マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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妹はデジャブを感じた。




第百四十話~妹はある人物と出会った~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。イッシュリーグは兄がすべてのトレーナーに勝って優勝してました…。さすがスーパーマサラ人…いやそろそろスーパーマサラ人以上になってるような気がします。

そういえば兄があるトレーナーを徹底的に叩きのめした戦いがあったんですけど何があったんでしょうね…?もしかしたらそのトレーナーが兄に喧嘩でも売ったのかなと首を傾けながら観戦席で見ていました。まあそのトレーナーも負けた瞬間に号泣しながら兄に向かって土下座していたため喧嘩を売ったという予測は確信に変わりましたが…。

そして今回の旅の報告にアララギ博士に会いに行くことになりました。カノコタウンの研究所にアララギ博士がいるとのことで、私たちはそこへ向かっていたんですけれど…。

 

「どうしようどうしようどうしよう…!!」

 

「あれって…?」

『ピィカ?』

「何か悩んでるみたいだね…」

「とにかく聞いてみましょう!」

『キバキバ!』

 

橋の近くで座り込み、困っている女の子を発見して私たちは何かあったのか話を聞くことにする。話を聞いてみるとその女の子は凄く心配性な性格で、目の前にある橋が崩れるのではないかと心配して、石橋を叩くということわざを試してしまい、その試した結果橋が叩いた場所から崩れるのではないかといろいろと想像力豊かなことを言って悩んでいたらしい。ルカリオは何をくだらないという表情を浮かべて呆れており、皆も大丈夫なのに何で渡らないんだろうと苦笑している。

 

「大丈夫だって。俺たちがこの橋を渡って安全を確認するから、その後に渡ればいいだろ?」

『ピカピカ!』

 

「う、うん…」

 

女の子はあり得ない可能性を信じて顔を青ざめている。私たちが橋を渡って大丈夫だという証明をしたのだけれど、それにももしもの可能性を考えて渡れなくなっていた。むしろその想像力が凄いと私たちは思ってしまった。

 

「ほら、大丈夫だろ?」

『ピカピカァ!』

「セーフティなテイストだろう!」

「何も問題はないから渡ってきて大丈夫よ!」

『キバキバ!』

「そうですよー!この橋は頑丈だし大丈夫ですよ!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

 

 

「う…で、でも…今のがこの橋の限界ギリギリとかだったらどうしようって思ったら!…うわぁぁ!!」

 

 

しまいには泣き崩れてしまった女の子に私たちは呆れたような表情を浮かべた。兄は頬をかいて困ったように苦笑をし、アイリスとデントは微妙そうな表情を浮かべている。

 

「ああ…まったく…」

『ピカチュ…』

「慎重すぎるテイストだね…」

「ある意味感心するわ…」

『キバァ…』

『…………ハァ…仕方ないな』

「あれ?ルカリオ戻るの?」

『カゲ?』

『ピチュ?』

「俺も行くよ…ルカリオだけだと余計に何か怖がられそうだ…」

『ピィカッチュ…』

 

 

―――――――――というわけで、兄とピカチュウとルカリオが一緒になって女の子の所へ戻り、一緒に橋を渡ってきました。

ルカリオが喋ると余計に困惑してしまう可能性があったため兄が喋って応援しながら歩いて渡った。その間も想像豊かな恐怖を語ってくれて何度か足踏みして止まってしまったこともあったけれど無事に橋を渡ることができて良かったと思う。…というか、何かこの場面見たことあるような…原作で見たっけ…?

 

 

「あ、あの…ありがとうございました!!」

 

「いや気にすんなよ!」

『ピカピカ!』

「慎重なのもいいことかもしれないけど…たまにはチャレンジすることをお勧めするよ!」

「そうね。何事もまず最初にやらないと進まないわよ」

『キバキバ!』

 

「は、はい!本当にありがとうございます!」

 

「次は気をつけてくださいねー!」

『カゲカゲェ!』

『ピチュピチュゥ!』

 

 

私たちは女の子と別れ、アララギ博士の研究所へと向かう。…そして到着した私たちはアララギ博士に挨拶をして、その次に電話でオーキド博士に挨拶をする。

 

「おおサトシにヒナ!久しぶりじゃのう!」

「お久しぶりです博士!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピッチュ?』

「おお!ピチューじゃないか…そうか。イッシュ地方でヒナと出会ったんじゃな。ピチューの様子は幸せそうじゃ!よかったのう!」

『ピチュピチュ!』

「はい!」

『カゲ!』

 

「博士、今回のイッシュリーグ…見てましたか?」

「見ておったぞ!イッシュリーグも優勝じゃな!おめでとうサトシ!!」

「はい。ありがとうございます!!」

『ピカピカ!!』

「あ、マサラタウンにいる皆って元気にしてますか?」

『カゲカゲ?』

『ピチュピチュ?』

「ああ元気じゃとも!…おおぶッ!?」

『ベェェトォォオ!!』

「ベ、ベトベトン…」

『カゲェ…』

『ピチュ!?』

『カゲカゲ』

『ピチュゥ…』

「こ、これ…よさんかベトベトッッブッ!?」

『ベェェトォォォ!』

「ははは…ともかく、元気そうだな…」

『ピカピカチュ…』

 

ベトベトンがそのまま博士の身体にのしかかったせいで電話が切れ、私たちはその光景に苦笑してしまった。ベトベトンが博士に懐いているのはいつも通りだけれど…まあいいか…。

 

その後私たちは旅をどうするのか考えていた。イッシュリーグが終わったから兄の旅はこれで終了でマサラタウンに戻るか…それとも旅を続行してイッシュ地方を回るかどちらか。アイリス達はまだやることが残っているから旅をしたいし兄たちと一緒に旅を続けたいと言っていて、兄はそれでいいけれどこれからどこに行こうか悩んでいた。そんな話し合いをしていた間にまたあの女の子がやって来た。

 

「す、すいませーん…居ないのかな…ああどうしようどうしよう!!私が来るのが遅れたせいでこの研究所は無人になっていたのかな…それともここは前から誰もいないのかしら…ああもうこれからどうすれば…!!」

 

「あれお前…」

『ピィカ…』

 

「あ、さっきの人たち!!」

 

 

 

――――――――――話を聞いてみると、どうやらこの女の子…もといノノミさんは初心者トレーナーでアララギ博士にポケモンを貰いに来たらしい。だからあの橋の時にうろついていたのかなと私とヒトカゲ、ピチューはそう思って首を傾けていた。

そんな中、ノノミさんはまた初心者ポケモンを選ぶのにも苦労していて、ツタージャを選んだら寝ている間に進化してジャローダになって巻きつかれたらどうしようとか、ミジュマルを選んだとしたら寝ている間にみずでっぽうで部屋中が水浸しになってしまったらどうしようとか考えていたようだった。その声と悩みに私たちはまた苦笑してしまう。何というかここまで慎重かつ想像力が豊かだとこの先旅でやっていけるのかなと心配してしまうほどだ。

ポケモンについてはデントがポケモンソムリエとしてノノミさんの相性がピッタリそうなポカブが良いとお勧めされたこともあって選び、そのポケモン以外にもポケモン図鑑やモンスターボールなどを貰っていた。その様子はシューティーが旅をし始めた時とデジャブになるなと懐かしむ。でもあの時は兄たちが暴走していたからそれどころじゃなかったけれど…。

 

「そうだ…なあノノミ!せっかくポケモン貰ったんだし、俺とバトルしないか?」

『ピカピカ!』

「え、ええ!?ででもわたし…私まだ初心者だし…ポカブも私に懐いてくれるかどうかわからないし…ああ指示を聞かなかったらどうしよう…それで逃げ出されてしまったら私…!」

 

「いやいやそんなこと有り得ないって…」

『カゲカゲ…』

『ピチュピチュ…』

 

「じゃあダブルバトルはどうだ?そのまま旅に出るんだったらある程度は慣れた方が良いぜ?そんなに慎重すぎるといつまでたってもバトルできないし前に進めないぞ」

『ピッカ』

「前に…うんわかった。私やってみるよ!!」

 

「よしその意気だ!…アイリスにデント。手伝ってくれるか?」

『ピィカ?』

「もう、最初っからそのつもりだったんでしょ?もちろん私たちも手伝うに決まってるじゃない!ね、キバゴ」

『キバキバ!』

「そうだね。ここは先輩トレーナーとして僕たちと一緒にバトルのことを知っていこうか!」

 

「はい、お願いします!!」

 

 

 

――――――――まあ兄はおそらくこのノノミさんが初心者だからということとものすごく慎重すぎる性格だと考えて心配し、ある程度は妥協も必要だと教えようとしているのだろう。そしてできるなら旅で迷いすぎないようにポカブとバトルをして大胆になってもらおうと考えたのだろう…。うん、まあ兄の影響うけてしまったノノミさんはこれから大胆に旅をしていくと決めたらしく、兄たちにお礼を言って歩いて行った。…ちょっとだけ常識から外れないことを祈るのみ…だけれども…まあ慎重すぎる性格よりマシだよね?

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 これからどうなるのか心配だけど大丈夫だよね…?




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