マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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兄たちは一度別荘へ帰ってきた。


第百三十三話~兄はメロエッタの真実を知る~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。現在セイガイハシティから帰ってきて、シロナさんの別荘でイッシュリーグに向けての修行を行っています。俺はミジュマルで戦い、デントはヤナップで勝負をしている所です。

 

 

「ミジュマル、サイクロンアクアジェット!!」

『ミッジュゥ!!』

 

「なかなかよくなってきてるね!ヤナップ、あなをほる!」

『ヤナァップ!!』

 

 

サイクロンアクアジェットとはミジュマルと一緒に作り上げたハイドロポンプとアクアジェットを混ぜた技になる。いわゆるハイドロポンプ並みの水をまとってアクアジェットするということだ。ハイドロポンプの勢いとアクアジェットの素早さを足して大きな水流となってミジュマルがヤナップに攻撃しようとしてきたのだけれど、ヤナップがあなをほるをしたために躱されてしまった。…命中度を上げるのが今後の課題になりそうだと俺は思った。

ミジュマルはそのまま技を解き、地面の振動に集中し、ヤナップが来るのを待つ。そしてヤナップが来たと分かりすぐにジャンプして躱す。

 

「よしミジュマル!次はれいとうシェルブレードだ!!」

『ミジュミジュ!!』

 

『ヤナァァァ!!!??』

「ああヤナップ!!大丈夫かい!?」

『ヤナァ…プゥゥ……』

 

「…あーヤナップ戦闘不能、よってこのバトル、ミジュマルの勝利!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

『メロォ!』

 

 

ミジュマルが次に繰り出したのは新しく覚えた技の1つであるれいとうビームとシェルブレードを混ぜた技である。シェルブレードがそのまま凍った状態で繰り出した技だと思えばいいだろう。…ちなみにこの技を受けたポケモンはこおり状態にすることもあったりする。みずタイプのミジュマルが苦手なくさタイプに対する対策として考えたやり方だ。

ミジュマルのれいとうシェルブレードを受けたヤナップは倒れ、デントに大丈夫かどうか聞かれたのだけれど、すぐに気絶してしまい、審判をしていた妹が俺とミジュマルの勝ちだと言う。

デントは苦笑して、ヤナップにオレンのみを食べさせ、ありがとうと言ってボールに戻している。俺はミジュマルに近づいて頑張ったなと言って褒めていた。

 

『ミジュミジュ!』

「よしよしよく頑張ったなミジュマル。…次はサイクロンアクアジェットの命中率を上げるやり方を考えないとな…」

『ミジュミジュ…!』

『ピィカッチュ…!』

 

 

『ロメ!ロメッタ!!…♪♪♪――――――――』

 

 

「メロエッタ…?」

『ミジュ?』

『ピィカ?』

 

メロエッタが歌いだしたと思ったら身体が光りだし、進化の時のように輝きだす。そして歌が終わり、光りが消えたと思ったらメロエッタの身体が変わっていた。…これは前に聞いたフォルムチェンジというものなのだろうと俺たちは分かり凄いと言って笑みを浮かべた。

そしてメロエッタはミジュマルの前に立ってミジュマルと俺に向かって手を伸ばして言う。

 

『ロメッタ!!』

 

「え、何?どうしたのかしら?」

『キバキバ?』

『…サトシ、メロエッタはミジュマルと戦いたいと言っているぞ』

『ミ、ミジュ!?』

「ああなるほど…さっき僕たちが戦ったのを見て我慢ができなくなったのかな?」

『ロメ!』

 

「…どうするのお兄ちゃん?」

『カゲカゲ?』

『ピチュピチュ?』

 

「いや…そりゃあもちろん受けるに決まってるけど…おーいミジュマル、メロエッタと勝負しても大丈夫か?」

『ミジュミッジュゥゥゥウ!!!!』

 

『ロメェ?』

 

「ちょっと待ってくれメロエッタ…ミジュマル、バトルしたくないって気持ちは分かったから。ピカチュウの所に行ってバトルを観戦するか?それともボールに戻るか?」

『ミジュミジュ!!』

 

 

ミジュマルが俺の後ろに隠れて戦おうと言うメロエッタから拒絶した。…ミジュマルはメロエッタに惚れてるみたいだから好きな子を傷つけたくないという気持ちはわかるけれど…できれば公式戦でこうならないようにしとかないといけないなと思いながら俺は苦笑しつつもミジュマルにこれからメロエッタとバトルするから学ぶためにも観戦するかボールに戻るかどうか聞く。するとミジュマルは一度メロエッタの顔を見て、俺が取り出したミジュマルのボールに戻って行ってしまった。…よっぽどメロエッタがバトルするところが見たくないんだなと俺たちは苦笑してしまった。まあ純情でバトルで傷つくのを見たくないと言うミジュマルに文句は言わないけれど…後でイッシュリーグでバトルする際にメロエッタの時のようにバトルを放棄されないように考えないといけないよな…と思う。

まあミジュマルの件については後で考えるとして、今はメロエッタとのバトルに集中しようと俺はワルビアルをボールから出してバトルを開始することにした。

 

「えっと…それではメロエッタ対ワルビアルのバトルを始めます!バトル開始!!」

『カゲカゲ!!』

『ピチュピチュ!!』

 

 

『ロッメェェェェエエエ!!!!!!!』

 

『ワルビ!?』

 

 

バトルが開始されたと同時にメロエッタがハイパーボイスで攻撃してきた。もろにハイパーボイスを食らってしまったワルビアルだったが、すぐに体勢を立て直してメロエッタを睨み付ける。メロエッタもそんなワルビアルの目に怖気づくことなく、好戦的な笑みを浮かべて技を放って来いと挑発してきた。

俺はそのメロエッタの行動に笑みを浮かべて、挑発にのることにする。まだワルビアルの新しい技を完璧に仕上げていないためメロエッタが怪我をする可能性を考えて、ここはいつものストーンエッジいこうと叫ぶ。

 

 

「今度はお前の番だ!ワルビアル、ストーンエッジ!!」

『ワルビ!!』

 

『ロメロメ!ロメッタ!!』

 

 

 

「へえ凄い!インファイトでストーンエッジの岩をブロックしてるだなんて!」

『ほう…インファイトにあんな使い方があるとはな…』

「さすがねメロエッタ!!」

『キバキバ!!』

 

 

 

メロエッタがストーンエッジをインファイトで難なく受け止めたことに俺とワルビアルは面白いと笑みを浮かべた。今までメロエッタの強さはどのくらいあるのかわからなかったけれど、これなら新しいわざを使っても大丈夫だと思い、俺は口を開いた。

 

 

「よしワルビアル――――――――」

 

 

『―――――――ゴォォォォオオオ!!!!!』

 

 

ワルビアルに指示をしようとした時、いきなりゴルーグが現れてメロエッタを背にして俺たちに向かい合う。いきなり現れた乱入者に俺たちは警戒し、ピカチュウがバトルフィールドに入ってゴルーグと向き合う。妹とヒトカゲ、ピチューはルカリオに守られて大丈夫そうだと安心しつつも、俺はゴルーグを睨みながらどうして突然来たのか疑問に思った。

だが、ゴルーグの後ろであるトレーナーらしき男が歩いて来て、メロエッタに近づいてきた。メロエッタが警戒するかと思ったら、メロエッタはその男に抱きつき安心したような表情を浮かべている…どういうことだ?

 

 

「メロエッタ無事か!?良かった!!…悪党め、よくもメロエッタを…!!」

「待て待て。俺たちは悪党なんかじゃ……」

 

 

「やれゴルーグ!ラスターカノンだ!!」

『ゴォォォォオオオオ!!!!!』

 

 

「おい待てって!!…チッ。ピカチュウ、ワルビアル≪護りの壁≫準備!!」

『ピッカ!』

『ワルビ!』

 

『ロメ…ロメッタ!!!』

 

「待ってお兄ちゃん!!大丈夫だから!!!」

 

 

護りの壁というのはピカチュウの何度も放つかみなりと10まんボルト、ワルビアルのストーンエッジによる壁である。だがただの壁ではなくポケモンの技にあるみきりやまもるのようなものだ。簡単に言ってしまえば、カウンターシールドの強化版となる。

…だがピカチュウとワルビアルが技を放とうとした瞬間にメロエッタがゴルーグの前に出てきて両手を広げて大丈夫だと言う。そして妹もこの先の展開が分かっているのか俺たちに大きな声で大丈夫だと言ったため、俺はピカチュウとワルビアルに技を放つのを止めるように言って…ゴルーグと男を見た。

男は困惑したような表情でメロエッタを見ていて、どういうことなのか聞きたそうだ。だがこっちもどうして攻撃しようとしてきたのかを聞きたい。

デントが肩をすくめて苦笑しつつも口を開いた。

 

「と、とりあえず…穏便に話し合いましょう」

 

「…ああ、いいだろう」

『…ゴォォオグ』

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「すまなかった!!どうか無礼を許してほしい!!!」

「いや…誤解だったと分かったなら別に…」

『ピィカッチュ…』

 

 

俺たちが話し合った結果、メロエッタはイッシュ地方のとある森の奥に男…いやラリーさん達と隠れ住んでいて、そこで俺たちが前に会った悪党たちに捕まっていたらしい。そして一度悪党たちから逃げ出し、俺たちと会ったということみたいだ。

 

『ロメロメ!』

 

「迎えが来たみたいで良かったねメロエッタ!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

『ロメッタ!』

 

「随分と君に…ヒナちゃんに懐いているんだね」

「えっとまあ何故かそうなんです…はは」

『ロメ?ロメッタ!!』

「うん…ありがとうメロエッタ」

『ロメッタ!』

 

 

妹がメロエッタの頭を撫でながら微笑む。そして俺たちはその光景に笑みを浮かべながらもラリーさんに話を聞く。あの悪党たちにもっと痛めつけてやればよかったと思いながらも、これでもうメロエッタを襲うやつらはいなくなったから大丈夫だろうと思いながらも…。もしもまた悪党がくる可能性を考えて聞いてみた。もしも悪党がまた来ると言うのなら今度は再起不能にしてやらなきゃいけないと考え、口を開く。

 

 

 

「じゃあ悪党はもう叩きのめしたから…大丈夫ということなんですよね?また来るということはありませんか?」

『ピィカ?』

「いや大丈夫だ。君たちのおかげだよ…本当にありがとう!!」

 

「そうですか…良かった」

『ピカピッカ!』

 

メロエッタはもう大丈夫なようだ。俺たちは安堵して笑みを浮かべ、妹に抱きつくメロエッタを見つめる。これでもう森の奥に帰ったとしても脅威はないということだから安心だ。

 

―――――そしてその後俺たちは外に出てラリーさんたちがゴルーグに乗って森の奥へ帰ると言ってきたため、お別れを言う。メロエッタと別れると分かったのか、ミジュマルがボールから出てきて号泣しながらメロエッタに向かって叫んでいる。それを見たピカチュウがミジュマルの背を叩いている。

 

 

「…ん?ミジュマル…?」

『ミジュゥゥ…ミッジュゥゥゥゥウウウ!!!!!』

『ピカピィカ…』

 

 

「みんな…本当にありがとう。これでやっと静かな生活に戻れるよ!」

『ロメッタ…』

 

 

「うん…さようならメロエッタ…また、絶対に会おうね!!」

『カゲェ…!』

『ピチュゥ…!』

『今度は悪党どもに捕まったりするなよ』

「さようならメロエッタ。元気でね!」

『キバキバ!』

「気をつけて帰るんだよメロエッタ…」

「メロエッタ…元気でな。また会おう!」

『ピカピッカ!!』

『ミジュ…ミジュミジュゥゥ!!!』

 

 

『……ロメ!ロメッタ!!』

 

 

――――――メロエッタは守り人であるラリーさんによって自分の帰るべき所へ帰って行った。ミジュマルや妹やヒトカゲ、ピチューは落ち込み、メロエッタとの別れを悲しんでいたけれど…でもまた会える気がするから…大丈夫だ。絶対に。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「…え?ローシャン…ですか?」

『ピィカ?』

「ええそうよ。ローシャンという町で大きなポケモンバトル大会が開かれるそうなのよ…イッシュリーグに出場するならサトシ君も参加してみたらどうかしら?」

 

 

別荘に帰ってきたシロナさんからローシャンと言われる町で行われるポケモンバトル大会のチラシを貰い、自由参加だからジュニアカップのようにイッシュリーグ開催までに鍛える意味で参加したらどうかと言ってきた。別荘で鍛えるのもよくやってたし、ずっとここにいるつもりはなかったからシロナさんの言う大会に参加しようと決心した。

 

 

「もちろん参加しますよ!…よし次の大会も頑張ろうなピカチュウ!」

『ピカピッカ!』

「あ、自由参加なら私も参加するわ!」

『キバキ!キバキバ!!』

「…キバゴもバトルに出たいの?一緒に大会出て頑張りましょうね!」

『キバキバ!!』

「うーんローシャンに行くといったら電車だね!その途中にある風の駅で有名な駅弁があるんだよ!!」

『詳しいなデント…』

「僕は駅弁ソムリエでもあるからね!!」

「ははは…そっか…次はケルディオの話になるのね……」

『カゲ?』

『ピチュ?』

「ううん何でもないよ……じゃあ次はローシャンに向けて出発だね!」

『カゲカゲ!』

『ピチュピチュ!』

 

 

俺たちは今まで別荘でお世話になったシロナさん達に礼を言って、旅立つことにした。向かう先はローシャン…ポケモンバトル大会だ。イッシュリーグ優勝目指して頑張るか…。

 

 

 

「次の大会も楽しめたらいいなピカチュウ!」

『ピカピッカ!』

 

 

 




兄の心境。
 次の大会はどんなトレーナーが集まるのか楽しみだ!






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