どうやらついて来ていたらしい…。
こんにちは兄のサトシです。これから大会に出るためイーストイッシュのサザナミタウンに飛行艇で向かっているところです。…ツンベアーの件が終わって戻ってきたシロナさんと一緒に。
「あれ?ねえお兄ちゃんあれ何!?」
『カゲ?』
『ピチュゥ?』
「赤い…光…ポケモンかもしれないな!降りたら見てみようぜ!」
『ピィカ!』
妹が飛行艇の中から海の近くで赤い光を見つけて何だろうとヒトカゲ達と一緒に楽しそうにしている。確かにここらへんにはイッシュ地方以外のポケモンもいるようで面白いのだろう。例えば飛行艇の中から見えたのはホエルオーやキャモメなど、ホウエン地方で見たことのあるポケモンだ。先程見た赤い光もイッシュ地方以外で見たことのあるポケモンかもしれないから楽しみだ。もうすぐ着くだろうからすぐに確かめられるだろう。
―――そうしてやって来たサザナミタウン。俺たちは飛行艇に到着してから走り出し、先ほどの赤い光の場所まで向かって行く。そして見えたのはヒトデマンが海で泳いでいる姿だ。
「ヒトデマンもここにいるのか…!」
『ピッカ!』
「あ、あっちにプルリルもいるよ!」
『カゲカゲ!』
『ピチュピッチュ!!』
「この町は、イッシュ地方のリゾート地として有名なのよ」
シロナさんが説明してくれたのは、このサザナミタウンがイッシュ地方のリゾートとして知られているということ、本来ならバトル大会などではなく、休暇などで優雅に過ごす所として有名らしい。でも俺たちの目的はバトル大会…つまりジュニアカップに出場するということだ。
「よし、まずはジュニアカップ優勝だ!」
『ピィカ!!』
「あ、来たわね」
シロナさんの執事だという人が迎えに来てくれたらしい。このサザナミタウンに滞在中は執事が世話をしてくれるとのことだ。そして車で向かうらしく、俺たちはその車に案内された。
車は高級車らしく、新品のようにとても綺麗な真っ白の車だ。シロナさんがその車に乗って行くと言ってきたため俺たちは乗ろうとする…。
『ピィカ?』
『カゲ?』
『ピチュ?』
『キバ?』
『…………………………』
「ん?どうかしたか?」
『ピィカ…』
「どうしたのヒトカゲにピチュー?」
『カゲ…カゲカゲ?』
『ピッチュ……?』
「キバゴ…何か見つけたの?」
『キバキ!…キバキバ?』
「何か見つけたような気がするけど、分からないという表情だね。…ルカリオ、君は何か見つけたのかい?」
『……ああ、だがあまり気にすることはない』
「どういうことだ?」
『ピィカ?』
『敵意などが感じられないからな…』
「敵意がないってことは…ただの通りすがりのポケモンでもいたのかな…?」
『カゲェ…?』
『ピチュ…?』
「何かあったらその時に考えて、今は気にせず行きましょう」
「…そうですね」
『…ピィカッチュ』
何か見つけたみたいだけれど、ルカリオが大丈夫だと言ったため、俺たちは気にせずにそのまま車に乗ることになった。車の中はとても広く、全員が乗ってもまだ余裕があるぐらいとても広い。そして車の中でサザナミタウンは過ごしやすい環境で、観光客が多くいたりツアーなどがあったりとかなり面白そうな町だとシロナさんやデントが説明してくれた。そしてその間にもコラッタが車の外から見えたりしていて、俺の見ていないポケモンもまだいそうな気がしてこれからがとても楽しみだと思えた。そして執事も、車を運転しながらこれから行く別荘について話してくれた。
「これから向かうシロナ様の別荘にも、多くのポケモンに出会えますよ」
「え、本当ですか!楽しみだなピカチュウ!」
『ピカピィカ!!』
『カゲカゲ!』
『ピチュピッチュ!!』
「ヒトカゲとピチューも嬉しいんだね!私も早く見てみたいなぁ」
「ふふ…すぐ着くわよ」
『ロメッタ!!!』
「え…」
『ピカ?』
「メロエッタ…!?」
『カゲカゲ!?』
『ピチュピチュ?!』
「着いてきちゃったの!?」
『キバキ?!』
「何という驚きのテイストなんだい!?」
車の中から突然メロエッタが姿をあらわし妹の膝に座っている状況に俺たちは驚いてしまった。姿を消せるということもそうだが、俺たちについて来てしまったというのに驚いた。飛行艇に乗る前、あの悪党どもを叩きのめした後、元気になったメロエッタがそのまま笑顔で飛んで行ってしまったから、それでお別れだと思ったんだけど…まさかついて来ているとは…。ああ、もしかして車に乗る前にルカリオが言ってたことはこれだったのかと俺たちは納得した。そしてシロナさんが考えながら妹の膝に座っているメロエッタを見て、言う。
「もしかして…ヒナちゃんのこと気にいったのかしら?」
「そ、そうなの?」
『カゲカゲ?』
『ピチュピチュ?』
『ロメロメ!!!』
「へぇそうなのか!良かったなヒナ!」
『ピッカッチュ!』
「きっとあの時助けてもらったからついてきたのね」
『キバキバ』
「姿を消して飛行艇に乗ってまでついてきたということか…うーんポケモンの絆を感じるよ!ファンタスティック!!」
「そっか…ありがとうメロエッタ」
『カゲカゲ!』
『ピチュピチュ!!』
『ロメッタ!』
妹のことを気に入って、ついて来てくれたというメロエッタに俺たちは笑顔でその光景を見ている。妹がメロエッタの頭を撫でて、そしてメロエッタはそんな妹に笑いかけながら隣にいるヒトカゲとピチューに挨拶をしているという癒される光景だ。ルカリオも笑みを浮かべて良かったなと言っているぐらいだし…メロエッタが妹を気に入ってくれて良かったと思った。
「……本当ならお兄ちゃんのこと気にいるはずだったんだけど…なぁ…」
『ロメ?』
「どうかしたかヒナ?」
「ううん。何でもないよ気にしないで!…私のこと気に入ってくれてありがとうねメロエッタ」
『ロメッタ!』
妹が何か言ってきたような気がするが、まあおそらく独り言かもしれないと俺は気にしないことにした。…とにかく、もうすぐシロナさんの別荘に着く。どんなポケモンがいるのか楽しみだ。
兄の心境。
ああ、そういえばシロナさんが珍しいトレーナーとも会えるって言ってたけど誰だろう…?