なんだと思えた。

 

「それでサトシ君たちはどこへ向かっているんだい?」

「俺たち、レシラムにまつわる伝説の場所を目指しているんです」

『ピッカ!」

「ッ?!」

 

そしてNさんはいきなり驚いたような表情をして、目を閉じて何かを考えているような…思い出しているような感じになった。俺たちはお互い顔を見合わせて何があったのかNさんに聞いてみたけれど、伝説だから1度見たら幸運だよねとはぐらかされてしまった。あの反応からおそらくNさんは見たことがあるのかもしれない…もしくは何か伝説と関わったことがあるかもしれないと感じた。まあ、それは俺の推測にすぎないから直接Nさんに言える質問ではないけれど…。

その後、デントがふと思い出したかのような表情で俺に話しかけてきた。

 

「そういえばサトシも、ゼクロムに直接会ったことがあるよね?あの時以外にも…」

「あああれか…でもあれってほとんど直接会ったとはいえないんだよな…」

『ピィカ…』

「ああうんそうだね…あれってほとんど会ったとはいえないよね…」

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

 

「どういうことかな。その時のこと、詳しく聞かせてくれないかい?」

 

「わかりました…?」

『ピカァ…?』

「待った待った!…ほら、立ち話もあれだし、ここはひとつ…イッツ・カフェ・ターイムと行こうじゃないか!」

「また始まったし…」

『キバキバ…』

『………………………』

 

 

恐らくデントはあの封印されたゼクロムではなく、イッシュ地方に最初に遭遇したゼクロムの方を言っているのだろう。だがあの時はあいつが攻撃してきそうな雰囲気を漂わせていたからすぐにピカチュウとルカリオの攻撃で追い払ったため何事もなく去って行った。だから直接会ったとはいえないと俺とピカチュウと妹とヒトカゲとピチュー。でもNさんは直接会ったかどうかはともかく、ゼクロムと遭遇したということに驚き、詳しく話を聞きたいと言ってきた。だがかなり長話になりそうだと感じたデントによっていったん話は中断しちょっとしたレストランに行ってそれぞれ飲み物を頼み、椅子に座って話をすることになった。…というか、ずっと思ってたんだけど、ルカリオ…Nさんがいるから喋れないんだよな…まあ仕方ないか…。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

――――――――俺が話した話はNさんにとってかなり興味深い話だったらしい。そしてゼクロムの英雄伝説についてNさんはレシラムの英雄伝説を話してくれた。やはりNさんはレシラムやゼクロムについての話に詳しい…何か興味をもって調べていたのかデントは聞いたら、この世にポケモンはいるのか。どうしてこの場所に生まれていくのかという哲学にも似た話を長々と早口で話していた。でもその感情がこもった話を聞いて、おそらくかなり熱心に調べているのだなと俺たちは感じた。だが、我に返ったNさんはやってしまったという表情を浮かべて俺たちに向かって苦笑していた。

 

「そうだ。サトシ君の夢を聞かせてくれないかな?」

「はい。俺の夢はポケモンマスターになることです」

『ピッカ!』

「ポケ……モン…マスター……僕は、トモダチ…いやポケモンにバトルさせることは好きじゃないな…」

 

「どういうこと?」

「…え、あのどうしたんですか?Nさんもポケモントレーナーですよね…?」

「Nさん?」

『ピィカ?』

 

「いや、忘れてくれ…熱くなるとつい喋りすぎてしまうのが僕の悪い癖なんだ…じゃあ風に当たってくるよ」

「はぁ…」

『ピカピカ…』

 

 

Nさんはちょっとだけ残念そうな表情で俺たちから離れてレストランから外に出て行ってしまった。その言葉に、その表情に俺とピカチュウは何か妙な引っ掛かりがあるような気がしたけれど、おそらくポケモンが傷つくのが嫌でバトルは好きじゃないと言ったのかもしれないと思った。でもまだ短い間の交流だったけれど、Nさんはポケモンが第一だということ…そして何かを隠しているということが分かってしまった。隠し事とはレシラムについてのこと。レシラムについて詳しく知っていて、何かを隠していると俺たちはそう考えたのだ。

何を隠しているのかはわからないけれど、でもレシラムの話を聞いた時から何か様子がおかしいと感じたこの直感はきっと外れていないはずだと思う。ピカチュウの方を見ると、何か考えているのかピカチュウも俺の顔を見て頷いていた。そして予感がした…もしかしたらNさんとはまた会うことになるかもしれないという予感が―――――――。

 

 

 

 

 




兄の心境。
 何か悪いことが起きなきゃいいけどな…。




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