マサラ人だけどスーパーマサラ人ではないはず   作:若葉ノ茶

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気がつけば成長した兄が目の前にいました。


第十話~未来の兄もやっぱり普通じゃない~

 

 

 

 

「あ、やべ。間違えた」

『…レビィイ』

「どういうこと!?」

 

こんにちは妹のヒナです。最近ようやく5歳になりました。兄はホウエン地方で新しい仲間たちと楽しく旅しているようです。

私はいつもの昼寝スポットに行こうかなと散歩していたのに、目の前が光ったと思ったら少し大人になっている兄がいました。あとセレビィとピカチュウも一緒に。

 

「お兄ちゃんだよね…?」

「おう、ヒナの兄貴のサトシさんですよー」

「あ、うんそういう残念なこと言うのお兄ちゃん以外いないわ」

「お前この頃から辛辣だったんだな…」

『ピッカチュウ…』

『レビィ?』

ピカチュウは兄と同じような表情をしていて、セレビィは首を傾けてどういうことかわからないようだ。というか、ピカチュウ本当に兄に似てきたね。表情とか仕草とか擬人化したら絶対に兄にそっくりになりそうだよ。

でも何でここにいるのだろうか?目の前にいるのは本当にホウエン地方で旅している兄なのか?それにしては大人になっているような…。

 

「お兄ちゃんっていつの時代から来たの?」

「ああ、未来からな。セレビィとお手玉して遊んでたら過去に来ちゃった。そうだ俺もうポケモンマスターで婚約者もいるんだぜ」

「…待ってツッコミがおいつかないよ!というより未来の情報教えてもいいの!?」

「え、いいと思うぜ?なあピカチュウ」

『ピッカ!!』

「お願いだからピカチュウお兄ちゃんみたいになっちゃだめだよ!」

目の前にいる兄はもう夢が叶ってしかも婚約者もいるらしい。待て何でセレビィとお手玉をして過去に来たんだ。そして重要な未来の情報を話しても特に気にしないのは良くないと思う。本当につっこみどころがありすぎる。未来でこの兄に一体何があったんだ。ポケモンマスターになるというのはこの兄だからできそうだとは思ったけれども…思ったけれども!

(前世と性別違うから恋人は作らないって宣言してたのにいきなり婚約者ってどういうことなの!?)

 

「あ、何で婚約者がいるかって疑問に思ってるんだろ?まあそれは未来でのお楽しみにとっとけ」

「いやすごく気になるから!…というよりお兄ちゃん私からかって楽しんでるでしょ絶対」

「え…………………いや?」

「嘘だ!」

未来での兄がなんか愉快犯みたいになってた。しかも私をからかってるしなんか常識じゃなくて非常識の塊になったらこうなるのかなって理解したよ。

「あ、そう言えばもしも過去に行ったら未来のヒナから過去のお前に言ってほしい伝言頼まれたんだった」

「私から!?」

どうやら未来の私も少々常識が吹っ飛んでるようだ。何故兄に伝言を残したんだ未来の私。もしかして未来の私も未来の兄に会うという出来事があったのではないか…なんかややこしい気がするけれども。

未来の兄は爽やかな笑みを浮かべて私に言う。

「≪赤髪の男の子には絶対に必要以上関わらないようにすること。じゃないと死にかける≫だとよ?」

「赤髪の男の子って誰!!?何があったの未来の私!!?」

『レビィイ』

焦って叫んでいる私を楽しそうに見る兄とセレビィ。ピカチュウは少しだけ同情したような表情を浮かべていて、それが余計に不安になってしまう。

予想通りのリアクションに満足したのか、兄は私の頭を撫でてから手を振って離れる。

「じゃあ俺もう行くぜ。また未来で会おうな」

『ピィカッチュウ!』

「いやもう来なくていいから!」

『レビィイ!!』

兄とピカチュウ、そしてセレビィが私に向かって手を振り、煌びやかに光って消えていった。

誰もいない森の中、私は座り込み心の底から声を出して叫んだ。

 

「結局未来の私たちどうなったの!!?」

その後、叫び声に驚いたオニスズメたちが近づいてきて、ポケモンたちに囲まれた私をフシギダネに助けられ危ないことをするなと説教をされ散々な目に遭った。

 

 

 

 

 




妹の心境。
 赤い髪の人には絶対に近づかないようにしよう。あとお兄ちゃんの婚約者って誰?

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