アイリスはカイリューについては考えているようだ…。
こんにちは兄のサトシです。そろそろジュニアカップ開幕で皆がやる気に満ちています。もちろん俺も。
そして大会にはシューティーだけじゃなく他にもラングレーやカベルネも参加するようでどんなバトルになるか楽しみです。俺は知らないトレーナーと戦い、ワルビルで戦って勝つことができて…無事にワルビアルに進化しました。喜べる出来事です。
そして他にもヒカリやデントも勝ち上がっていった。最初のバトルでカベルネはシューティーと戦って…シューティーが勝つことができた。
あ、ちなみに妹とヒトカゲ、ピチュー、メロエッタ、シェイミ、ルカリオは観客席で見ています。俺たちは普通にバトルフィールドの近くでバトルを観戦していて、呼ばれたらすぐに行けるようにしている所にいます。
そして次に行われたトーナメント一回戦のラストはアイリスとラングレーのバトル。ラングレーはちょっとだけ引き攣った表情を浮かべているけれど、ちゃんとアイリスと向き合って勝負を始めようとしている。そしてラングレーがボールから出したツンベアーに対して、アイリスは少し前にゲットすることができたカイリューで勝負をすることにしたみたいだ。
「よろしくねラングレー!」
「え、ええ…よろしく」
【さてさてやってきました第一回戦のラストバトル!!まずラングレー選手が出したのはツンベアーだぁぁ!!】
「ツンベアー…ね…よし。行くわよカイリュー!!」
『バォォォオオ!!!』
「カイリュー!…ドラゴンタイプってわけね…望むところよ…!」
『ベッアァァ!!!』
カイリューをボールから出したアイリスに、ラングレーはドラゴンバスターとしてやる気が出たらしい。アイリスと対面してトラウマが出て少し震えていたというのに、今は笑みを浮かべてツンベアーと一緒に勝つという意気込みでいるようだ。
「これはこおりタイプのツンベアーが有利かもしれないね…」
「ああ、でもアイリスなら大丈夫だろ?不利なタイプだとしても逆転勝ちできるさ」
『ピッカ!』
「…それもそうだね。アイリスなら必ず勝つさ!」
「ええ、絶対にそうよ!…それにカイリューとの初バトルなんだから、頑張れアイリス!」
『ポッチャ!!』
「アイリスとの勝負…負けてられないわよツンベアー!…めざめるパワー!」
『ツッベァァアァ!!!!』
「来るわよカイリュー!空を飛んで避けなさい!………カイリュー?」
『………………………』
【おおっと!?これはどうしたことか!!カイリューはアイリス選手のいうことを聞かず、めざめるパワーを避けようとしない!!!】
「これは…」
『ピィカ…』
「え、どうして避けないのよ!?」
『ポチャ!?』
「な、何が起きたんだろうね一体?」
『バォォォオオオオ!!』
「何!?」
『ベッァアア!?』
―――――――カイリューは技を避けず、むしろラングレーのツンベアーが放っためざめるパワーを正面から弾いてしまっていた。…ということは、ツンベアーよりも相当レベルが高いということだろう。そしてアイリスの言うことを聞かないと言うことはトレーナーとしての指示を聞く気はないと言う意志だ。どうしてなのかは…もしかしたらレベルが高すぎることと、本来の性格ゆえの問題かもしれない…ああでも……いや、これはアイリスの問題だろう。俺が関わることはあまりない。本当にやばいと思ったらアイリスに直接言おうと思っているけれど、今のアイリスならば大丈夫だろう。
アイリスは目を閉じてカイリューに何も指示を出さず、カイリューはまたもやツンベアーのれいとうビームを受けて凍ってしまった。それに対してもアイリスは何も言わない。目を閉じてトレーナーとしてバトルの指示を出していないアイリスにラングレーが苛立ったような表情で拳を握りしめ、怒鳴ってきた。
「ちょっと!アイリス!!あんたはそんな奴じゃないでしょ!?ドラゴンマスターとして夢を持ってるあんたが…私が認めたとても強いドラゴンマスター候補がカイリューの指示を放棄してんじゃないわよ!!!!あんたそれでもあのアイリスなの!!?私を倒したアイリスならもっとちゃんとしなさいよ!!!!」
「ええ…分かってるわラングレー…十分にね。……カイリュー、あなたの気持ちがよく分かったわ。強いポケモンに正面から挑みたいという気持ちも…勝負して勝ちたいという気持ちも伝わってきた。でもただ凍っているだけでいいの?ただ技を受けて…それで無意味にダメージを食らうだけでいいの?…もしも勝ちたいと望むのなら、強いポケモンと戦いたいと望むのなら私の言うことを聞きなさい!そのまま技を受けて負けたくないならね!――――――じゃないといろいろとお話しすることになるわよ?」
『バォォォォォォオオオ!!!!!!』
カイリューは身体の周りにある氷を砕き、アイリスの声に反応して大声で叫ぶ。
アイリスの異様な雰囲気を感じ取ったのか、それともアイリスの開いた眼差しに冷たい何かを感じ取ったのかは分からない。けれどアイリスの方を見て、ちょっとだけ仕方ないというような態度をとり、ツンベアーに向き合った。
その表情とアイリスの声にラングレーは恐怖とトラウマで圧倒されつつも、苦笑してため息をついてからツンベアーに指示を出す。
「ツンベアー、ふぶき!」
『ベッァァァアアアアアア!!!』
「行くわよカイリュー…かみなりパンチ!」
『バォォォォオオオオオオ!!!』
【おおっとアイリス選手のカイリューがツンベアーのふぶきをものともせずそのままかみなりパンチを決めましたァァァア!!!アイリス選手の勝利となります!!】
「よし…よく頑張ったわね。カイリュー」
『……バォォ』
「戻ってツンベアー。……ふん!アイリス。今度はちゃんと最初から指示を聞くように教育しときなさいよ!!」
「ええ分かってるわ…ありがとうラングレー」
「………そう」
カイリューはアイリスに一度だけ視線を向けてから、すぐにそっぽを向いて小さく声を出す。それを聞いたアイリスは苦笑しつつもありがとうと礼を言っていた。
そんな彼女たちにラングレーは不機嫌そうな表情で向かって指を指してからすぐに外へ出て行ってしまった。でもアイリスはその態度に怒らず、ただ苦笑してその後ろ姿を見送っているだけだった。
俺たちはその様子を見てただ苦笑していた。
「これから前途多難だね…」
「ああ…でもあのカイリューなら大丈夫だろ?」
『ピィカ?』
「どうしてそう思うのよ?」
『ポチャァ?』
「あのアイリスとカイリューは…ちょっとだけ似ているような気がするからな」
『……ピッカ』
「なるほどね…でもまあこれから不安がいっぱいあるかもしれないけど…最終的には何とかなりそうよね」
『ポチャポチャ!』
「そうだね!アイリスとカイリューならきっと大丈夫さ!」
まあカイリューが指示を聞かないというトラブルもあったけど…でもまあ無事に勝ち進めたみたいだから良かったなと思えた第一試合だった。
兄の心境。
まあカイリューについてはアイリスに任せるか…。