急な出会いと問題発生。
こんにちは妹のヒナです。今からポケモンワールドトーナメントジュニアカップに出場するためにシロナさんの車に乗せてもらいそのまま行くことになった。兄と師弟関係だということや、出会った経緯についてなど聞きたいことはたくさんあるけど…まあ今は後でにしておこう…。今は空港に着くのを待つのみかな…と思っていたんだけど……。
『ピカピカ!!!』
「危ない!!」
「…な、なに?」
『カゲ?』
『ピチュ?』
ピカチュウの鳴き声で前方にポケモンが車の直線状にいることに気づき、シロナさんが慌てて急ブレーキをかけて停止させる。そして車から降りて見つけたのは…原作で見たことがある、メロエッタだった。そういえば前にメロエッタが出てきて、それで兄に助けてもらってたような気がする……そうだ、この光景も原作で見たことがあったと私は思い出した。でもその前に何やら怪我をして倒れているメロエッタを治してあげないといけない。シロナさんの指示で白い布の上にメロエッタをおき、怪我の治療をする。そしてルカリオが念のためにといやしのはどうで回復させていくのだけど、メロエッタは苦しそうな表情を浮かべている。
「これは…体力が弱ってるわね。誰かオレンのみを探してきてくれないかしら?」
「オレンのみですね!私が行きます!」
『キバキ』
「僕も一緒に行きます!」
『俺も一緒に行こう…!』
「頼むわね…サトシ君たちは私を手伝って」
「わかりました!」
『ピカピカ!』
「はい!」
『カゲカゲ!』
『ピチュピチュ!』
――――――というわけで、メロエッタの怪我を治し、様子を見て大丈夫かどうかを確かめていく。シロナさんがメロエッタの頭を触り、どうも熱があるようで険しい表情を浮かべている。
「少し熱があるわね…氷枕を作った方がいいわね…サトシ君。ちょっと来てもらえるかしら」
「はい」
「あ、私はここに残ります!」
『カゲカゲ!』
『ピチュピチュ!』
「ピカチュウもここに残ってメロエッタのことを頼んだぞ」
『ピッカ!』
氷枕を作るために兄とシロナさんが一緒に森にある川へと向かうみたいだ。でもそれだとメロエッタを川まで連れてはいけないため、私はここに残ってメロエッタの看病をすると言った。私の言葉にヒトカゲやピチューも頷いてくれて、そして兄も念のためにと考えてピカチュウをここに置いていくみたいだ。私たちは顔が赤く染まり、熱でうなされているメロエッタに布をかけ、早く兄たちに戻ってきてと思いながら周りを警戒しつつ看病をする。看病をするといってもあまりやることがなく、ただメロエッタの体調に異変が起きないかどうかを見守っているだけしかない。
(…あれ?そういえばメロエッタに怪我を負わせたのってロケット団じゃなかったっけ?ここでロケット団は悪さしていないのに……?)
ふと思い出した原作の知識。メロエッタを捕まえようと怪我を負わせたのはロケット団だったはずだけど、兄の行動でもうそんな悪さはしていないはずなのだ。だからおかしいとおもう…でも前にロケット団がしていた悪さを他の悪党が代わりにやっていたということもあったから、もしかしたらそれかもしれないと考える。…まあとにかく、何も悪いことが起きなければいいと願うだけだろう。
『…ピカピ?』
「あ、お兄ちゃんにシロナさん…!」
『カゲ!』
『ピチュ!』
砕いてある氷を持ってきた兄たちによって、氷枕をつくり、そして水と氷で冷やしたものをタオルを濡らし、メロエッタの顔を優しく拭いていく。するとメロエッタが微かに笑ったため、私たちはこれで大丈夫かもしれないと安堵しつつ、看病を続行する。
「これでもう大丈夫。あとはオレンのみがあれば……あら電話?もしもし―――――――」
シロナさんからかけられてきた電話は、タチワキシティにツンベアーが出たとのことで、早く戻ってきてほしいと電話がかかってきたようだ。私たちはお互いに顔を見合わせてから頷き、シロナさんにメロエッタのことは大丈夫ですよ!と言う。それを聞いたシロナさんが苦笑しながらタチワキシティに戻ると言って謝ってきた。けれどここまでしてもらったんだから謝る必要はないと思いながらも、車に乗って町に戻って行くシロナさんを見送る。
「なるべく急いで戻ってくるから!」
「わかりました!」
『ピィカ!』
「メロエッタのことは任せてくださいね!」
『カゲカゲェ!』
『ピチュピチュゥ!!』
そしてそれから、アイリスたちがオレンのみを持ってくるまで必死に看病をしていたんだけど、途中でミジュマルがボールから飛び出してきて、メロエッタを見て惚れたり、氷枕の氷が解けてしまったから兄とピカチュウが私たちにここを任せて氷を集めに行ったりした。ミジュマルはその間もメロエッタに惚れ惚れとした表情で見つめている。その様子に私とヒトカゲ、ピチューは苦笑してしまった。
「ミ、ミジュマル…メロエッタは怪我をして熱も出てるから邪魔しちゃ駄目だよ」
『カゲカゲ…』
『ピチュピチュ…』
『ミィッジュゥ…!』
『エーモォ!』
「あれ、エモンガ?」
『カゲ?』
『ピチュ?』
エモンガがオレンのみがついている枝を銜えてこちらに向かって飛んできている。私たちはそれを見て笑顔で手を振って迎える…んだけど、風が急に出てきたせいでうまく飛べず、エモンガはミジュマルとぶつかってしまい、2体ともダウンして気絶してしまった。
「あはは…ま、まあ大丈夫だよね…」
『カゲ…』
『ピチュ…』
『…ロメェ……』
「あ、メロエッタ、動いちゃ駄目だよ。元気になるオレンのみを食べて、ゆっくり休んでね」
『カゲ!』
『ピチュ!』
『メロォ…?』
「大丈夫だよ!私たちはメロエッタに元気になってほしいから…何も心配はいらないよ」
『カゲカゲ!!』
『ピチュピッチュ!!』
『……ロメ…』
先程の騒動でメロエッタが一度起き上がり、私たちから離れようとしてきたため、私はそれを阻止しようと動き、メロエッタの身体を優しく抱きしめる。メロエッタは驚いたような表情を浮かべて逃げようとしたんだけど、私たちがそれを必死に説得して、そしてエモンガが運んできたオレンのみをメロエッタに食べさせた。メロエッタはオレンのみを食べて少し元気になったのか、私たちの頼みに笑顔で頷き、顔を赤くしつつも先程の布の上に寝てくれた。それに私は安堵して、ヒトカゲ達に微笑む。ヒトカゲ達もこれでようやく安心だと思って私に笑みを浮かべて見てくれた。
「ようやく見つけたぜメロエッタ!!!!」
「…はい?」
『カゲ?』
『ピチュ?』
ようやく寝てくれたメロエッタに私たちが見守っている中でいきなり現れたのが悪そうな人相をしたいかにも悪者ですと言っているような集団。私たちはその集団のトップと思わしき身体が大きな人が叫んだ言葉を聞いて警戒する。今のメロエッタにはきついかもしれないが、何かあったらすぐに兄の行った方角へ向かえばいいだろうと思いながらもその集団を見つめる。
私とメロエッタを庇うようにヒトカゲとピチューが前に出てきたんだけど、集団はそれに笑ってきた。
「何だぁそんな弱そうなポケモン出してよぉ?ああ、でもそのポケモンはイッシュ地方じゃ珍しいよな…じゃあメロエッタごと貰うとしますか!」
「行くぞお前ら!!」
「相手はガキ1人だ、やっちまえ!!」
「ヒトカゲ、ダブルひのこえんまく!ピチュー、ダブルでんきショックでんじは!!」
『カゲ!!』
『ピチュ!!』
「うぉ!?何だと!!?」
「おいガキはどこ行きやがった!!!」
「このえんまくどうにかしろ!!」
「よし、今のうちに…あ、でもミジュマルとエモンガが…」
『カゲ!』
『ピチュ!』
「…うん。ヒトカゲ、ピチューお願い!」
『カゲカゲェ!!』
『ピチュピッチュ!!!』
私には重いけど、でも今頑張って逃げないといけないからピチューとヒトカゲにミジュマルを持ってもらい、私はメロエッタを布ごと優しく抱きしめてからエモンガを抱いて走り出す。でもえんまくを消した集団が追ってきてこれはピンチかもしれないと焦りながらも兄のもとへと急ぐ。
『…ロメェ…?』
「あ、ごめんねメロエッタ…起こしちゃったね…でもちょっとだけこのまま我慢して…!」
『カゲ…ッ!』
『ピチュゥゥゥウウ!』
「ははははは無駄に決まってんだろさっさと止まれガキィィ!!!!」
ヒトカゲとピチューが頑張ってミジュマルを運びながら走っていて、かなり限界そうだ…でもこのままいけば絶対に兄に会えるはずだと信じて私はヒトカゲ達に頑張れと言いながら走る。メロエッタが騒音に気づいて起きてしまったことに罪悪感を感じながらも…早く逃げないとと焦り続ける…。
「止まれガキ!!」
「さっさと止まらないと殺すぞ!!!」
「ポケモンたちを置いていけぇぇ!!!」
「………おい、誰の妹にちょっかい出してんだお前ら」
『………ピィカッチュ』
走っていたら兄とピカチュウに遭遇し、そのまま通り過ぎてしまった。でも兄とピカチュウの額に青筋が浮かんでいたため、ああこれはあの集団もう終わったなと思いながら走るのを止める。ヒトカゲとピチューがミジュマルを抱えていたために疲れて横向きに倒れてしまったんだけど、私も緊張と疲れで座り込む。そんな私たちを心配そうに見つめるメロエッタと…駆けつけてきたアイリスとデントとルカリオ。…ってルカリオがそのまま走るのを止めずに兄たちの方向に走って行ったんだけど…まあいいか。
「大丈夫ヒナちゃん!?」
『キバキバ?!』
「大丈夫かい?」
「うんだいじょーぶ」
『…カゲ』
『…ピチュ』
『メロォ…』
「心配してくれてありがとうメロエッタ」
『ロメ!』
兄たちの方角から悲鳴が聞こえてきたけど、気にせずにアイリスたちやメロエッタと微笑み合う。ちょっとだけトラブルがあったけど、メロエッタが元気になって良かった。
妹の心境。
でもこれも原作崩壊だよねある意味…。