マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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パラレルワールドの自分と出会ってしまったみたいだ…。






第百十三話~妹はカオスな光景を目撃する~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こ、こんにちは妹のヒナです…。なんだかすっごい光景が目の前に広がってたりしちゃいます……。これって普通ならあり得ない光景だよね…。

 

 

 

「へぇ…ここにいるルカリオってホウエン地方にいたあのルカリオなのか…それに俺に妹なんているのかそっちの俺!!」

『ピカピカ!!』

「あ、ああまあな…じゃあお前は一人っ子か…頑張れよ」

『ピッカァ…』

 

「ヒトカゲやピチュー、ルカリオなんて始めて見たわ!!いいなぁそっちの私!!」

『キバキバ!!』

「まあね…でもいろんな場所を旅していけばいずれ会えるわ。だから羨ましがらずに旅を続けなさい」

『キバキ』

 

「んーなんというミステリアス漂うテイストなんだろう!!まさか僕自身に会えるだなんてね!!」

「僕もそう思っていたよ!!ところでソムリエとして聞きたいことがあるんだけどちょっといいかい!?」

「もちろんだよ!!!」

 

 

「誰が誰だかわかんなくなってきちゃった…」

『カゲカゲェ…』

『ピチュゥ…』

『同一人物だからなおさらだな…』

 

 

同じ格好に同じ顔、そして同じ声というドッペルゲンガ―もびっくりな光景に私たちは遠い目でそれを見つめていた。兄たちとは違う…原作の≪サトシたち≫は私たちのことを見て興奮し、何でどうしてと説明を求められた。私たちは時間の宝玉を泥棒が盗んでいったということ、それを取り返したこと。そして時間の宝玉がいきなり光り出して…そして気がついたらこうなっていたということを話していった。デントが考えて、おそらくパラレルワールドに町ごと入り込んでしまったのかもしれないねと言っていて、私はその推理に頷いてしまった。私たちは……パラレルワールド…つまり原作の世界に迷い込んでしまったのだろう。

そしてどうやって元に戻ればいいのか、どうすればいいのかわからないまま、原作のサトシ達とは違うところを話していく。

でも、このままここで話し合ってもよくないだろうと思う。周りでは自分自身がいると言うことに騒いでいて、どうしてだという疑問の声があちらこちらから聞こえてくるのだから。解決するためにも行動した方が良いとは思うんだけど…兄たちが原作のサトシ達のテンションの上がりっぷりにちょっとだけ引きながら答えていて、これはしばらく収まらないなとルカリオと一緒に見ていた。…あ、でもデントは原作のデントと一緒になって盛り上がっているみたいだけどね。

 

 

「…これ、このままでいいと思う?」

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

『…他の場所にいたとしても何も解決はしないと思うがな』

 

 

ルカリオが私たちにそう答えて、離れた場所で兄たちを見守った。確かにルカリオの言っていることは分かる。このままここにいても何も解決はしないけれど、他の場所にいたとしても同じ結果だろうと思う。ジュンサーさんが調べると言った今、解決できるのは彼女にかかっているのだから…。

そんなことをしていたら、原作のサトシがある人物を見て手を振って大きく叫んだ。

 

 

「おーいシューティー!!見ろよ凄いぞ!!」

『ピッカァ!!』

 

「シューティー…?」

『ピカァ…?』

 

 

「………」

「面白いだろシューティー!俺たちがパラレルワールドから来たんだってさ!!」

『ピッカッチュ!!』

 

 

「…この町の騒ぎだからそう言う話はもう聞いているよ…パラレルワールドから来たということもね……でも、君は何も変わらないみたいだ」

 

 

「…どういう意味だ」

『…ピッカ』

 

 

「おい落ち着けってそっちの俺!…そうだ。なあシューティー後でバトルしようぜ!」

『ピィカ!』

 

「嫌だね…何で君のような田舎者とバトルなんか……」

 

 

「………………………」

『………………………』

 

 

原作のシューティーは兄とピカチュウのの地雷を見事に踏みまくっているみたいだ。見事に無表情になっていく様子に離れた場所から見守っている私たちはともかく、兄たちの近くにいたアイリスやデントが…原作のアイリスたちの腕をつかんで危険範囲から離れようと動く。当然その様子に何なのか分かっていない原作のアイリスたちは首を傾けてどうしたと聞いているけど、私たちの世界のアイリスたちはとにかく危ないから離れた方が良いというだけにしておいたようだ。

 

 

…けれど、そんな危険な雰囲気を原作のサトシが朗らかに笑みを浮かべてシューティーに言ったおかげで霧散する。

 

 

「俺たちは強いぜシューティー!な、ピカチュウ!!」

『ピッカァ!!』

 

 

「……まあ、いいか」

『……ピカ』

 

 

 

 

「あ、大丈夫みたいね」

『キバキバ』

「だからどうしたのよ一体!?」

『キバ?』

「気にしないでいいわ。どうせすぐにまた起きることでしょうから」

『キバキバ…』

「どういう意味よ?…はぁ、説明しないなんて、こっちの私は随分と子供ねェ…」

『キバキバ』

「……まあ、いいわ」

『……キバ』

 

 

 

「だからどういうこと何だい?」

「すぐにわかることさ。とにかく巻き込まれたら危ないということだけ伝えておくよ」

「………?」

 

 

 

 

それぞれが説明をして、何とかなっているみたいだ。この状況なら大丈夫かなと私たちは兄たちのもとへと行き、やって来たシューティーに頭を下げて挨拶をする。

 

 

「…こんにちは、シューティーさん」

『カゲカゲ』

『ピチュピチュ』

『……………………』

 

 

「これは?!…まさか、色違いのヒトカゲ?!それにピチューやルカリオも!!!??」

 

 

とたんにカメラでヒトカゲを中心にピチューやルカリオを撮っていくシューティーに私は来る場面を間違えたかなと思ってしまった。私とヒトカゲ、ピチューはシューティーのカメラを嫌がる素振りを見せず、むしろ近くにいた兄たちを怖がっている。兄はもちろん、ピカチュウやルカリオもかなり機嫌が悪くなっていてこれはヤバいと思った。もちろんそんな様子に気づかない原作の人たちはただシューティーのカメラを撮る様子を苦笑しながら見つめていた。

 

 

「…あの、もういいですか?」

『…カゲ』

『…ピチュ』

 

 

「何を言っているんだい君は!?色違いなんて希少価値をもういいですかで済ませるだなんて!?」

「いやでもシューティー…嫌がってるみたいだからもう撮るのは止めてやれよ」

『ピィカッチュ!』

「これだから希少価値の分からない田舎者は…邪魔だからどけ!」

「おいシューティー!」

『ピカピカ!!』

 

 

 

 

「……オーケー。話し合った方がよさそうだ…」

『……ピッカ』

『…………………………』

 

 

 

 

このままだとやばい…主に兄たちの様子がやばい…。このままじゃいけないと私たちはアイリスたちの方へと見るけど、あっちもあっちで先程起きた行動について問い詰められていて気づいていないみたいだ。原作のサトシはシューティーの田舎者発言に怒っているみたいだけど、こっちの兄の怒りっぷりは凄まじいから大丈夫なのかなと心配になってしまった。…というか原作のサトシってかなり天使みたいだよね…さっきまではシューティーに怒らないのに今は私たちが迷惑していると分かると止めようと怒ってくれてるし…ああもうだれかどうにかしてこの状況を変えてほしい。兄とピカチュウ、ルカリオがゆっくりとシューティーに近づいていて、悲劇まであと数秒だとカウントされる。…もう駄目だ。

 

――――――そう思った…時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああ!!?…サ、サトシ先輩がもう1人いる!!!????」

 

 

 

 

「「サトシ先輩?」」

『ピカピカ?』

 

 

 

 

 

「…この状況は望んでいなかったよ…」

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

 

 

 

 

私たちの世界のシューティーが来たことによって、そしてそのシューティーの発言に原作世界の人物が声をそろえて疑問に思ってしまったことによって…この場がもっとカオスになるだなんて思いもしなかった。私たちはため息をついて、騒動が収まるのを待った。

 

 

 

 

でもしばらくの間、私たちの周りが騒がしいということ、カオスな状況は言うまでもないだろうと思う…。

 

 

 

 

 

 

 





To be continued.



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