マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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最後といってもまた会えそうな気がする…。


第百十九話~妹達はあっけない最期を見た~

 

 

 

 

 

こんにちは妹のヒナです。現在ポケモンセンターに来ています。ですが外に出た時にアイリスやシューティー達がおらず、何をやってるんだろうとちょっとだけ冷や汗をかいたり、近くを探したんだけどいなくて…もう仕方なくポケモンセンターに向かったりとしました。

…というか、本当にダブルアイリスとダブルシューティーとラングレーどこに行ったんだろう……。これこのまま原因解決しても、原作世界が微妙にカオスになりそうで怖いと私は思った…。ま、まあその時は原作世界のサトシ達にどうにか解決してもらおう…私に言えるのはそれだけです…はい。

 

 

そして私たちはポケモンセンターでしばらく待ち。私たちに気づいて近づいてきたジュンサーさんがとても古そうな本を取り出して説明してくれた。昔々、私たちと同じように町で異変が起きた時に解決していった方法を…普通の人間だったら無理そうな話を――――――――。

 

 

「この本は昔この町で起きた現象を解決したやり方が載っているんだけど…ディアルガを呼び出して時間の宝玉の力を重ね、元に戻せるということしか書かれてないのよ…問題はディアルガをどうやって呼ばないといけないことかなのよね……」

 

 

「ええ!?ディアルガを呼び出さないと無理ってことかよ!?」

『ピィカ?!』

「どうやってディアルガを呼ぶのかは書かれていないんですか!?」

「…いいえ。何も書かれていないわ」

「な、なんというバットテイスト…!!」

 

 

原作世界のサトシ達とジュンサーさんが絶望的な表情で話していく中、兄たちは楽観的な表情で大丈夫だという様に言った。…言っておくけど、私とヒトカゲ、ピチューはその時原作世界のサトシ達と同じようにどうすればいいんだろうと絶望的な表情を浮かべていたのだ。けれどふと私たちが兄の顔を見ると、その不安が消し飛んでしまっただけだ。もちろん私たちの世界のデントやルカリオも同じく…。

 

 

「……そうか?」

『ピィカ?』

「あれ、もしかしてサトシだったら呼び出せるのかい?」

「まあな。メガホンあればできる」

『ピカ』

「ああうん…お兄ちゃんだったらできそうな気がするよ…」

『カゲェ…』

『ピチュ?』

『カゲカゲ』

『ピッチュ…』

『こちらのサトシを常人として扱ってはいけないだろうと言うのが俺たちの世界の鉄則だからな…』

「おいゴラルカリオお前俺に喧嘩売ってるのか?」

『売ってはいないだろう。俺は事実を言っているだけだ』

「うんそうだね。ルカリオのいうとおりだよ…」

「……解せぬ」

「解せぬじゃない!」

『カゲ…』

『ピチュ…』

 

 

 

私たちが呑気に話している内容に、ジャンサーさんを含めて驚愕した様子でこちらを見ていた。まるでそんな簡単にディアルガを呼べないだろうと信じられないような、そんな様子が…。でも兄ならそれは絶対に可能なんです。不可能を可能にできるのが兄のやり方なんです…。まあ見ていればわかることだから放っておいてもいいか。何か言いたいような表情を浮かべているけど、それは全部兄に言ってやってと私は視線でそう言っておいた。

 

あ、でもサトシお兄ちゃんとピカチュウはきょとんとした表情でこちらを見て、話しかけてきた。

 

 

 

「そっちの俺はディアルガを呼び出せるのか?凄いな!!」

『ピィカ!!』

「おう…でもお前もやればできることだと思うぜ?」

『ピカピカ』

「へえ…じゃあシンオウ地方のディアルガにまた会えるかもしれないのか…会ってみたいなピカチュウ!」

『ピッカ!』

 

 

「…ちょっと待ってサトシ!?ディアルガに会ったことがあるのかい!?」

「え、あるけど?」

「何!?く、詳しく教えてくれないか!!!!??」

「お、おう…?」

『ピィカッチュ?』

 

 

「それでいいの…お兄ちゃんたち…本当にそれでいいの!?」

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

「サトシは何処までいってもサトシみたいだね…ははは…」

『どっちもどっちだな…』

「…あーもう…というか、向こうの世界のデントが鼻息荒くサトシお兄ちゃんに問い詰めてるの止めなくてもいいのかな…」

「ああなったら僕も異世界の僕も絶対に止まらないからね…諦めよう」

『放っておけ』

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

 

 

そして原作世界のデントの暴走を止めて、ジュンサーさんにメガホンを借り、もう一つの宝玉を持って広場へと向かう。町は皆が騒がしく、もう1人の自分と言い争ったり、仲良く会話をしていたりと様々だ。…まあそれももうすぐで解決できることだから見納めだろうけど。でも会えて良かったと思ってるから泣いたりはしないよ絶対に…。

兄たちも原作世界のサトシ達もちょっとだけ悲しそうな表情を浮かべているけど、でもそれを口に出して言ったりはしない。だから私たちも我慢して何も言わない。

 

 

広場の中心で、兄がメガホンをジュンサーさんから借りて口元に持っていき、私たちより前を一歩だけ歩く。

私たちは原作世界のサトシ達も含めて後ろで待機している。そして一瞬だけ静寂になった後…。

 

 

 

 

「あーあーマイクテス、マイクテス…俺の言葉を聞いてると想定してディアルガに告ぐ。さっさと世界を元の状態に戻さないとお前に死んだ方が良かったかもしれないぐらいのトラウマ植えつけて、アルセウスに聞いた昔話の中からディアルガとパルキアがやらかした黒歴史になるような恥ずかしい真実をシンオウの神話に刻み込んでやるけどいいか―――――――――」

 

 

 

 

 

『ギュルァァァァァアアアアア!!!!!!!!?????』

 

 

 

 

「本当にきちゃった…」

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

「これが伝説…」

『黒歴史とは何だ…?』

「ルカリオ…聞いちゃ駄目っぽいよ…」

『…………』

 

 

兄の脅迫に近い言葉に慌てたように出てきたディアルガに私とヒトカゲとピチューとデントとルカリオが呆れたような表情を浮かべてしまった。というかアルセウスに聞いたディアルガとパルキアの黒歴史って何!?死んだ方が良かったって思えるトラウマ植えつけるってえげつないこと言わないでよ!!!と思わず叫びたくなるぐらい兄の言葉は酷かった…。ディアルガには本当に同情します…。というか今目の前にいるのって私たちの世界のディアルガだよね絶対…。

あとパルキアが兄の話で巻き込まれてることにも同情しちゃうけど…突然ディアルガが出てきてしまうほどの知られたくない黒歴史となっている真実って一体何だろうと興味が湧いてしまった。…というか兄よ、何でそんなにアルセウスと仲が良いんだろうか。ああ、類は友を呼ぶって言葉を聞いたことがあるけど…それなのかなと一瞬思ってしまった。でもディアルガがずっと首を横に振ってやるやるやるやります言っちゃ駄目言わないでくださいお願いしますからぁぁ!!という感じで兄に向かって焦ったように叫んでいる光景を見て興味を持つのと同時に可哀想に思えてきた。

 

 

そして原作世界のデントとジュンサーさんが呆気にとられたような表情で突然現れたディアルガを見て、原作世界のサトシは輝かしい笑顔でディアルガに手を振って出てきてくれてありがとな!と言っていた。やっぱり主人公は主人公だよね…伝説にも動じてないんだから。私たちや原作世界のサトシはともかく、他の人たちにとって突然伝説が現れたことに驚き、パニックになってしまったためそれを防ぐために動かなければいけなくなってしまった。

 

 

――――――そしてパニックが落ち着いてきた頃。…やってきてしまったお別れの時間。私たちはそれぞれ握手をしてまた会えるかどうか分からない原作世界のサトシ達に≪またね≫を言う。また会えるかどうか分からないけれど、もしも会えるならその時はまたよろしくと約束をしながらも…私たちはお別れを言っていく。

 

 

「…じゃあな異世界の俺。会えてうれしかったよ」

『ピッカ!』

「ああ、俺も会えて良かったぜ…またバトルしような!!!」

『ピカピカ!!』

「もちろん。その時はお前らももっと強くなってろよ!!」

『ピカピカッチュ!』

「当たり前だろ!俺たちはもっともっと強くなって…そしてポケモンマスターになるんだ!」

『ピッカァ!!!』

「ああ、同じ夢を持つもの同士…頑張ろうぜ」

「≪サトシ≫もな…またな」

「またな…≪サトシ≫」

『ピカピカ!』

『ピカピッカ!』

 

 

「グズ…またいつか会おうベストフレンドよ!!君と会えたことを僕は絶対に忘れたりしないよ!!」

「ああ僕もさ…でもまた会えたらその時は語り合おう異世界の僕…ベストウィッシュ良い旅を!!!」

 

 

「さよなら……ううん違う。…またね、サトシお兄ちゃんにデント」

『カゲ!』

『ピチュゥ!』

『またなサトシ…それにデントも…』

「ああ、またな。今度会えたらその時はもっと遊んだり話したりしような!」

『ピカ!』

「またねヒナちゃんたち…ううん…ベストウィッシュ良い旅を!!」

 

 

『ギュァァァァアアアア!!!!!!』

 

 

 

ディアルガの大きな声に共鳴して、≪時間の宝玉≫が輝きだしていく。2つの宝玉が重なり、輝きが強くなっていく。

そして真っ白に光って町全体を覆い尽くすほどの輝きで見えなくなった頃に…私は誰かに頭を撫でられたような…兄に似た声でまた会おうという声を聞いたような………そんな気がした。

 

 

―――――そして目を開くとすべてが元通りに戻っていた。目の前にいた原作世界のサトシ達がいなくなり、ディアルガもいなくなっていた。そして2つあった宝玉が1つに戻っていて、これで問題は全部解決したのだと分かった。けれど…少しだけ寂しいと思えた…。

 

 

「…………」

『…カゲ』

『ピチュ…ピッチュ!!!』

「うん…そうだね。また、会えるよね…!」

『カゲカゲ!!』

『ピチュピチュ!!』

 

 

ヒトカゲとピチューに励まされてだけど…でもまた会えるような気がした。原作世界のサトシお兄ちゃんたちにまた、カオスに巻き込まれながらだけど…賑やかで煩い状況になりながらも笑顔で再会できそうだと思えた。

兄の方を見ると同じように考えていたのだろうか、私の頭を撫でて笑みを浮かべていた。私も同じように笑みを浮かべて兄を見つめる。そしてそんな私たちに事件は解決したと言う様にジュンサーさんがため息をついて帰っていき、デントやルカリオも私たちにアイリスを探しに行くよと言ってくれた。

私たちはそれに頷き、そして歩き始めた…。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「ああもう!!あっちの世界の私とラングレーがいなくなった!!!」

『キバキバ!!!』

 

「異世界の僕がいないだと…まだ話している途中だというのに!!!!!」

 

 

 

「アイリスにシューティー…何やってるんだ?」

『ピィカ?』

 

「サトシ先輩!!!!」

「サトシ!!!!」

『キババ!』

 

 

探し始めてからポケモン交換施設の近くでようやく見つけたアイリスとシューティー…なんだけど…。何だか様子がおかしい。

私たちがどうしたのか聞いたら、まだ説教の途中だと言うのに急に周りが光り出して見えなくなったと思ったら異世界の自分たちが消えたというのだ。私たちは苦笑しながらももう問題は解決したから異世界の彼らは元の世界に戻ったんだよと説明する。でも説明したらとても悔しそうな表情を浮かべていて、私たちはそれにも苦笑してしまった…というより、ちょっとだけ引いてしまった。

 

 

 

「ああもう…暴言とか二度と言えないぐらいもっとトラウマ植えつけとけばよかったわ…!!」

『キバキ…!』

 

 

 

「畜生…畜生…!サトシ先輩に対しての偉大さを教えてようやく理解し始めたというのに!ああでもサトシ先輩たちのおかげで問題を解決したんですよね…いいえ文句はないです。ですが………畜生…!」

 

 

 

「うわぁ…うわぁ…」

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

「ははは…」

『…………………』

 

 

「おい俺をそんな目で見んな。俺のせいじゃねえだろこうなったのは!!」

『ピィカッチュ…』

 

 

 

 

 

―――――――――まあそんなわけで、私たちの旅はいつも通り続いていくみたいです…。

 

 

 

 

 

 






END………?

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