マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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前回のワルビアル進化はこれのせいかもしれない…。


第百二十九話~準決勝にて戦う相手は~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。先程まで兄が私だけ建物の外に連れ出し、ピカチュウたちを置いて何か聞きたいことがあるみたいでした。このジュニアカップでの原作の優勝者とアデクさんと戦う相手が誰なのか知りたいと言われたため、シューティーだと伝えました。すると兄はちょっとだけ考えてから頷き、そのままジュニアカップの第一試合に行こうとしていて…なんだか悩んでいるようで心配になった私は兄の腕を引っぱってから言った。

 

「お兄ちゃん…もしかして原作通りの展開にしようとしてるの?シューティーにアデクさんと戦ってほしいって…思ってるの?」

「……まあ確かに…ヒナが原作の知識を言うまではどうしようか悩んでたぜ…」

「でもそれは…!」

「ああわかってる。たとえ原作通りの展開じゃないとしても、俺は全力を出して戦う。シューティーがアデクさんと戦いたいと願っていても……バトルは全力を出すのが礼儀だからな」

「……うん。そうだね…」

 

兄はシューティーがアデクさんと戦いたいと思っていると分かっていたみたいだ。でもシューティーは決勝戦で…もしかしたら兄に負けるかもしれないと思う…。いや、努力を怠らない兄と、その兄から学んで行ったシューティーのバトルは最後までどうなるかはまだ分からないけれど、…でもいつもの兄ならば勝ってしまうだろうと思っていた。兄はシューティーの願いをかなえたいと思っていたのかもしれない。でもそれはシューティーにとっては嫌な考えだろう。同情でわざと力を抜かれて負けられるのはトレーナーとして礼儀を欠く行為だと言われるかもしれない。だから兄は悩んで、そして決勝戦で挑むことになるかもしれないシューティーと全力で挑むと決めたようだ。私はちょっとだけ安心した。

 

 

 

―――――――――まあ準決勝でその気持ちは揺らいでしまったんだけどね…。

 

 

 

【さぁ準決勝の試合が始まりました!!準決勝、アイリス選手はカイリュー。サトシ選手はルカリオを出しました!】

 

 

「どういうことなの!?」

『カゲカゲ!?』

『ピチュ!?』

『ミィィ…ルカリオがさっきサトシにバトルに出してくれって頼んでいたでしゅよ』

「だ、だから観客席にいなかったんだね…」

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

『ロメッタ…』

 

 

兄がいつの間にか隣にいたルカリオをバトルフィールドへ行かせ…何故か試合が開始されてしまった。…そういえばルカリオはジュニアカップに出てみたいと興味をもっていたというのは前に見たことがある。ドンナマイトでも…その前のバトルでもたびたび戦いたそうな表情を浮かべていたけれど…まさか兄のポケモンとして参加することになるとは思わなかった。

…でもまあいつもいろいろと苦労をかけてしまっているし…世話になっているしで兄もルカリオの頼みを聞いたのかもしれない。兄のポケモンであるピカチュウたちはもしかしたらその試合に出たいと不満に思っているかもしれないけれど、旅をし続けていてルカリオと共に行動していたことでルカリオの性格を知っているし、前からバトルに出ていたかったというルカリオの気持ちも分かっていたのにも気づいていた。…だから大丈夫だろう。ルカリオが一度兄のポケモンとして試合に出たぐらいでピカチュウたちの絆はそう簡単に切れないし、ちゃんと理由も分かっているから納得していると思う。…というか、兄は自分の手持ちのポケモン第一だからピカチュウたちが本当に嫌なことはしないし、お互いが納得してから試合に出るはずだからちゃんと解決してからルカリオと一緒にバトルに挑んでいるはずだと思う。

 

…まあ兄だから大丈夫だよね。

 

 

 

「ルカリオ!…そっかさっきのあれってルカリオの…良いわ。いくわよカイリュー!」

『バォォォオオオオ!!!!』

 

「ルカリオ、お前が試合に出たいという気持ちに応えて俺はこの準決勝に挑む。だから全力でカイリューに勝つぞ!!」

『…ああ』

 

 

 

「頑張って!!えっと…お兄ちゃんにアイリス!!両方とも負けちゃ駄目だよ!!!」

『カゲカゲェ!!』

『ピチュピチュ!!!』

『ミィ…それじゃあ引き分けになっちゃうでしゅよ!サトシかアイリスのどっちかが勝たないと意味がないでしゅ!!』

「分かってるけど…でも両方とも負けてほしくないような…うーん…とにかくどっちも頑張れ!!」

『カゲ!!カゲカゲェ!!!』

『ピッチュゥ!!ピチュピッチュ!!!』

『仕方ないでしゅね…じゃあミーはサトシのことを応援してやるでしゅ!だからヒナはアイリスを応援するでしゅよ!!!』

「うう…分かった………アイリス頑張れぇ!!!」

『カゲカゲ?』

『ピチュピチュ?』

『お前たちもでしゅか…ヒトカゲはサトシでピチューはアイリスを応援するでしゅ!!』

『カゲ!カゲカゲェ!!』

『ピチュ!ピチュピッチュ!!!』

 

『ロメェ…』

 

 

 

試合はかなり激化していた。技が放たれたら避け、隙をついて攻撃したと思ったら避けられて攻撃され――――と何度もそういう行動が続き…そして最後にルカリオがカイリューのかえんほうしゃを避けて後ろへ回り込む。

 

 

「後ろよカイリュー!!」

『バゥ!?』

 

「今だ!ルカリオ、はどうだん!!!」

『―――ッ!!!』

 

『バゥゥゥウ!!!!????』

「カイリュー!?」

 

【おおっとカイリューがルカリオのはどうだんに直撃ィィ!!そのままカイリューがダウンしたァ!!!???カイリュー戦闘不能によってサトシ選手が勝利となります!!!よってこの試合、サトシ選手が決勝へと進むことができます!!!!】

 

 

 

「負けちゃったか…ごめんねカイリュー…ありがとう」

『………………バゥウ』

 

「よし。サンキューなルカリオ!」

『…いや、俺の方こそ試合に出たいと言う我儘を聞いてくれてありがとう』

「そんなことないさ。いつもいつも旅で迷惑かけてるし…オカンの頼みぐらい聞くし…これぐらいなら大丈夫だって!な、ピカチュウ」

『ピカピッカ!』

 

『そうか……ん?待て、サトシ…今俺に向かってオカンと言わなかったか?』

 

「え、……気のせいじゃねえの?」

『ピ、ピィカ…』

『…………次に言ったら晩飯のおかわりはお前だけなしにするぞ』

 

「…おう、次は言わない」

『…ピッカァ』

 

 

 

 

何だかバトルフィールドが騒がしいみたいだけれど…でも兄はルカリオと一緒にバトルで勝つことができた。この後の決勝でちょっとだけ心配になるけれど…でもまああの兄ならば…そしてあのシューティーならば大丈夫かという気持ちもあるから平気なのだろう…きっと。

 

 

とにかく私たちは後でルカリオに会ったらすぐにお疲れ様と言わないといけないと思う。そう考えて決心し、決勝戦を見る前にルカリオに会いに行こうと立ち上がった―――――。

 

 

 

 

 

 




妹の心境。
 まあルカリオもたまには公式のバトルで戦いたいよね…?




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