マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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ホウエン地方のある話。




第百三十六話~トウカシティにて悩み中~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはホウエン地方のトウカシティ。この町に住むのは現在まだトレーナーになっていないマサトだ。マサトは現在自室にてベットに転がりながらも悩んでいた。

オダマキ博士が今日マサトと仲良くなってもらうであろうポケモンを連れてくるからだ。しかも3体のうちの1体を選ぶことになる。だがまだマサトはポケモントレーナーとしての年齢に達してはいない。

ただ、サトシ達とホウエン地方やカント―地方を旅をしてきた経験を評価され、オダマキ博士に1体のポケモンの世話を任されただけなのだ。任されたといってもそのポケモンをどう育てるのかちゃんと毎日どんな食事をしているのか、どんな遊びをしているのか、ポケモンの様子はどうなのかなどのレポートを書かされ、毎回提出してくることが条件となっていた。もしもそのレポートを怠ればマサトは選んだ1体のポケモンを没収され、トレーナーになった頃にポケモンを選ぶことになってしまうのだ。

そしてオダマキ博士から任された1体のポケモンは将来マサトがトレーナーになる時にパートナーとなるべきポケモンだとオダマキ博士が言ってきたため、ある意味バトル等はできないがトレーナーとしてポケモンを貰えるというようなものだとマサトは感じていた。

 

―――――――――ちなみにハルカはその頃マサラタウンに行ってマナフィたちと戯れていたりする。

 

 

 

「うーん…どうしようかなぁ…アチャモはお姉ちゃんが持ってて僕も一緒にはしたくないし…ミズゴロウはタケシが…キモリはサトシが持ってたよね…ああ悩むなぁ!!」

 

 

マサトはベットで頭を抱えて寝転ぶ。旅をしてきた中で見た3体は選びづらいからだ。姉であるハルカが選んだアチャモは姉弟同じポケモンを選んだと言われたくないという反抗心から選びづらく、ミズゴロウはタケシのポケモンとして見てきて…穏やかそうな性格でマサトがトレーナーになった時に相性がいいのかは分からず選びづらい…キモリはサトシのポケモンで強いと思えたのだが、それで選ぶキモリが強いのかどうかは何とも…と悩んでいた。

 

でもそろそろ決めないとオダマキ博士が家に来てしまうと悩んでいたし焦ってもいた。でもいまだに決まらず…ついにはオダマキ博士がマサトの家に来てしまったのだ。そのことに余計に焦るマサト。

 

 

「うわぁぁ来ちゃった!!」

 

「やあマサト君!決まったかい?」

「こんにちはオダマキ博士…いえまだ決まってない…です…」

「そうかそうか!…大いに悩んでいいからね!ああ自分のパートナーとなるポケモンを見た方が良いかもしれないな!」

「え、いいの!?お願いします!!!」

 

マサトは選びづらいという理由から落ちていたテンションが上がり、興奮したようにオダマキ博士に詰め寄る。オダマキ博士は笑顔でポケモンをボールから3体出して見せてくれた。マサトは出てきた3体のポケモンたちをじっくりと観察してどのような性格なのか確かめる。トレーナーとなった時にもらえる3体はマサトから見るとそれぞれ性格は違ってみえた。

アチャモは活発そうで元気そうだ。だが元気すぎてミズゴロウに喧嘩を売っている。対してミズゴロウは怯え、マサトの部屋にある本棚に隠れようとしていた。そしてキモリは――――――――――――――――。

 

 

「あれ、お前って枝を銜えて…まるでサトシのジュカインみたいだね」

『……キャモ』

「ああそこのキモリは前にホウエンリーグのテレビを見た時に映ったサトシ君のジュカインに惚れちゃったらしくてね。このキモリはメスなんだけどサトシ君のジュカインの真似をしたがるんだよ」

 

「へぇ…」

 

キモリは一度マサトの顔を見てからそっぽを向き、銜えている枝をぴょこぴょこと上下に動かしていた。ちょっとだけオダマキ博士から言われた言葉に照れているらしい。その行動はまるでサトシのジュカインの…キモリだったころの行動に似ていて…本当にサトシのジュカインのことが好きなんだということがマサトには伝わった。マサトはその様子を見て決心した。サトシと一緒に旅をしてきて、サトシの凄さをよく知ることができた。そして憧れてもいた。いつかはこんな凄いトレーナーになりたいと思ったぐらいだ。キモリもそう思っているのならサトシに憧れているマサトとよく似あうパートナーとなれるだろうと直感した。そしてその直感は外れていないだろうとマサトは不思議とそう思っていた。

 

 

マサトは笑みを浮かべてキモリを抱き上げた。キモリは急に抱き上げられたことに驚いたみたいだったが、すぐに抱き上げられた腕に捕まり、マサトの顔を見上げる。でも嫌がる様子は見えない。そしてマサトはそんなキモリに嬉しそうな表情を浮かべながらも、オダマキ博士に向かって口を開く。

 

 

 

「オダマキ博士!僕はこのキモリにします!大事に育てて…あ、あとレポートなどもちゃんと提出しますね!!」

『……キャモキャモ』

 

 

 

「うんうん。そうなると思ったよ!キモリのこと大事にしてやってね!」

「はい!ありがとうございます博士!!」

『キャモ…』

 

 

 

 

 

―――――――これは、マサトとキモリが出会った物語の始まりであり、ホウエン地方の旅よりも前の物語の始まりとなった瞬間だった。

 

 

 

 

 

「これからよろしくキモリ!!」

『…キャモ』

 

 

 

 

 

 


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