兄たちのせいで原作とは違う性格になりつつあるようだ…。
こんにちは妹のヒナです。ベルが他にも何か方法が見つかるかもしれないですわと言ってジュンサーさんの手伝いに行ったため、私たちは時計塔の広場にあるもう一つの宝玉を見に行くことになった。どうやら原作世界のサトシ達はまだ見ていないようで、どんな形をしているのだろうといろいろと期待しているようだ。
その前にデント達がイッツ・サーチ・タイム!!と言って煩くて兄がやらかしたんだけどね…まあこんな感じで…。
「おいデント共、それ以上煩くするならこっちもいろいろと考えがあるぞ」
『ピィカ』
「…あ、ああごめんサトシ…凄く反省してるからその握られてる拳をといてくれないかな?」
「…どうかしたのかい異世界の僕?」
「ほらパラレルワールドの僕も謝らないと…こっちのサトシを怒らせたら駄目だ…!」
「…えっと…ごめん…?」
「…俺を怒らせたら駄目ってどういうことなんだ?」
『ピィカ?』
「サトシったら子供ね…サトシじゃなくて、あっちのサトシのこと…ってもう何だかややこしいわね!」
『キバキバ!!』
「はは…とにかく、サトシ…さん?…気にしなくても大丈夫ですよ」
『カゲ』
『ピチュ』
「そうか…?あ、俺のことは呼び捨てで構わないぜ。というかそっちの世界では妹なんだろ?だから向こうにいる俺と同じような接し方にしてくれないか?」
「…え、いいの?」
「ああ、俺も妹ができたみたいで嬉しいからな!」
「…うん分かった!……サトシお兄ちゃん!」
「良かったわねヒナちゃん。もう1人お兄ちゃんができて」
『キバキバ』
『まあこっちのサトシは問題を起こさないみたいだから…良かったな』
「うん!」
『カゲ…カゲカゲ!』
『ピチュゥ!!!』
「ヒトカゲやピチュー達もサトシお兄ちゃんと一緒がいいって!」
「良いぜ!よろしくなヒナにヒトカゲにピチュー!!」
『ピッカァ!』
―――――――というわけで、兄がデント達を止めている間に、私たちがほのぼのと話し合っていました。原作のサトシのことを私はサトシお兄ちゃんと呼ぶことにした。その方が呼び分けしやすいし…でも兄がたまに反応するから呼び分けはできてないかなとちょっとだけ思ってたり…まあいいか。
そして広場について、時計塔にあるもう一つの水色に輝いている≪時間の宝玉≫を見る。原作のサトシ達はその綺麗な輝きに感嘆の息を漏らし、一方で私たちは真剣にどうすべきか考える。
まあこんな感じで…。
「凄いなピカチュウ…あれが時間の宝玉なんだ…!」
『ピッカァ!!』
「なんて綺麗なの…それにゼクロムとレシラムの像もあってとても幻想的ねキバゴ!!」
『キバキバァ!!』
「うーん…なんてグレイトなテイスト…こんなにも素晴らしいのは見たことないよ!」
という様に原作世界のサトシ達が綺麗な像と宝玉に目を輝かせている一方で、私たちは真剣に悩み、考えている。…もしかしたら私たちが見てない方だったとしたら原作世界のサトシ達のように感嘆の息を漏らしていたかもしれないと思いつつ、考えて話し合う。
「…重ねるか…宝玉を物理的に重ねてみたいけどそれだと壊れる危険もあるしな…」
『ピィカ…』
「それよりも力を使わせるんだから…あの宝玉も時計塔から取り出してみたらどうかしら?最初にこうなったのって光り出してからでしょ?」
『キバ?』
『確かに…光り出してから町に異変が起きたのは確かだ…力を使わせるとしたらあの光りが原因だろうな』
「じゃあ、アイリスの言う様に時間の宝玉を取り出してみる?」
『カゲ?』
『ピチュ?』
「…いや、今やっても何が起きるのかわからないから危険だよ。やるなら2つの宝玉をそろえてからでないといけないね」
「…さっきジュンサーさんの所に行った時に宝玉借りてくれば良かったな」
『ピカ』
「いやお兄ちゃん…大切な宝玉を普通に借りてもいいとは思えないよ…」
『カゲェ…』
『ピチュゥ…』
話し合っても分からない解決方法…どうすればいいんだろうと思っていて、原作世界のサトシ達も私たちが考えていることに気づき一緒に話しあおうと近づいた時だった――――――――。
「あら?久しぶりじゃないアイリス!!」
「なっ!?ラングレー…」
『キバキバ…』
「…ん?ラングレー?」
『キバ?』
「って何であんた達2人もいるのよ!?分裂したの!!?」
「…うわぁ…新たなカオスが来た…」
『カゲェ…』
『ピチュゥ…』
『騒がしいのは懲り懲りだ…』
ラングレーがアイリスに気づいてこちらに近づいてきたので、話し合いは中止することになった。…というか、あのラングレーはおそらく原作世界のラングレーだと思う。兄たちを見たら頷いてくれたし間違いないだろう。アイリスのことを怖がってないから絶対にそうだと思う。
原作世界のアイリスはラングレーを見て嫌そうな表情を浮かべていて、私たちの世界のアイリスはただ首を傾けていただけだ。…凄く懐かしいけど…大丈夫かな。主に兄ではなくアイリスの暴走が…。
そしてラングレーに何があったのか説明した。途中で私たちを見て、そしてヒトカゲを勝手にドラゴンタイプだと勘違いしてバトルしようとしてきたけど何とか私たちの世界のアイリスと兄が止めてくれて誤解を解いてくれたから良かった。でもそんなドラゴンタイプに執着するラングレーを見てヒトカゲは怖がって私の背に隠れてしまった。…まあ仕方ないと思うかな。でも後でヒトカゲに何か美味しいものでも買ってあげようと思いながら苦笑した。ごめんね怖がらせて…。
「ふーんなるほどね…異世界の私たちがこの町にいるってこと?」
「おう、そういうことだぜ」
『ピカ』
「な、何よラングレー…何考えてるのよ」
『キバキバ…』
「ははは…ほら落ち着いてアイリス…」
「じゃあ、この私と異世界の私でバトルしたら、どちらが優れているのかすぐにわかるってことでしょ?早く探して私自身を見つけないとね!!私自身だったらバトル施設でドラゴンタイプを見つけてバトルしてるはずよ……あ、アイリスあんた達も一緒に来るのよ!」
「え…どういうことよ!?」
『キバキバ!!?』
「なんでそうなるのよ…」
『キバァ…』
「どっちのアイリスもドラゴンマスター目指しているんでしょ?なら私に潔く倒されて夢を散らせてあげようかと思ったまでよ!!」
「上等!私があなたに負けるわけないでしょ!!」
『キバ!』
「……………………いいわよ、バトルしても」
『………キバ』
これもう反応を見たらすぐにわかるよね…。私たちの世界のアイリスが兄に似たように不機嫌な表情でラングレーを見て、そしてバトルを受けようとしている。…トラウマにならないと良いけれどとこれから起きるかもしれない悲劇に同情してしまう。原作世界のサトシ達は私たちに向かってバトル施設に向かうラングレーたちについて行こうぜと言ってきたため、私たちはお互いの顔を見てから、肩をすくめて歩き始めた。ここにいてもなんの解決策も思いつかないし、どうやって宝玉の力を重ね合わせるのかもわからない今、何か奮闘しても意味がないと思うからだ。根本的な解決策を探さないといけない…何か、力を重ねるのに必要な方法を探さないと。でもジュンサーさんたちが探している今、私たちにできることはあまりないため、ラングレーたちのバトルを見るしかないだろうと思う。まあ原作世界に迷い込んでしまったんだし…ちょっとぐらい楽しんでもいいかな…楽しめるかどうかはわからないけどね。
歩いている間にもラングレーが原作世界のアイリスと喧嘩をしていて、睨み合ったり怒鳴り合ったりしている。その隣には無表情で歩いている私たちの世界のアイリスもいたりする。…原作のサトシ達含めて…私たちはそれを見ながら苦笑して、ただ無言でバトル施設に向かうため歩いて行った。
(あ、そういえばバトル施設でシューティー達が争ってたような……まあ大丈夫かな?)
To be continued.