マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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会ってはならない人に出会ってしまった…。


第百十一話~兄はバトルクラブで出会った~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは兄のサトシです。フキヨセジムのバッチをゲットし、ドンナマイトで勝利したりといろいろやってました。ぶっちゃけあまり面白いことがなかったので割愛しようかなと…ああ、でもズルッグがきあいだまを覚えたのは良かったと思ってますよ。

 

 

 

そして今俺たちは、ネジ山を越えて、ドンジョージのバトルクラブで泊まることになった。そこであったのは…ダブルバトルをしている光景でとても強そうなバトルをして凄いと思ったんだけどな…。

 

 

その後泊まる部屋に向かおうとしていたら、先ほどダブルバトルをしていた少年たちが見えてきたんだけど、それはただ会話しているような光景ではなかった。勝利したトレーナーが負けたトレーナーのポケモンを奪おうとしている光景で…俺たちはそれを見て止めようと動いた。

 

 

「お前の持ってるポケモン全部見せろ」

「ちょっと…ねえ君!まさかバトルで勝ったからってポケモンを取り上げようとしてるんじゃないでしょうね?」

『キバキバ!?』

「…おい。どうなんだ?」

『ピィカッチュ?』

 

 

「何だお前ら…関係ない奴は黙ってろ!」

 

 

「…………あれって」

『近づくな。巻き込まれるぞ』

『カゲェ…』

『ピチュゥ…』

 

 

俺たちが真剣な表情で先程のダブルバトルで勝ったトレーナーに詰め寄る。勝ったトレーナー…つまり、スワマはドン・ジョージが近づいてきたのを見て、ここで喧嘩をしていることがばれたらまずいと思ったのか舌打ちをしてそのままどこかへ行こうと歩き出した。

スワマとドン・ジョージの姿が見えなくなったのを見て、俺たちは負けた方のトレーナーに話しかけた。トレーナーは無理やりバトルをされたということ、スワマは強いポケモンを手に入れるためなら何だってやるということを知って俺たちは険しい表情でそれを聞いた。強いポケモンだからと無理やりバトルをして、負けたらポケモンを見せろと言って強奪のようにしてくる態度が気に食わない…。でも、関わらなければ大丈夫だと負けたトレーナーは言って、そのまま町から出て行ってしまった。

 

俺たちはそれを見て、仕方ないと肩をすくめて夕食を食べるためにまず部屋に入ってから荷物を置こうと歩き始める。またスワマが何かしたら俺が止めればいいかと考えながらも、歩き続ける――――――――――。

 

 

「ほら、美味しい夕食だよ!」

『ゆっくり食べろ』

 

 

夕食を食べるための食堂でスワマを見かけたが、俺たちは彼を無視して夕食を食べ始める。ポケモンたちをボールから出して、デント達が作り上げたポケモンフーズを食べさせる。だが、その途中でポカブがスワマの存在に気がついて、スワマに笑顔で近づいて……?

 

 

「どうしたんだポカブ?」

『カブゥ!!』

 

 

ポカブがスワマに近づいて、足に抱きつこうとしている。まるで懐かしい人物に会ったような反応…まるで、知っている人物に久々にあったような…自分のトレーナーにようやく出会えたような、そんな反応だ。

アイリスが突然スワマに近寄り、口を開いた。

 

 

「あの、失礼ですけど…以前カラクサタウンのバトルクラブでポカブを捨てたことってありますか?」

「…何だよキミは…ふーんこいつあの時に捨てたポカブか…拾われて良かったじゃないか」

「やっぱり…!サトシ!カラクサタウンでポカブを捨てたトレーナーだよ!!」

 

 

「……どういうことだ」

『ピィカ』

 

 

俺たちはスワマに近づき、ポカブをどうして捨てたのかを問い詰める。だがスワマは嘲るような表情でポカブの首元を掴み、俺に投げてきた。その時に言う言葉、そして態度が俺の心に突き刺さる。…こいつ潰してもいいかな。

 

 

「だってこいつ…才能ないんだもん!」

 

『カブッ!?』

 

「お前…ふざけてんのか…!」

『ピカピッカ!!』

「ちょっとそこに正座しなさいよ…!」

『キバキバ!!』

 

 

「待った君たち!!イッツ・ジャッチメント・ターイムだ!!!!」

 

 

「はぁ?」

 

 

「始まっちゃった…いや、お兄ちゃんとアイリスの暴走が止まっただけ良しとするかな…」

『カゲェ…』

『ピチュ…』

『だがこのままだとまたすぐにやらかすぞ』

 

 

 

デントが喧嘩はよくないと言って俺たちを止め、いつもの○○タイムで何故スワマが置いていったのか、何故紐で縛って行ってしまったのか教えてくれた。だがそれは全て自分勝手な話だった。ポカブの才能がないから自由に暮らすために置いていったというのは…以前のシンジもポケモンの能力値を見て、それでポケモンを逃がしたり捕まえたりとやっていたからそれは分かる。ヒコザルの件についても、最終的には自分の過ちを認めて謝り、仲直りすることができたから良かったことだ。

けれども、ポケモンの気持ちはどうなるんだ…。シンジは捕まえてすぐに能力値を見てから逃がすかどうか決めていた。逃がされたポケモンはまだシンジのことをよく知らず、何の感情もなく行ってしまった。ヒコザル…いや、ゴウカザルのことも最終的には謝っていた。…けれど、ポカブとスワマの場合は違う。

ずっと一緒にいたというのに、才能がないからという身勝手な理由でポカブを捨てて行った…しかもポカブはスワマと一緒にいたいぐらいに懐いているというのに…ついてこられたら困るという理由で縄で縛ってだ…!

 

 

これはちょっと許せないよな。

 

 

―――――だが、その時にドン・ジョージさんが翌日にバトルをして決めたらどうかという話になったため、ここで解散することになった。ダブルバトルで相手は先ほど勝負で勝っていたクイタランとエンブオー。俺はもちろんポカブとツタージャだ。ツタージャはポカブのことを心配して、そして自分も以前トレーナーを見限り捨てたことがあったからこそ自らも勝負に出たいと言ってきたのだ。

スワマから離れて、そしてポカブと一緒にいろいろと話すために外に出る。ここからは俺たちだけでいいと言ってアイリスたちには離れてもらった。それで今いるのは俺とピカチュウ、ポカブとツタージャだけだ。本当ならこのまま明日の特訓をしたいところだけれども…ポカブの気持ちを考えると少し無駄かもしれないと思い、話し合うことにした。

 

「ポカブ…お前もしかしてスワマのことまだ気にしてるのか?」

『…ポカァ……』

『ピカピカチュゥ?』

『ポカブゥ…』

 

ポカブはおそらくスワマともっと一緒にいたかったのだろう。あの時捨てられたことにまだ踏ん切りがついておらず、スワマと一緒にいたい、まだスワマのポケモンでいたかったと思っているのかもしれない…。でも俺はそのままの気持ちでいたら駄目だと思う。ポカブの気持ちを分かっているうえで縄を縛って捨てたトレーナーを俺は許せない…もちろんピカチュウやツタージャも一緒だ。だからこそ、今のその心残りを振り切って、明日スワマとバトルしてほしいと思う。

 

「ポカブ…お前はこのままでいいのか?」

『カブ?』

「才能がないって言われて、それで捨てられて…そのまま言われっぱなしでいいのかよ?」

『タジャ!!タジャタジャ!!!』

『ピッカッチュ!!!』

 

『………カブゥ』

 

『タジャァ!!!!』

『カブッ!?』

 

 

ポカブがうじうじとしているのが見てられないと言ってツタージャがポカブにつるで平手打ちをして叩く。ポカブは驚いてツタージャの方を見るが、俺はそれを止めようとはしない。ツタージャの言いたい気持ちが強くわかるからだ。

 

『タジャ!タジャタジャァ!!!』

『カブ…カブゥ!!』

 

「よし、その調子だポカブ!!!明日、思いっきりスワマに見返してやろうぜ!」

『ポカァ!!』

『タジャ!!』

『ピッカァ!!』

 

 

 

――――――――――まあ、そんなわけで。俺たちは翌日、バトルを挑んで勝負をすることになった。そしてその時に分かったスワマの所行。ポカブがまだ心残りがあってバトルができずにいる光景を嘲り笑い、以前別れた時に悲しそうな表情を演技して別れたということを楽しそうに言って説明した。それを聞いたポカブがショックを浮かべるが、ツタージャと俺たちの言葉で我に返り、絶対に勝負に勝ちたいという気持ちでバトルに挑んでくれた。そしてスワマに対する感情から吹っ切れたおかげか、進化をすることができて、チャオブーになって強い炎で倒すことができた。

 

 

「良かったなチャオブー!よく頑張ったな!!」

『タジャ!!』

 

『チャオ!!』

 

 

「…戻れ、エンブオーにクイタラン……ふん」

 

勝負が終わり、喜んでいる俺たちに近づいてきたスワマは、チャオブーに向かって口を開く。

その間も俺たちは険しい表情を浮かべてスワマを見ていた。俺は抱き上げているツタージャを地面に優しく降ろし、スワマが謝罪をするのなら許すがそれ以外なら…といろいろ考えてスワマがいう言葉を一言も逃さず聞こうと視線をスワマに向ける。

 

 

だが、スワマはやはり変わらなかったみたいだ。

 

 

 

 

「…何か言いたいことでもあるのか?」

『タジャ…』

 

 

「いや、素直に俺の負けを認めるよ…すまなかったな、あの時お前を才能がないと判断したのは俺の間違いだったようだ。なあどうだ?お前がそんなに俺のことを忘れていないのなら戻ってきてもいいんだぞ?そんな冴えないトレーナーよりも、俺と一緒にまたやり直そうぜ!」

 

 

「…………………ほう?」

『…タジャァ』

 

 

…つまり、こいつはチャオブーの強さを認めたというのは良いけれど、また強いという理由でチャオブーを利用するということなんだと分かった。つまりは、またあの時の繰り返しをしようとしているわけだ。

 

シンジはそんなことを言わない。すべてを認め、ゴウカザルに謝ったというのに……。

 

 

『チャオブゥゥウ!!!!!!』

 

「うわッ!…くそ、覚えてろよ!!」

「待て」

 

チャオブーはそんな何も変わらないスワマに向かって炎を飛ばし、怒っている。俺は逃げようとするスワマの腕を掴んで笑顔で言う。

 

こいつの性根を叩き直さないといけないみたいだということだけ分かれば十分だ。

 

 

 

 

「 ち ょ っ と 話 し 合 お う ぜ ? 」

 

 

『ピッカァ!!!』

『タジャタジャ!!!』

『チャオブゥ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――その結果?ああ、スワマがチャオブーに土下座で謝り、泣きながら何度も謝罪してくれたからもう何も言わずに解放したぜ。

 

 

 

 

 




兄の心境。
 今度またやったら潰す。




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